※本コンテンツはキナリノが制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
高円寺の銭湯「小杉湯」から広がる。"銭湯のあるくらし"
高円寺にある「小杉湯」と言えば、銭湯好きの間では特に人気の高い有名な銭湯。実はそんな「小杉湯」のお隣に、2020年3月中旬、新たな憩いの場が誕生しました。今回はその新スポット「小杉湯となり」について、誕生までのエピソードやこだわりのコンセプトなどを詳しくご紹介します。
※新型コロナウイルスコロナウイルスの影響で、取材当時から現在にかけて大きく方針が変わった「小杉湯となり」。2020年3月のオープン当初は、銭湯後に立ち寄れるスペースでしたが、6月からは「銭湯つきセカンドハウス」として、会員制度がスタートしました。日々アップデートされていますので、詳細などは、記事最後をご覧ください。
「小杉湯」ってどんなところ?
浴室内は白を基調とした明るい空間。壁に描かれた美しい富士山に心が洗われます。名物のミルク風呂や水風呂、日替わり湯や週替わり湯など、多彩なお風呂を楽しめるのも「小杉湯」の魅力です。
手ぶらでOK!居心地のよい脱衣所
脱衣所にも古き良き銭湯の雰囲気がそのまま残っています。普通サイズのタオルは無料、アメニティも充実しているので、女性でも手ぶらで気軽に立ち寄れますよ。
ユニークなイベントも話題に
「小杉湯」が話題になるのはお風呂の良さだけではありません。時には銭湯内がイベント会場となり、ライブやワークショップが催されることもあるんです。規定の価値観に囚われない自由な雰囲気が、若い世代から支持される理由の一つなんですね。
新たな憩いの場を作るために。「小杉湯となり」がオープン
そんな「小杉湯」のお隣りでは、あるプロジェクトのために新しい建物が建設されていました。2020年3月中旬にオープンしたばかりのその施設の名は、ずばり「小杉湯となり」。一体どんな場所なのか、創業メンバーのみなさんからその熱い思いを伺いました。
始まりは風呂なしアパートの「湯パート」から
元々「小杉湯」のお隣にあったのは、「小杉湯」さんが所有する風呂なしアパートでした。解体が決まったアパートを期間限定で貸し出すにあたり、"銭湯付き"という最大の魅力を活かして「湯パート」と命名。「小杉湯」の常連さんで様々な肩書きを持つ人たちに声をかけ、みんなで暮らしながら銭湯にまつわる活動を広げようという計画がスタートしたのです。
――メンバーにはどのような方たちがいらっしゃるのですか?
「建築家・デザイナー・プロデューサー・ライター・エンジニア・番台など、多様な職業のメンバーで構成されています。年代も20代前半から40代まで、"銭湯好き"な共通点をもちつつ、様々な視点でアイディアを出し合っています。」
湯パートの入居者が「株式会社 銭湯ぐらし」を設立
「湯パート」の入居者たちが企画した活動やイベントは、銭湯という場所が持つ可能性をさらに広げるものでした。「この活動をもっと展開していきたい」と考えたメンバーは、「株式会社 銭湯ぐらし」を設立。解体した湯パートの跡地に、新たなコミュニティスペース「小杉湯となり」を作ることになります。
――「小杉湯となり」の企画と運営をしているのは、「銭湯ぐらし」の皆さんということですか?
「はい。小杉湯のオーナーさんが、解体までの活用方法を検討していたところ、銭湯ぐらしの代表を務める加藤と出会い、プロジェクトがスタートしたんです。」
――「小杉湯となり」を作るきっかけとなったのは何だったのでしょう?
「働きすぎていたメンバーが多かったのですが、銭湯に入ることで、暮らしに余白をつくる大切さに気づき、今回の企画が生まれました。」
誰もが過ごせる"家"のような場所に。「小杉湯となり」に込めた思い
――「小杉湯となり」はどのような場所なのですか?
「銭湯が大きなお風呂であるように、自分の家に大きな台所や書斎がなくても、ここに来れば"くらしの余白"を感じられる場所になっています。1階では湯上りにぴったりなこだわりの果実酒サワーや手作りの小鉢メニューを提供します。2階は小上がりの畳になっているので、靴を脱いで本を読んだりゆっくり作業をしたりできます。3階は銭湯を一望できる6畳1間。定期的な催しものや一定期間以上の貸出を検討しています。」
「小杉湯となり」の完成をイメージした建築模型。随所にこだわりがあふれるデザインになっています。
――室内の雰囲気にも「小杉湯となり」らしさが表れているそうですね。
「2階の本棚は高円寺の商店街のお店や住民で持ち寄った本で構成されていたり、椅子やちゃぶ台などの家具は、家で長く使われていたものを募集し、持ち寄ってアップサイクルしたものです。人やまちのあたたかなぬくもりを感じる雰囲気になっています。」
――具体的なコンセプトはどんな風に決まったのでしょう?
「銭湯の前後に"どのように過ごしたいか?"、"何を食べたいか?"を何度も考えました。銭湯でアンケートを実施したり、実際に銭湯ユーザーである私たちで1年間計画を練りました。さらに、銭湯のように多世代の方や地域に愛される場所になるには、どうすればいいか考えました。例えばスタッフは、私たちに加え、地域で惣菜屋さんを営んでいた方や、常連のお母さんなどを雇用して、誰もが入りやすい雰囲気づくりを心掛けています。」
――予定通りに進まないこともあったとか?
