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秋は、夜の時間が長く感じられる季節。長時間物語に没頭するのもいいですが、ミステリーの場合は少しだけ頭を使うので、時には一息つくことも大切です。その時間に自分なりの推理をしたり、情報を整理したりすることも、楽しみ方のひとつですよね。今回の記事でご紹介するドリンクは、そうした小休憩にもおすすめ!頭がすっきりとして、より物語に没頭させてくれるはずです。
PART1:何気ない毎日にひそむ謎!日常ミステリー
いつもと変わらない日常の中にも、実はたくさんの謎がひそんでいます。ミステリーというと殺人が起こったり、事件に遭ったりする展開をイメージする方も多いかもしれませんが、まずご紹介するのはそんな重大な出来事の起こらない、日常の謎を解く物語。飲み物を飲みながら、肩の力を抜いてゆったり楽しみたい方におすすめです。
■『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』岡崎琢磨(宝島社)
京都の街中にたたずむ、「純喫茶 タレーラン」。主人公のアオヤマは、喧嘩した彼女を追いかけて、偶然この喫茶店を見つけます。店内には女性バリスタ・切間美星がおり、彼女の淹れるコーヒーに魅入られたアオヤマは足しげく通うようになるのですが…。物語の途中にはコーヒーに関する知識が織り込まれており、読んでいると香ばしいかおりが漂ってくるよう。自然とコーヒーを飲みたくなります。
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
712円〜(税込)
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出典: コーヒーを飲みたくなる喫茶店での物語には、シンプルにコーヒーの香りを楽しめるシンプルなレシピがおすすめ。専門店で作中に登場する種類のコーヒー豆を買って、ご自宅で挽くところからチャレンジしてみれば、より物語を楽しめますよ。
■『配達あかずきん―成風堂書店事件メモ』大崎梢(東京創元社)
杏子は、駅ビルの六階に入っている書店・成風堂に努める書店員。バイトの多絵とともに働きながら、訪れる人が持ち込む謎を二人で解決していくという物語です。書店が舞台というだけあって、さまざまな本が登場するのが魅力で、知っている本が登場したときには思わずにやにやしてしまうかも。書店員という仕事も身近に感じられ、お仕事小説としても楽しめます。
配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
550円〜(税込)
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出典: 物語を通して穏やかな空気が流れ、爽やかな読後感が楽しめるミステリには、爽やかなドリンクを合わせましょう。紅茶ゼリーを炭酸水と楽しむレシピで、甘い方が好きな場合は炭酸水をサイダーなどに変えてもOK。寒天で作るので、それほど時間もかからず出来上がりますよ。
PART2:涙なしには終われない。心温まる感動ミステリー
ミステリーの中には、人の感情を揺さぶり、温かい気持ちにさせてくれる物語もあります。そんな物語には、温かいドリンクを合わせるのがおすすめ。寒さが日々増していく季節、この組み合わせが心も身体も温めてくれますよ。
■『重力ピエロ』伊坂幸太郎(新潮社)
優しい両親と、兄の泉水、二つ年下の弟・春は四人家族。彼らにはつらい過去があり、大人になってもその出来事が影響を及ぼしていました。ある時、仙台市内で連続放火事件が起こります。火事現場にはグラフィティアートが必ず描かれているという奇妙な事件でしたが、そこには兄弟二人にも関わる謎が隠れていて…。結末は、賛否両論を呼ぶかもしれません。しかしそこには確実に家族を想う温かい気持ちがあふれており、きっと心を動かされてしまうはずです。
重力ピエロ (新潮文庫)
693円〜(税込)
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出典: 心を動かされてどうしようもない時は、温かくて甘い飲み物で元気を取り戻して。こちらは、はちみつとしょうがを使ったレシピです。作り方のポイントは、コーヒー豆としょうがを一緒に抽出すること。しょうがの強い風味がまろやかになり、じんわりと心も体も温めてくれます。
■『一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常』二宮敦人(幻冬舎)
