親切心でよく言う「何でもいいよ」。実際はデメリットが大きいかも
心から信頼している「気の置けない間柄の相手」に使うこともあれば、対照的に、できるだけ穏便に話し合いたい「気の張る相手」に使うこともありますよね。
今回は、この便利な言葉、「何でもいいよ」「お任せします」にフォーカス。
さらには、「何でもいい」とは言ったものの、あなた自身が望んでいた“想定の範囲”からもどんどんずれていってしまう、本末転倒な事態に陥ることもあります。
安易な「お任せワード」に頼らない方法を、一緒に考えてみませんか?
「何でもいい」お任せワードは手放そう。主体的になる3つのメリット
でも、どんな状況でも100%相手の判断に委ねるのではなく、自分の気持ちや意思を上手に伝えることは大人のたしなみであり、「主体的に生きる」ための一つのステップになります。
それがたとえ日々の小さな判断だったとしても、そこに主体性をプラスすることでこんなメリットがあるのです。
1.何があっても、人を責めなくなる
2.チャンスを、自分のものにする可能性が上がる
例えば『ずっと気になっていたけれど一人では敷居の高かったA店』と、『おなじみのB店』。「どちらの店にランチに行くか?」という些細な場面だったとしても、あなたが「A店へ行きたい」と言わない限り、もう二度とそのお店に誘ってくれる人は現れないかもしれないし、お店が閉店してしまう可能性だってあります。
これはとてもささやかな選択に映るかもしれませんが、同じ理論で、もしかしたら大きな仕事や人生のチャンスを自ら手放しているとしたら――。
さらに、もしあなたが自分の意見や好みを発すれば、あなたの好きなものや興味が、他人に理解されることとなります。
「これが得意そうだったな」「あれが好きならこれも興味があるかも」…と、周りからあなたへチャンスや情報がもたらされることにもつながるのです。
3.自分の思い通りになる喜び!つまり、人生を楽しく感じる瞬間が増える
相手が選択肢を提示した場合、あなたの胸のうちに「本当はこうしたいな」という想いが少しでもあるのであれば、それを何らかの形で表現することは、思い描く結論に至る可能性を高めることになります。
たとえ100%思い通りにならなくても、それまで人に任せていた舵取りに少しでも自分が手を添えることによって自分が心躍る方向に目的地を調整できたら…「楽しい!」「嬉しい!」と思える瞬間が増えるというのは、想像に難くないですよね。
~「何でもいいよ」をつい言いたくなるCASEを心に留めておこう~
case1.知らない事を聞かれたり..「本当どうでもいい」と思える時
たとえば、スポーツ観戦のルールなど全くわからないあなたが「野球とサッカーのチケットがあるんだけど、どっちか一緒に見に行かない?」と誘われた場合。
せっかくの機会だから…と前向きになっても、どちらか判断がつきませんよね。
【伝え方の処方箋】「詳しくない」+「相手の判断の助けになる一言」
こういった、自分の中には判断軸が皆無なことに対しては、「せっかくだから行きたいけれど、あいにくどちらも全く詳しくないの。」という前置きをした上で、よりその分野に詳しい相手の助けになるような判断軸を提示してみましょう。
□初心者もアウェー感なく楽しめそうなのはどっち?
□天候に左右されないのはどっち?
□テレビで見るより、リアルだからこその醍醐味を感じられるのはどっち?