「オリンピックなどの建設ラッシュの影響で、建材の入手が困難になり、着工が半年遅くなってしまいました。」
――「小杉湯となり」にどのような思いを抱いていますか?
「忙しい毎日や疲れた心に余白が生まれる場所になってほしいと思います。また、銭湯に入ったことがない方や、高円寺に来たことがない方にも、『小杉湯となり』をきっかけに、銭湯や街の魅力を紹介できればと思っています。」
「銭湯図解」の著者・塩谷歩波さんも「銭湯ぐらし」のメンバー
銭湯図解
1,650円〜(税込)
※価格等が異なる場合がございます。最新の情報は各サイトをご参照ください。
「株式会社 銭湯ぐらし」には、著書「銭湯図解」が話題となったイラストレーター・塩谷歩波さんも名を連ねます。「銭湯図解」は塩谷さんが実際に訪れた銭湯を精密な俯瞰図で描いたもの。設計事務所で働いていた経験を活かした、オリジナリティあふれる作品集です。
出典:www.instagram.com(@enyahonami)
塩谷さんが銭湯に魅了されるきっかけになったのは、体調不良で設計事務所を休職した頃。医師から湯治を勧められて銭湯に通い始め、日ごとに心と体が元気になっていくのを実感したそうです。
その恩返しのつもりでSNSに「銭湯図解」を投稿していたところ、「小杉湯」から声をかけられ、転職して番頭を務めることになりました。
その恩返しのつもりでSNSに「銭湯図解」を投稿していたところ、「小杉湯」から声をかけられ、転職して番頭を務めることになりました。
――まずは「銭湯図解」のことからお聞かせ下さい。出版にあたり、大変だったことはありますか?
「真夏に撮影したので、営業前のお風呂場が蒸し暑く、汗が止まらなくなって脱水気味になったことがあります(笑)。
出版の際には色校正がとっても大変でした。水彩による繊細な色味が持ち味なので、その表現にこだわった結果、4回校正していただくことになり、私というより印刷所さんが大変だったと思います……」
出版の際には色校正がとっても大変でした。水彩による繊細な色味が持ち味なので、その表現にこだわった結果、4回校正していただくことになり、私というより印刷所さんが大変だったと思います……」
――「情熱大陸」へのご出演が大きな話題となりましたが、実は撮影時にもご苦労があったそうで?
「本を入稿したタイミングで情熱大陸の撮影が始まったので、休む間もなくという感じで…ヘロヘロになった覚えがありますね。」
――塩谷さんは「小杉湯となり」にどのような思いを抱いていますか?
「となりのコンセプトの一つに、”余白”がありますが、余白について私はご自愛することと考えています。メールの最後にあるような一言ですが、要は自分の体の声を聞いてあげること。
普段、みんな日常を一生懸命生きているので、小杉湯にきて体をほぐした後、となりで過ごしながら体の声にちょっと耳を傾けられるような、そんな空間になったらなと思います。」
普段、みんな日常を一生懸命生きているので、小杉湯にきて体をほぐした後、となりで過ごしながら体の声にちょっと耳を傾けられるような、そんな空間になったらなと思います。」
出典:www.instagram.com(@enyahonami)
「体に寄り添うようなお茶やご飯を提案できたらいいな」と語る塩谷さん。ご自身の今後の活動については、こんな目標を聞かせて下さいました。
「最近考えていることは、銭湯が色んな人の生きづらさが和らぐ場所になってほしいな、ということですね。私自身、ずっと生きづらさを感じていましたが、銭湯ののびやかな空間やゆるい人との繋がりに癒されて大分生きづらさがなくなりました。それを、私だけでない多くの人もそういうふうに感じてもらいたいと思い、今は女性脱衣所を中心にして活動をやっていきたいなと思っています。」
▼塩谷さんが自分の思いをまとめた記事がこちら
「小杉湯となり」で"銭湯のあるくらし"に癒されてみない?
「小杉湯」を愛する人たちから生まれた、新たな憩いの場「小杉湯となり」。あなたもぜひ"銭湯のあるくらし"を体験して、ありのままの自分を発見してみませんか?
2020年6月からは「会員制度」がスタート!
昨今の新型コロナウイルスの影響で、くらしのあり方が大きく変わっていくなか、「小杉湯となり」は、大きく方針が変わりました。2020年6月からは、小杉湯と小杉湯となりをいつでも使えるという「会員制度」がスタート!(詳細は以下のnoteをご覧ください)
現在は、誰もが利用できる場所ではないそうですが、軒下やお庭で、会員以外の方にもイベントなど企画をしているとのこと。日々アップデートされていく「小杉湯となり」のこれからに、ぜひ注目したいですね◎
▼こちらも合わせてご覧ください。
「小杉湯」はJR高円寺駅から徒歩5分、商店街を抜けた静かな住宅街の中にあります。創業はなんと昭和8年、長い歴史を感じさせるレトロな佇まいが、銭湯好きの気分を高めます。