3つの整えメソッドとは?
この連載でご紹介する「3つの整えメソッド」とは、四季のある日本人の暮らしの基盤「衣・食・住」からヒントを得たケア方法のこと。毎回ひとつの不調に対して、冷えとりや呼吸法、アーユルヴェーダなどの専門家による監修のもと、体と心にやさしい3つのケアをご紹介します。
心地よいカラダの感覚、覚えていますか?
子どもの頃の夏、体が軽かった記憶はありませんか? 思いっきり外で遊んで、たくさん汗をかいて、訪れるのは心地いい疲労感……。そんな夏の日も今では遠い昔のことで、大人になって迎える7月は電車も職場もエアコンが効き始め、お腹が冷え始める季節。胃腸が弱くなるのも、実はこのタイミングから。
体が冷えると気持ちも妙にセカセカしたり、心に余裕がなくなったり、心穏やかに過ごせません。見過ごしてきた病気とまではいかない心身の不調、これを機に向き合っていきませんか?
体が冷えると気持ちも妙にセカセカしたり、心に余裕がなくなったり、心穏やかに過ごせません。見過ごしてきた病気とまではいかない心身の不調、これを機に向き合っていきませんか?
急激に強くなる陽射しで肩や頭が熱くなる反面、エアコンで足元が冷え、内臓機能が低下しやすいのが7月。
冷たいものを食べ過ぎ、飲み過ぎに要注意な季節です。体が冷えるとまず血流が悪くなり、体に必要な栄養や酸素が行き渡りにくくなります。そうなることで、老廃物を抱え込む要因に。この状態が続くと内蔵の働きが悪くなり、やがて多くの不調や病気を招くとされています。
夏こそ足元を温める時季ということで、冷えとりアドバイザーとして活躍中の進藤幸恵先生にお話を伺いました。
冷たいものを食べ過ぎ、飲み過ぎに要注意な季節です。体が冷えるとまず血流が悪くなり、体に必要な栄養や酸素が行き渡りにくくなります。そうなることで、老廃物を抱え込む要因に。この状態が続くと内蔵の働きが悪くなり、やがて多くの不調や病気を招くとされています。
夏こそ足元を温める時季ということで、冷えとりアドバイザーとして活躍中の進藤幸恵先生にお話を伺いました。
夏の冷えはどうして起こるの?
梅雨が明け、気温がグンと高まる7月は、ショートパンツやサンダルなど、肌を露出したおしゃれが増える季節。街には冷たくて甘いアイスクリームやドリンクも登場して、体を冷やすものを摂取する機会がどうしても増えます。夏野菜がおいしいからと生野菜をたくさん食べるのも胃腸を冷やす原因。外気温が高いので冷えとは無関係に思いがちですが、室内はエアコンで冷えているので、実は内外から体を冷やす要素がたくさんあります。
進藤さんの『3つの整えメソッド』
【衣のメソッド】冷えとり靴下
では、夏の冷えを防ぐために、まずは服装でどんなところに気を付けたらよいのでしょうか?
