いろいろなシチュエーションで、私たちは日々、ちょっとした困難に直面している人たちに出会っています。そんなとき、自分が動くことで役に立てたらいいなって思いますよね。
そんなとき、つい口にするのは「大丈夫ですか?」という言葉。でも、そうお伝えすると「大丈夫です」という返事をいただくことが多いのではないでしょうか。
遠慮をしたり、謙遜をしたり。相手を気遣うことを重んじて育った私たち。体質として身に付いている人も多いため、「大丈夫?」と聞かれると、反射的に「大丈夫です」と答えてしまう・・・ということも。本当は「こうして欲しい」という要望があるのに、なかなかそれを告げられないことが多いのです。
そこで今回は、ひとつご提案* お相手に「お手伝いできることはありますか?」と聞くようにしてみてはいかがでしょう。
「お手伝いできることはありますか?」と聞くことで、答えはより具体的になり、私たちが誰かのためにできるアクションの幅はぐっと広がります。
困っている人を手助けしたい気持ちはみんな一緒。上手に問いかけ、相手の気持ちに寄り添い、お役に立てたら、とても嬉しいことですよね。誰かのために役立つことで、自分の世界もきっと明るく、大きく豊かになっていきますよ。
なんと声をかければいいか迷ったら、まずは「お手伝いできることはありますか?」と聞いてみましょう。これは、困っている人がいるたいていのシチュエーションで使える魔法の言葉です。困っているときに不安になっている相手の心を穏やかにする効果もあります。
もちろん、シチュエーションや相手によって、要望はそれぞれ違います。ゆっくり急かさず、相手の言葉に耳を傾けてみましょう。きっと、誰かの役に立つアクションに結びつけることができるはずです。
-「お手伝いできることはありますか?」の声掛けが喜ばれるシチュエーション例をご紹介 -
駅やショッピングセンターなどの階段や段差などで困っている人は案外多いもの。階段を前にどうしようかと思案するような様子がみられたら、勇気を出してひと声かけてみましょう。
さっと近くを見渡して、エレベーターやスロープなどを先に見つけておくと、一緒に迂回路を探すのにも役立ちます。
・赤ちゃん連れのベビーカーママが、前に進めず困っていたら
出典: ベビーカーでの赤ちゃん連れの場合は、特にママがどうして欲しいか、しっかり確認することがとても大切です。ベビーカーを持って階段を上がる際には、赤ちゃんはママに抱っこしてもらって、荷物やベビーカーの方を持つお手伝いをするようにしましょう。
ハンドル部分に大きな荷物をかけている場合、赤ちゃんを下ろしてしまうと、ベビーカーがひっくり返ることがあります。先に荷物を外してから赤ちゃんを抱っこしてもらうよう、気を付けるといいですね。
・シルバーカーを押している高齢者の方が、前に進めず困っていたら
シルバーカーを押した高齢者が階段で立ち往生しているのもよく見かけるシーンのひとつです。高齢の方は耳が遠いこともあるので、ゆっくり大きめに「お手伝いできることはありますか?」と声をかけてみましょう。
出典: シルバーカーにはいろいろなタイプがあり、ロックをかけると車輪が動かなくなるものがあります。
人によっては、シルバーカーを杖代わりにして階段を上る人もいます。
シルバーカーを持つお手伝いをするのか、ほかの荷物を持つお手伝いをするのか、相手の要望を聞き取るのが重要です。
最近は、スマホの地図アプリですいすい道行く人も多くなりましたが、まだまだプリントした地図を見ながら困っている人はいます。
明らかに道に迷っている場合は、「どちらかお探しですか?」でも大丈夫。でも、もしかしたら、具体的な目的地を探しているのではなく、近くの銀行やコンビニなど目的を果たすための場所を探しているのかもしれません。
「なにかお手伝いできることはありますか?」と声をかければ、相手の要望をさりげなく聞き出すことができます。
出典: 目的地が明確で、自分が知っている場所なら、目印になるものなどを一緒に伝えてあげると分かりやすいですね。
もし、知らない場所なら、自分のスマホアプリなどで確認してみるのもひとつの手。そのうえで、相手が持っている地図と照合して案内してみるといいですね。
出典: 信号機のついていない横断歩道の手前で、なかなか渡れずに困っている高齢者を見たことはありませんか?タイミングを見計らって、横断歩道を渡り始めるというのは、実は案外難しいもの。
しかも、車が来てしまうのではないかと焦って、段差などにつまいづいてしまうこともよくあることです。そんなときは、「お手伝いできることはありますか?」と声をかけてみましょう。
