ママのぬくもりと声が、一番の栄養だから。
日々訪れるさまざまな「はじめまして」や、周囲からの愛情を全身でうけとめながら、ひとつずつ色を重ねるかのように、唯一の存在として少しずつ成長していきます。
愛情を絶たれた赤ちゃんは十分なミルクを与えられていても成長することは困難だったという実験結果も報告されているほどに、目には見えなくても、一つ一つの言葉や一緒に過ごした時間は赤ちゃんの隅々にまで沁みわたるもの。まさに、ママからの愛情を感じられることは一番の栄養となるのです。
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そこで今回ご紹介したいのが、0歳の赤ちゃんにオススメする10冊の絵本。
ぜひ、赤ちゃんを産んだばかりのママやプレママさん、そして出産祝いを選ぶあなたのご参考になりますように*
《はじめに》赤ちゃんのためのファーストブック Q&A
いつから読んであげればいい?
どんな本を選んだらいい?
読み聞かせるときに気をつけることは?
手が動かせるようになったり、意思表示が豊かになってきたりすると、どんどんページをめくってしまったり、同じ本屋特定のページを読むことばかりせがまれたり、時には本をしゃぶって「読む」という行為に程遠かったり…ということもよくあるもの。
でも、それでいいんです!
「読み聞かせ」という言葉のイメージから、ついつい大人は「読んで聞かせなくては意味がない」と思いがち。でも先ほどもお話した通り、0歳の赤ちゃんにとっての絵本は「ママとのコミュニケーション」の一つの手段であり、「おもちゃ」の一つでもあります。
ページが破けるのが気になるなら厚めのボードブックを選んだり、図書館で借りるのではなくとっておきの1冊を購入したりしながら、できるだけ大らかに、お子さんオリジナルの絵本との過ごし方を見守ってあげることを大切にしてくださいね。
赤ちゃんが初めて出会う、おすすめ《ファーストブック》10選
1.じゃあじゃあびりびり/まついのりこ(作)
「いぬ、わんわんわん」「じどうしゃ、ぶーぶーぶー」・・・日頃よく目にする身近なモノや動物の姿と発せられる音をただただシンプルに並べたこの本。 自治体で出産のお祝いの一冊として選ばれることも多く、ファーストブックの代表格と言えるでしょう。
カラフルなイラストとリズミカルな言葉たちは、大人の目から見て不思議なほどに赤ちゃんの興味を惹きつけます。
14cm四方のコンパクトなサイズ感、しっかりした厚紙で作られたボードブックなので、いつでもどこでも持ち歩け、赤ちゃんの手で好きなように扱ってもらっても安心です。ページの隅っこを我が子がハムハム…とお口でしゃぶっても、かわいい噛み跡さえいい思い出になるでしょう。
2.あかちゃんにこにこ/いしかわこうじ(作)
「にこにこ」「わっ!」「ねむいねむい」などの言葉に合わせて、あかちゃんと様々な動物が見開きごとに様々な表情を見せてくれる一冊。まるで本の中に自分と同じような小さなお友達がいるかのように、くるくる豊かに変わる表情を興味津々に見つめてくれることでしょう。
ページいっぱいに描かれた大きなお顔に合わせて赤ちゃん自身が表情をマネするようになったり、動物に呼びかけるようになったり、成長に合わせてコミュニケーションが深まっていくのもひしひしと感じられるはず。
筆者宅の娘たちもお気に入りだった一冊で、生後3か月の頃読み聞かせていたら「ねむいねむい」のページで本当に娘が自然に眠ってしまったこともあるほど、赤ちゃん自ら没頭できる絵本です。
3.くっついた/三浦太郎(作)
4.まるてん いろてん/中辻悦子(作)
「まるてんいろてん」は、カラフルな点(てん)の「●」が、出てくるだけの超シンプルな絵本。ですが、その並び方や大きさの変化で、子どもたちの目を楽しませてくれます。
