うつわの片側に可愛らしい注ぎ口がついた「片口（かたくち）」。緩やかな動きを感じさせてくれる素敵なうつわですよね。

でも、ちょっぴりユニークなかたちをしているため、上手な使い方がよく分からない人も多いものです。

大きさや色合いによっても、食卓に変化をつけられるのが「片口」のいいところ。

酒器としてはもちろん、お料理を盛りつけたり、ソースやミルクなどをアレンジしていくこともできる、「片口」の魅力をご紹介していきましょう。

縄文土器や弥生土器にもみられる形であり、日本で古くから親しまれてきたうつわのひとつであることがよく分かります。

注ぎ口がはっきり大きくついているものは、液体を注ぐのに適していますし、小さな可愛らしい口がついているものは、お料理などを盛りつけるのに向いています。

片口のうつわとしてもっともベーシックなのが、陶磁器のものです。釉薬のかかりかたや手触りなど、独特の味わいが出る片口のうつわです。

陶磁器は、ほかの食器との馴染みもよく、使い勝手がいいので、最初の片口として選ぶのもおすすめ。ほどよいアクセントを加えながら、上手に場に溶けこみます。

すっと伸びた注ぎ口が印象的なガラスの片口。丸みを帯びたシルエットがとても美しく見えますよね。中に入れた食べ物がよく見えるので、爽やかな盛りつけが楽しめます。

ガラスの片口のいいところは、カラーバリエーションが豊富なところ。クリアなガラスはなんにでも合い重宝しますし、色が入ったガラスなら、ひとつでも食卓のアクセントになってくれます。

片口といわれてすぐにイメージするのは、酒器としての使い方でははないでしょうか。注ぎ口を生かしたベーシックな使い方です。少し高さがあるものの方が、お酒を入れやすいですね。

お揃いのおちょこをつけると、安定した美を感じられます。ゆっくりと味わいながら、お酒をいただくのにぴったりです。

お料理のうつわとして使う片口は、注ぎ口があまり大きくないものの方がバランスよく盛りつけることができます。浅めの鉢で、シンプルなかたちのものを選ぶといいでしょう。

ごく小さな注ぎ口がついた片口は、小鉢として使うのがおすすめ。さりげない表情の変化が、いつものごはんをワンランク上に見せてくれます。

ほんの小さな注ぎ口ですが、あるとないとでは趣が全然違います。あえて、少なめの量を盛りつけて、余白の美を楽しんでみましょう。

プレートの上に小さな片口をのせてみるのも素敵。空間をきれいに区切って、それぞれの食べ物を引き立ててくれます。

小さい片口にドレッシングやソースを入れ、お料理に添えるという、テーブルセッティングもおすすめ。食べる直前にかけることができるので、お料理が水っぽくならず、見栄えよく仕上げられますね。

あえて別添えにしたソースを入れた片口。こちらのテーブルセッティングでは、プレートの上にのせてしまうよりも、上品で特別な感じがします。

パンケーキにシロップをかけるときにも片口は重宝します。液体を入れて使うときは、水切れの良さもポイントのひとつ。液ダレせず、すっと上手に切れるとなんだか嬉しくなりますよね。

コーヒーに添えるミルクにも片口は活用できます。ガラスの小さな片口にミルクを入れると、とても上品な雰囲気。洗練されたおうちカフェが実現します。

小さなお花を飾る花器としても、片口は使えます。アシンメトリーなかたちなので、お花を生けるとより一段と動きが感じられてお洒落に見えます。

注ぎ口の部分を生かして、お花をアレンジするのもいいですね。注ぎ口が繊細なお花をやさしくサポートしてくれます。

あえて注ぎ口とは反対方向に重心を置いたアレンジは、ぐっと目を惹く優雅さがあらわされています。すっと葉を大きく出しても、バランスよく見えますね。

ころんとした丸みのあるキュートなフォルムの片口です。ミルクピッチャーやドレッシング入れとしても重宝します。味わい深い土ものの良さを感じる作品です。

こちらは片口のついたすり鉢です。ごまを擦って、そのままごま和えにして食卓に出すことができるという便利なうつわです。深さもあるので、すこし汁気の多いものでもきれいに盛り付けられます。

伝統的な五彩の絵の具の色合いが、和の雰囲気を盛り上げてくれます。遊び心のある水玉模様のうつわは、洗練された印象を作り出してくれます。

ヴェネチアングラスの技法フィリグラーナ（レースガラス）でつくられた、三垣祥太郎さんの片口です。注ぎ口の表情がとても繊細で美しいですね。手にすっぽりとおさまる馴染みの良さも人気の秘密です。

華やかなねぶたの色鮮やかさをモチーフにしたという片口は、テーブルにうつる虹のような影も、とても素敵です。ひとつあるだけで、心が浮き立つような気持ちになれるうつわですね。

こちらの重心を低めにとったガラスの片口は、透明感があり、日本酒にぴったり。注ぎ口を生かして、こんな風に片側に寄せてお花を生けるのも面白いですね。まったりとした質感を堪能したくなる逸品です。

気になった片口はありましたか？やわらかなフォルムの片口はひとつだけでも存在感があり、食卓をリズミカルに演出してくれるうつわのひとつです。機会を見つけて、素敵な片口をおうちにお迎えしてみてくださいね♪