1日の終わりの10分間、自分だけのプチトリップを。
心が落ち着かない夜も、たくさん頑張った充実感に満ちた夜も。
ライトを消す前の10分間、あなただけの世界へとプチトリップできる読書タイムはいかがですか?
〚小噺〛あなたの想像以上に心に効く"読書"
「キャンドルを見つめる」「コーヒーを飲む」など、それぞれの選択肢があると思いますが・・・そこにぜひ追加してほしいのが“読書”なんです。
イギリスのロンドンにあるサセックス大学のある研究では、被験者にストレスを与えてから、6分間の間、様々な方法を試しストレスの変化を見ました。その結果、ストレスレベルの下がった割合を見ると・・・
● コーヒーを飲む 54%
● 散歩をする 42%
● ゲームをする 21%
● 読書 68%
このことからも、寝る前の読書が単なる気休めではなく、穏やかな睡眠とよりよい明日のために効果的なことがおわかりいただけると思います。
心のざわつきが、凪いだ海のようになる。穏やかな夜、夢の扉を開いて
今回選んだのは、静かで穏やかな夜を過ごすのにピッタリな、物語や言葉が詰まった本たちです。さぁ、1日の終わりの10分間、一緒にひと時を過ごしたいお気に入りの1冊を、見つけてみませんか?
そっとページをめくるうち、きっと凪いだ海のような心で、幸せな夢の世界へ誘われることでしょう。
幸せな眠りへといざなう、8冊の本たち
◆ゆったりとした世界観に身を委ねられる小説2選
現実世界にラインを引いて、気持ちを解放できる「小説」の中でも、特に1日の最後に心をゆるめてくれる2冊を選びました。
1.れんげ荘 | 群ようこ(著)
2.月とコーヒー | 吉田 篤弘 (著)
生きていくために、必ずしも必要ではない。そんな「取るに足らない」存在かもしれないけれど、日常になくてはならないものたちの物語が集められたのが「月とコーヒー」です。
24篇の短篇小説集なので、毎日1篇ずつ読み進めることができ、寝る前に手に取りやすい点も◎。
著者の吉田篤弘氏は、摩訶不思議でファンタジックな世界観が印象深い「クラフト・エヴィング商會」としても活動しており、そちらをご存知の方は「月とコーヒー」で紡がれる物語の空気もワクワク堪能できるはず。
喫茶店〈ゴーゴリ〉の甘くないケーキ、映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人、終わりの風景が見える眼鏡──。枕元にそっと置いておくだけで、ベッドタイムが、きっと愛おしくなるはずです。
◆大人になった今こそ感動を味わえる児童文学3選
やがてやってくる朝が、いつもより特別なものに感じられるような、大人も楽しめる3冊をご紹介します。
3.小さなスプーンおばさん | アルフ・プリョイセン (著)
その昔、アニメ化もされた「スプーンおばさん」。TVで、学校の図書室で…もしかしたら楽しんだことがある方も多いのではないでしょうか?
主人公は、魔法でもなんでもなく、突然大きくなったり小さくなったりするおばさん。どんなハプニングにも飄々と知恵をはたらかせて乗り越えていく姿が生き生きと描かれ、ウイットに富んだ言動に、思わず笑いがこぼれることも…。
明日に向けて、ちょっと元気をもらえる1冊です。
4.魔女の宅急便 | 角野 栄子 (著)、 林 明子 (イラスト)
1冊目のこちらは、魔女修行に出たキキの最初の一年間。
きっと誰もが見たことのある、あの映画のワンシーンと重なる部分も多くありながら、スクリーンとはまた少し違った登場人物の魅力や日々の物語を味わうことができます。
さらに続編へと読み進めていけば、時にあなた自身の幼い頃の気持ちを思い出させてくれたり、あるいはまさに今自分が置かれた状況と重ね合わせたり…大人になった今読むからこそ感じられる発見や感情が、そこにあるはず。
もはや「子どもだけ」のものにしてはもったいないほどのスケールで描かれる、「児童文学」を超えた物語です。
5.はてしない物語 | ミヒャエル・エンデ (著)
こちらも映画化された有名なファンタジー。「ネバ―エンディングストーリー」というタイトルなら、聞き覚えがある方も多いのでは?
