イライラなんてしたくないのに…
PART1:何もかも考えすぎてしまうあなたに
最先端の研究を踏まえた、「考えすぎない」考え方
優しい絵と文章で心をあたためてくれる
■『ふたりのねこ』ヒグチユウコ(祥伝社)
たくさん活字を読みたくない…というほど心がざわついている時は、優しい絵本で複雑にこんがらがった頭の中をほぐしてみましょう。こちらの絵本は、ぬいぐるみの猫と野良猫の、「ふたり」の猫が公園で出会い、別れるまでを描いた物語。優しい絵とやわらかい文章で、あたたかくもちょっぴり切ないお話が紡がれます。読み終わった時には、きっとやさしい気持ちになれているはずです。
抱腹絶倒!笑いで考えすぎを吹き飛ばそう
■『金の言いまつがい』糸井重里(新潮社)
考えすぎて気分がふさぎ込んでいる時は、思い切り笑ってよくない気分を吹き飛ばしてみませんか?誰にでもある「言い間違い」は、ミスとして指摘されることもありますが、ときに別の意味となって大きな笑いを生み出してくれます。笑わせよう!と作られたのではなく、日常の中で意図せず出来上がってしまったからこそ面白い、抱腹絶倒の言い間違いを集めた本書。ちょっとした間違いなんてどうでもよくなってしまうほど、笑い転げてしまいましょう!
考えすぎずに、毎日を大切に過ごすだけ
■『まいにちがプレゼント』いもとようこ(金の星社)
私たちはこの絵本のページをめくるたびに、森の中で暮らすハリネズミと一緒に新しい一日を迎えます。自然の中で木の実を食べたり、いつも違う形の雲を眺めたり。同じように見えるけれど、よく見てみれば少し違う新しい毎日は、ハリネズミにとってかけがえのない贈り物です。考えすぎている時に読むと、何気ない今が大切に思えて、考えすぎを防いでくれるかもしれない1冊。将来のことを考えるよりも、まずは今を大切にしてみよう、そう思わせてくれます。
PART2:あなたの心をざわつかせるものは何?
毎日にマインドフルネスを取り入れる64の習慣
■『心のざわざわ・イライラを消すがんばりすぎない休み方 すき間時間で始めるマインドフルネス』荻野淳也(文響社)
マインドフルネスとは、「今、この瞬間に集中している」という心の状態のこと。忙しくしていると、毎日をよく考えず過ごしてしまうことがあります。日常の一瞬一瞬を大切にできるマインドフルネスの習慣を取り入れて、自分を振り返ることで、その理由が見えてくるかもしれません。最近自分を責めすぎている、何もかもにいら立ってしまう、そしてそんな自分を変えたいと考えている方におすすめです。
怒りをコントロールする実践的な方法
■『自分の「怒り」タイプを知ってコントロールする はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』安藤 俊介(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
心は、理性とは関係なく動いてしまうもの。怒り、悲しみ、恐れ…それを感じること自体は、人間の本質なのでどうすることもできません。しかし上手に付き合えば、コントロールすることは不可能ではないんです。本書では、心の動きの中でも「怒り」に着目。怒りのタイプを6つに分けて、感情をコントロールする「アンガーマネジメント」の方法を解説しています。精神論ではなく、具体的かつ実践的な方法なので、今すぐ始められることもたくさんありますよ。自分の心に振り回されるのはもう終わりにしましょう!
キレたくないのにキレてしまう自分を変えたいあなたに
■『キレる私をやめたい』田房永子(竹書房)
夫や子ども、彼氏、兄弟…身近な人たちにキレたことはありますか?キレる、とまではいかなくとも、イライラしたり、怒鳴ってしまったりということは身に覚えがあるかもしれません。こちらの本は、夫にキレまくっていたという妻が、キレなくなるまでのお話。キレる妻がいる家庭で実際に起こったことを通して、キレてしまう本当の理由やそのメカニズムまで解説されているのがポイント。もしキレる自分を変えたい、罪悪感で押しつぶされそうで嫌だ、と感じている方は、ぜひ手に取ってみてください。
要らない物を捨てて、心も軽く
■『心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ』ブルックス・パーマー(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
部屋が汚いと、気分も悪くなって掃除する気が起きず、さらに汚くなってしまう…心がざわざわするのは、実はそんな部屋にある「物」が原因かも?心が穏やかでない時は、不要なもの、不適なもの、不快なものなどを自分で見極めて、部屋から捨ててみましょう。こちらの本では、捨てられない人の心理や、捨てるための考え方を解説。捨てられない物を通して、自分の心を見つめ直す機会をくれます。必要だと思っていても、よく考えてみれば要らなかった物が見つかるかもしれません。
PART3:自分にもやさしく接してみて
生きづらさの原因は、育った環境にあった?
