現在、日本全国には温泉地が3000近く存在しています。今回ピックアップした温泉地は、美しい歴史的な建物や街並みが残っている温泉地から、雄大な山や海に囲まれ、自然の織りなす美しさを肌で感じられる温泉地までさまざま。しかしどの温泉地も、日常や都会の喧騒から離れてゆったりとしたひとときを過ごすことができ、リフレッシュするにはぴったりのスポットです。次の旅行の目的地を探している方や、疲れを癒したいと思っている方は、ぜひチェックしてみてくださいね♪
PART1:歴史を感じる建築と街並みに、日常を忘れられる温泉
出典: 銀山温泉は、奥羽山脈の山あいを流れる銀山川沿いに広がる温泉地。1456年に発見された延沢銀山が始まりとされ、一時は廃鉱になったものの、温泉が発見されたことで1741年に再び温泉地として栄えるようになりました。大正~昭和時代にかけて、銀山川の両岸に3~4層の木造洋風建築や和風建築が建てられ、現在もほぼそのままの姿がのこされています。
出典: 銀山温泉の街並みを形作る木造の建物は、一軒一軒少しずつおもむきが異なり、独特のノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。昼は山々と青い空が映え、夜になればレトロなガス灯が街並みを照らし出し、昼と夜どちらも楽しめるのが魅力。冬になれば雪がつもり、また違った顔を見せてくれます。
出典: 温泉街の周辺には散策コースが整えられており、四季折々の自然を気軽に散策することができます。迫力満点の白銀の滝に、銀山抗から一年中冷たい風が吹き出す夏しらず抗、延沢銀山の歴史を肌で感じられる廃鉱洞など、見所は多数。もちろんそれぞれの宿にある露天風呂からも、銀山温泉の自然を満喫することができますよ。
出典: 四万温泉は、コバルトブルーの清流が美しいことで知られる、群馬県北西部の四万川沿いに点在する温泉街です。四万温泉の始まりには、2つの説があると伝えられています。平安時代、征夷大将軍として蝦夷征討を命じられた坂上田村麻呂が立ち寄ったという説と、源頼光の家臣が神託を受けて発見したという説です。少なくとも江戸時代には温泉宿があり、明治時代には湯治場として栄えていたという記録が残っています。
出典: そんな由緒ある四万温泉の宿の中でも、ひときわ美しい建物を持っているのが積善館です。積善館は、1691年につくられた老舗の温泉宿。古くからの湯宿建築を一部に残しながら増築を重ね、現在のようなおもむきのある宿になりました。赤い橋の向こうに高い建物がある景色が、とあるアニメ映画にそっくりだと言われ、映画ファンをも魅了しています。積善館は新緑に囲まれても雪に覆われても美しいですが、夜の明かりで暗闇に浮かび上がるのも、風情を感じられておすすめですよ。
出典: 昭和初期に作られたという元禄の湯は、積善館の見どころのひとつ。当時大きな湯船があまり作られなかったことから、小さな5つの湯船がひとつの空間に収められるという特徴的なつくりになっています。壁にはアーチ型の窓があり、タイミングによっては明かりが差し込む、洋風でモダンな雰囲気も魅力。その他にも露天風呂や貸切風呂、レトロ感満載のフロントなどもあるので、歴史の積み重ねの美しさを感じながら、ゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。
出典: 日本有数の温泉地、別府市のほぼ中央に位置する鉄輪温泉。別府八湯の一つに数えられる歴史ある温泉地で、鎌倉時代に僧侶の一遍上人が、噴気や熱湯が噴き出る「地獄」をおさめ、「むし湯」などをつくったことから始まったとされています。江戸時代から庶民にも名が知られるようになり、湯治場として利用されてきました。
出典: 鉄輪温泉最大の特徴は、街のあちこちから噴き出る湯けむり。これは高温の源泉を特別な装置にかけることで、温泉を液体と蒸気とに分け、蒸気のみが空中に排出されるようになっているからだそう。歴史を感じる入り組んだ街並みが湯けむりでかすみ、独特の景観をつくり上げています。
出典: 鉄輪温泉を歩いていると、100度にもなる高温の源泉を冷ますために考案された「湯雨竹」を見ることができます。通常、温泉を冷やすには加水するか時間をかけて冷ますかしかありませんでした。ところが、源泉が竹枝を伝わり落ちていく間に自然と冷える「湯雨竹」を使うことで、源泉の質を損なうことなく50度以下にまで下げて利用できるように。もうもうと湯気を立てながら竹枝を源泉が落ちていく様子は、湯けむりと同様鉄輪温泉ならではの景色の一部になっています。