一緒に渡って欲しい、荷物を持ってほしい、歩き出すタイミングを教えて欲しいなど、人によって要望はさまざまです。
一緒に横断歩道を渡る場合は、相手の歩行スピードに合わせるのが大切。左右の車の往来を確認しながら、ドライバーとアイコンタクトを取るようにして、事故に気を付けて歩きましょう。
出典: 電車やバスといった狭い車内で、赤ちゃんが急に大きな声で泣きだして、周囲の視線に困っているママに出会ったら、ぜひ、「なにかお手伝いできることはありますか?」と声をかけてみましょう。
赤ちゃんをあやすためのおもちゃを出したくても、バッグやベビーカーから手を離せないかもしれません。もしかしたら、ママは周囲にひと声謝りたいけれど、声を出せないのかもしれません。
こちらから声をかけることで、ママも今、どうしたいのか要望を出しやすくなります。
赤ちゃんが泣いてしまうのは自然なこと。
でも微笑ましく思ってくれる人がいる一方、うるさいなと冷たい視線を送る人がいるのも確かです。声をかけることで、ママが必要以上に辛い気持ちに陥らなくてすむよう、お手伝いできるかもしれません。
出典: 視覚障害のある人は困ったことに直面しても、なかなか自分から声をかけることはできません。自分の周りに助けてくれる人がいるかどうか分からないからです。
視覚障害者が戸惑っているような、困っているようなそぶりを見せていたら、ためらわずに「お手伝いできることはありますか」と声をかけてみましょう。後ろから声をかけるとびっくりしてしまうことがあります。ゆっくり近づき、前から声をかけるようにしましょう。
場所を教えてあげるときは、本人から見た方向で具体的に教えるのがポイント。
「そこに段差があります」と言っても、視覚障害のある人には「そこ」がどこなのか、わかりません。
「3歩ほど先に、下りの段差があります」というように具体的に教えてあげましょう。
出典: こちらの赤ちゃんとママのイラストが描かれているのがマタニティマーク。外見から区別がつきにくい妊娠初期でも、妊婦さんであることを認識できるようにするためのマークです。
認知度もあがってきており、キーホルダーだけではなく、バッジ、ロゼッタなどさまざまなものに加工したものが販売されています。
妊娠初期は赤ちゃんにとって、特に大切な時期。ママと赤ちゃんを守るためにも、配慮が必要です。
出典: 赤地に白い十字とハートが描かれたこちらのマークは、ヘルプマーク。義足や人工関節を使用している人たちや内部障害や難病といった外見から分からなくても、援助や配慮が欠かせない人たちであることを知らせるためのマークです。
一見、元気に見えるというのは、声をかけづらいもの。でも、このマークを携行していれば、声かけしやすくなりますよね。
出典: ハート・プラスマークは、体の内部に障害がある人であることを示すもの。マタニティマークやヘルプマークに比べると、まだまだ認知度が低く、なんのマークか分からないという人も多いのではないでしょうか。
目に見えなくても、ヘルプが必要な人がいるということを覚えておくだけでも、「お手伝いできることはありますか?」と聞く機会が増えそうです。
目が不自由な方が持っている白い杖のことを、「白杖」といいます。なにか、困ったことがあるときに、この白杖を頭上50cm程度に掲げて、SOSの意思を示すというのが、「白杖SOSシグナル」です。
SOSシグナルを発しているというのは、本人にとってとても困った状態に陥っているということ。このサインを見かけたら、すぐに声をかけて、サポートできるといいですね。
困っている人を見かけたら、まずは「お手伝いできることはありますか?」と声をかけてみましょう。「大丈夫です」と断られてしまったとしても、あなたが最初の一歩を踏み出したことには変わりありません。
人は自分以外の立場をなかなか想像することができません。でも、こうした人々と交わることで、相手の立場を思い遣り、相手の考えに触れることができるようになります。
「お手伝いできることはありますか?」の魔法の言葉を使って、身近なところから、できるところから、お手伝いを始めてみましょう。誰かの役にたてた喜びが世界をどんどん広げていってくれますよ。
駅やショッピングセンターなどの階段や段差などで困っている人は案外多いもの。階段を前にどうしようかと思案するような様子がみられたら、勇気を出してひと声かけてみましょう。
さっと近くを見渡して、エレベーターやスロープなどを先に見つけておくと、一緒に迂回路を探すのにも役立ちます。