集中力が持続しない理由は?
集中力とは。意味・定義をおさらい
集中力の種類は8タイプ?自分のタイプをチェックしよう
集中力0と注意力散漫は別物
集中力のメカニズムについてお話する前に、同じように扱われがちな注意力との違いを紹介します。注意力散漫というと、忘れっぽさや凡ミスなどを思い浮かべるでしょう。集中していなかったから注意力が欠ける時はあるかもしれませんが、イコールではありません。
例えば車の運転に集中することは、単に車の操作を完璧にこなすことだけでなく、歩行者がいないかや信号が変わらないかなど周辺に注意を配ることも含まれます。反対に集中していて周りが見えないことがあるでしょう。仕事に没頭するあまり外が暗くなったことに気づかないなど。これは集中力はあるけれど注意力はない状態といえます。
脳科学から見るメカニズム
集中力に大切な部位「前頭葉」
思考の判断やモチベーションの生成を担う脳の部位が、前頭葉です。頭の前側。そのため、額のあたりをマッサージすると頭が働くなどともいわれます。脳にも休憩が必要で、例えば眠っている時は生命維持に関係する視床下部などを除いて脳の各部位も休息を取ります。
集中力&やる気に欠かせない脳内物質「ドーパミン」
集中力ややる気を促すのが、脳神経伝達物質のドーパミン。学習や記憶、注意などに影響する物質ですが、特に作業記憶(ワーキングメモリ)に関与するとされます。ドーパミンは、前向きな未来に向かっている時や既に行動している時に出やすいそうです。
ドーパミンが脳内の扁桃体へと達すると、脳内の各部位へとさらに信号を送り作業記憶を強化しようとします。その結果やる気があふれ集中した状態が作られます。ご褒美を設定し、とにかく取り掛かって体を動かすなども有効といえそうですね。扁桃体は感情の中でも特に不安や恐怖に反応する部位。これは危険回避という本能のためですが、あえて負荷を与えることも有効かもしれません。
集中力の持続時間は何分?
集中力は3分しかもたない?
では、集中力が続く時間はどのくらいでしょうか。よく「人の話を聞くのは3分が限界」といわれますが、これは"長くは聞けない"ということを示すための数字のようです。多くの研究で立証されているのが、集中力は15分周期であること。さらに集中力を持続する限界は90分といわれていますよ。
ハイパーフォーカスやゾーンとは
15分の周期で集中の波があり、長くて90分が限界とされる集中力。しかし時間を忘れるほどの集中を経験したことがありませんか。この超集中状態をハイパーフォーカスやゾーンなどと表現します。厳密に言えば違うのですが、ランナーズハイと似た状態です。
超集中状態は、トレーニングによって自らその状態を作り出せるといわれています。集中を阻む外的な刺激がなく、平静な心理状態であること、さらに姿勢や部屋の気温など、さまざまな条件が重なってゾーンに入ります。ホワイトノイズが効果的という説もありますよ。
集中力診断テストをしてみよう
自分の集中力レベルがどの程度か、診断テストをしてみましょう。インターネットには、作業問題から検討するものや普段の取り組み姿勢から検討するものなどさまざま掲載されています。ここでは作業課題を1つ紹介しますね。覚えておいてほしいのが、これらのテストは時間や体調で結果が大きく変わること。あくまでも指標と解釈してくださいね。
集中力が続かない原因
ストレスたまってない?
日々さまざまな情報にさらされ、疲れがたまるようなライフスタイルだとストレスも激しいですよね。ストレスというとマイナスなイメージですが、そもそもは外的刺激により生じる変化をいいます。丸いボールを手で押すと凹みますよね。この凹みがストレスです。
すべてのストレスが悪いわけではなく、集中力を高めるのに効果的な場合もあります。しかし、ストレスが大きすぎる、または多すぎると、脳内は多くの信号をあちこちに出して混乱状態に。結果脳が休息を求めるようになり、集中するのが困難になってしまうんです。
睡眠不足は大敵
健康的な生活の維持に欠かせない睡眠。集中力の持続にも大切なポイントです。睡眠の量によるパフォーマンスレベルの変化の研究が多くあり、睡眠不足により集中力が低下することが報告されています。睡眠不足は脳の血流の悪化を招き、栄養が十分にまわらないことで前頭葉などの各部位の動きが鈍ると考えられます。
集中できる環境にない
集中力を高めるためには環境づくりも欠かせません。デスクの周りが散らかっており、視覚的に情報が多いと集中できない原因になります。また、室内が暑すぎる、寒すぎる、うるさすぎるなど、気が散る要素も排除しましょう。疲れを感じない姿勢など、ゾーンに入るにも重要なポイントといえます。
集中力を上げるためのヒント1│時間の使い方に注意しよう
30分の集中力継続は25分+休憩5分
先にご紹介したとおり集中は15分サイクルとされ、人によって差はあるものの90分程度が集中の限界とされます。断続的に集中の維持を長くするためには、適度な休憩が欠かせません。そこで良いとされるのが、25分作業+5分休憩の「ポモドーロ・テクニック」です。