とことん考えられて紡ぎ出された言葉から生まれるリズムに合わせて、たくさんの「まる」たちが、ページを楽しそうにあちこち動き回ります。
ぎゅぎゅっとお行儀よく集まったまるたちが・・・
ページからはみ出んばかりに「おおきくおおきく」なったり、、はたまたちいさくちいさくなったり・・・。
最初はただの「まる」だと思っていたまるてんたちが、くっついたり顔になったりする様子を見るにつれ、まるで命を吹き込まれているように生き生きと感じられることでしょう。
筆者の娘も大好きだったので友人のお子さんにもプレゼントしたところ、「どんなにグズグズでもなぜかこの本さえあれば機嫌が直る!」と言わしめるほど・・・!ハマる子にはハマる、そんな一冊です。
5.もこもこもこ/谷川俊太郎(作)、元永定正(絵)
大きな絵本に描かれた、正体不明のもの。山なのか?生き物なのか??それは誰にも分りません。
そんな「もの」が、「もこもこ」「にょきにょき」「ぽろり」という言葉に合わせて、膨れ上がったり、かけらを落としてみたり・・・。
谷川俊太郎さんの言葉と、不思議な絵が繰り広げる「?」がいっぱいの世界は一見よくわからないように思えますが、好きなように解釈できる分、様々な想像を膨らませる余地が無限大!だからこそ、繰り返して読むほどに大人も子どもも、その時々で違った楽しみ方ができます。
ストーリー性がある本を楽しめるようになる年齢になっても「読んで!」と子どもからせがまれることがあることからも、不思議な魅力を持った名作であると言えるでしょう。
6.いないいないばあ/松谷 みよ子 (作)、瀬川 康男 (絵)
発売は1967年!「ママやばあばが子どもの頃お気に入りだった!」ということも多いかもしれませんね。それほどに長く読み継がれる名作であるのが、この「いないいないばあ」。
あかちゃんとの定番の遊び「いないいないばあ」を絵本の中の動物たちと再現しています。
お顔をかくしたにゃあにゃが、いないいない・・・
ばあ!
予想した通りの展開への安心感と、動物たちが見せてくれるちょっとユーモラスな表情で、数多くの赤ちゃんをにっこり笑顔にさせてきたこの絵本。「あかちゃんだからこそ美しい日本語と最高の絵を」の想いが詰まったこの一冊は、これからも時代を超えて読み継がれるであろう珠玉のファーストブックです。
7.いいおかお/松谷 みよ子(作)、瀬川 康男 (絵)
先ほどの「いないいないばあ」と同シリーズである「いいおかお」。
いいおかおをしていたふうちゃんのところに、ねこちゃんやイヌさん、ゾウさんがあつまってきて、次々いいおかおになっていきます。
自分の笑顔が周りを笑顔になること。周りの笑顔が自分を嬉しくさせてくれること。そんなあたたかな幸せに触れながら、ママもあかちゃんも思わず「いいおかお」にならずにはいられない優しい絵本です。
8.もじゃもじゃ/せなけいこ(作)
いろんな「もじゃもじゃ」が次々と出てくる絵本。
「もじゃもじゃ」という語感も楽しく言葉も短いので、親も子も自然に暗記してしまうほどに楽しく繰り返し読みやすい一冊です。
あかちゃんが少し大きくなったら、合間に挿しはさまれる「もじゃもじゃは なあに?」「るるちゃんは?」という問いかけを通して親子の掛け合いも楽しめますよ。
「いやだいやだの絵本」のシリーズのうちの一冊でもあるこの「もじゃもじゃ」。もじゃもじゃをキレイにするとさっぱりするね!というメッセージ性も、いつか我が子が「イヤイヤ期」を迎えたときのママを助けてくれることになるかもしれません・・・!
9.だるまさんが/かがくいひろし(作)
発売は2008年と比較的新しい絵本ながら、すっかりファーストブックとして定着しつつあるのが「たるまさんが」。
このフレーズを聞くと、思わず「ころんだ!」と続けたくなりますが・・・こちらのだるまさん、ただころぶだけではありません!
