アートを知るなら、まずは興味をひかれた入門書から
PART1:名画の謎、かわいい絵画…興味のある見方から知る本
ヨーロッパの歴史から、名画の謎をひも解く本
なんでこうなったの!?笑えて楽しい西洋絵画解説
■『へんな西洋絵画』山田五郎(講談社)
美術評論家・山田五郎が、西洋絵画の中でも「へん」「笑ってしまう」という作品を120点集め、解説している本書。子どもなのに、オッサンのような顔をしていたり、気味の悪い薄笑いを浮かべていたり。こんな生物現実にいるはずがないのに、実物とはかけ離れた姿になっていたり、どう見ても人間のような顔立ちになっていたり。しかしその「へん」には、きちんと理由があったようで…?西洋絵画の歴史とともに、笑いながら楽しく学べる入門書です。
日本人は、昔から「かわいい」が好きでした
■『かわいい江戸の絵画史』金子信久(エクスナレッジ)
本書は、かわいいものに心を癒されたい!という時におすすめの1冊。江戸時代に描かれていた絵というと、浮世絵などの日本画が思い浮かびますよね。実はその中には、現代の日本人の目から見ても癒される「かわいい」作品が!単純化したり、デフォルメしたり、正面から「かわいい」を描いたり…。「かわいい」を表現してきた日本の絵画史の一面を教えてくれます。
優美な装丁や図版とともに、「花」の表現を知る
■『ヨーロッパの図像 花の美術と物語』海野弘(パイインターナショナル)
昔から人々に愛されてきた、色鮮やかでかぐわしい、華麗な「花」たち。ヨーロッパではその姿を永遠にとどめるため、絵画、装飾デザイン、ファッションなどに取り入れ、表現してきました。本書ではそんな「花」にまつわる美術を、神話や物語、歴史とともに解説。内容はもちろん、装丁やデザインが非常に美しいのも魅力で、誰かにプレゼントしたくなる1冊になっています。
PART2:印象派、現代アート…好きなジャンルから知る本
西洋絵画をゼロから学ぶなら本書で!
■『知識ゼロからの西洋絵画史入』山田五郎(幻冬舎)
西洋絵画について全く知らなかったけれど、一からしっかり学んでみたい…そんな時に助けとなってくれるのが『知識ゼロからの西洋絵画史入』。オールカラーの図解とイラストを用いて、有名な24の様式を解説してくれます。歴史的な背景や絵画の見どころだけでなく、同じころ日本はどうだったのか?といった視点もあるのが魅力。本書で解説された絵画に美術館で出会えた時には、再会したような気分で鑑賞を楽しめるはずです♪
印象派を知るなら必読!歴史や芸術家に迫る
■『印象派という革命』木村泰司(集英社)
展覧会が催されると行列ができるほど、日本で人気の高い「印象派」。今でこそ西洋絵画の代表的な存在となっていますが、印象派が登場した19世紀後半には、新しい芸術のムーブメントのひとつでしかありませんでした。当時の歴史的な流れと、その中でモネ、ドガ、ルノワールといった芸術家たちがどんな思いで描き、生きていたのか。100点の図版とともに、丁寧に解説してくれます。
モダンデザインの父・モリスを美麗な図版とともに学ぶ
■『ウィリアム・モリス クラシカルで美しいパターンとデザイン』海野弘(パイインターナショナル)
ウィリアム・モリスは、ヴィクトリア朝イギリスの時代に活躍したデザイナー。大量生産の時代にあって手仕事の美しさに注目し、生活と芸術を一致させようとするアーツ・アンド・クラフツ運動を展開しました。そんなモリスのデザインの魅力は、植物や動物など自然にあるものを美しいデザインに落とし込んでいること。現在でも多数のデザインが残されており、本書ではそのうち約250点を収録し、モリスの生涯や考え方についても解説しています。
「知りたい」をすぐ知ろう!辞典としても使える入門書
■『現代アート事典 モダンからコンテンポラリーまで……世界と日本の現代美術用語集』美術手帖編集部(美術出版社)
現代アートはとにかく難しくて分かりにくい!しかし、だからこそ新しい発見や、面白い作品に出会える可能性も広がっています。本書では、近代~現代までのアートを「ポップ・アート」「アール・ブリュット」「ネオ・コンセプチュアル・アート」といった41のテーマから分かりやすく解説。テーマごとの「お薦めの関連ブックリスト」や、巻末インデックスが付いているので、知識を広げるための1冊としても、いつでもどこでも使える辞典としても役立ってくれます。
PART3:浮世絵、仏像…日本のアートを改めて学べる本
浮世絵で江戸時代にタイムスリップ!