ポモドーロ・テクニックとは、25分作業+5分休憩を4回ほど繰り返し30分ほどの長い休憩をとる時間の管理術で、生産性アップが期待できるとされています。約30分のサイクルで一度立ち止まることによりチェックと改善ができ、結果的にクオリティが上がる点もメリットです。
タイマーを使って勉強や仕事にメリハリを
25分は、集中していてあっという間の時もあれば、なかなか過ぎず長いと感じる時もあるでしょう。おすすめはタイマーの利用です。作業と休憩のどちらもタイマーをセットして、しっかりオンオフをつけましょう。ただ闇雲にやるのではなく、計画して実践し、休憩の都度やり方を見直すことが大切です。
1日の中で集中力がピークになる時間帯
1日のうち集中力が高まる時間、反対に集中力が低い時間を把握しておくことも効果的。諸説ありますが、起床から約3時間は頭が冴えて集中しやすいとされています。しっかり休んだ後だから頭も体も元気な状態です。また、午後の4時頃も集中しやすいといわれます。やる気が高まる時間です。反対に集中しにくいとされるのは夜です。
ランチの後に眠くなることがありますよね。お腹がいっぱいで眠いのかと考えがちですが、実は体内リズムに基づくホルモン分泌が関係しています。「アフタヌーンディップ」と呼ばれ、午後2時頃に誘眠作用のあるメラトニンが分泌されるために眠くなるのです。ガムを噛んだりコーヒーを飲んだりして対策しましょう。
集中力を上げるためのヒント2│食べ物&飲み物で集中力を高めよう
お食事メニューには青魚とナッツを意識して
おやつタイムにはチョコのお菓子とガム
ハーブティーにカフェインは含まれる?コーヒーやお茶で集中力向上
集中が切れた時に効果的なアイテムとしてよく知られるのがコーヒーですよね。コーヒーに含まれるカフェインが脳を覚醒させ、コーヒー1杯(カフェイン約60mg)で数時間のパフォーマンスの維持を助けるとされます。ただし摂取のしすぎに注意。カフェインの過剰摂取はだるさややる気の低減につながってしまいますよ。
カフェインが多く含まれる飲み物がコーヒーですが、紅茶や緑茶、ハーブティーなどにも含まれますよ。紅茶がコーヒーの半分ほどのカフェイン量を含んでいます。コーヒーが苦手だったり、カフェインのとり過ぎが心配だったりする場合は、ほかの飲み物からカフェインをとると良いでしょう。
栄養ドリンクやエナジードリンクは効果あり?
栄養ドリンクやエナジードリンクは集中力向上につながるのでしょうか。滋養強壮のための成分やカフェインを多く含むこれらのドリンクは、一時的な脳の覚醒には効果があるようです。しかし成分が過多な場合も。興奮しすぎるケースや、体質にあわないことも想定されるので注意してくださいね。
集中力を上げるためのヒント3│五感から集中力UP効果を取り入れよう
音楽を聴く
集中には音楽も関与しているようです。まず、静かな環境で集中できる人とそうでない人がいるので、いろいろ試したほうがいいでしょう。適度に雑音があったほうがゾーンに入りやすいという説もあります。また、作業する時ではなく休憩に音楽を聴くのも効果的なようです。
脳波が関係?おすすめBGM曲はクラシックやピアノ
集中する時に出る脳波がα波。このα波は、やさしいクラシックやピアノなどを聴いている時に強く出るとされます。ヒーリング効果のありそうなメロディをBGMにしてみてくださいね。これらの音楽は休憩中のリラックス度を高めるのにも効果が期待できますよ。
絵や動画などの画像を見る
視覚情報が多いと気が散って集中できない可能性を紹介しましたが、反対に集中力を高める絵はあるのでしょうか。実は絵や画像、動画も音楽と同じで、適度な量が脳内への刺激となって効率を上げるようです。
青色の空、緑色の木々が最強壁紙?
色から見ると、集中力アップにおすすめなのが青です。鎮静効果により集中力を高めます。さらに重要なのが緑。緑の植物がある状態とそうでない状態とで作業した場合、植物があるほうが成果が高まったという研究報告があります。この画像は携帯の待受画像でもOKですよ。
アロマや香水の匂いをかぐ
嗅覚から集中力は高められるでしょうか。香りの効能を利用したアロマテラピーもありますから、集中力の維持にも力を発揮しそうです。休憩の時は違う香りを楽しむのも良さそうですね。
集中力を持続するおすすめ精油
集中力を高めたい時におすすめの香りが、レモングラスやペパーミント、ローズマリーです。精油系が苦手な場合は、香りポットやボディクリームなどで香りを感じるのも良さそう。
ペン回しをしてみる
触感から集中力にアプローチするなら、すぐにできるペン回しをしてみて。集中力が切れた時にやる印象があるペン回しですが、それが集中のスイッチになる場合も。実際にオックスフォード大学の研究でペン回しをしたほうが学習効率がアップした結果が得られました。
パワーストーンを触るのもあり?