■『自分に気づく心理学』加藤諦三(PHP研究所)
不安でどうしようもない、他人にイライラしてしまうという気持ちが生まれ、生きづらさを感じてしまうのは、もしかしたらあなたのせいではないかもしれません。こちらの本では、その気持ちが生まれる原因を、幼少期の親子関係にまでさかのぼって解説。幼いころ満たされなかった思い、抑圧された素直な心が悲鳴を上げて、今のあなたを作っている可能性があります。本当の自分に向き合い、少しでも解放してあげることが、その気持ちを昇華させる第一歩。あなたの心を軽くしてくれる1冊です。
スウェーデンでベストセラーとなった、生き方の本!
■『北欧スウェーデン式自分を大切にする生き方 心の病を抜け出した夫婦からのアドバイス27』マッツ・ビルマーク、スーサン・ビルマーク 著、齋藤慎子 訳(文響社)
こちらは、国民の感じる幸福度が高いことで知られるスウェーデンでベストセラーとなった1冊。スウェーデンで暮らすビルマーク夫妻が、自分たちが患った不安症やうつ病の経験をもとに、ストレスを感じながら社会に生きる人々に向けて書いた本です。ストレスが何によって引き起こされるのか、ストレスレベルによって体と心にどんなことが起こるのかを解説しつつ、自分を大切にし、日常生活でストレスを減らすための具体的な方法を教えてくれます。
いつか必ずやってくる「その日」を見すえて
■『その日のまえに』重松清(文藝春秋)
生きている人にはいつか必ずやってくる「その日」。それは自分にだけでなく、大切な家族、恋人、友人、ペットにも平等に訪れます。『その日のまえに』は、家族や友達の「その日」周辺を描いた短編連作集。残す側の気持ちや、残された側の「もっとああしていればよかった」「もっとこうだったらよかったのに」という後悔、何をしてもやってくる次の日の無常さ――などが描かれます。自分は自分自身を大切にできているのか、周囲の人にやさしくできているのか、振り返りたくなる物語です。
ありのままのあなたを肯定したくなる物語
■『わたしの美しい庭』凪良ゆう(ポプラ社)
悪いご縁を断ち切ってくれるといういわれのある、小さな神社。マンションの屋上にあって、近所の住人からは『屋上神社』などと呼ばれています。こちらはそんな神社を訪れた「生きづらさ」を感じている人たちを描く、連作短編集です。この物語に登場するのは、いわゆる「普通」からは少し外れた人ばかり。彼らは人との違いをどう受け入れ、どうやって毎日を楽しく過ごしているのでしょうか。少し普通とは違っていても、ありのままの自分を受け入れてあげたくなるような、そして別のことで悩む同じような人も応援したくなるような1冊です。
PART4:身近な「大切なもの」を思い出す
毎日の大切さを思い出すエッセイ
■『春になったら莓を摘みに』梨木香歩(新潮社)
「西の魔女が死んだ」などで知られる、梨木香歩さんによるエッセイ。梨木さんが学生時代、イギリスの下宿で過ごした日々や当時のイギリスの一場面が、確かな輪郭をもって生き生きと描かれます。家主のウェスト夫人、同じ下宿で暮らしていたジョー、複雑な事情のあるナイジェリアン・ファミリー。それにピーナッツをまくと慌てて出てくる庭のリスたちや、キッチンの窓から見えるスイカズラやアイビー。愛にあふれながらも、時折思い知らされる国や風習の違い、その国に生きる人たちの強さ。生きていくことの難しさと尊さを、同時に感じさせてくれます。
ぬか床、熟鮓、鰹節…発酵食品を通して見つめる命
■『にぎやかな天地』宮本輝(講談社)
主人公は、出版社で働いていた船木聖司。勤め先が倒産し、祖母が亡くなった矢先、松葉伊志郎という謎の老人からとある本の編集を頼まれます。その本とは、「日本の優れた発酵食品を、これ以上ないくらい丁寧に取材し、後世に残す豪華限定本」。手始めに、船木は祖母の死の際になくなっていたぬか床をよみがえらせるのですが…。日本には熟鮓、醤油、鰹節、納豆といった伝統的な発酵食品があります。こちらの小説は、そんな日本各地の発酵食品をひとつひとつめぐる物語。冒頭の「死というものは、生のひとつの形なのだ」という一文にあるように、目には見えないけれど身近にある、微生物が織りなす営みや生と死の大切さを思い出させてくれます。
家族を大切にしたくなるあたたかな6篇
■『海の見える理髪店』荻原浩(集英社)