「体の冷えをとるのに一番簡単で、今日からでも始められるのが、靴下の重ね履きです。人間は直立歩行して生活しているので、血液を送り出す心臓から一番遠い足は血液が届いても戻りにくい部位。血行が悪くなりやすく、冷えやすいので、体に有害な老廃物も溜まりやすいんです。
東洋医学的に見ても陰の気は下に溜まりやすいので、足は冷えやすい場所とされています。そこで、おすすめなのが靴下。綿やウールなどの天然繊維の靴下をお持ちなら、まず何枚か重ねて履いてみてください。本格的に冷えとりを実践する方は、5本指の絹靴下→5本指の綿靴下→先丸の絹靴下→先丸の綿靴下の順番で、絹と綿を交互に重ねると効果が高まります。また、靴下を4足重ねても足が冷たく感じたら、冷たさを感じなくなるまで枚数を重ねてください。靴下の他に、レギンスやレッグウォーマーなど併用するのも効果的です。」
「いきなりすべてを揃えるのは難しいので、まずは手持ちの靴下でも大丈夫。ただし、肌に触れる1枚目は保温性と排毒力のある絹がおすすめです。また、足が火照って重ね履きが辛く感じるのは、実は冷えが進んでいる証拠。体の芯が冷えているぶん、肌表面だけが熱く感じるんです。重ね履きを続けていると表面の火照りがとれ、自分でも冷えているのがわかってきますよ」と話す進藤先生。
ポイントは“頭寒足熱”。下半身は温めて、上半身は風通しがよく涼しい恰好をすることで、体全体の血が巡ります。
東洋医学的に見ても陰の気は下に溜まりやすいので、足は冷えやすい場所とされています。そこで、おすすめなのが靴下。綿やウールなどの天然繊維の靴下をお持ちなら、まず何枚か重ねて履いてみてください。本格的に冷えとりを実践する方は、5本指の絹靴下→5本指の綿靴下→先丸の絹靴下→先丸の綿靴下の順番で、絹と綿を交互に重ねると効果が高まります。また、靴下を4足重ねても足が冷たく感じたら、冷たさを感じなくなるまで枚数を重ねてください。靴下の他に、レギンスやレッグウォーマーなど併用するのも効果的です。」
「いきなりすべてを揃えるのは難しいので、まずは手持ちの靴下でも大丈夫。ただし、肌に触れる1枚目は保温性と排毒力のある絹がおすすめです。また、足が火照って重ね履きが辛く感じるのは、実は冷えが進んでいる証拠。体の芯が冷えているぶん、肌表面だけが熱く感じるんです。重ね履きを続けていると表面の火照りがとれ、自分でも冷えているのがわかってきますよ」と話す進藤先生。
ポイントは“頭寒足熱”。下半身は温めて、上半身は風通しがよく涼しい恰好をすることで、体全体の血が巡ります。
ちなみに、履いているうちに靴下が破けた箇所で体の不調部分もわかるとのこと。靴下に穴が開いたら、その箇所を要チェック。現在の不調がどこかわかると話します。
「足には内蔵につながるツボが多くあり、汗腺も発達しているため、内蔵からの毒が出やすいんです。毒素を吸いとる性質のある絹は、それらを吸いとって繊維が少しずつ溶けて、最終的には靴下が破れます。摩擦で破れるのとは違って、寝たきりの方が靴下の重ね履きをしたところ、すぐにボロボロになったケースもあります」
毎日何枚も履いていると洗濯が大変そうですが……。靴下は毎日履き替えた方がよいでしょうか?
「靴下を履き替えるタイミングは、べたついてきたなと感じたらで大丈夫。毎日替えると洗濯物の量が大変なので、1枚目の5本指の絹靴下だけ入浴時にシャンプーついでにその泡で洗うのもよいです。絹は髪の毛に近い成分でできていますから、シャンプーで靴下の汚れもきちんと落ちるんですよ」
【癒のメソッド】半身浴・足湯
エアコンの効いた室内でデスクワークをしていると下半身だけ異様に冷える、という女性が多いのですが、足だけでなく下半身も冷えたときはどうしたらよいでしょう?
「通常、下半身は上半身と比べて5〜6度も体温が低いんです。この下半身の冷えこそ、体の血の巡りを悪化させ、病につながる原因。だからこそ、半身浴で下半身を温めて全身の血の巡りをよくすると体の元気も戻ってきます」
「まずは、浴槽に37〜38度くらいのぬるめのお湯を入れて、みぞおちから下までつかってください。腕をお湯から出したまま20分以上のんびりしていると、体の芯からじんわり温まりますよ。
夏場の半身浴は熱くてのぼせるという方は、浴槽に腰掛けて足だけお湯につけてもOK。ときどきシャワーで頭にのみ水をジャッとかけると気持ちよく続けられます」
「まずは、浴槽に37〜38度くらいのぬるめのお湯を入れて、みぞおちから下までつかってください。腕をお湯から出したまま20分以上のんびりしていると、体の芯からじんわり温まりますよ。
夏場の半身浴は熱くてのぼせるという方は、浴槽に腰掛けて足だけお湯につけてもOK。ときどきシャワーで頭にのみ水をジャッとかけると気持ちよく続けられます」
夜の入浴に長く時間がとれない方はどうしたらよいでしょう?
