“ちゃんと話をする”って面倒くさい?
話し合いにもタイミングが大切
でも、人と人とのコミュニケーションは時に、新鮮さが物を言う場合もあります。後になって「あの時のことだけど…」と切り出しても、相手にはピンとこないこともしばしば。気になることは後回しにせず、できるだけ早いタイミングで相手に投げかけてみましょう。気になっていた問題も、身構えていたよりずっと簡単に解決するかもしれません。
会話でなければ伝わらないものもある
ビジネス上の人間関係の場合、わざわざ会話の機会を設けると話が長引いてしまって億劫に感じることもあります。確かに事務的な内容なら、メールで用件だけ伝え合った方が時間も節約できて効率もいいですよね。
とはいえ、仕事での連帯感を深めたいなら、やっぱり顔を合わせてコミュニケーションを取ることはとても大切です。仲間との他愛無いおしゃべりから新しいアイデアが生まれたり、悩んでいた問題に思わぬ方向からヒントがもらえたりする機会は、メールでのやりとりからはなかなか生まれません。
また、感謝や謝罪の言葉は口調ひとつでまったく印象が違って聞こえます。誠意を重んじるビジネスの場では、相手と向かい合って自分の声で話すことが、むしろ日常以上に重要な役割を負うことがあるのです。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
大人になるほど難しい?本音のやりとり
職場でも家庭でも、私たちは常に誰かと繋がりながら過ごしています。複雑な人間関係を無難にこなすため、いつの間にか本音と建前を無意識に使い分けていることも少なくありません。
特に大人になっていろいろな経験を積むと、「もっと本音で話し合いたい」と思っている相手にもなかなか踏み込めず、言いたいことを我慢したり、本当は不快に思ったことを打ち明けられずに黙ってのみこんでしまうこともありますよね。
でも本当に相手とわかり合いたいと思うなら、言い出しにくい本音の部分も含めて、お互いが考えていることをきちんと言葉にしていく過程は欠かせません。
では、相手を尊重しながら上手に本音を伝え合える理想的な関係とは、どんなふうに築いていけばいいのでしょうか?
たくさん話して初めて分かる、相手の本当の気持ち
頭で考えているだけでは相手に伝わらない
“以心伝心”“暗黙の了解”などの言葉があるように、わざわざ口にしなくても言いたいことがわかりあえる関係は、親しさの証明としてイメージされることも多いと思います。でも実際には、自分の気持ちや考え方を頭の中だけでどれほど訴えたところで、外に向かって発信しない限り誰にも伝わりません。たとえ一緒に暮らしている家族であっても、言葉にしてみて初めて知るお互いの本音にびっくりするのは当たり前のことなのです。
心を開くこと=相手を信頼すること
初対面の相手に、いきなり自分の本心を打ち明けられる人はまずいません。心を開くということは、相手を信頼しているということ。たくさん話す中でお互いを知り、「この人になら自分の弱いところや格好悪いところを見せても構わない」「正直な意見を言ってもきっと受け入れようとしてくれるはず」という確信が生まれてこそ、安心して本音を言い合える関係が育っていきます。
上手な本音の伝え方とは
まずは自分自身と向き合ってみる
本音とは、普段はいろいろな事情によってあえて表には出さないようにしている気持ちのことです。それだけに、もしかしたら自分自身でさえ上手く整理できていない感情も隠れているかもしれません。相手に一番伝えたいと思っていることは何なのか、まずは自分自身の心とじっくり向き合ってみることも大切です。
それぞれの意見を尊重する
本音で話し合うことには、誰でも少し勇気がいります。相手が傷ついたりしないか、お互いの関係性が少し変わってしまうのではないかと心配になることもありますよね。
でも、考え方の違いはそれぞれにあって当たり前。正解は人の数だけ存在します。意見の食い違いがあったとしても、「じゃあなぜあなたはその答えに辿りついたの?」という部分をまず話し合ってみましょう。お互いの違いとその理由を理解することが、実は歩み寄りのための一番の近道なのです。