PART2:山と海の自然美に、心も体も癒される温泉
出典: 東京から車で約4時間。奥飛騨温泉郷のひとつである平湯温泉は、飛騨山脈乗鞍岳の北側のふもと、海抜1,250mのところにある温泉地です。かつて負傷した武士が、白い老猿が温泉に入って元気を取り戻すのを見て、自分たちも傷を癒したという伝説が残されており、奥飛騨温泉郷のなかで最も古い歴史を持っていると言われています。
出典: 平湯温泉から車で5分もかからないところには、「飛騨三大瀑布」や「日本の滝百選」にも数えられる「平湯大滝」があります。高さ64m、幅6メートルを誇る大滝は遠くからでも迫力満点!毎年冬には氷結する姿が見られ、ライトアップされます。また車で30分ほどのところには、国の文化財にも指定されている景勝地「上高地」をはじめ、日本百名山にも選ばれた荒々しい山肌が魅力の「焼岳」などがあり、自然を思い切り満喫できるスポットとなっています。
出典: 平湯温泉には40以上もの源泉があり、源泉によってそれぞれ違った泉質を持っています。源泉かけ流しの温泉に入れる宿や、貸切露天風呂を利用できる宿も多く、本物の温泉と平湯の自然をひとり占めするような気分で楽しめるのが魅力。もちろん、湯めぐりにもぴったりです。
出典: 塩原温泉は、栃木県那須野が原を流れる、箒川の渓谷沿いに立ち並ぶ温泉地。1200年以上の歴史があり、平安時代の僧侶・如葛仙によって発見されたのが始まりとされています。泉質や色合いの異なる150以上もの源泉が湧き出していることから、別名は「塩原十一湯」。周辺には国立公園にも指定されている豊かな自然が広がり、秋になると紅葉を求めて多くの観光客が訪れます。
出典: 塩原温泉では、どの宿でも自然に囲まれながらゆったりとした時間を過ごすことができます。なかでも、300年続く老舗旅館・明賀屋本館の露天風呂はイチオシ!渓谷を流れる箒川のすぐそばに露天風呂があり、自然と一体になったような感覚を楽しみながら、源泉かけ流しの温泉つかることができます。館内には5つの源泉、10のお風呂があり、1つの宿にいながら湯めぐり気分も楽しめますよ♪
出典: 四季折々の移り変わる木々や花々、天狗岩をはじめとした奇岩、そしてエメラルドブルーの清流に彩られる渓谷も、塩原温泉の見どころのひとつ。渓谷には多種多様な吊り橋がかけられており、そこから見られる景観と合わせて名所になっています。一番有名なのが、塩原ダムにかかる全長320mのもみじ谷大吊橋。振り返りたくなるほど景色の美しい回顧の吊橋や、紅葉の季節鮮やかな赤色に囲まれる紅の吊橋もおすすめです。
出典: 串本温泉は、和歌山県紀伊半島、本州最南端に位置する串本町にある温泉地です。最大の見どころは、国の名勝や天然記念物にも指定されている橋杭岩。海岸から対岸の大島に向かって、約850m、40以上の岩の柱が立ち並んでいます。かつて弘法大師と天邪鬼が、どちらが一晩で橋を架けられるか賭けをしたという伝説が残っており、弘法大師があと一息で終わるという時に、天邪鬼の鶏の鳴きまねのせいで作りかけになってしまったそうです。
出典: 串本温泉の露天風呂からは、そんな橋杭岩や見渡す限りの太平洋を眺めることができます。夕方や早朝の時間帯は特に圧巻!橙色に染まる空と水面に、大小の岩々が規則正しく並ぶ橋杭岩のシルエットが浮かび上がり、まさしく橋の杭のよう。見る角度によって違った景色を楽しめるので、温泉の外でもぜひ橋杭岩を探してみてくださいね。
出典: 串本沿岸の一部のエリアは、ラムサール条約に登録されていることでも知られています。というのも、串本沿岸には黒潮が流れ込み、その影響で亜熱帯同様のサンゴ群落が形成されるなど、豊かな海が広がっているんです。そんな海の恵みを中心に、おいしく新鮮な「食」が楽しめるのも、串本温泉の魅力のひとつと言えるでしょう。
出典: 熱海温泉や土肥温泉、伊東温泉など、有名な温泉地が点在する伊豆半島。その中でも自然豊かな東伊豆エリアに位置する北川温泉は、海岸沿いにあり太平洋を一望することができます。四季折々少しずつ違った風景を見せる海と、太陽や月が織りなす絶景を、特等席で味うことができる温泉地です。
出典: 北川温泉の中でも、特に海に近い距離で温泉を楽しめるのが黒根岩風呂です。黒根岩風呂は波打ち際のすぐそばにある公営の露天風呂で、湯舟につかると温泉が海と一体になっているかのよう。波の高い日には波しぶきが飛んでくることもあり、開放感と迫力は満点です。太平洋を水平線まで見通すことができるので、黒根岩風呂は”アメリカを見ながら入る野天風呂”とも言われています。
