読めない明日をどう歩く?
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千里眼のない私たちは、仕事にせよ人間関係にせよ、どこかに残る「何がどうなるかわからない」部分といつも向きあっています。
この先も順調に進めるかどうか、うっかり暗礁に乗り上げないかどうか……。不確実な状況で予測を立てられないのはつらいので、不安が募る時には「先が読めたらいいのにな」と思いますよね。
この先も順調に進めるかどうか、うっかり暗礁に乗り上げないかどうか……。不確実な状況で予測を立てられないのはつらいので、不安が募る時には「先が読めたらいいのにな」と思いますよね。
その「先読み」、先入観かも。
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前向きでいたいものですが、ポジティブな予測を立てていたら読みが外れて思わぬ落とし穴に出くわすこともあります。逆に「夢を見て失望するのはごめんだ」と常にネガティブな予測に立った行動をしていたために、人間関係が破綻することも。
よりよい将来のために予測を立てるわけですが、その先読みはもしかしたら先入観かもしれません。
バランスのいい舵取りのコツについてまとめました。
よりよい将来のために予測を立てるわけですが、その先読みはもしかしたら先入観かもしれません。
バランスのいい舵取りのコツについてまとめました。
例えば分かりやすく言うと「先入観」とは…?
先入観は英語で「bias(バイアス)」類語は「偏見」
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先入観は英語で「bias(バイアス)」と呼ばれ、「偏見」「(心の)傾向」などの意味もあります。
例えば海でサメを見て「危ない」と思うのは、このバイアスの働きです。
サメの登場する『ジョーズ』などの有名な映画が、このバイアスに一役買っています。サメが襲ってくるかはまだわかりません。でもサメが人を食べる映画を見たことがあるので「きっと襲ってくるだろう」と推測するのです。
例えば海でサメを見て「危ない」と思うのは、このバイアスの働きです。
サメの登場する『ジョーズ』などの有名な映画が、このバイアスに一役買っています。サメが襲ってくるかはまだわかりません。でもサメが人を食べる映画を見たことがあるので「きっと襲ってくるだろう」と推測するのです。
先入観を捨てるべき?
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バイアスが適切に働けば、危険を回避できます。しかし、バイアスが過剰に働けば、「サメがいるから、海には一生行かない」と主張することになるかもしれません。これはちょっと行き過ぎですよね。
先入観は適切に働くケースもあり、捨てるべきとも一概には言えません。要は、バイアスにとらわれすぎずに理性的にコントロールできるかが鍵となります。
先入観は適切に働くケースもあり、捨てるべきとも一概には言えません。要は、バイアスにとらわれすぎずに理性的にコントロールできるかが鍵となります。
先入観にとらわれるのではなく、「適切にコントロールする」には
世の中は悪化している?→良くなっている点もあります
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バイアスを適切にコントロールするためには、自分の中の思い込みや先入観について知ることが大切です。
先入観がどのように出来上がるかというと、古くなった知識や個人的偏見などから。
よくある先入観には、「世の中は悪化している」というものがあります。そのうち3つを取り上げてみました。
先入観がどのように出来上がるかというと、古くなった知識や個人的偏見などから。
よくある先入観には、「世の中は悪化している」というものがあります。そのうち3つを取り上げてみました。
先入観1:ここ70年で…「女性の家事労働にかける時間」はどう変化した?
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洗濯機が米国で開発されたのはおよそ100年前。日本で普及し始めたのは70年ほど前ですが、それまで女性は1週間のうち2日を洗濯に費やしており、家事は今よりもっと重労働でした。
冷蔵庫の普及も後押しし、買いだめしておけるようになったため、買い物にたびたび出かけなくてもすむように。
冷蔵庫の普及も後押しし、買いだめしておけるようになったため、買い物にたびたび出かけなくてもすむように。
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こうして女性は社会での活躍の道を開かれたのです。
今後100年で介護や家事などに関わる人々にさらなる機会と自由をもたらし、労働人口の減少を解決してくれるのも、案外テクノロジーの進化かもしれませんね。
今後100年で介護や家事などに関わる人々にさらなる機会と自由をもたらし、労働人口の減少を解決してくれるのも、案外テクノロジーの進化かもしれませんね。
先入観2:ここ20年で…「近年、災害被害が激増している」?
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「近年、災害被害が増えている」と思いますか?
2016年の調査によれば、「1980年代に比べ2000年代では、気象災害による死者・行方不明者数が増えている」と考える人が85%もいました。
しかし実際には第二次世界大戦以降、災害被害は減少しています。1950年代には1年につき1000人前後の被害がありましたが、1990年代には1年につき100人前後に。
2016年の調査によれば、「1980年代に比べ2000年代では、気象災害による死者・行方不明者数が増えている」と考える人が85%もいました。
しかし実際には第二次世界大戦以降、災害被害は減少しています。1950年代には1年につき1000人前後の被害がありましたが、1990年代には1年につき100人前後に。
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ハザードマップを公表する自治体の増加や、災害ボランティアやNPOの増加、自主防災組織率や企業との応援協定を結ぶ自治体の増加、老朽建築の減少などが被害者数の減少につながっているようです。
東日本大震災などの避けようのない災害では被害者数は跳ね上がりましたが、「人の力」による危機管理能力は上がっていると考えられます。
東日本大震災などの避けようのない災害では被害者数は跳ね上がりましたが、「人の力」による危機管理能力は上がっていると考えられます。
先入観3:ここ30年で…少年犯罪は増加している?
