捨てたのに、物が多いと感じるのはどうして?
整理収納アドバイザーである筆者が、部屋の片づけをご依頼された方からよく聞くのがこの言葉。
本を読んだり、ネットで調べたり、自分なりに片付けてみたのに、何故か思ったほど変わらないと感じる…。考えられる原因は、必要・不要の選択が甘いこと、収納計画に問題があり量が減っても「片付かない」こと。
理想は、ホテルやミニマリストの部屋?
理想の中に"自分"を置いて想像してみて
「人に比べると物が多い」ということは、問題として解決すべきことでしょうか?
よそはよそ、うちはうち。みんなそれぞれの背景や事情があります。仕事のときはスーツを着る人、一方カジュアルスタイルでもOKな人、子育て中の人など、それぞれ必要な服の数は違いますよね。
家族構成によって必要な物も時間の使い方も異なります。もちろん、趣味や好みも反映されます。
もし悩みが人と比べた結果であれば、その気持ちこそ一度手放してみませんか。まずは、自分を中心に考えてみましょう。
部屋に個性はありますか?
ホテルのようにすっきりと片付いた部屋が好きという方はいいですが、誰かの理想を追いかけて目指しているなら、そこにあなたの個性はないかもしれません。
数日であれば心地いいかもしれませんが、個性そのものともいえる「日常」を過ごすには、違和感を感じることもあるでしょう。
ミニマリストは、行き着く先のひとつの姿
人と比べて持ち物が多いか少ないかは気にする必要はありません。
なぜならそこに住むのは誰でもない、あなた自身。究極のプライベート空間は、とことん自分を中心軸に考えるのです。もしかすると行き着く先は、ホテルのような部屋かもしれないし、ミニマリストかもしれません。それは考えて納得した先に待っています。
ミニマリストは、その方が自分の個性や趣味を含めて快適な生活を探した末にたどり着いた、ひとつの生活様式です。
万人にとってミニマリストという生き方が心地いいかと言うと、それはまた別の話なのです。
自分にとって必要なら、捨てなくていい
「ホテルのような部屋に憧れていたけど、好きなものを大事に持っていたい」
「物が多いと思っていたけれど、残ったのは大事なもの」
こう感じるなら、どうしたら心地よく収納できるだろうかということに力を注ぐことが大切です。
趣味がファッションであれば、どうしても服の収納にスペースが必要です。
ただ、管理するのが苦手で数が多いことにストレスを感じてしまうのであれば、数を絞ることを意識する、もしくは自分に合う収納術を取り入れるなど工夫してみましょう。
自分が心地いいレベルや術を見つけることを楽しんでみてください。
家の広さと量との兼ね合い
好きなものを持つことを優先したいなら…
自分の好きなものが増えること、それを持ち続けることは悪いことではありません。
ただし、ダンボールに詰めて床に置いておくなど、生活動線をじゃまするなら本末転倒です。大切なものは、きちんと居場所を作ってあげましょう。
広さを優先したいなら…
作り付け収納で足りず、収納スペースを増やせば、もちろん部屋は狭くなって掃除もしにくくなっていきます。
そんなときには、それを所有することと広々とした部屋と、どちらがより生活を快適にしてくれるか天秤にかけてみてください。
「狭い空間で窮屈に暮らすのは…」と思ったら、思い切って手放すタイミングかもしれません。
部屋と向き合うこと=自分を見つめること
本当に好きなものはなにか、どんな空間で毎日を送りたいのか、片付けを通して改めて暮らし方について考えてみてもいいかもしれません。
多くの方が掲げる理想は、ホテルのように常に片付いた部屋。
または、ミニマリストのようにすっきりと暮らしたいと希望する方も多い中、先日ご自宅に伺ったご依頼者は、洋服が好きでどんどん数が増えてしまいクローゼットに収まりきらないとのこと。
「自分にとっては服が多いと思わないけれど、ミニマリストの方はもっと少ないと思います」とどこか肩身が狭そうな表情…。