■『浮世絵の解剖図鑑』牧野健太郎(エクスナレッジ)
江戸時代の風景や美人、役者を描き、庶民に広く流行した浮世絵。独特の構図やくっきりとした輪郭が特徴で、モネやゴッホといった西洋の芸術家にも影響を与えました。本書では、そんな浮世絵で知られる葛飾北斎や歌川広重などの作品をピックアップ。描かれているものをひとつひとつ取り上げ、当時の暮らしや風俗に迫っています。浮世絵の面白い楽しみ方を教えてくれる1冊です。
拝んで終わりなんてもったいない!仏像を知る本
■『写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』薬師寺君子(西東社)
お参りやパワースポット巡りとして、お寺を訪れることも多いですよね。お寺の中心には仏像がありますが、普段はなんとなくながめて、拝んで終わりになっていませんか?本書では、国宝や重要文化財にも指定されている日本の仏像を、250点以上もの図版で解説。手の形、持っているもの、座っている理由など、仏像についての素朴な疑問やその種類、楽しみ方をゼロから学ぶことができます。次にお寺を訪れる時には、まったく違った見方ができるはずです。
狩野派から近代日本画まで!日本絵画史をなぞる
■『知識ゼロからの日本絵画入門』安河内眞美(幻冬舎)
本書は、時代や流派はよく分からないけれど、とにかく日本絵画の歴史を一通り知りたい!という方におすすめ。鎌倉時代の水墨画や、室町から江戸時代までの長きにわたって活躍した狩野派、浮世絵などを、30人の有名な画家と作品ととともに紹介しています。フルカラーの図版で鑑賞のポイントなども書かれているので、美術館で作品を目の前にしているような気分で楽しめますよ。
縄文時代からの日本美術史を網羅
■『日本美術史 JAPANESE ART HISTORY』山下裕二・高岸輝 監修(美術出版社)
日本の美術史は水墨画や浮世絵などから始まったのではなく、それ以前の歴史から脈々と引き継がれ、作り上げられてきたものです。本書では縄文時代や弥生時代にまでさかのぼり、現代までを10のチャプターに分けて解説。最新の研究成果まで反映されており、日本美術とは何かという根本から追求しています。本格的に日本の美術を学びたい方におすすめです。
PART4:写真や図解いっぱい!子どもと一緒に楽しめる本
ながめるだけで、世界中のアートを鑑賞できる!
■『世界アート鑑賞図鑑』スティーヴン・ファージング 著、樺山紘一 監修(東京書籍)
本書は、世界17ヵ国で出版されている美術ガイド。年代ごと、時代を動かした運動ごとに、絵画や彫刻、コンセプチュアルアート、パフォーマンスまで、世界中の「アート」と呼ばれる作品を網羅しています。1100点以上ものカラー図版があり、ながめているだけでも楽しめるのが魅力。適当にページを開くだけで、あなたの知らないアートに出会えるかもしれません!