主人公は、蛍川鉄道の藤乃沢駅で働く鉄道員の夏目壮太。個性豊かな同僚たちとともに、毎日鉄道員としての仕事に明け暮れていました。忘れ物探しや幽霊の噂など、駅で生まれるさまざまな謎を解決していく夏目。しかし大雪が降ったある日、車両が孤立してしまい…。当たり前の毎日のありがたさを噛みしめられる1冊です。
一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常 (幻冬舎文庫)
606円〜(税込)
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出典: 物語のクライマックスは、大雪の中でのこと。肝が冷える展開に、読んでいると一層寒く感じられることでしょう。そんな時には、ココアで体を温めるのがすすめ。甘い大きなマシュマロをひとつ乗せて、甘くておいしい一杯を楽しんでくださいね。
PART3:非日常の世界で繰り広げられる、奇妙なミステリー
ミステリーは、日常からちょっと離れた世界にもひそんでいます。どんな世界なのかを探りながら、そこで暮らす人々がどんな人物なのか、何を思い、どんな謎を隠しているのかという、スケールの大きな推理を楽しめる2冊です。
■『折れた竜骨』米澤穂信(東京創元社)
ファンタジーもミステリーも好き!という方にぜひおすすめしたい1冊です。舞台は魔法や怪物が登場する十二世紀末、ロンドンから船で三日ほどのところにあるソロン諸島。主人公のアミーナは、その諸島を治めるエイルウィン家の娘でした。ある時、島を訪れた騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラと出会うのですが…。ファンタジーの世界で繰り広げられるミステリー?と驚いた方は、緻密に構成された世界観と謎に、さらに驚かされるはずです。
折れた竜骨 上 (創元推理文庫)
680円〜(税込)
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出典: ヨーロッパが舞台の物語には、ワインが登場します。せっかくなら、ひと手間くわえて飲みやすいホットワインにしてみましょう。こちらのレシピの特徴は、赤ワインを紅茶で割り、フルーツをたっぷり入れること。アルコール度数や渋味が弱まり、スムーズに物語の世界にいざなってくれます。
■『黒祠の島』小野不由美(新潮社)
調査事務所で働く式部剛は、突然失踪した知人・葛木志保を追って、九州北西部にある夜叉島を訪れます。出会った島民に葛木志保を知らないか、と尋ねる式部でしたが、どの島民も多くを語ってはくれません。それどころか調査を邪魔するような動きも見えてきて、そのうち島に伝わる”邪教”の存在に行き着くのですが…。式部が次々と島民に話を聞いていくストーリーですが、次々と新たな事実が判明し、ページをめくる手がとまらなくなります。
黒祠の島 (新潮文庫)
782円〜(税込)
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出典: 閉鎖的な島の物語には、同じくらい濃厚でダークなラテを。材料をミキサーに入れて混ぜるだけの簡単レシピで、ゴマの風味豊かなドリンクが出来上がります。ホイップクリームは好みで量を調整してくださいね。
PART4:全てが伏線に見えてくる!謎が謎を呼ぶ本格ミステリー
「本格ミステリー」とは、推理小説の中でも謎解きやトリックが巧妙で、名探偵あるいは”名探偵役”となる登場人物が活躍する物語です。様々な「本格ミステリー」と呼ばれる小説がありますが、ここではその中でもおすすめの2冊を厳選しました。
■『星降り山荘の殺人』倉知淳(講談社)
仕事上の失策で別の部署へ左遷され、スターウォッチャーの星園詩郎の付き人になることになった、杉下和夫。星野に連れられて訪れたキャンプ場で、UFO研究家や会社の社長、作家、女子大生などと一緒になります。その夜は会話に花が咲き盛り上がったのですが、翌日社長が殺されているのが見つかり…天候の悪化により、外部との連絡ができない極限状態で繰り広げられるミステリーです。
新装版 星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
990円〜(税込)
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出典: 本書の特徴は、章ごとの冒頭に作者からの但し書きがついており、読者を惑わすこともあるということ。読み手は作者の意図は何なのか、犯人は誰なのかという推理を楽しむことができます。頭を働かせる必要がある時には、コーヒーとお酒を組み合わせた、目の冴えるようなカフェコンテを飲むのがおすすめ。入れるお酒はグラッパ、ウィスキー、ブランデーと自由ですよ。