「そうですね、のんびり半身浴をするのが難しい方は、デスクワーク中にできる足湯もおすすめ。半身浴と同じくらい効果があります。
バケツに気持ちがいいと感じる温度のお湯を入れて、30分以上両足をつけてください。ポットにあらかじめ熱めのお湯を用意しておくと足し湯もスムーズです。
足湯の後片づけが面倒で、急な来客に対応できないという方は、代わりに湯たんぽを利用してもよいですね。保温力が高く、熱の当たりが柔らかな陶器製の湯たんぽがおすすめです。足が入るぐらいの大きさの箱に、タオルに巻いた湯たんぽを入れます。上から足をのせたらバスタオルやブランケットで覆うと保温力もアップしますよ。これならオフィスでもできると思います。
また、寝るときも布団の中に湯たんぽを入れ、足元を温めると疲れがとれます。上半身は薄着にして、エアコンや扇風機を弱めにかけると心地よく眠れますよ」
バケツに気持ちがいいと感じる温度のお湯を入れて、30分以上両足をつけてください。ポットにあらかじめ熱めのお湯を用意しておくと足し湯もスムーズです。
足湯の後片づけが面倒で、急な来客に対応できないという方は、代わりに湯たんぽを利用してもよいですね。保温力が高く、熱の当たりが柔らかな陶器製の湯たんぽがおすすめです。足が入るぐらいの大きさの箱に、タオルに巻いた湯たんぽを入れます。上から足をのせたらバスタオルやブランケットで覆うと保温力もアップしますよ。これならオフィスでもできると思います。
また、寝るときも布団の中に湯たんぽを入れ、足元を温めると疲れがとれます。上半身は薄着にして、エアコンや扇風機を弱めにかけると心地よく眠れますよ」
【食のメソッド】食べ方(腹八分目)の考え方
夏は体を冷やすものが多く出まわるイメージですが、そんな季節におすすめの食事法はありますか?
「食事のときは、よく噛んで食べ過ぎないことが大切ですね。冷えとりと食べ過ぎ、一見何の関係もなさそうですが、実は食べ過ぎの背景には冷えが大きく関わっています。
体が冷えると消化器の機能が低下し、食欲に異変が起こります。そこで、消化器が自らを守るために躍起になって、必要以上に食べ物を欲してしまい、食べ過ぎを招きます。するとさらに内蔵に負担がかかり、そこに血液が集まってしまうので、末端の冷えが強くなるという悪循環に。口内炎やヘルペス、口角が切れるなどは食べ過ぎのサイン。ちょっと足りないな、という腹八分目が本当は丁度よい量で、自然治癒力もアップします。特に夏は心臓や消化器に負担がかかる季節なので、食欲がないときは無理に食べないこと」
「この時季は、そうめんや冷や麦、麦茶など、麦でできたものをぜひ食べてください。夏は心臓の毒出しが活発になる時季で、その毒を受けとるのは肝臓。だからこそ、肝臓の働きをサポートする麦は、この時季に積極的に摂りたい食品です。水や緑茶にも言えることですが、麦茶は冷たくして飲んでも体を冷やしません。温度ではなく、その食品の成分が重要なので。冷えたそうめんや冷や麦も体を冷やさない、夏におすすめの食品です」
体が冷えると消化器の機能が低下し、食欲に異変が起こります。そこで、消化器が自らを守るために躍起になって、必要以上に食べ物を欲してしまい、食べ過ぎを招きます。するとさらに内蔵に負担がかかり、そこに血液が集まってしまうので、末端の冷えが強くなるという悪循環に。口内炎やヘルペス、口角が切れるなどは食べ過ぎのサイン。ちょっと足りないな、という腹八分目が本当は丁度よい量で、自然治癒力もアップします。特に夏は心臓や消化器に負担がかかる季節なので、食欲がないときは無理に食べないこと」