主人公のバスチアンが手に取った本の中には、滅亡寸前の国が。それを救うには、人間界から子どもを連れてくるしかない。――本に描かれた「人間界の子ども」とは、まさに「ぼくのことだ!」。
本の中にすいこまれたバスチアンが、この国の滅亡と再生を体験していきます。
大人が「ファンタジー」を読むと、なかなかその世界に浸るのが難しい面がありますが、この「はてしない物語」は、そんな心配ご無用の、まさに「別世界」に連れて行ってくれる名作。文庫版も出版されていますが、「バスチアンの世界」と「はてしない物語」を赤と緑で色分けして文章が書かれたページ、そして素晴らしい装丁も併せて堪能できる単行本が、断然オススメです。
夢と現実が織り交ざったようなストーリーは、まさに夢の世界に足を踏み込もうとする1日の終わりにピッタリですよ。
◆明日を豊かにするヒントをくれる本3選
眠る前のひとときに、よりよい明日につながる具体的なヒントをつかめることで、安心と希望を胸に、心地よい眠りにつけるはずです。
6.日々ごはん | 高山 なおみ (著)
料理家・高山なおみさんの人気シリーズ、「日々ごはん」。
何気ない日常の出来事が綴られていて、まさに人の日記を覗き見るような楽しみがあります。
そこに同時に語られる、毎日の献立、そして高山さんのレシピ…。
7.伝わるちから | 松浦 弥太郎 (著)
日々欠かすことのできない、人付き合いのコミュニケーションに対するヒントが綴られた一冊が、「伝わるちから」です。
もと『暮しの手帖』編集長で人気エッセイスト、松浦弥太郎さんの文章は、上品で清潔感があり、そしてシンプル。
文章を目で追うだけで、無理なくスッと心に入ってきて、やがてやってくる明日には、丁寧に大切な人に向かい合う自分の姿がきっとイメージできるはずです。
数ページで完結するエッセイがギュッと集められているので、寝る前のひとときに無理なく寄り添ってくれます。
耳を傾けるように、1話ずつゆっくりとページを繰ってみてはいかがですか?
8.ずぼら瞑想 | 川野 泰周 (著)
寝る前に、明日の楽しみを見つけられる本、というのも、いいものですよ。
こちらの「すぼら瞑想」はユニークなアプローチで、肩の力を抜いて楽しめる瞑想テクニックを紹介してくれる本。「手のひらに息をふきかける」瞑想や、「キャベツの千切り」瞑想など・・・難しいこと抜きに、初心者にもわかりやすく取り入れやすいシーンと方法で、瞑想の世界へをいざなってくれます。
雑念を払って深い集中状態をつくる瞑想は、リラックスはもちろん、心の整理においても効果的です。
呼吸法や姿勢が難しそうという既成概念を取っ払って、新感覚の心のやすらぎを感じられる「すぼら瞑想」の数々は、早速試してみたくなるはず。
悩みや不安を抱えているあなたも、目覚めた翌日、さっそく1分間の瞑想で、心をリセットするのが楽しみになるかもしれません。
明日への希望、そして安心のヒントを、この一冊から受け取ってみませんか。
1日の終わりは、明日へのスタート。
ベッドで過ごす夜のひと時は、1日の締めくくりであると同時に、明日へのスタートでもあります。だからこそ、眠りの前の10分間は、1日の疲れや不安を癒しながら、ポジティブな明日にもつながるような時間をすごしたいものです。
自分の気持ちに正直に、その日その時の感情にマッチした、お気に入りの一冊の力を借りて。心穏やかな時間を過ごして、あなた自身を大切にいたわり、心の奥深くまで、存分に解放してあげてくださいね。
日々に追われる中で、大なり小なり誰しもきっと一度は憧れる、しがらみから解放された「何もしない」をする日々。
主人公のキョウコは「自分が決めた」不便な生活の中で、鳥のさえずりや丁寧に淹れたお茶の贅沢さといった、ささやかな幸せをがちりばめられた毎日を手にしていきます。
れんげ荘の住人と織りなすほのぼのとした人間関係やキョウコの姿に、あなた自身の日々をも浄化される感覚を抱くことができるかもしれません。