■『すべてがFになる』森博嗣(講談社)
十歳から天才プログラマとして名をはせていたにもかかわらず、十四歳の時に両親を自らの手で殺害した疑いで逮捕された、工学博士の真賀田四季。工学部の助教授である犀川創平と、その恩師の娘であり大学一年生の西之園萌絵は、ゼミ旅行で四季がいるという孤島の私立研究所を訪れます。ところがその研究室で恐ろしいことが起こって…。隔離された空間で、なぜ、なんのためにそんなことが起こったのか。創平と萌絵が謎を解き明かしていく物語です。
すべてがFになる (講談社文庫)
806円〜(税込)
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出典: 難しい用語が飛び交いつつも、じっくり読んでいくことで展開にぐいぐいと引き込まれていく本書。季節の果物である梨を使ったさわやかなサイダーで気持ちをスッキリさせれば、最初は入り込みにくい物語にも、自然と没頭させてくれますよ。添えるレモンやミントはお好みでどうぞ。
PART5:一生に一度は読んでみたい!名作ミステリー
秋の夜長に読書の時間がゆっくり取れるなら、普段はなかなか手を出せない古い本や名作と呼ばれる作品に挑戦するチャンス。ミステリー好きの方もそうでない方も、ぜひ一度は手に取ってほしい作品を集めました。
■『十角館の殺人』綾辻行人(講談社)
舞台は、角島という孤島にそびえる、十角形の奇妙な館「十角館」。かつて角島には青屋敷と呼ばれる建物もあり、中村青司という人が家族とともに暮らしていましたが、火事により亡くなってしまったことで、現在は無人島になっています。大学で推理小説研究会に所属する7人は、そんな島に残る「十角館」を訪れ、火事の真相を明らかにしようとするのですが…。1987年に出版されており、現代とは少し違った点も多数ですが、結末には驚くこと間違いなし!ミステリーに挑戦する時には必読の1冊です。
十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)
946円〜(税込)
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出典: 一体誰が犯人で、なんのために犯行に及んだのか…そんなことを考えながら楽しめるミステリー。白黒はっきりつけたい時には、ミルクとコーヒーで二重構造をつくるこちらのレシピがおすすめ。氷をしっかりつかって、ミルクを注ぐときには氷に充てるようにするのが、きれいな二層を作るコツです。
■『モルグ街の殺人・黄金虫 ポー短編集II ミステリ編』エドガー・アラン・ポー(新潮社)
主人公の「私」は、モンマルトルの図書館でC・オーギュスト・デュパン氏という人物と出会います。彼は没落した貴族の出でしたが、素晴らしい推理力を持っていて、人の考えや気持ちなどいろいろなことを言い当てました。そんなある時、「モルグ街」のアパートメントから猟奇殺人があったというニュースが入ってきて…。有名な「モルグ街の殺人」以外にも、今の推理小説に大きな影響を与えたとされる短編ばかりを集めた短編集です。
モルグ街の殺人・黄金虫 ポー短編集II ミステリ編 (新潮文庫)
539円〜(税込)
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出典: 1841年に書かれた古いミステリーのため、最初は文章などが分かりにくいかもしれませんが、じっくり読んでいけば自然と理解が深まるはず。そこでお勧めしたいのが、炭酸水と紅茶の意外な組み合わせ、スパークリングティー。物語と同様、最初は理解できないと思っていても、じっくり向き合うことでそのおいしさが分かってくるはずです。
長時間読書をしていると、少し読み疲れた時、内容がすっと頭に入ってこない時などがあるものです。そんな時手元にドリンクを置いておけば、気軽な気分転換になって、より読書を楽しめるはず。ぜひ今回の記事で、読書のお供にしたい1杯を見つけてみてくださいね。
■『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』岡崎琢磨(宝島社)
京都の街中にたたずむ、「純喫茶 タレーラン」。主人公のアオヤマは、喧嘩した彼女を追いかけて、偶然この喫茶店を見つけます。店内には女性バリスタ・切間美星がおり、彼女の淹れるコーヒーに魅入られたアオヤマは足しげく通うようになるのですが…。物語の途中にはコーヒーに関する知識が織り込まれており、読んでいると香ばしいかおりが漂ってくるよう。自然とコーヒーを飲みたくなります。