「この時季は、そうめんや冷や麦、麦茶など、麦でできたものをぜひ食べてください。夏は心臓の毒出しが活発になる時季で、その毒を受けとるのは肝臓。だからこそ、肝臓の働きをサポートする麦は、この時季に積極的に摂りたい食品です。水や緑茶にも言えることですが、麦茶は冷たくして飲んでも体を冷やしません。温度ではなく、その食品の成分が重要なので。冷えたそうめんや冷や麦も体を冷やさない、夏におすすめの食品です」
一日三食が基本!と思っていたので、つい体調が悪いときこそ体にいいものを摂ろうと意識していたんですが、無理に食べなくてもいいとは驚きです。
「そうですね、毎日三食きちんと食べなきゃ!と思い込んでいる方が多いのですが、風邪をひいたときや体調が悪いときは、食べないで寝ている方がよいのです。反対に“これは冷えるからダメ、あれも冷えるからダメ”と制限し過ぎると、心地いいはずの冷えとりもだんだん辛くなってきます。
アルコールが体を冷やすとしても、お酒の席に呼ばれたらおつきあいで飲んだってよいのです。楽しむときはとことん楽しんで。何事も極端に走るのではなく、バランスをとることで心の冷えとりにもつながると思います」
アルコールが体を冷やすとしても、お酒の席に呼ばれたらおつきあいで飲んだってよいのです。楽しむときはとことん楽しんで。何事も極端に走るのではなく、バランスをとることで心の冷えとりにもつながると思います」
肩こりや便秘といった症状から、生活習慣病やガンなど重い病気に至るまで、程度の差はあっても体の不調には「冷え」が関係しているそう。複雑化する人間関係でも多くのストレスを受け、心が冷える方が増えていると話します。
イライラやクヨクヨなど、心の乱れは冷えとなって体にも悪影響を及ぼすもの。まずは体を温めるアプローチから始めて、体がポカポカしてくるのを実感してみませんか? 体が温まれば、気持ちもほぐれてくると言う進藤先生。そんな心地よさを実感するためにも、冷えとり靴下・半身浴・腹八分目をこの夏にぜひお試しください。
イライラやクヨクヨなど、心の乱れは冷えとなって体にも悪影響を及ぼすもの。まずは体を温めるアプローチから始めて、体がポカポカしてくるのを実感してみませんか? 体が温まれば、気持ちもほぐれてくると言う進藤先生。そんな心地よさを実感するためにも、冷えとり靴下・半身浴・腹八分目をこの夏にぜひお試しください。
プロフィール
進藤幸恵
「冷えとり健康法」の生みの親、進藤義晴の次女。現在は父に代わって冷えとりアドバイザーとして全国で普及活動を行う。著書「きょうからはじめる 冷えとりレッスン」(KADOKAWA)をはじめ、共著も多数。
冷えとりについてのご質問や商品購入は下記アドレスより。
進藤先生ご本人が、色々な疑問に対してのアドバイスをしてくれます。
[e-mail]kosuzume@ma.ccnw.ne.jp
(※商品購入をご希望される場合は、ネット販売は行っていないため価格表のみでのご購入となります。詳しくはメールにてお問い合わせをお願いします。
また、お一人で経営されていますので、すぐに対応できない場合がございます。ご了承ください。)
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また、お一人で経営されていますので、すぐに対応できない場合がございます。ご了承ください。)
仁田ときこ
ファッション誌やライフスタイル誌で暮らしに関する記事を執筆するライター。学生時代からなんとなく冷えとりを始め、産後の不調をきっかけに慌ただしい日常で心地いい冷えとりを実践中。4歳と7歳の男児を育てる母。
Illustrator/小池ふみ