食べ物の好みはどうしてあるの?
生きていくために必要不可欠な「食べること」。でも、私たちには「美味しい物を食べたい」という欲があり、食べられればそれで良い、という訳にはいきませんよね。
例えば、同居人と食の好みが合うのなら問題はありませんが、好みが合わないとちょっと大変ですよね。食事は毎日のことだから我慢がストレスとなり、少しづつ積もっていき、不和のきっかけになるかもしれません。
好みの違いは「楽しむ」ためのもの
多くの生き物たちはそれぞれ決まった植物や動物を食することでお互いの命をつないでいます。ですが私たち人間は、雑食です。ある人は和食または洋食、あるいはエスニックなものが好きなど様々な食の「好み」がありますよね。
それは、命をつなぐためだけでなく、食を「楽しむもの」として捉えているからです。では、人それぞれで全く違う「美味しいという感覚」は、どのように決められるのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。
「美味しい」ってどんな味?
ある人にとってはとても美味しいものが、別の人にとってはさほど美味しく感じられなかった、というのは良くあることです。この「美味しい」という感覚が作られる、4つの仕組みを見ていきましょう。
Ⅰ 生理的な美味しさ
例えばたくさん汗をかいたときに適度な塩分を美味しく感じるように、私たちは体に必要な栄養素を含む味により敏感になり、美味しく感じるというものです。これは、人間だけでなく多くの動物が持つ性質です。
Ⅱ 習慣的な美味しさ
これは、小さい頃から慣れ親しんでいる味を美味しいと感じるものです。旅行から帰ってくると、自分の作る食べ慣れた味噌汁がとても美味しく感じられたことはありませんか?
また、自分の母親が作ってくれた料理と似たものを「お袋の味」として呼び親しむこともあるでしょう。自分の中に強くインプットされている味は「美味しい」と感じやすいようです。
Ⅲ 知識による美味しさ
価格の高いお肉やワインを美味しいと感じたり、有名な料理人が作った料理を美味しいと感じるのが、「知識による美味しさ」です。値段に見合う価値がある、有名になるほどの腕前、という前知識をもとに美味しいと感じるということです。
また、「大人の味」とか「本格派」と言われる物を繰り返し食べることで、「これが美味しさなんだ」と学習し、身につく美味しいという感覚もあるのだそう。
Ⅳ 「快い」と感じる美味しさ
人為的に精製した砂糖や油
「快い」と感じる美味しさとは、満腹にもかかわらず手が止まらないような美味しさのことです。人為的に精製された砂糖や油分は、天然の甘味や油分よりブレーキがかかりにくいとされています。
甘いケーキやポテトチップについつい手が伸びたり、お腹がいっぱいなのにそれでも綺麗に食べ切ってしまうのは、ブレーキがかかりにくいせいだったんですね。
出汁のうまみ
もうひとつ、子どもの頃から和食に親しんだ人は、出汁の旨みによっても「快い」という美味しさを強く感じるようです。出汁は、天然素材からうま味成分を抽出した液体で、食品にうま味を与えるだけでなく、人の食欲をかき立ててくれる働きもあるそう。日本食に「ほっとする」のは、習慣による美味しさプラス「快い」という感覚の両方があるからかもしれません。
「美味しい」は人それぞれ。互いの好みを認めよう
共に食事をする相手と好みが合わない時、それはそれぞれが持つ個性のようなものと捉え、お互いの好みを尊重しあいましょう。そして、「知識による美味しさ」の部分だけは、コミュニケーションを通して楽しく共有できたらとても嬉しいことですね。
友達やパートナーと食事をしようという時、食べたいものが合わなくて揉めたという経験はありませんか?揉めはしないものの、いつもどちらかが妥協している、という方もいるかもしれません。