たとえば“初めまして”の場面で「お掛けになってお待ち下さい」と言われたら――
あなたはどの椅子に座りますか?
出典:www.instagram.com(@flymee_official) 案内されたのは、同じタイプの色違いが並ぶ椅子。
ちょっと緊張しているあなたは、自分の心が落ち着くような色の椅子を、選ぶのではないでしょうか。
色選びのポイントは「似合う色」「好きな色」かどうか、だけじゃない
「心に働きかける色」を重視して、色選びをしてみませんか
出典: たいてい私たちが色を選ぶときは、「自分をより良く見せる色」や「自分に似合う色」、「自分が好きな色」を重視することが多いことでしょう。よく取りざたされるパーソナルカラーも“あなたをきれいに見せる色”です。
しかし上でご紹介したように、無意識のうちに「色のチカラを自分に引き寄せる」ような、色選びをしていることもあるんですね。
今回は心に働きかける"色のチカラ"を、自分の味方につける為の特別講座。
意図的に"色のチカラ"、すなわち「色彩心理」を利用することで、気持ちを落ち着かせたり、癒したり、勇気づけたり・・・と自分自身の心を大きくサポートすることができるんですよ。
今回は、カラーコンサルタントとして活躍中の信海茉美先生にお話を伺いながら、「色彩心理」とその活用方法についてご紹介していきます*
この記事の監修者
ビリーブカラーオフィス代表・カラーコンサルタント
信海 茉美
会社員を経て2001年独立。心理系大学に編入し、より本格的な心理学の知識とカウンセリングノウハウも習得。イメージコンサルと色彩心理を組み合わせた「なりたい自分になる」ためのコンサルティングが特徴。「多くの人を色でハッピーに!色で元気にする!」をモットーに、大学、企業、行政での講師としても幅広く活動中。
・
公式ホームページ・
公式ブログはじめに:「色彩心理」を理解するために、知っておきたいこと
人間は、「8割の情報を視覚から得る」とも言われています。
その視覚情報に必ずと言っていいほど付随している「色」を目にすることで、心拍数が上下したり、ホルモンが分泌されたり…さらには、気分が明るくなったりリラックスしたり…という作用にもつながるのだとか。これを研究しているものが、「色彩心理」です。
基本的に「色の三属性」を理解できれば、色をつかいこなせる
色を分類・表する為に欠かせないのが、「色の三属性」といわれる、色が持つ3つの要素です。人間が見分けられる色は1000万色ともいわれていて、個人で異なる色のイメージをすり合わせる「色のものさし」としての役割を担っています。
色の三属性である「色相」「明度」「彩度」についてご紹介しましょう。
色相とは、「赤」や「青」、「黄」というような、いわゆる「色み」のことを指します。
『「好きな色は?」と聞かれて答えるときの「色名」のイメージです。色彩心理では、この「色相」が感情に紐づく要素になります。』(信海先生)
画像/左側の黒に近い色ほど明度が低い(暗い)。右側の白に近い色ほど明度が高い(明るい)
明度(めいど)は、色自体の明るさを示します。例えば、「水色」と「紺」は、先ほどご説明した“色相”では「青」ですが、明るさが違います。この例の場合、「水色」は「紺」よりも明度が高い、と表現されます。
『色彩心理では、心の明暗がこの“明度”で表現されます。心やモノが軽く感じるかどうかも、この明度が影響します。ダンボールを白(=明度が高い)にしている引っ越し業者がありますが、これは作業者が荷物を軽く感じてスムーズに作業しやすいようにしているんですよ。』(信海先生)
彩度とは、色の鮮やかさ。それぞれの色相に、「白~グレー~黒」がどれだけ多く混ざっているかの度合いです。いわゆる「真っ赤」「真っ青」は鮮やかさMAX(高彩度)な、ビビッドな色合い。対して、くすみが強くなる、淡くなる(白~グレー~黒が多く混ざる)ほど、彩度が低くなります
『彩度は、おおもとの色がどれだけ残っているか、がポイント。例えば、チューブから出したままの水彩絵の具は色が鮮やか(=高彩度)ですが、そこに水や白・黒の絵の具を混ぜていくと、おおもとの色自体は薄く(=中彩度~低彩度)変化していくきますよね。ちなみに、この“彩度”は、色彩心理で感情の強さの度合いにつながります。』(信海先生)
その人が生まれながらにもつ肌や目、髪の色などを踏まえながら、最も肌移りのいい色合いを見つけ出す、最近話題の“パーソナルカラー”は「似合う」「自分の良さを引き出す」色のグループ。
特にその色が自分をより魅力的に見せてくれるかどうかの“顔映り”(客観)が重視されます。
