「お茶」文化の豊かさを再発見できる場所
非日常空間に流れる穏やかな時間
HIGASHIYAを手がけるSIMPLICITY(シンプリシティ)がデザインを担当した空間は、ミニマルでありながら、大きく入る自然光や木の家具が温かさや穏やかさを感じさせます。ところどころに並んでいる茶器や道具も目を楽しませてくれます。
販売用の茶葉各種が並ぶ中、正面にあるカウンターでは、試飲やテイクアウトをオーダーすることができるのも魅力的。奥のスペースは茶房になっています。
こちらのお店では、茶葉を焙煎する様子が見られたり、お茶に関する知識を伺いながら、ゆっくり自分好みの日本茶を探すことができます。日本茶の世界を存分に楽しめるよう、随所に趣向が凝らされています。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
「souen 櫻井焙茶研究所」のお茶-3つのキーワード-
日本各地を回って、選び抜かれたお茶
煎茶、玉緑茶、番茶、雁が音、釜炒り茶、焙じ茶....。日本茶は、たとえば同じ茶葉でも、製法によって、その個性は多様です。「souen 櫻井焙茶研究所」では、日本各地を回り、こだわってセレクトされた最上級の日本茶に出会えます。
品種改良を重ねて作られた茶葉にはない、在来種ならではの素朴で大地の豊かさを感じられる味わいの煎茶。思わず深呼吸したくなります。
自家焙煎の魅力
店内に置かれた趣ある焙煎機。浅炒り、中炒り、深炒り、茶葉を好みに応じてローストして提供してくれます。焙じ茶といっても、均一な味のイメージしかなかった人は、ある種の驚きを感じるはず。焙煎の仕方、茶葉の種類で変わる焙じ茶の味わいを深く探求してみたくなります。
四季折々のブレンド茶
このお店の実験的な試みとして、注目したいのが、ブレンド茶。日本茶に四季折々の植物や木の実、果物などを加えて、その時季にしか味わえない特別なお茶ができあがります。他でなかなか目にすることのない珍しい組み合わせが見られるのも楽しい。特に、フリーズドライの果物をブレンドしたお茶は、自然な甘い香りがやわらかな余韻を残し、心に残る味。季節の香りを誰かに贈りたいときにもぴったりの商品です。
【寒露】とは、秋深まる頃に草花につく冷たい露。秋分から数えて15日目頃、本格的な秋の到来を表す節目でもあります。五穀豊穣を願って。巡り行く季節や恵みに感謝する。いちょう+レモングラスのお茶。想像力を刺激する組み合わせ。ゆっくり味わいながら、秋の空を眺めたくなります。
【霜降】山々が紅葉に色づき始める頃、秋の深まりと共に、朝晩の冷え込みが厳しくなり、いよいよ冬の到来が近づいてきていることを実感します。韃靼蕎麦+碾茶茎焙じ茶。香ばしく温かな味わいは、気持ちをふっと緩めてくれそう。
特別なお茶体験ができる茶房
静かな時間が流れる「souen 櫻井焙茶研究所」の茶房。大きなカウンターテーブルを囲むようにして、着席できるのは、全8席。背面の大きな窓からは、le bain(ル・ベイン)の中庭空間が広がります。こちらでは、普段なかなか飲むことのできない、上質な玉露など高級なものを含め、幅広い種類のお茶が用意されています。さらに、季節の和菓子や、お酒やおつまみもあり、小さなスペースでありながら、贅沢な内容。友人や恋人と来るのもいいけれど、ひとりの時間も存分に満喫できる特別な空間です。
お茶が供されるまでの時間、スタッフの方のお手前を見られるのも嬉しい。単にきれいというだけではなく、もてなしの心に感動します。茶器など道具を見るのも楽しいひとときです。
このお店で、特徴的なのは、「お茶のコース(3,800円~)」や「お食事のコース(4,200円~)」といったメニューもあること。「お茶のコース」では、玉露、ブレンド茶、焙じ茶、抹茶(お薄)が順に出され、それぞれに合わせて、季節の和菓子やお漬物などお茶請けも添えてくれます。内容から考えると、とても良心的な価格なのもうれしい。お茶好きな方にぜひお薦めしたいコースです。
「souen 櫻井焙茶研究所」は、おいしいお茶を提供してくれるだけでなく、現代人の感性にも合う形で、お茶の新しい愉しみや価値観を広げることにも力を注いでいます。茶房では、毎月テーマを決め、セミナー形式の試飲会が開催されています。お茶文化の奥深き世界に触れるいいきっかけになるかもしれませんね。
11月(霜月)の試飲会は、「抹茶の愉しみ方」。ご興味がある方は、お店にお問い合わせください。
「souen 櫻井焙茶研究所」は、英語表記を「SAKURAI JAPANESE TEA EXPERIENCE」としています。つまり、ここに来れば、日本茶の全てが分かる。美味しいお茶をいただけるというだけでなく、その背景にあるストーリーが見えてくる。そんな特別な体験ができる場所。所長の櫻井さんはじめ、スタッフの方も白衣に身をつつみ、整った空間の中で、静謐な雰囲気を醸し出しています。日常の延長で、ふらりと入っていける気軽さがありながら、中に入れば、非日常の空間が広がっているような不思議な魅力を感じさせます。