また、あなた自身も「前向きになるために気になるポイント」を挙げているので、それを考慮してもらうことでより満足度の高い結論にたどり着く可能性が高くなります。
case2.AかBか聞かれ、「AとB、両方よくて決められない」時
「イタリアンとフレンチ、どちらのお店がいい?」と聞かれたあなた。どちらのお店もおいしくて大好き、価格帯も変わりません。どちらにも本当に心惹かれて迷ってしまう、そんなときはなかなか決め手に欠けるものです。
【伝え方の処方箋】「どちらも好き(どちらも困らない)」+「違う軸」を決め手に
本当にその選択肢に心理的な序列がない場合、どちらを選んでもあなた自身に後悔はないはずなので、そのような気持ちを正直に伝えるのはアリです。
ただ、もしお相手も全く同じ状況だとしたら、「どっちでもいいよ」合戦が終わらない展開になることも…。
そんなときは選択の結果をより充実させる「違う軸」を提示すると、前向きな結論にたどりつきやすくなります。
□プロジェクトで頑張ったから、デザートがおいしい方のお店にしよう
□聞いてほしい相談があるから、知り合いが少なそうな方にしよう
□お天気がいいから、テラスが気持ちいい方のお店にしよう
□昨日○○を食べたばかりだから、テイストの違うお店の方にしよう
或いは「~以外だと嬉しい」と、あえて【条件】を作って伝えるのも◎
決め手に欠ける一方で、「できればこれは避けてほしい」というものが含まれているなら、「~~以外だとありがたいな」という気持ちを言葉にしてみるとよいでしょう。自分にとってあまり喜ばしくない選択肢を排除する、いわば消去法です。
ただし、ネガティブ・わがままと映りかねない可能性もあるので、理由をプラスしてあげるのがオススメです。
case3.気が進まない話など..「どのみち前向きに返事ができない」時
例えば、「嫌いではないけれどどうしても気疲れしてしまう、苦手な人」と会うことになった時。
そのお相手から「AとB、どちらの場所で会う!?」と聞かれても、全く乗り気になれず、「う~ん…お任せしますよ~」と答えてしまうというパターンも。
case2とは逆に、「AとBどちらも気が進まない」「AとBどちらも選びたくない」ケースといえます。
【伝え方の処方箋】A、Bではない、新たな選択肢「C」を提案する
この例の場合、より自分にとって魅力が感じられる「C案」を選択肢に加えてもらえる可能性がないか、探ってみることは有効な方法です。
結果として「C」に決定すればあなたが主体的に動いが甲斐があると言えますね。たとえ「A」か「B」という結果に落ち着いたとしても、あなたが失うものは何もなく、さらに検討に参加した事実もあるので、主体性は十分発揮されています。
□せっかくなので、〇〇さんも誘ってみませんか?(C:メンバーを変える)
case4.意見を求められも言いたくない..「相手との信頼関係がない」時
自分の意見次第で、「嫌われるのでは」「相手が機嫌を損ねてしまうのでは」「何かあった時の責任を押し付けられるのでは」――。
自分の意見によって人間関係によからぬ影響が及ぶことを心配し、判断するのを避けたいと思い、「お任せワード」を口にするという場合もありますよね。
【伝え方の処方箋】「○○さんにも聞いてみようか?」
「何とかこの場を穏便にやり過ごしたい」場合。そのようなお相手には、意見を述べようにも、何を言っても恐らくあなたは不安になるはず。そんな時は「申し訳ないけれど私は詳しくなくて…他の人にも意見を聞いてみようか?」と提案してみてはいかがでしょう?
第三者に判断を委ねることになれば「自分が判断していない」こと自体に変わりはありませんが、「逃げ出すこと」と「意思決定を手伝うこと」とでは大違い!
明るい未来を描きにくいお相手とのお付き合いは、流されず、でも主張もし過ぎず。「可もなく不可もない方法でほどよい距離をとる」ことが主体的な判断ともいえますね。
おしまいに
その「お任せ」の気遣い、本当にみんなが幸せですか
先陣をきる存在、自分のやりたいことを好きにやる姿があることで、お互いが伸び伸びしやすくなる例です。
「相手のため」という逃げや言い訳はそろそろ卒業して、「大人ならではの主体性の表現」を実践してみてはいかがでしょう?もっと気持ちよく心が通じ合うコミュニケーションが実現できるかもしれません*
人の決断に無言で従えば責任を負わずに済む反面、事の展開次第では「あの人がこう言ったから…」と他責につながる可能性も。
一方、自分の気持ちや考えを伝え自分も納得した結果であれば、その結論を受け入れやすいもの。もし納得しきれていなかったとしても「意見を覆せなかった私の責任でもある」とも思えるので、相手を責めるという行為を手放すことができます。
一緒に決めた、という意識を持ちやすくなり、より「この選択を良いものにしよう」という協力体制が強くなるというメリットにもつながります。