本音を引き出すことを焦らない
相手の気持ちを理解したいと思っていても、肝心の本人がなかなか本音を見せてくれないと、向き合っていても少しもどかしい気分になることもあるかもしれません。でもだからといって、「私がこれだけ打ち明けているのに、あなたはどうして同じように話してくれないの」などと責めたりするのは本末転倒です。
胸に秘めていた気持ちを誰かに話すことへの葛藤は、人によって度合いが違います。たとえ今すぐ核心に触れることができなくても、まずはたくさんおしゃべりをして、お互いの信頼関係を結ぶことが先決です。これからも大切にしたいと思う相手なら、コミュニケーションの種は焦らずゆっくり育てていきましょう。
ネガティブな気持ちをぶつけ合わない
普段なかなか打ち明けられない気持ちには、ポジティブなものもあればネガティブなものもあります。照れくさくて伝えられない家族への愛情や感謝がポジティブな本音だとすれば、建前に隠れている相手への不満や要求はネガティブな本音です。
この負の感情は、相手にただぶつけ合っても何の解決にもなりません。それよりも、今まで不満を伝えることができなかった原因は何か、これからどうやって解消していけばいいかについて、一緒にじっくりと話し合ってみることが大切です。
感情的な言葉に隠れた本音を感じ取る
本音を思い切って相手に晒してみると、時には気まずい雰囲気を作り出す場合もあります。売り言葉に買い言葉で、ずっと溜め込んでいた苛立ちを思わず爆発させて喧嘩になってしまった苦い経験は、誰でもひとつやふたつお持ちではないでしょうか。
感情的になるあまり、予期せずこぼれてしまう攻撃的な言葉を、私たちはしばしばその人の本音と捉えがちです。
しかし場の雰囲気につられて思わず出て来たような怒りや不満は、単に相手に反発したかっただけで、実際には本音とは別のものかもしれません。冷静になってから「ちょっと言い過ぎたかな…」と後悔したとすれば、それはおそらく本当に言いたかった内容ではなかったためでしょう。
本音とは、その人が心の底から感じている揺るぎない想いであり、反射的につい飛び出してしまうような激情はただの上辺に過ぎません。「あなたは何もわかっていない」と相手が怒っているのなら、その裏に隠れている「あなたに私をわかってほしい」という願いこそが、本当の本音と呼ぶべきものの正体なのです。
時には思い切り喧嘩してみるのもいいですが、その時には相手の言葉の奥底にひそむ本音の正体をほんの少し想像してみて下さい。もしかしたら、いつもよりちょっと早めに仲直りできるかも…。
大事な相手にこそ、諦めないで向き合おう
人と人とのコミュニケーションには、失敗もつきものです。気持ちが擦れ違ったり意図せず傷つけたりしてしまうこともありますが、一番重要なのは、大切な人とわかり合うための努力は決して怠らないこと。少し失敗したくらいで諦めず、「ちゃんとあなたと向き合いたい」と伝え続けることが、何よりも確実に相手との距離を縮めてくれるはずです。
話せばもっと深まる、相手との関係性
「空気を読む」という言葉があるように、集団の中で他者の仕草や雰囲気からなんとなく心情を推し量ろうとするスキルは、日本人にとって当たり前の慣習と言えるかもしれません。
でもお互いのことをより深くわかり合いたいと思うなら、やはりできるだけたくさん話し、それぞれの考え方や気持ちをきちんと言葉にして伝えることが最初のステップです。
たとえ同じ場所で同じものを見ていても、感じていることは人によってさまざまです。その違いを楽しみながら、ぜひ会話を惜しまず、上手に本音を伝え合って大人ならではの素敵な関係を育てていきましょう。
毎日を仕事や家事で忙しく過ごしていると、言いたいことがあってもつい後回しになりがちです。じっくり話し合いたい内容ほど、「頭の中をちょっと整理してからにしよう」「もっと時間に余裕がある時に相談した方がいいかな」なんて慎重に構えたり、結局迷っているうちに面倒になって、「今度でいいや」と我慢してしまった経験、ありませんか?