歴史を感じる、関西の美しい温泉
その場所でしか見られない景色をながめながら、その地域の美味しいものを食べ、ゆったりと温泉につかる。何物にも代えがたい、癒しのひとときですよね。今回ご紹介する関西エリアには、古くから親しまれてきた名湯や、歴史上の人々に愛されてきた絶景が多数。温泉で体も心も癒されるだけでなく、歴史の織りなす美しさも感じながら、特別なひとときを満喫してみてくださいね。
PART1：自然がつくり上げる美しさを味わう。
【和歌山県】南紀勝浦温泉
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和歌山県那智勝浦町の海沿い、紀の松島から勝浦港にかけて広がる、南紀勝浦温泉。付近には世界遺産にも登録されている「熊野那智大社」などがあることから、熊野詣の拠点としても利用されている温泉地です。ホテルや旅館が点在する海岸はリアス式海岸になっているのが特徴で、入り組んだ地形が織りなす四季折々の海景を一望することができます。
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南紀勝浦温泉の「ホテル浦島」には、そんな地形を生かした絶景温泉があります。その名も「忘帰洞」。岩肌に荒波が打ちつけ、長い時間をかけて侵食して生まれた、天然洞窟内にある温泉です。大正時代、紀州徳川家の当主・徳川頼倫が訪れ、帰るのを忘れてしまうほど美しいと言ったことから名付けられました。ごつごつとした岩の間から、果てしなく広がる水平線をながめ、絶え間ない波の音に身を任せていると、本当に帰るのを忘れてしまいそうになります。
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温泉の後、忘れてはならないのが熊野古道の散策です。熊野三山の一つ「熊野那智大社」や、高さ133mを誇る那智山信仰の源「那智の滝」、那智山へ向かう参道である熊野古道「大門坂」などがある世界遺産エリアへは、車で約20～30分。深い森に囲まれ、どこか背筋が伸びるような神聖さの中を歩いていると、心が洗われるような気分を味わうことができます。
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【兵庫県】湯村温泉
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兵庫県北部、鳥取県に隣接する新温泉町に位置する、湯村温泉。848年、慈覚大師によって開かれたと伝えられている、歴史ある温泉地です。98度の温泉が、1分間あたり470リットルわき出るという豊富な湧出量を誇っており、天然かけ流しの足湯や天然温泉を存分に楽しむことができます。
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見どころは、源泉が噴き出る「荒湯」！高温のため湯気がもうもうと立ちのぼっており、街並みをかすませるほど。近くにはネット入りのタマゴやサツマイモなどが販売され、荒湯で茹でることもできます。小腹が空いたらぜひ試してみてくださいね。さらに、夜になると街灯の明かりに湯けむりが浮かび上がり、昼とは一味違った幻想的な景色が広がります。
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湯村温泉周辺は、雲海に包まれた姿で知られる「竹田城跡」や、約1300種類もの植物が見られる「但馬高原植物園」、秋には一面ススキの原となる「小又川渓谷」など、豊かな自然に囲まれています。中でもおすすめは「シワガラの滝」。入り口から遊歩道を歩いて約1kmのところに、洞窟内を流れ落ちる高さ10mの滝が現れます。差し込む光に照らされる、苔の鮮やかな緑と滝の白さのコントラストは絶景。洞窟内に響く音を聞いていると、疲れも吹き飛びます。
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【京都府】天橋立温泉
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京都府にある「天橋立」は、海流の流れにより、内海の阿蘇海と宮津湾を区切るように砂が堆積し、何千年もかけてつくられた砂州です。古事記や丹後国風土記に記された国生み神話にも登場し、神々が天から地上を見下ろす時に立っていた場所とも、神々が天から降ろした梯子が倒れたものとも伝えられています。そんな天橋立をのぞむ場所に、天橋立温泉があります。
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日本三景のひとつに数えられる景勝地として、江戸時代初期にはすでに広く知られていた天橋立。近くには「三人寄れば文殊の知恵」のことわざが生まれたと言われる智恩寺や、身代わり観音の説話で知られる成相寺などがあり、もともと多くの観光客が訪れていました。しかし次第に客足が減り始め、挽回するため1999年に温泉の掘削を開始。見事温泉が見つかり、現在に至っています。
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ホテルや旅館によっては、湯舟につかりながら天橋立をながめられるところも。その姿は龍にもたとえられ、見る方角や時間によってさまざまな表情を見せてくれます。約5000本もの松が両脇に立ち並ぶ天橋立の一本道は、徒歩やレンタサイクルで通ることも可能。途中には海水浴場もあり、レジャーにももってこいです。ぜひ遠くからも近くからも、この絶景を満喫してくださいね。
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PART2：時の移り変わりの美しさを楽しむ。
【奈良県】野迫川温泉
