いくつ聞いたことがありますか?風情を感じる、美しい「夏の大和言葉」

いくつ聞いたことがありますか?風情を感じる、美しい「夏の大和言葉」

昔から伝わる美しい言葉、「大和言葉」。俳句やことわざ、ビジネスの挨拶文などで、一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。言葉には、発した人の思いが乗せられます。四季のある日本には、季節にまつわる大和言葉が多く存在します。四季を慈しむ美しい心は、昔の人々によって、どのように表現されたのでしょうか。今回は、夏の風情が感じられる、美しい「夏の大和言葉」選を、2つのテーマに分けてご紹介します。 2021年07月13日作成

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「大和言葉」とは

いくつ聞いたことがありますか?風情を感じる、美しい「夏の大和言葉」
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「大和言葉」とは、はるか昔に日本で生まれた古い言葉をいいます。短歌や俳句にも季語として使われますね。日本には、四季のある国ならではの、季節にまつわる大和言葉が多く存在します。
いくつ聞いたことがありますか?風情を感じる、美しい「夏の大和言葉」
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聞いたことはあるけれど、もう使われなくなった言葉や、いまでも挨拶文などに使われる、風情ある言葉。言葉には、発した人の思いが乗せられます。「言葉」によって語り継がれた、四季を慈しむ心。大和言葉は、昔の人々の暮らしを想像させてくれます。今回はこの「大和言葉」を紹介します。

目次

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美しい夏の大和言葉《時期にまつわる言葉》

まずは「時期」を表した夏の大和言葉を5つご紹介します。うららかな日々から、だんだんと汗ばむ日が増え、春の終わりとともに訪れる初夏。しとしと降り続く雨が、花や葉を潤わせる梅雨。

雨上がりは緑が美しく映え、いっそう森が元気に生い茂ると、まぶしい太陽と共に夏本番を迎えます。朝晩は涼しい日も増え始め、どこか寂しい気持ちにもなる、夏の終わり――。

そんな風情を、昔の日本人は、どのように表現したのでしょうか。

①夏めく(なつめく)

「夏めく」とは、夏らしくなる様子を表した言葉です。夏の季語として、多くの俳人や歌人たちにも使われています。うららかな春を楽しんでいるうちに、だんだんと日差しが強くなり、夏の足音が聞こえてくる。汗ばむ陽気や、青々と生い茂る草木が、春が終わりと夏の訪れを感じさせてくれます。そんな風景が浮かぶ、風情ある日本語ですね。

②青梅雨(あおつゆ)

梅雨を表す大和言葉、「青梅雨」は、梅雨時期に降る、「木々の葉をいっそう青々と濃くさせる雨」のことを言います。ジメジメと降り続く雨も、植物にとっては恵みの雨です。雨のシャワーを浴びた木々が、葉の色をより鮮やかに見せ、雨粒が真珠のようにキラキラしている風景が思い浮かびます。うっとうしく思われがちな梅雨の雨を美しく表現した、素敵な言葉です。

③小暑(しょうしょ)

「小暑」とは、二十四節気のひとつで、夏至から半月ほど過ぎた、7月7日ごろを言います。ちょうど暑中見舞いを出し始める頃です。「小さな暑さ」の言葉通り、梅雨明けが近づき、徐々に暑さが本格化してくる時期。言わば、「小さな夏」ですね。

「これからますます暑くなるよ」と、夏に向けての準備を促す言葉のようにも感じられます。昔の人々は、夏の暑さに向けて生活を整えたり、からだを暑さに慣らす準備をしたりしていたのかもしれません。

④短夜(みじかよ)

「短夜」とは、夏の夜が短い様子を表した言葉で、「たんや」とも読みます。日が一番長い夏至の頃を表した季語としても使われています。

太陽がまぶしく活動的な日中に対して、夜は暗闇の中、心とカラダを休める時間。薄暗い空は、心を落ち着かせてくれます。あっという間に夜明けがやってくる夏の夜を惜しむ、どこか儚げな大和言葉です。昔の人々は、短い夏の夜をどのようにして過ごしていたのでしょうか。

⑤三伏(さんぷく)