「びよ~ん」や「ずこ!」と、ユーモラスに表情や姿を変えながら、全身でポーズを作るだるまさんに、子どもは大喜び!お座りしたりたっちしたりするようになれば、一緒にだるまさんをまねっこできるようになり、絵本の楽しみ方もコミュニケーションも、一層深まります。
まだまだ小さなあかちゃんなら、ママのお膝の上に乗せてあげましょう。だるまさんの動きに合わせて左右に「だ・る・ま・さ・ん・が~」と読んであげると・・・きゃっきゃと嬉しい表情を見せてくれるはずですよ!
10.おつきさまこんばんは/林明子(作)
お月さまを見つめる子どもたちの「?」やドキドキを代弁するかのような言葉と、大きく描かれた表情豊かなお月様にひきこまれます。屋根の上に描かれたネコや、手をつなぎ月を見上げる親子の姿…いろんな立場に自分を重ね合わせながら、様々に楽しめるのもこの絵本の魅力。
《知っとく》迷ったら、本のプロが選ぶサービスを利用しても◎
さらに、コロナ禍では書店で実際に一冊ずつ手を取りながらじっくり選びにくいという方も少なくないのでは・・・。そんなときは、本のプロが選ぶサービスも選択肢にいれてみてはいかがでしょう?
赤ちゃんにぴったりのラインナップを毎月届けてくれる「定期便サービス」、あるいは「1回だけもOKな定額選書サービス」もありますよ。
周りから頂いた出産祝いを使ってサービスを申し込むのも素敵ですね!
①【定期便】福音館書店「ふくふく絵本定期便」0~1歳コース
良書が多く、幼稚園や保育園が統一して園児の定期購読として選ぶことも多い「福音館書店」の絵本。そんな福音館書店の絵本の中から、毎月1冊、0~1歳向けの絵本をポストに届けてくれるのが「ふくふく絵本定期便
・0~1歳コース」です。
生後10か月ごろから本格的に楽しみやすい絵本を目安に選書されていますが、もちろんもっと早い時期から読んであげてもOK。ストーリー性のあるものから、リズムやユーモアを楽しむものまで、12冊の中に様々な魅力に触れられる絵本が凝縮されています。
②【定期便】クレヨンハウスのブッククラブ「絵本の本棚」Aコース
「絵本の本棚」の魅力ポイントは大きく2つ。
1つ目は、書店によるサービスだからこそ様々な出版社の絵本を織り交ぜて選書してくれること。
そして2つ目は、クレヨンハウスの場合、配本予定の絵本が既に手元にある場合には別の絵本と交換してくれるんです◎ 絵本は出産祝いやお下がりでいただくことも多いものですが、「同じ絵本が2冊もある・・!」ということを避けられますね。
他にも、新刊に特化した年齢別の「新刊コース」なども…。それぞれのご家庭のニーズに合わせてプロの力を借りながら豊かな絵本ライフを楽しめることでしょう。
③【セレクト絵本】ひるねこBOOKS「ひるねこパック」
*本の代金(税込)は、〈価格の7~8割程度〉が目安となります。
例)価格:3,000円の場合 ⇒本の代金(税込)は、2,100~2,400円
価格には、〈本の代金+送料+選書料〉が含まれております。送料や選書料は別途かかりませんのでご安心ください。
おしまいに
でも― きっとあなた自身にも「心に残る絵本」があるように、目の前の小さな赤ちゃんもやがてそんな自分だけの特別な一冊に巡り合うときがくるはず。
今回ご紹介した本が、親子のあたたかいコミュニケーションを生み、お子さんの輝かしいブックライフの扉を開くきっかけとなりますように。
小さな赤ちゃんへの読み聞かせは「何かを教える」ことが目的ではなく、「コミュニケーション手段の一つ」として捉えればOK。
逆に言えば、「〇ヵ月になったらスタート!」というものではなく、いつ始めても早すぎることはありません。
赤ちゃんにとっては、すべてが初めての刺激的な体験。たとえ目が見えにくい時期でも、おかあさんがそばにいて語り掛ける声に包まれることに心地よさを感じてくれています。
ママが絵本を通して自分だけに向き合ってくれている時間は、大人が想像している以上に子どもたちにとって心安らぐひと時なのです。