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令和元年度の犯罪白書によれば、平成元年の少年刑法犯の検挙人数は199,644人でした。これに対し平成30年度は30,458人と「戦後最小」です。
少年犯罪は減り続けているもよう。だからといって「世直しは必要ない」というわけではありませんが、長い目で見るとそこまで世の中は悪くなっておらず、良くなっている点もあることがわかります。
少年犯罪は減り続けているもよう。だからといって「世直しは必要ない」というわけではありませんが、長い目で見るとそこまで世の中は悪くなっておらず、良くなっている点もあることがわかります。
サメは危険?→車ほどではない
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これらは1例ですが、ちょっとした先入観はそこら中にあり、私たちに影響を与えています。
冒頭で「サメが危険だという先入観」について書きましたが、路上で車を見ておびえる人は少なくとも、海でサメに会ったら恐怖する人が大半ではないでしょうか。
ですが現実には、インターナショナル・シャーク・アタック・ファイル(ISAF)によれば、日本のサメによる事故は1580年から現在までで15件のみ。
これに対し、2019年度の交通事故による死者数は1年間で3215人。実際には車の方がサメよりも身近な危険です。
冒頭で「サメが危険だという先入観」について書きましたが、路上で車を見ておびえる人は少なくとも、海でサメに会ったら恐怖する人が大半ではないでしょうか。
ですが現実には、インターナショナル・シャーク・アタック・ファイル(ISAF)によれば、日本のサメによる事故は1580年から現在までで15件のみ。
これに対し、2019年度の交通事故による死者数は1年間で3215人。実際には車の方がサメよりも身近な危険です。
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サメが人を襲うことはまれなのに、実際に危険の多い車よりも恐怖されているのはなぜでしょうか。
それは交通事故が悲しいことに日常茶飯事だから。サメが人を襲うなどの珍しくセンセーショナルな事件は人目をひき、大々的に報道されるため、結果的に「普通ではない猟奇的な事件」が日常的に起きているかのように思え、サメの方が危険という印象が強くなるのです。
それは交通事故が悲しいことに日常茶飯事だから。サメが人を襲うなどの珍しくセンセーショナルな事件は人目をひき、大々的に報道されるため、結果的に「普通ではない猟奇的な事件」が日常的に起きているかのように思え、サメの方が危険という印象が強くなるのです。
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これと同じ現象は他のニュースでも起きています。
悲惨なニュースを耳にすると世を憂う気持ちになり「人心は荒れ、世の中はどんどん悪くなっている」と自然と悲観してしまうでしょう。
悲観的になり、不信を抱くことによって、人はネガティブな予測を立てて行動するようになるのです。
悲惨なニュースを耳にすると世を憂う気持ちになり「人心は荒れ、世の中はどんどん悪くなっている」と自然と悲観してしまうでしょう。
悲観的になり、不信を抱くことによって、人はネガティブな予測を立てて行動するようになるのです。
ネガティブとポジティブのバランスをとるコツ
いい意味で「予言の自己成就」を起こすことを意識する
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ただ、誤った認識を信じて予測を立てることによって、その予測が真実になってしまうことがあるのです。「トイレットペーパーが販売されなくなる」というデマが広まることにより、実際に品切れが起きたのもその1例です。
社会心理学の言葉で「予言の自己成就」といいますが、ネガティブな予測が現実化してもちっとも嬉しくないですよね……。
社会心理学の言葉で「予言の自己成就」といいますが、ネガティブな予測が現実化してもちっとも嬉しくないですよね……。
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皆がデマを信じたことによって起こる社会的な現象だけでなく、個人レベルでも同じことが起きます。
悪い意味での予言を自己成就させてしまわないためには、「先入観で判断していないか、それは正確な情報か」を確認すること、ネガティブな予測と並行してポジティブな予測もしっかりと打ち立て、「明日の明暗がわからない」曖昧さや不確実さに耐える力が大切かもしれません。
ポジティブな可能性を完全に排除する行動をとってしまうと、当たり前ですが、よりよい未来は実現しなくなってしまいます。
悪い意味での予言を自己成就させてしまわないためには、「先入観で判断していないか、それは正確な情報か」を確認すること、ネガティブな予測と並行してポジティブな予測もしっかりと打ち立て、「明日の明暗がわからない」曖昧さや不確実さに耐える力が大切かもしれません。
ポジティブな可能性を完全に排除する行動をとってしまうと、当たり前ですが、よりよい未来は実現しなくなってしまいます。
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「最悪の事態が起こるかもしれないが、起こらない可能性もある。そっちに向かっていこう」という「向日性」が役に立つかも。
ポジティブな予測をすることで、ポジティブな結果を招くケースもあるのです。
読めない明日も、ちょっとだけ明るい方向に変化するかもしれません。
皆さまの明日に、きっといいことがありますように。
ポジティブな予測をすることで、ポジティブな結果を招くケースもあるのです。
読めない明日も、ちょっとだけ明るい方向に変化するかもしれません。
皆さまの明日に、きっといいことがありますように。
※この記事はこちらを参照して書かせていただきました。
※この記事の素敵な画像はこちらからお借りしています。ご協力感謝いたします。