ビジネスマナーの基本は、お相手を配慮した適切な言葉遣い
ビジネスシーンでの基本マナーとして、正しい言葉遣いは切っても切れないものです。日頃から正しい言葉遣い、敬語表現に気を付け、折に触れて自分自身で使ってみることが大切。とりわけビジネスメールでの言葉遣いは、やりとりする相手の能力や経験値をはかるものになり得るもの。自分自身を高めてくれる武器になっていきます。
だからこそ今一度、その言葉遣いを見直してみてはいかがでしょう。
だからこそ今一度、その言葉遣いを見直してみてはいかがでしょう。
クッション言葉だけじゃない。語彙を増やすことも大切
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ビジネスでの言葉遣いでよく取り上げられるものとして、クッション言葉が挙げられます。
「恐れ入りますが」「至らぬ点があるかもしれませんが」「無理を承知で」など、ストレートに物を言いづらいとき、自分を守る為のクッション(緩衝材)として使われますが、それだけでなく、スムーズに意図を伝える大人の語彙力、言葉遣いも大切です。
「恐れ入りますが」「至らぬ点があるかもしれませんが」「無理を承知で」など、ストレートに物を言いづらいとき、自分を守る為のクッション(緩衝材)として使われますが、それだけでなく、スムーズに意図を伝える大人の語彙力、言葉遣いも大切です。
正しいフレーズを使いこなすことは、仕事ができる人という評価に繋がる
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言葉の持つ力は大きいもの。ビジネスシーンに限らず、このような大人の言葉遣い、敬語の表現をを使いこなせるようになると、周囲との信頼関係をスムーズに築けることはもちろん、自分の話し方や態度も堂々としたものへと変わっていくことでしょう。
仕事ができる人が共通して身につけている要素でもある、ビジネスシーンでの語彙力。あなたの仕事においても味方につけて、コミュニケーションをワンランクアップさせましょう。
仕事ができる人が共通して身につけている要素でもある、ビジネスシーンでの語彙力。あなたの仕事においても味方につけて、コミュニケーションをワンランクアップさせましょう。
あなたはいくつ使ってる?「ビジネスメール」でよく使う用語集
今回は「ビジネスメール」でよく使われる一文をご紹介します。語彙の幅を広げていただけるよう、かしこまった表現も選びましたので、ぜひこの機会におさらいしてみてくださいね。
お相手を立てたいとき・よりよい関係の潤滑油として:
何かございましたら、忌憚なくご意見お申し付けください
或いは「忌憚のない意見をお聞かせください」など
「忌憚なく」について
「忌憚(きたん)なく」というのは、言いにくい内容の意見や感想を遠慮せずに発言するよう、相手に促すようなシーンでよく使われる言葉です。「忌憚なく、忌憚なき」という言葉自体は、丁寧な表現ということではないので、目上の人にも目下の人にも使うことができます。
目上の人に使う場合は、この後に続く言葉を丁寧にするように気を付けましょう。
目上の人に使う場合は、この後に続く言葉を丁寧にするように気を付けましょう。
丁寧にご説明いただきまして、得心いたしました
「得心(とくしん)」について
「得心しました」とは「わかりました」「理解しました」「心から納得しました」という意味。「得心がいく」というかたちでも使います。普通に納得したというよりも、もっと深く納得しているという状況で使います。
このたびはお力添えいただき、ありがとうございました
或いは「今後ともお力添えのほど、よろしくお願い申し上げます」など
「お力添え」について
「お力添え」は、助けるということを表す「力添え」を丁寧にした言い方です。目上の人に助けてもらったときや、相手に助けてもらいたいときなどに使います。似た言葉として「ご尽力」、「ご支援」などがあります。
お相手に教えを乞う場合に:
○○様のお知恵を拝借できれば幸いです
「拝借」について
「拝借」とは、「借りる」という言葉の謙譲語で、「謹んで借りる」という意味を持ちます。自分が借りるという動作を遜って言うときに使います。物だけではなく、知恵や意見などについても使います。相談事などがある際に、「お知恵を拝借」といったようにも使います。
○○についてご存知でしたら、お手数ですがご教示ください
或いは「○○について、ご教示いただけると幸いです」など
「ご教示ください」について
「ご教示ください」はビジネスシーンではよく使われる表現で、「教えてください」という意味があります。文字通り、方法や状況などについて、教え、示してもらうために使う言葉です。