家族は身近な存在だからこそ、大切だと分かってはいても、時折面倒だったり、いら立ったりさせられます。瞬間的な心の動きではなく、できるだけ自分にとってどんな存在なのか、本当はどんな風に接したいのか考えて触れ合いたいものです。この本の6篇は、どれもそんな気持ちを大きくし、心をあたたかくしてくれる物語ばかり。家族に辛く当たってしまう、本当はやさしくしたいと悩んでいる方におすすめです。
自然の美しさ、尊さを思い出す。鳥にまつわる短編集
■『ダック・コール』稲見一良(早川書房)
ふと空を見上げたり、群れをなして飛んでいく鳥たちをながめたりしていると、心は自然と穏やかになっていきます。この本は、そんな気分で物語を楽しめる短編集。絶滅してしまった実在の鳥のお話から、密漁をもくろむ老人と少年の交流、鴨のデコイと少年の冒険譚などが収録されています。それぞれ毛色は異なりますが、いずれも鳥たちの羽ばたきや、鳥たちが駆け抜ける空が目前に感じられるような物語。自然の美しさを、実際に自分の目で見たくなってしまいます。
PART5:いったん現実から離れてみよう
心を楽しくしてくれる、奇跡の物語
■『残り全部バケーション』伊坂幸太郎(集英社)
岡田と溝口は、当たり屋や強請りなどあくどい仕事で生計を立てている二人組。しかし後輩の岡田はある日、足を洗いたいと相談します。もちろん溝口は簡単には頷かず、足を洗うなら「適当な携帯番号にかけて、出た相手と友達になれ」とよくわからない条件を提示。そこで繋がった相手は、長女の進学を機に妻と別居を始める離婚寸前の男で…。普通ならありえないことの連続なのに、どこかで何かがつながっていて、奇跡のようなことが起こる連作短編集。読後は爽快感と感動に包まれます。
人生の最後に何をする?涙があふれるSF小説
■『渚にて』ネヴィル・シュート(東京創元社)
第三次世界大戦が勃発し、北半球が放射能に覆われて死の世界となった未来。まだ安全なオーストラリアのメルボルンに、アメリカの原子力潜水艦スコーピオンとその乗組員たちが、放射能を避けるためやってきます。メルボルンでは一見平穏が続いていて、乗組員の現地の人々との出会いや、子供たちとの暮らしが描かれるのですが、実は死の世界が着実に南下してきていて…。SF小説は難しくて読みにくいというイメージがあるかもしれませんが、こちらの小説は死を目前にした人々に起こる出来事、想いが丁寧に描かれた臨場感ある人間ドラマ。たっぷり時間をとって、じっくり読んでほしい1冊です。
京都を駆け巡る狸たちの日常
■『有頂天家族』森見登美彦(幻冬舎)
人間が長らく都とし、歴史を紡いできた京都には、実は人間だけでなく狸も住み着いています。この物語の中心になるのは、糺ノ森に住む狸の一族、下鴨家。真面目だがいざというとき慌ててしまう長男に、ずっと蛙の姿になっている次男、そして「阿呆の血」を引き継ぐ三男、変化してもしっぽを出してしまう四男。そこに宿敵の一族や天狗、さらには人間も関わってきて、いろんな騒動を引き起こします。登場人物たちは狸ですが、そこには人間と変わらない愛憎模様があるようです。
主人公は意地悪な女の子?大人も楽しめる児童文学
■『童話物語』向山貴彦(幻冬舎)
主人公は、生きるのに精いっぱいな少女ペチカ。食べ物を守るために猫をいじめたり、乱暴な言葉を吐いたりと、とても性格がいいとはいえません。しかしあるとき、小さな妖精フィツと出会ったことで、大きく物語が進み始めます。最初はペチカの性格の悪さや辛い状況に、ページをめくる手がとまってしまうかもしれません。しかし読み進めていくうちに、時間や通貨の単位、地図まで詳細に考えられた世界観にのめり込み、ペチカが変わっていく姿に勇気づけられます。児童向けの小説ですが、大人が読んでも楽しめるファンタジー小説です。
■『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』堀田秀吾(サンクチュアリ出版)
「考える」ことは人間の武器の一つですが、実は弱点にもなりうることを知っていますか?「考えすぎる」ことで判断が遅くなり、悩みすぎてネガティブになり、結果として合理的に物事を決められなくなることも。「不安やネガティブな感情は、考えごとをするほど強くなる(ミシガン州立大学、モーザー)」という研究結果をはじめ、近年考えすぎてしまう人とそうでない人の考え方の違いに関する研究が進められています。考えすぎていると感じる方は、最新の研究も踏まえたこちらの本で、考えすぎず、物事をうまく進められる考え方を学んでみませんか。