それに対して、“色彩心理”を利用することは、理想とする環境や人間関係などを実現するために、色のチカラを借りるということ。
例えば心惹かれる色の心理効果を知ることで、今の自分の心の状態を把握できたり。また、処方箋のように、色を用いて自分自身の気持ち・行動をコントロールする術を身につけることができたり。“自分の内なる声 ”(主観)に重きを置いた色の選び方ができるようになります。
色彩心理に学ぶ、《色のチカラ》を暮らしに取り入れる方法
さぁ、いよいよそれぞれの色が与える(色から受ける)一般的な印象について見ていきましょう。
実際のところ、色の印象は明度や彩度の度合い、自分の過去の経験等によっても変化するものなので、代表例として参考にしていただけたら幸いです。
「熱さ」、「強さ」、「情熱」、「明るさ」、「興奮」など、強いエネルギーを感じさせる色。
また、目にするとアドレナリンが分泌されやすく、また血圧も上昇しやすくなるといった研究報告も。体が動きやすく、フットワークが軽くなる色とも言えます。
『自分の中の強いエネルギーを発散させやすくしてくれる赤は、普段からガマンしがち、本音や不満を内に秘めがちという方にも◎。いつもよりすんなり表現しやすい自分になれるはず。
ちなみに、血流がよくなることも期待できるので、冷え性の方や、目覚めが悪いという悩みにも効果的です。』
出典:www.instagram.com(@simple.com_) 「母性本能」を刺激し、愛情の受け渡しをスムーズにする色。恋愛中や幸せな時、逆に愛情を欲しているときに、ピンクに惹かれがちになる場合もあるそうです。リラックス効果もあり、体を弛緩させるカラーです。
『親子関係、夫婦関係の改善や、介護の場面に取り入れるのも効果的です。情緒的になりがちなので、理路整然とした思考が求められるビジネスの場などではピンクの量を調整しましょう。』
脳が活性化され、理解力・記憶力・判断力・想像力が高まる色。「注意」「立入禁止」などの看板も、この作用を利用して黄色が用いられています。
頭の回転が速くなり、さらには心の不安も軽減してくれる効果も期待できるそう。多少人と話すことへの苦手意識がある場合は、黄色のものを見詰めれば、スムーズに会話ができるかもしれません*
『客観的で理論的な思考とコミュニケーションをサポートしてくれる心強いカラーです。少し子供っぽい印象ももつ色なので、「甘え」や「無邪気さ」を感じさせる側面もあります。』
赤と黄色を混ぜた「オレンジ」は、色彩心理の面でも、それぞれの色相の特徴を持ち合わせた色になります。明るく積極的、さらには社交性にも紐づく色なので、家族や仲間との会話を盛り上げたいときに取り入れてもよさそうです。
『リーダーシップを発揮する場面には、このオレンジはぴったり。笑顔と行動力で仲間を引っ張りやすくなるはず。また、腸の働きをよくする効果も期待できるので、ダイニングやキッチン周りにもオススメです。』
ブラウン(茶色)は、ぬくもりと落ち着きを持ち合わせ、心身を安定させてくれると言われています。落ち着いた行動をとりたいときにおすすめです。伝統を大切にする気持ちや、保守性にも紐づいている色です。
『目上の人に会うような緊張しそうなとき、ぜひ味方につけたい色。気分が変わりやすい人にもおすすめです。若い人やお子さんに多用しすぎると落ち着きすぎたり、新しい変化に対して動きが鈍くなることも…。落ち着きたいのか、変化を求めているのか―自分の置かれているステージに合わせて量や取り入れ方を調整してみましょう。』
心身のコンディションをニュートラルに戻し、穏やかにしてくれる色。心と体、人とのバランス感覚も、整えやすくなると言われています。
『家族関係を良好にする作用が期待できます。ご家族と暮らしている方は、クッションやカーテン、小物などで緑を取り入れてみてはいかがでしょう。ちなみに緑を多く取り入れすぎると眠くなりやすかったり、いつも以上にパワーを発揮したいのにマイペースさが勝ってしまい頑張り切れない傾向もみられると言われているので、ちょうどよいバランスを心がけましょう。』
心身の興奮を鎮めてくれる青。感情的にならず、冷静に物事を判断できるようにしてくれる色。また、集中力が長時間継続しやすくなり、時間を短く感じさせれくれる効果もあります。単純作業、頭を使う作業どちらにもオススメです。
『青い色は、「副交感神経」を刺激し、脳波をα波に切り替えやすくする色です。また、青は脈拍や体温も下げやすい色でとしても知られているので、涼を求める際に取り入れてもいいですね。勉強やワーク用のスペースにおいては、青を広範囲に使うと集中しやすい空間が実現しますよ。』
