人間関係に明確な答えはない
人と人との距離感、お互いに対する心の姿勢、瞬間ごとに移り変わっていく思考や感情、未来に描いていきたいこと、過去に起こってしまったこと・・・そんなものを感じあい考えながら、私たちは日々、対人関係を築いています。
時に煩わしいこともあるかもしれません。だけど、私たち人間は、一人で生きていくことができない社会的動物といわれています。
私たちはまず、うんと小さな頃、両親や祖父母、周りの大人たちなど、自分を保護してくれる人との間に愛着関係を形成します。「お腹が空いた」、「抱っこしてほしい」、「自分のことを認めてほしい」etc...様々な欲求を周囲の大人に対して抱き、それらを受け入れられ、自然と愛情という信頼関係を築いていきます。
やがて成長するにつれて、周囲の大人に抱いていた愛情や欲求は、恋人・夫婦・友人・仕事仲間という外の対人関係に移行し、自立していきます。他人に対しては流せることなのに、心許せる親しい間柄の人に対してはつい感情的になってしまうという経験はありませんか。
親しいからこそ、ぶつかり合うことで互いの理解を深めることは大切なこと。ぶつかることで生まれる信頼関係もあります。しかし、できることなら争うことなくわかりあいたいですよね。では、より良い関係を無理なく築くためにはどうしたらいいのでしょう?そこでより良いパートナーシップを築いていく上で大切にしたい10の心得をまとめてみました。
Ⅰ.相手を信頼する
相手の言葉や選択を信じること。パートナーシップを築く上で基本となる、すごく大切なことです。
だけど、相手を信頼しているということを表現することは、時に難しいです。「信じている」「信頼してる」と言葉にすることも大切ですが、それだけだと「本当かな?」と思われてしまうことも。「信頼」という字は、信じて頼ると書きます。人は信じている相手じゃないと頼ることはできません。相手に頼ったり、任せたりすることは、信頼を表現する一つの方法です。
Ⅱ.挨拶や小さな言葉かけを大切にする
「おはよう」「おやすみなさい」「おつかれさま」「いただきます」「ごちそうさま」「おいしかった」「ありがとう」「ごめんなさい」etc...日常の挨拶や小さな言葉かけ。いつも一緒にいるとついおざなりになってしまうことも。だけど、あたりまえのことだからこそ毎日続けることが大切です。
Ⅲ. 相談する
パートナーシップにおいて大切なことは、相談すること。お互いが同じ方向を向いているか、互いのことを理解し合えているか、立ち止まって確認し合うことが大切です。わかり合えてると思っていても、実際確認してみたら、全然違うことを考えていた、ということもありえます。
Ⅳ. 話し合う
ちゃんと自分の気持ちを伝えること。相手の気持ちを知ること。その結果、互いの気持ちや意見がぶつかることもあるでしょう。大切にしたいのは、わかり合えるまでとことん話し合い、妥協点を見つけること。いろんな解決方法がありますが、気がついたら相手を攻撃することにエネルギーを注いでいた...なんてことがないよう気をつけましょう。
Ⅴ. 相手のことを理解する
人はみんな違います。性格や価値観が似ていると思っても、すべてが同じということはありえません。たとえ双子であったとしてもそれはしかり。お互いの全てを理解し合おうとすると、苦しくなる時があるかもしれません。ここはわかり合える部分、ここはお互いに違う部分、と割り切っていくこともパートナーシップを築いていく上では大切な要素です。お互いの違いを楽しめたらいいですね。
Ⅵ. お互いを尊重し合うこと
人には自尊心があります。触れてほしくない部分もあるでしょう。そっとしておいてほしい気持ちのときもあると思います。また、やりたいことに夢中になっていたり、周りがよく見えなくなってしまうような時期もあるかもしれません。人は皆、完全ではないからこそ、互いの「今」を支え合い、尊重しあうことが大切だと思います。
Ⅶ. 変えられるのは自分自身と今と未来だけ
「過去と他人は変えられない。変えられるのは自分自身と今と未来だけ」という言葉があります。他者を無理に変えようとしても、なかなか思うようにはいきません。過去を変えようとしても、けして変えることはできません。
今と未来と自分自身を変えることに焦点を絞ってみましょう。人は変えようとしても変わりませんし、変わるときは本人の意思によって変わります。だから、人を変えようとするのではなく、相手に対して自分が何ができるんだろう?と考えてみること。過去にあったことを責めたりせず、これからの未来をどうしていきたいかだけを見つめ、「今」すべきことやできることを建設的に考えること。お互いに手を取り合って同じ方向を見つめていれば、どんな困難だって乗り越えられるはずです。
Ⅷ.お互いの成長を見守る
完璧な人などこの世に存在しません。人は日々変化し続けます。お互いの成長をあたたかなまなざしで見守りあえることもまた、良いパートナーシップを築いていく上では大切なことかもしれません。
Ⅸ.ケンカしたら仲直りする
あたりまえのことですが、ケンカをした時はちゃんと仲直りをしましょう。「ごめんね」と素直に謝るだけで、仲直りができることも多いはず。素直になれない時は、相手のことを思いやってあげて。相手の良いところや好きなところを思い出してみれば、なんだか大概のことは許せちゃう気がしてきませんか。
Ⅹ.感謝の気持ちを伝えよう
いつも一緒にいるのが、いつのまにかあたりまえになって、感謝の気持ちが薄れてきてしまうこともあるでしょう。だけど、その人はあなたにとってかけがえのない人のはず。感謝の気持ちを伝えられて、嫌な気持ちになる人なんていないでしょう。普段なかなか感謝の気持ちを伝えられていない人は、ちょっとした贈り物をして「ありがとう」の気持ちを伝えてみてはいかがでしょう。
おわりに
対人関係は、日々の暮らしの中で途切れることなく続いていくもの。ちょっぴり雑になってしまったり、手を抜きたくなる日もあるし、思い切り大切にしたい日もあるはずです。暮らしの一部として、ゆるやかに、だけど大切にしていきたい。そのために、自分自身の気持ちを常にクリアにしておくこともより良いパートナーショップを築いていく上で大切な要素です。
人は誰しも、社会では1人で生きていくことができません。恋人・夫婦・友人・仕事仲間etc...今、誰かがあなたを支えてくれていることのありがたさを、時々そっと思い返してみてはいかがでしょう。もし今日がこの人と話せる最後の日だったら?そんなことを思ってみるのもたまには良いかもしれません。
友人・仕事相手・恋人・夫婦・親子・兄弟etc・・様々な対人関係があって、人間関係が成り立っています。しかし、私たちの生活に密接につながっている対人関係には、「こうすべき」という明確な答えがありません。