「和の暮らし」に使われて来た物たち
お出かけで、キッチンで。便利な和の布「手ぬぐい・布巾」
手ぬぐいの発祥は、お坊さんが手をぬぐうために使っていた「たのごい」などと呼ばれた名前が変化して「手ぬぐい」という言葉になったそうです。そのうち、料理に使われる物は「布巾」、食卓などテーブルを拭く「台拭き」、掃除に使う「雑巾」など用途に合わせた名前が生まれます。
手ぬぐい
布巾
生活の中で生まれた「刺し子」、針仕事に欠かせない「指ぬき」
刺し子は元々、東北地方など寒い地域で防寒のために施されるステッチとして発展しました。運針(うんしん)といって、ぐし縫い(なみ縫い)する事で縫い目で模様を描き出します。生活の中で生まれた技術は、今では美しさで人気を集めています。そして、その時に活躍するのが指ぬき。有名な所では、秋田で工芸品として銀の指ぬきが作られています。かつてはお嫁入り道具の一つだったそうです。
刺し子・針仕事
指ぬき
出典:www.instagram.com(@t_ammy)
傷んでしまった柄手ぬぐいを箸袋に。刺し子ではありませんが、これも物を大切にする針仕事。手仕事と物を愛しむ暮らしの合わせ技ですね。
壊れた物を美しく再生させる「金継ぎ」
かつての日本の暮らしでは、物が壊れたら修理するのが当たり前でした。陶器や磁器、ガラス器などは壊れたらもうおしまい…と思っていませんか?欠けたり割れたりした陶器、磁器を漆で補って修復する「金継ぎ」という技法があります。なんでも手軽に手に入る時代だからこそ、ひと手間かけて物を長く大切に使いたいですね。
出典:photohi.to
こちらはヒビにそって漆で継ぎ、金を施した物。金継ぎ部分は、まるで繊細なレースのような佇まいです。金継ぎは和食器だけでなくグラスなどガラス器でも行う事が可能です。また、欠けた部分がなくなっていても漆に繊維くずや木粉などをまぜて練った刻苧(こくそ)というペーストで補って補修できる事もあります。
出典:kinarino.jp
和洋を問わず、ヒビや欠けのあるアンティーク食器や思い出の器があれば「金継ぎ」で再生してみてはいかがでしょうか。
こちらのサイトでは金継ぎに挑戦してみたいビギナーさんをサポートしています。
プロの仕事なら金継ぎ部分をデザインとして取り入れて、割れる前にはなかった魅力をプラスしてくれる事も。壊れても諦められなかった大切な器であれば、プロの技術を頼る事もおすすめです。
インテリア&食卓に季節の風を運ぶ「和のアイテム」
今でも京都の古い町家では、夏を迎えるとふすまや障子を風遠しのよい簾をはめこんだ「簾戸(すど)」に取り替える「建具替え」という年中行事が行われているそうで、蒸し暑い夏と寒い冬に家の設えを変える事で対応していた古くからの知恵です。今時のお家で同じ事を真似るのは難しいですが、カーテンなどインテリアの一部を夏仕様にしてみるのもおすすめです。また、食卓に使う道具を季節に合わせて入れ替える事を楽しんでみるのはいかがでしょうか?ガラス器を使う他、竹素材の物を上手く使うと季節感が盛り上がりますよ。
夏の和素材インテリア
夏素材のテーブルウェア
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和のお弁当箱というと曲げわっぱのような木製の物が多く使われていますが、夏場は通気性の良い「竹かご」もお弁当箱としてよく使われていました。この他、竹で編んだ「飯かご」と呼ばれる容器も、夏向けのおひつとして愛用されていたそうです。
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竹ざるは、果物や麺類の盛り付けに使う物と思われがちですが、夏はワンプレート風に使うと爽やかなテーブルの演出にもなりますね。
手軽に「和の暮らし」を取り入れて
《画像のご協力ありがとうございました》
和の暮らしを始める、と言っても何も難しい事はありません。利便性などから最近ちょっぴり日本の暮らしから見かけなくなった昔ながらの道具を見直してみると、思わぬ使い方など新鮮な発見があるかもしれませんよ。