紫は青と赤の要素をもつ色のため、テンションを程よく高めつつ、精神的な疲れを取ってくれる作用が期待できます。リラックス効果も高く、内側から体を元気にしたいときに活用したいカラーです。
『内面からの回復を助けてくれる紫は、寝室などに取り入れるのもおすすめです。寝つきが悪くて悩んでいる人など、ぜひ使ってみてはいかがでしょう?美意識を高めてくれるカラーでもあるので、精神的な美しさを手に入れたい場合にもオススメですよ』
清潔、純粋なイメージの白は、ネガティブな感情を消してくれるので、心を素直にする効果が期待できます。シャキッと、緊張感をキープしやすいカラーです。
『お医者様の白衣は、機能性の面もさることながら、白の効果で緊張感を持続させる効果も持ち合わせています。眠気を取り除きたいとき、間違いが許されない場面に取り入れると効果的ともいわれています。』
出典: ゆっくりした動きや、落ち着きにつながると言われる黒。そのため、自信をまといたいとき、不安を封じ込めたいときに有効です。
『あらゆるものから“身を守る”黒は、「話しかけてこさせない」「自ら発信しない」という作用にも紐づく色。こう聞くと、なんだかネガティブに聞こえがちですが、“刺激や外部情報から身を守る”ことができるカラーとして活用することも。疲れたときなどにつかうのはとても有効ですよ。自分のコンディションに合わせて、要所要所にうまく取り入れてみましょう!』
・実践編|いつもの暮らしで色を味方に。効果的な取り入れ方
それぞれの色が持つチカラについて学んだら、次は、効果的な活用方法を押さえましょう。あえて「自分に似合う色」「他人の目を意識した色」を気にしなくていいように、洋服などを外しました。いつもの暮らしの中で、気軽に実践しやすいことをご紹介します。
出典:www.instagram.com(@simple.com_) 「季節感」や「見栄え」を重視して買うことが多いお花ですが、実は色彩心理的にはとてもオススメできるアイテム。自分が心惹かれる色や、「こうありたい」という気持ちで選んだお花は、その時の心理状態に最もフィットしているのです。
『状況が変わったり時間が経過すれば、人の心も変化するもの。その心の移ろいのタイミングと、お花が咲く~朽ちるまでのサイクルは、概ね一致していると言われています。
買ったお花が朽ちて役目を終えるころ、あなたの心もひと段落ついていることでしょう。そしてまた、色の効果をしったうえで一輪をお花買う、というのを日常にすれば、常に“今この時”の気持ちをサポートしてくれるカラーを身近に置くことができますよ。』
SkinAware|オーガニックコットンメッシュショーツ skwls011b-ma
5,720円(税込)
※価格等が異なる可能性がございます。最新の情報はアイテム詳細をご確認ください。
アイテム詳細を見る出典: 色彩心理をお洋服に取り入れるのはもちろんオススメで王道の方法ですが、色相によってはなんだか自分らしくないような気がしてしまう…という場合も。
そんな時は、人目にも触れず、肌移りも気にせず、コーディネイトにも影響しにくいものとして「下着」で身に着けるのがよい方法。
『下着のようにたとえ表からは見えないものでも、身に着けることで色彩の効果は心理や行動に作用すると言われています。主要の色みと言われる「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」あたりを揃えると、気分やシーンに合わせて使い分けやすいですよ!』
出典: 体の一部である手先は、いつも自分と共に移動し、目に入る場所。色のチカラを味方につける上で、24時間心が欲するカラーを身に着けておけるネイルカラーは心強い存在です。
『頻繁に塗りなおすのが手間なネイルはついスタンダードな色にしがちですが、ぜひ色彩心理の効果を意識してチョイスして!ペールカラーやブライトカラーなど、ワードローブに合わせた明度・彩度のものを選べばすんなり馴染みますね。また、ネイルは洋服から距離が離れ、小面積なので、普段はあまり慣れないビビッドカラーなども意外と違和感なく取り入れられますよ。』
手帳やスマホケース、文房具、ハンカチなど…人からの評価を気にせず、自分の趣味で選びやすいバッグの中身やデスク周りの小物は、色彩心理を取り入れやすいアイテム群。
ついつい「無難」「飽きの来ない」色を念頭に選びがちですが、その概念を取っ払って、改めて自分の心に素直に選んでみてはいかがでしょう?