「三伏」とは、夏の最も暑い時期を表した言葉です。中国から伝わった自然哲学の「陰陽五行説」に基づいた、初伏(しょふく)、中伏(ちゅうふく)、末伏(まっぷく)の総称です。

時期は、夏至からおよそ半月ほど後、7月中旬から8月上旬にかけての、夏真っ盛りの頃。夏の暑さを表す季語として、挨拶文にも用いられています。

美しい夏の大和言葉《自然にまつわる言葉》

いくつ聞いたことがありますか?風情を感じる、美しい「夏の大和言葉」
出典:unsplash.com
「自然」を表した夏の大和言葉を5つご紹介します。若葉を濡らす梅雨の雨の様子や、青く澄みわたる晴れた日の夏空。燃えたぎるような暑い日差しも、時折り吹く風の心地よさも、昔の人々は、すべてを「夏」として味わい、暮らしてきたのでしょう。

エアコンなど文明の器具がない頃の、五感で味わう「夏の自然」を、どのような言葉で表現したのでしょうか。

①洒涙雨(さいるいう)

「洒涙雨」とは、7月7日の夜、七夕に降る雨をいいます。一年に一度しか恋人と会うことを許されない、織姫と彦星の涙だと言われている言葉です。諸説ありますが、天の川を渡れずに逢えなかった、悲しみの涙とも、再会した2人の、別れを惜しむ涙とも言われています。梅雨時期のジメジメとした雨をロマンティックにしてくれる、風情ある大和言葉です。

②朝曇(あさぐもり)

「朝曇」は、暑さの厳しい夏の明け方、もやなどで空がぼんやりと曇って見える様子を表した言葉です。明治末期から季語として使われています。

夏は、朝日がのぼり切ってからは太陽がまぶしく、青々とした空が広がる日が多いですね。昔の人々は、夏の明け方、空を見上げながら「今日は暑くなるぞ」とつぶやきながら、一日の始まりを迎えていたのかもしれません。

③薫風(くんぷう)

「薫風」は、夏の初めころに吹く、若葉や花の香りを含んだ穏やかな風を表した言葉で、「かぜかおる」とも読みます。初夏を表す季語として、多くの俳句や短歌に使われています。

春が終わり、草木がますます鮮やかな緑に染まる初夏。まだ春の余韻を残した風は、夏の香りを運んでくる風物詩として、人々の心に寄り添っていたのでしょう。風の香りで四季の移ろいが感じられる、美しい大和言葉ですね。

④朝凪(あさなぎ)

いくつ聞いたことがありますか?風情を感じる、美しい「夏の大和言葉」
出典:stocksnap.io
「朝凪」は、夏の朝方に見られる現象で、海辺の地域で陸風と海風が入れ替わるときに、一時風が止んだ状態になることを表した言葉です。

これは、陸地と海面の温度の変化によって起こる現象とされていて、逆の言葉として「夕凪」があります。風が止み、波も穏やかな朝の海辺の、とても静かな風景が浮かびます。海辺に住む人々は、夏の朝、つかの間の静かな時間を楽しんでいたのかもしれません。

⑤涼風(すずかぜ)

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「涼風」は、夏の終わりに吹く、涼しい風を表した言葉です。暑かった夏がゆっくりと通り過ぎていき、だんだんと朝晩が涼しくなり、秋の足首が聞こえてくるようです。

真夏には、昔も今も、熱を含んだ生温い風が吹きます。少しひんやりと爽やかな風が吹くと、夏の終わりとともに、秋の訪れを感じていたのでしょう。夏の終わりの、少し寂しい雰囲気は、涼風によって演出する、風情ある大和言葉ですね。

「言葉」で夏を味わい、心で四季を感じよう

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出典:www.instagram.com(@ecomfort_eoct)
夏の大和言葉をご紹介しました。どこかで聞いたことがある言葉も多かったのではないでしょうか。例えば人前で話すとき、手紙をかくとき、目上の人と話をするとき、大和言葉を交えることができたらぐっと深みのある表現で相手に伝えることができそうです。美しい大和言葉、何かひとつ覚えてみませんか?
素敵な画像をご提供いただきありがとうございました
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