似た言葉に「ご教授ください」というものがありますが、こちらは「学問・技芸」について伝え教えることを表します。学校や習い事の場では使われますが、ビジネスではあまり使われることはありませんので注意が必要です。
似た言葉に「ご教授ください」というものがありますが、こちらは「学問・技芸」について伝え教えることを表します。学校や習い事の場では使われますが、ビジネスではあまり使われることはありませんので注意が必要です。
お相手に連絡事項があるとき:
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今回は○○の都合でいつもと異なる内容となる旨、お含みおきください
或いは「明日から年末年始休暇の為〇日まで休業させていただきますので、予めお含みおきください」など
「お含みおきください」について
「お含みおきください」はビジネスシーンでよく見られる表現です。「事情を理解し、心に留め置いてほしい」というシーンで使います。似たような表現に「ご承知おきください」があります。ただし、「ご承知おきください」は、目上の人や取引先などに使うと失礼にあたります。「お含みおきください」の方が敬った言い方になるので、使いやすいといえます。
一般的には会話では使わず、メールや手紙などの文書といった書き言葉で使われます。
一般的には会話では使わず、メールや手紙などの文書といった書き言葉で使われます。
会議に先んじて、日時と場所のご連絡をさせて頂きました
「先んじて」について
「先んじて」は「他よりも先に、あらかじめ」という意味で、ビジネスシーンではよく使われる表現のひとつです。○○よりも前に、ということが強調されています。似た言葉に「先だって」がありますが、こちらは今に近い過去の事象のことを指し示します。
お相手に、心を配りたい場面で:
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○○の為 何かと至らぬ点があるかと存じますが、どうかご容赦ください
或いは
「○○の為 対応致しかねますこと(or お引き受け出来かねますこと)、なにとぞご容赦くださいますよう願い上げます」、メールを催促する場面で「本メールと行き違いになっている場合は、なにとぞご容赦願います」など
「○○の為 対応致しかねますこと(or お引き受け出来かねますこと)、なにとぞご容赦くださいますよう願い上げます」、メールを催促する場面で「本メールと行き違いになっている場合は、なにとぞご容赦願います」など
「ご容赦ください」について
「ご容赦ください」は、こちら側のミスや不手際に対して「どうか許してください」という願いを込めて発する言葉です。また、起こりうる事象に対して事前に断っておきたいときにも使えます。クレームの予防線として、ひとこと添えておくこともよくあります。
ご足労をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします
或いは「本日は弊社までご足労いただき、まことにありがとうございます」など
「ご足労をおかけする」について
「ご足労」とは「わざわざ足を運んでもらう、お越しいただく」という意味。わざわざ来てもらったことに対する感謝や申し訳なさなどを同時に表しています。
取引先の人や遠方の人などに、自分の方へ来てもらうときに使う言葉です。来てもらうのを断る際には、「ご足労には及びません」と伝えましょう。
取引先の人や遠方の人などに、自分の方へ来てもらうときに使う言葉です。来てもらうのを断る際には、「ご足労には及びません」と伝えましょう。
ご希望に添いかねますことをご賢察いただければ幸いです
或いは「弊社の内情をご賢察いただければ幸いです」など
「ご賢察ください」について
「ご賢察」は目上の人が察すること、配慮することなどを表す敬語表現です。「ご賢察ください」という言葉は、「どうかこちらの事情をお察しください」という意味になります。もともと「賢察」という言葉自体が、敬意を含んでいるので、「ご賢察」とすることで非常に丁寧な表現となります。
お相手にお詫びしたい場面で:
伏してお詫び申し上げます
或いは「平に伏してお願いいたします」など
「伏して」について
「伏して」は文字通り、身を伏せて、低頭平身に何かをお願いしたいという気持ちをあらわしている言葉です。「伏して」は単体で使われることはなく、「伏して~します」というように他の言葉と共に使われます。切実になにかをお願いしたい、融通してほしいといったときに使う言葉として覚えておくとよいでしょう。
自らのミスをお伝えするやりとりに:
そのお話を失念しておりました。大変申し訳ございません
「失念しておりました」について