石にも体の調子に影響を与える不思議な力があるとされますよね。どうやら石の中に含まれる鉱物の成分によるようです。集中力アップに良いとされるパワーストーンが、アクアマリンやエメラルド、アメジストなどです。アクセサリーやインテリアに取り入れてみてはいかがですか?
集中力を上げるためのヒント4│集中力が切れたら体を動かそう
筋トレで集中力だけでなく体力も養う
適度な筋トレは健康のために大切ですが、集中力などの脳の働きや心理状態にも影響するとされています。アメリカのジョージア工科大学の研究によれば、筋トレを行なうとなんと記憶力が10%もアップ。気分転換も兼ねて筋トレの時間を作ってみましょう。
ヨガストレッチで眠気も撃退
体を動かすならヨガもおすすめ。呼吸を整えて体の動きに集中するヨガは、腰痛や肩こりなどの体の不調、自律神経に良い効果があるとされます。さらに認定NPO法人日本ヨガ連盟によれば集中力や感情をコントロールする力もアップするとされていますよ。
マインドフルネス瞑想法で呼吸を意識
呼吸に注目するなら、瞑想の時間も有意義です。「マインドフルネス瞑想法」は、呼吸に注目し頭の中に浮かんでは消えていく雑念を受け流していく瞑想法。心を落ち着かせることで集中力が高まるとされます。
集中力を上げるためのヒント5│集中する環境を整えよう
椅子の座り方や姿勢を正しく
集中力を維持するために、座り方や姿勢も大切です。長時間座っていると腰や背中に負担がかかり痛くなりますよね。適度に運動を挟むことはもちろん、猫背や首が前にでるなどの悪い姿勢を改善することで集中力の持続時間が変わります。背もたれにもたれず、背筋を伸ばした姿勢が良いとされますよ。
部屋の温度や湿度もポイント
部屋の環境も大事ですよね。特に湿度の高さは、集中力に関係なく不快感の原因になります。望ましいのは、気温が25度前後、湿度は50%前後とされます。夏のアンコンによる冷えすぎに注意してくださいね。
集中力を計測するアプリを活用
集中力を計測したり、集中力の向上を助けるアプリがあります。例えば、眼鏡のJINSが提供するJINS MEME(ジンズ・ミーム)は、眼鏡で瞬きの回数や頭の揺れなどを計測し、スマホで集中度合をチェックできるアプリです。今の状態を数値化して確認できると、環境など集中のための対策が効果を発揮しているかまで確認できますね。
子どもの集中力を上げるための年齢別ヒント
幼児の集中力はおもちゃでトレーニング
幼児の集中力を高めるのにおすすめなのは、おもちゃで遊びながらトレーニングを重ねる知育玩具です。自ら考え想像する力が身につき、それらが情緒の安定などと結びついて、集中力が育成できると考えられます。五感をフルに使えるおもちゃがベター。
小学生の集中力を高めるゲームや習い事は
勉強よりも体を動かして遊びたい、そんな年頃の小学生に集中力の持続を求めるのは時に難題。しかしゲームとなると凄まじい集中力を発揮する場合も。考え方によっては集中力はしっかり持っているわけですから、勉強に向かいやすい環境づくりが大切です。デスクや気温などの環境条件は先に紹介した条件と変わりませんので、子供部屋をチェックしてみて。習い事はピアノやそろばんなど手先を動かすものがおすすめです。
中学生・高校生の集中力を鍛える
勉強だけでなく友人との交流や部活動も活発になる中高校生。学校での授業時間が長くなり、難易度もぐんとアップ。集中力を保つためのモチベーションの作り方に悩む年頃でもあります。環境の整備などに加え、自分で工夫する意識が必要になります。自分はいつ集中しやすいのか、何が妨げになるのかなど模索し始める時ですから、そのサポートができるといいですね。
集中力の上げ方を教えてくれるおすすめの本
Amazonで人気の「パフォーマンスを300倍にする働き方」
先に紹介したポモドーロ・テクニックなど、集中するための25のメソッドをまとめた実用書。人の集中する状況を計測するメガネ型デバイス「ジンズミーム」を主体に、働き方改革のサポートを行うジンズ社のグループマネージャーである井上一鷹さんが、自らの経験を豊富に盛り込んでいます。すぐに試したくなるし、集中力アップを実感できると評判です。
やる気スイッチを入れる一冊「至高の名言」
本を読んでいる時間はないけれど、短く本質を説く名言なら一気にやる気を高めて集中モードへ。本書は詩人・ゲーテから女優・オードリー・ヘップバーンまで幅広い著名人の名言を収録しています。メンタルを作るのはもちろん、人としてどうありたいかという指針も示してくれますよ。
一口に集中といっても、集中するまでの時間や集中しやすい環境などは人によって違います。
集中力のタイプについては、さまざまな見地から複数のタイプ分けがあります。例えば朝方か夜型か。クイックスタート型かスロースタート型か。エニアグラムという9つの性格タイプを応用する考え方や、コロンビア大学の研究に基づく8つのモチベーションタイプを応用する考え方もあります。
自分の集中力の傾向を知っておきましょう。