出典: せっかく訪れるなら、日の出・日の入りの時刻や満月の時期にタイミングを合わせてみて。遮るものがないので、夕日や日の出は絶景!また満月には、月の光が海の上に道をつくる様子が見られ、温泉地の人々には「ムーンロード」と呼ばれて特に愛されてきました。満月の前後3日間を「ムーンロード日和」と言って、温泉地の各地で特別なサービスが行われています。
PART3:大空につつまれて、夢見心地になれる温泉
出典: 長野県南部を流れる阿智川沿いに、40軒以上の宿が軒を連ねる昼神温泉があります。1973年に開かれた比較的新しい温泉地ですが、約250年前の古文書に温泉が湧き出て人々を湯治したという記述が残っており、その歴史はさらにさかのぼると考えられています。4月~5月にかけて、約40kmのはなもも街道沿いに並ぶ約1万本の花桃が、一斉に花をつけることでも知られ、赤、白、ピンクの花たちが桃源郷のように阿智村を彩る様子を見ることができます。
出典: かつて、公害や大気汚染問題を広めるため、双眼鏡や肉眼などで人々に星空を観測してもらうという環境省主導の全国星空継続観察が行われていました。そこで阿智村は”日本一星空が綺麗な村”に認定!現在では、日本で最も星空が美しく見える場所として知られるようになりました。
出典: 昼神温泉を訪れたなら、その美しい星空は見逃せません。どの宿の露天風呂に入っても、見上げれば”日本一の星空”が広がり、季節によっては鮮やかな花桃と一緒に楽しむことができます。”美肌の湯”とも呼ばれる泉質の昼神温泉につかりながら、星空に包まれるようなひとときを過ごしてみてくださいね。
出典: ほったらかし温泉は、JR中央本線山梨市駅から車で約10分、標高約700メートルのところにあります。手作り感満載の建物の中には2つの湯舟があり、その周辺に休憩所やおみやげ屋などが点在する小さな天然温泉施設です。名前の「ほったらかし」の通り、温泉以外は基本的にほったらかし。肩ひじ張らず気楽に温泉に入りたいという方にもおすすめのスポットです。
出典: 湯舟のひとつは、オープン時からある「こっちの湯」。岩と木でつくられた風情ある湯舟からは、天気が良ければ富士山をのぞむことができます。タイミングによっては眼下に雲海が広がり、富士山とのコラボレーションも楽しむことができますよ。
出典: もうひとつの湯舟「あっちの湯」はより広々としており、全面に甲府盆地が広がって開放感抜群!昼に訪れれば見渡す限りの絶景を、夜に訪れれば宝石をちりばめたような夜景を一望することができますし、夕日や日の出も見逃せません。一期一会の景色が見られる、何度も訪れたくなる温泉です。
出典: 北信五岳のうちの最高峰であり、日本百名山のひとつにも数えられる新潟県・妙高山。赤倉温泉は、そのふもとに広がる妙高高原にあります。1816年、高田藩による藩営温泉として始まり、尾崎紅葉・岡倉天心・与謝野晶子といった明治・大正期の文人にも愛されてきました。現在はゴルフ場やスキー場が建設され、リゾート地としても人気があります。
出典: 赤倉温泉では、2つの泉質を持つ天然温泉が利用されています。中でもおすすめは、赤倉観光ホテルにある大きな露天風呂!妙高高原が一望できるだけでなく、運が良ければ眼下に雲海が広がり、まるで空の上に浮かんでいるかのような気分を味わうことができます。
出典: 四季折々に移り変わる豊かな自然も、赤倉温泉の魅力のひとつ。春には妙高高原のいもり池の水芭蕉が見ごろを迎え、夏には青々とした緑に爽やかな風が吹き、秋には紅葉が山頂から下って来て、冬には一面の銀世界が広がります。温泉を楽しんだら、ぜひ周辺も散策してみてくださいね。
建物や街並み、豊かな自然が楽しめる美しい温泉への旅は、心も体もリフレッシュさせてくれる最高の癒し旅。あなたの心に響く温泉が見つかったなら、"いつか行きたい旅行先リスト"に加えて、いつか必ず訪れてみてくださいね。
銀山温泉の街並みを形作る木造の建物は、一軒一軒少しずつおもむきが異なり、独特のノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。昼は山々と青い空が映え、夜になればレトロなガス灯が街並みを照らし出し、昼と夜どちらも楽しめるのが魅力。冬になれば雪がつもり、また違った顔を見せてくれます。