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奈良県吉野郡野迫川村の山間に位置する、野迫川温泉。護摩壇山や伯母子岳に囲まれた自然豊かな立地で、川原桶川沿いにたたずんでいます。1200年を超える歴史を持つ仏教の聖地、高野山へは約20kmほどの距離。高野山から熊野本宮大社へ通じる熊野古道「小辺路」ルートにも近く、参拝前後の宿泊地としても利用されています。
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渓谷地にある野迫川村は、一年を通じて雲海が発生しやすい場所としても知られています。せっかく野迫川温泉を訪れたなら、ちょっと早起きして絶景を見に行きませんか？雲海を見る時は、雨が降るなどして湿度が高く、夜と朝の寒暖差が大きい日を狙って。さらに風の弱い快晴の天候で、夜明け前から早朝の時間帯がベストです。
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雲海を見るのにおすすめのスポットは、県道53号線・733号線沿いの「雲海景勝地」という看板が立っている場所や、日本三荒神のひとつに数えられる立里荒神社の境内など。立里荒神社へはバスが出ているほか、ホテルからの送迎も応相談だそうです。夜明け前からだんだん日が昇って来て、刻々と姿を変える雲海に朝日が差し込む様子は、雲の上の別世界へ来てしまったかのよう。その時、その場所でしか見られない、一期一会の景色です。
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【兵庫県】赤穂温泉
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赤穂温泉は、兵庫県南部、瀬戸内海に面した赤穂市に位置しています。赤穂市と言えば、江戸時代のころ君主に忠誠を誓い、討ち入りを果たした赤穂浪士たちの出身地。浪士たちが眠る「花岳寺」をはじめ、「大石邸長屋門」や「赤穂城」など、歴史の痕跡が各地に残されています。歴史好きの方はもちろん、「忠臣蔵」の演目でも愛される歌舞伎や映画のファンも数多く訪れます。
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とはいえ、赤穂温泉のみどころは史跡だけではありません。海沿いに広がる温泉地は、瀬戸内海を一望できる絶景スポット。中でも「銀波荘」の露天風呂からは、日本夕陽百選にも選ばれた美しい夕日と、西日本最大級と言われる広大なパノラマビューが広がります。
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客室の中には、室内からも瀬戸内海を一望できるお部屋や、露天風呂付で大パノラマを独り占めできるお部屋もあります。日が落ちていくと、だんだんと色合いが移り変わり、空も海も湯舟も一体になったかのような感覚に。時間を忘れて見入ってしまう、圧巻の光景を楽しむことができます。
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【京都府】夕日ヶ浦温泉
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夕日ヶ浦温泉は、太平洋に伸びる丹後半島の根元に位置する、京都府京丹後市の温泉地です。温泉地のすぐ近くにある夕日ヶ浦は、地域を代表する夕日の名所。空を橙色に染めながら日が沈んでいき、海面がきらきらと輝く様子は別の世界が写り込んでいるようで、別名「常世の浜」とも呼ばれています。
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夕日ヶ浦の夕日は、日が沈めば沈むほど桃色を帯びていき、息をのむほどの美しさ。最後には青色が深まって、夜闇に包まれていきます。8kmにもなるロングビーチには、散策路に並ぶベンチや風情漂うブランコがあり、フォトスポットとしてもおすすめ。宿の中には客室や温泉からこの絶景を眺められるところもあり、楽しみ方はさまざまです。
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夕日ヶ浦温泉は、大阪・京都・神戸から電車で2～3時間という好立地にあります。海水浴や釣りなどを楽しめるのはもちろん、松葉ガニなど海の幸をふんだんに振る舞ってくれるお料理も魅力。ゆったりとくつろぎのひとときを過ごしながら、夕日を堪能できますよ。
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【滋賀県】おごと温泉
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おごと温泉は、琵琶湖畔に広がる滋賀県の温泉地。京都から車で約20分のところにあり、滋賀・京都を中心に多くの方が訪れます。温泉地からはすぐ近くに琵琶湖が広がり、湖上に浮かぶ仏堂「浮御堂」や、琵琶湖を横断する大橋をめぐるクルーズ船の利用も可能。湖の雄大さや広大さを肌で感じることができます。
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日没の時間帯が訪れると、空が鮮やかに染まり、琵琶湖に浮かぶ島のシルエットとのコントラストがくっきり。夜が近づくと、今度は対岸の街の明かりが輝きを増していきます。海や山の日没とは一味違ったおもむきで、見逃せない琵琶湖の魅力のひとつです。
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また、おごと温泉は日本有数の霊山・比叡山へ、車で約30分ほどのところにあります。古事記の時代から神様のおわす山として信仰の対象だった比叡山には、天台宗総本山である延暦寺もあり、温泉を参拝前後に利用する方も多数。比叡山が目的だという方も、ぜひおごと温泉で疲れを癒してくださいね。