「失念」は「うっかり忘れる」という意味で、自分がうっかりしていた状況のときに使う言葉です。
「放念」と似ていますが、まったく違う意味なので注意が必要です。もともと「知らなかった」ということに対しては使いません。自分のミスで、忘れてしまったという状況を指し示します。
「放念」と似ていますが、まったく違う意味なので注意が必要です。もともと「知らなかった」ということに対しては使いません。自分のミスで、忘れてしまったという状況を指し示します。
こちらの不手際によって対応が遅くなり、誠に申し訳ありません
或いは「この度の不手際につきまして、謹んでお詫び申し上げます」「ご案内に不手際があり申し訳ございません」など
「不手際」について
“手際が悪かった”から起きてしまったミスは、「不手際」という3文字の言葉で言い表すことができます。自分からお詫びしたいときによく使うフレーズです。
また、相手からミスを指摘されてお詫びするときにもよく使います。その場合は“お詫び”するだけでなく、文章のクロージングに、「貴重なご指摘をいただきありがとうございました」といった“感謝”の一言を添えると前向きな印象を与えることができます。
また、相手からミスを指摘されてお詫びするときにもよく使います。その場合は“お詫び”するだけでなく、文章のクロージングに、「貴重なご指摘をいただきありがとうございました」といった“感謝”の一言を添えると前向きな印象を与えることができます。
先ほどお送りしたメールは誤りです。削除いただき、どうぞご放念ください
或いは「先日は先走って不躾なご相談をしてしまい申し訳ございませんでした。どうぞご放念ください」など
「ご放念ください」について
「放念」とは「気にしないこと、心配しないこと」という意味。ビジネスシーンでは、「ご放念ください」というかたちでよく使われます。これは「気に留めないでください」という意味で、相手の動作にかかわる言葉として使われます。お客様や取引先に使う敬語表現のひとつです。
資料やデータの受け渡しを、スマートな言葉に:
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○○ご依頼の件、早速ご送付頂きありがとうございます。拝受しました
或いは「まずは拝受のご連絡まで」など
「拝受」について
「拝受(はいじゅ)」とは「受け取ること」という意味の謙譲語で、ビジネスシーンで多用される言葉のひとつです。もともと謙譲語であるので、「拝受いたしました」は二重敬語となりますが、慣習的に使われる表現なので、絶対に使ってはいけないとは言えません。「拝受します」「拝受しました」が正しい敬語表現です。
明日の会議の資料を添付致しましたので、ご査収ください
或いは「請求書を発送いたしましたので、よろしくご査収ください」など
「ご査収ください」について
「ご査収ください」とは、「ご確認のうえお納めください」「ご確認のうえお受け取り下さい」といった意味を含んだ、まさにビジネスシーンに特化して使われる言葉。お相手にとって必要な書類、あるいは依頼された書類などを、郵送で同封したり、メール添付したりして送付するときによく使うフレーズです。
上司など目上の方へは、「ご査収くださいますようお願い申し上げます」といったように、より丁寧な表現に。
上司など目上の方へは、「ご査収くださいますようお願い申し上げます」といったように、より丁寧な表現に。
適切な言葉で、きちんと正しく応対できる大人を目指して
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社外の方とやりとりするビジネスメール。たとえあなたが新入社員でも、性格がよいのに言葉遣いが悪い人でも、やりとりするお相手にとっては、あなたが「会社の顔」になります。
だからこそビジネスメールで正しい言葉遣いをマスターしないと、思わぬ誤解を生んで、あなただけでなく会社まで、イメージダウンにつながりかねません。よく使うビジネスメールのフレーズは、“意味合い”からしっかり理解しましょう。
だからこそビジネスメールで正しい言葉遣いをマスターしないと、思わぬ誤解を生んで、あなただけでなく会社まで、イメージダウンにつながりかねません。よく使うビジネスメールのフレーズは、“意味合い”からしっかり理解しましょう。
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「会社の顔」というとちょっと負担に感じますが、日本語を見詰めてみると、それぞれ奥深い意味があり、心配りに長けた素敵な言語であるということが分かります。美しい言葉遣いを味方につけて仕事ができる大人女性を目指していきたいですね。