西洋美術史を「大まかに」学べる1冊
■『いちばん親切な 西洋美術史』池上英洋・川口清香・荒井咲紀(新星出版社)
初めてアートに触れる方にとって、美術史は長くて難しいというイメージがあるのではないでしょうか。しかし本書なら、ほどよく大まかな流れだけ、楽しみながら美術史を知ることができます。フルカラーの写真だけでなく、イラストや吹き出しもふんだんに使い、約4000年にわたる西洋美術の歴史を時代や特徴ごとにピックアップ。展覧会を訪れる前のちょっとした予習にも便利です。
現代アートをイラストで優しく解説
■『めくるめく現代アート イラストで楽しむ世界の作家とキーワード』筧菜奈子(フィルムアート社)
分かりにくい現代アートを、かわいいカラフルなイラストで教えてくれる本書。マルセル・デュシャンや草間彌生、岡本太郎といった1人1人からひも解くアーティスト編と、抽象表現主義やアヴァンギャルド、おたく文化といったポイントとなる言葉から学べるキーワード編に分けて解説しています。素朴なイラストのおかげで、現代アートもかわいらしく、親しみやすく思えるかもしれません♪
誰もが知るあの名画、どこを見ればいい?
■『アート鑑賞BOOK この1冊で《見る、知る、深まる》』三井一弘(三笠書房)
なんとなく見たことはあるけれど、実際にどこをどんな風に見ればいいか分からない…美術館を訪れる時、多くの方がぶつかる問題ではないでしょうか。本書では、レオナルド・ダ・ヴィンチやピカソ、ゴッホ、ムンクといった誰もが知る名画を取り上げ、どこを見るべきかカラー図版100点で分かりやすく解説。美術館を訪れる前に読めば、美術鑑賞がぐっと面白くなるはずです。
PART5:どんな見方をすればいい?鑑賞の方法をひも解く本
自分の目で鑑賞するための7つの視点
■『アート鑑賞、超入門! 7つの視点』藤田令伊(集英社)
美術館を訪れたとき、あなたはどんな風に鑑賞していますか?展示されている順番に眺めながら、キャプションを読んで、時にはギャラリーツアーや音声ガイドを聞く――もしそんな受動的な鑑賞方法をしているなら、ぜひ本書を読んでみてください。アートを本当に主体的に、自分の目で見て鑑賞するための7つの視点が紹介されています。アートの楽しみ方を知って、今すぐ実践したいという方にもおすすめです。
Q&A形式で、疑問をズバリ解消!
■『鑑賞のための西洋美術史入門』早坂優子(視覚デザイン研究所)
本書は初めて西洋美術に触れる人が、そのアートを見たときによく疑問に思うポイントを、Q&A形式で分かりやすく教えてくえる入門書。実際に鑑賞するときに役立つ、大まかな歴史の流れや表現の特徴を解説しています。写真やイラストをふんだんに使っており、楽しみながら美術史を俯瞰するのにも役立ってくれますよ。
本格的に鑑賞方法を学ぶならこの1冊!
■『論理的美術鑑賞 人物×背景×時代でどんな絵画でも読み解ける』堀越啓(翔泳社)
作品のポイントや鑑賞の方法なんて、作品ごとに違うのだから身につけられるはずがない…なんて思ったことはありませんか?そんな方におすすめの入門書がこちらです。本書はまず前提として、アートを見て何を感じるかは自由、と語ります。その上で見方には答えがあり、その正解の見方をするための鑑賞方法を身につけることが大切だと説きます。自分の目で見て自分の頭で考える論理的な鑑賞方法が学べるため、感性や考え方も鍛えられますよ。
日本美術の魅力から鑑賞のポイントを知る
■『一目置かれる知的教養 日本美術鑑賞』秋元雄史(大和書房)
本書は、日本美術の魅力や美しさを知りたい方にぜひ読んでほしい1冊。平安時代後期から明治期までの日本美術をフルカラーで学べる入門書で、日本的な「美の好み」「美の描き方」といった鑑賞のためのポイント、具体的な鑑賞のいろはも解説しています。日本のアートを教養として学んでおきたい、魅力を言葉にして誰かに伝えたいという方にもぴったりです。
■『名画の謎 陰謀の歴史篇』中野京子(文藝春秋)
当時を生きていた人々の野心や恋、権力争い、暗殺の恐怖…1枚の絵の中には、愛憎渦巻く人間ドラマが隠されています。本書では、フェルメール、ラファエロ、ゴヤ、ブリューゲルといった有名な芸術家の作品を、ヨーロッパの歴史ととも解説。謎を解くように絵画を楽しむことができるので、西洋絵画やヨーロッパ史が好きな方は必見です。