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PART3：歴史と人が織りなす美しさを感じる。
【奈良県】洞川温泉
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洞川温泉は奈良県南部、大峯山のふもとに広がる温泉地。大峯山は、修験道の始祖・役小角によって開かれ、かつては女人禁制とされた修験道発祥の地です。古くから行者が修行に訪れていたため、登山口にあたる洞川温泉周辺にはもともと旅館や民宿が多数軒を連ね、人びとの疲れを癒していました。1970年代に温泉が見つかり、大峯山などへの登山の拠点として利用されるだけでなく、今では女性も訪れる観光地となっています。
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温泉街には風情ある木造建築が立ち並び、街の歴史をしのばせるレトロな雰囲気が漂います。宿の中には、創業500年の歴史を持つところも！特に夜、提灯の明かりに照らされる景色は、幻想的で神秘的。歩いていると、修験者になった気持ちが味わえるような気がします。また、洞川温泉は標高約820mのところにある冷涼地のため、夏には青々とした山と街並みのコントラストが、雪の降った冬には銀色の街並みを楽しめるのも魅力です。
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洞川温泉周辺には、修験道に関わる寺社仏閣やミュージアムが多数。せっかく訪れるなら、その歴史や雰囲気も味わってみてくださいね。さらに、県の特別天然記念物に指定されている鍾乳洞もおすすめスポット。このエリアの岩石には石灰岩が含まれており、何万年もの時間をかけて石灰岩が水に溶け、浸食されて鍾乳洞が生まれたそうです。ライトアップされた洞内は地下宮殿のようとも言われ、迫力満点。長い時間の積み重ねに想いをはせながら探検したいですね。
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【兵庫県】城崎温泉
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兵庫県北部の海の近く、大谿川沿いにある温泉地、城崎温泉。その歴史は1300年前にもさかのぼり、舒明天皇の時代にコウノトリがケガを癒した場所に湧いたとも、717年に僧侶・道智上人が開いたとも伝えられています。鎌倉時代には歌人・藤原定家の日記に「木崎湯治」として登場し、大正時代には小説家・志賀直哉が滞在して「城の崎にて」という小説を書くなど、数々の歴史的人物に愛されてきました。
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城崎温泉といえば、大谿川沿いに並ぶ柳並木と、レトロな街並みを思い浮かべるのではないでしょうか。大正14年、城崎の街は大地震に襲われ、壊滅的な被害を受けました。しかし城崎の人々は立ち上がり、昭和10年ころには今の街並みが出来上がったそう。まるで町全体がひとつの宿のように風情にあふれているのは、そうして復興を遂げたからなのかもしれませんね。この街並みは”日本一浴衣姿が似合う場所”とも言われ、あなたも浴衣をレンタルして、景色の一部になって湯めぐりを楽しむことができますよ。
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城崎温泉から車で約40分ほどのところには、同じく古い町並みを楽しめる町・出石があります。かつてこの街は、出石城の城下町として整備され、碁盤の目状の街並みがつくられました。今では”但馬の小京都”と呼ばれ、明治4年に建てられた辰鼓楼をはじめ、昔ながらの風景がのこされています。城崎温泉にやってきたなら、街歩き好きの方はぜひ出石も訪れてみてくださいね。
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【和歌山県】湯の峰温泉
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1800年ほど前に発見された、日本最古とも言われる温泉地、湯の峰温泉。和歌山県南部の山間、「熊野本宮大社」につながる熊野古道「中辺路」ルートの途中に位置しています。かつては熊野詣に向かう人々の湯垢離（ゆごりば）、つまり身を清める場所として利用され、栄えてきました。温泉地の中央にある「つぼ湯」は世界遺産の一部に登録されており、今でも訪れた人々の心身を癒しています。
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湯の峰温泉の見どころは、やっぱり「つぼ湯」でしょう。天然岩でかこまれた湯舟に、底から直接天然温泉がわき出る、2～3人しか入れないほど小さな温泉です。30分交代制で入浴することができるので、カップルやご家族でも利用OK。白濁した湯は日に7度色を変えるとも、死の淵にいた人が湯につかって息を吹き返したとも言い伝えられており、どこか神秘的な雰囲気が漂います。
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深い山に抱かれた温泉街には、歴史を感じさせる宿が軒を連ね、湯けむり越しに昔ながらの雰囲気を感じることができます。その景色はまるで、山奥の秘境にやってきたかのよう。熊野詣の拠点にも、古いおもむきを残す町並みでのんびりした時間を過ごすにも、ぴったりの温泉地です。
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次の旅行はどこへ行く？
世界でも有数の温泉地を持つ日本には、3000近くの温泉地があると言われています。思う存分お出かけを楽しめる時がやってくるまで、その中からあなたのお気に入りの温泉を探してみてください。選りすぐりの美しい温泉は、あなたの心も身体も癒してくれるはずです！