『色彩心理は、“見る”“着る”以外に、“飲む”“食べる”ことによっても効果が期待できます。例えば、イチゴだったら「赤を食べている」というイメージ。ランチのメニューに迷ったら、ソースを、色の効果を意識して選ぶのもおすすめ。朝食・昼食・夕食―と、色を意識して飲み物を変えてみたりするのもいいですね!』(信海先生)
さぁ、ここまで知識が深まると、具体的な質問もいろいろ出てくるはず。信海先生により深い疑問をぶつけてみましょう。
Q1:「好きな色」と「こうありたい色」、どちらを優先すべき?
出典: 色彩心理においては、「自分がどれが好きか」「どれに囲まれて過ごしたいか」「触っていたいか」が一番本人にとってよい効果があります。「心に素直に選ぶ=その期間一番楽に過ごせる色」なので、基本的には「好きな色」がベースでOK。
その上で、「自分に喝をいれたい、気分を変えたい」場面で効果を優先して「こうありたい色」を選ぶといいですよ。色を選ぶというのは、今日はビタミンCかDがいいのか、亜鉛がいいのか…とサプリを選ぶような感覚。体調に合わないなら、無理に飲まなくていい、という感覚でとらえてもらうといいと思います。
Q2:普段あまり馴染みがない色を取り入れたい場合、いい方法は?
色みが似ていると効果も似ているので、自分が「これなら落ち着く」と思える度合いの色を選べばOKです。
たとえば、「ビビッドカラー」だと落ち着かないなら「くすみカラー」を選ぶなど、少しトーンを変えれば、選択肢を広げやすいのではないでしょうか。
Q3:似合うとされたパーソナルカラーがやっぱり安心。その中でもベーシックな色をついつい選びがちに…
出典:www.instagram.com(@3etdemi_ashiya) 「似合う色」と「色彩心理」との使い分けは、「人から見た外見が大事な場面」かどうかが大きなポイント。
洋服選びは他人の目を意識してしまうのものですが、「部屋着」や「気心知れた友人と会うときの服」など、気張って外見力に頼らなくてもいい場面では、色彩心理を重視してみるといいですよ。
色相は広面積のものほど影響がより強く出やすいですが、そこに差し色を加えて、その色相の効果を追加することもできます。
例えば、ワークスぺースには、緊張感をキープする「白」+集中力を高める「青」を基調に。ポイントに「黄」をプラスすることで脳を活性化してもいいですね。このように、複数の色相や量を工夫して組み合わせると相乗効果が期待できます。
住まいがブラウンを基調としていると心は落ち着きますが、なんとなく家族の会話が少なく感じているなら、お花やクッションカバーなどで、みんなでワイワイ盛り上がれるオレンジや、会話上手になれる黄色をプラスしてみるという方法も。
特にインテリアの場合は天井や壁、床、また大型家具などのカラーを簡単に変えるのは難しいですが、色彩心理の観点で自分がほしい要素を差し色として、ファブリックや絵、ラグなど比較的手軽なアイテムのレベルを使って取り入れるのはとても有効な方法ですよ!
私たちが知らず知らずのうちに影響を受けている「色のチカラ」。
なんとなく感覚で選ぶのもいいですが、その効果や個性を知ると、見える世界やモノの選び方がガラリと変わるはず。
まずは今回ご紹介した内容が、あなたの心や暮らしをもっとイキイキと彩るヒントになると嬉しいです。
色について、色彩心理について、もっと深く知りたい、聞いてみたい場合には、色のプロによる講座受講もオススメ。
今回監修いただいた信海先生のサロンでは、オンライン講座等も開講中。最新情報はブログやInstagramにて…。
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