基礎編| 物事の印象は、2つのポイントで決まる
あらゆる物事の印象は、2つのポイントで決まることをご存じでしょうか。
印象の残し方を、心理学的に立証した「ピーク・エンドの法則」
・嬉しさや悲しさなど、感情が揺さぶられた絶頂期=ピーク(絶頂期)
・物事の終わりの局面=エンド(最終局面)
この、ピークとエンドを材料に、人は印象の良し悪しを判断します。
このことを心理学的に立証したのが「ピーク・エンドの法則」です。
われわれは自分自身の過去の経験を、ほとんど完全にそのピーク(絶頂)時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)ならびにそれがどう終わったかだけで判定する、という法則である。
ピーク・エンドの法則を理解するために…例えばこんな場面を想像してみては?
この例の場合、ずっと長蛇の列に並び続けてイライラが募ったり、足腰が疲れていたりしても・・・・
・アトラクションに乗っている瞬間=ピーク
・乗り終えて盛り上がっている会話=エンド
となって、アトラクションに搭乗したたった数分のピークが、120分も並んでげんなりしているネガティブな記憶を、まるで無かったかのように評価しているのです。
すなわち、人の印象に「時間」は影響しないということ
極端な話、喧嘩で仲違いしたまま長年経っている関係性の人がいても、再び会って、去り際(エンド)を意識すれば、過去の和解ができるような、良好な関係性にもなり得るということです。
実践編|法則を基に、相手に「好印象を与える人」になろう
3つのケース別に、「ピークエンドの法則」の「エンド」に重きを置いた、好印象の作り方をみていきましょう。
1:相手と仲良くなりたい場面、「また会いたい」印象の人になるには
初対面の相手や、あまり会う機会のない友達などと話す、せっかくの機会。今後もっと踏み込んだ関係につなげていけたら、嬉しいですよね。
そういった場合、ついつい頑張って長く会話を続けようとしがち。しかし、「ピークエンドの法則」が教えてくれるのは、「会話の時間の長さ」で勝負しようとしないこと。
「沈黙」がピークになってしまったら本末転倒です。
エンドの仕上げ方
仲良くなりたい相手との去り際、以下のようにエンドを仕上げてみては、いかがでしょう。
・「ずっと話ししたかったから、今日会えて嬉しかった」などと、素直に会いたかった気持ちをさりげなく伝えてみましょう。
・「今度また○○について教えて!」と次の機会につながるエンドをつくっても◎
・連絡先を知っている相手なら、帰り道で「今日はありがとう、楽しかった!」などと一言、携帯にメッセージを送るのも素敵なエンドに。
2:友人と過ごしたトラブル続きの1日…最後の印象を良くしよう
友人とランチへ行ったり、旅行したり。気の置けない仲間とお出かけするひと時は、ずっと笑顔で過ごしたいですよね。
しかしときには、「遅刻」や「お店によるミス」、「渋滞」など・・・挽回不可能な残念な出来事に見舞われる場合もあります。そんなときも、ピーク・エンドの法則を使えば、楽しい思い出へと昇華することができますよ。
別の気になるお店へ立ち寄ってピークを作り直すこともおすすめの方法です。先ほどのお店の悪口などを言ってもピークが塗り変わらないので、新たなお店を褒めて、楽しむとよいでしょう。
エンドの仕上げ方
想定外のトラブルがあった日は、以下のようにエンドを仕上げてみては、いかがでしょう。
・気分が下がったまま・・という場合、あえてもう1か所、素敵なスポットに寄り道して、楽しいエンドを演出する◎
・友人とのお出かけや旅行の終盤に・・・もう一度、あらためて楽しかったエピソードをネタにして笑いあって、いいエンドに。
3:これは、自分が悪い……できるだけ印象良く、謝罪したい
約束を破ってしまったり、思いがけない言葉で相手を傷つけてしまったり――。
他人との間に発生したトラブルは、気が重くなりがち。思わず逃げ出したい気持ちにもなるものですが、これを丁寧に対応すると、ピンチを人間関係のチャンスに変えることも可能です!
トラブルの事象そのものがピークとなりがちですが、丁寧に話を聞いたり謝ったり・・・「真摯な対応」で「この人は信頼できる」と思ってもらえれば、それがピークに置き換わりますよ。
また、直筆のお手紙など、通常の連絡手段とは違う形にするのも、謝罪や気持ちを伝える手段として◎です。
エンドの仕上げ方
気が重くなるような他人とのトラブル。以下のようにエンドを仕上げてみては、いかがでしょう。
・ひととおり、必要な話し合いを終えたら、相手の気持ちを害さないよう、丁寧な去り際を心がけること。何事にも言えることですが、慌てて去ると、「逃げ」の印象になります。
・雰囲気によっては去り際に、あらためてもう一度、心を込めて挨拶や謝罪をして、ゆっくりと立ち去るとよいでしょう。
・後日再会したときに、もう一度挨拶や謝罪を加えると、そこまで含めて気持ちの良いエンドになります。
いつもの思いやりに、「ピーク・エンド」の意識をプラスして
今回提案したシーン別の「ピーク」「エンド」の作り方の例は、無意識にみなさんが心掛けていることにも通じる部分がたくさんあったのではないでしょうか。
また、自分の身のまわりにいる、常に好印象の“印象美人”の方にも、共通していることかもしれません。
自ら「ピーク」を演出したり、「エンド」を意識して印象付けをしたり――なんて言うと、なんだか計算高いように聞こえてしまいそうですが、お互いの関係を円滑にするための「思いやりの延長線上にあるテクニック」と考えてはいかがでしょう?
⼼と同時に頭を使って・・・より相⼿の⼼に響く素敵なコミュニケーションのヒントになりますように。
「120分待ち」という看板を見て迷ったものの、でもせっかくだからと、列に加わったあなた。
しばらくすると、ちょっとイライラしたり、沈黙したり・・・。「もう並ぶのはやめようかな」と、少し後悔しているかもしれませんね。
でも、さすが人気アトラクション。長時間並んだものの、乗ってみると最高!
乗り終えた頃には「やっぱり楽しかったね!!」「これはみんな120分並んじゃう気持ちもわかるわ~!」と、イライラしていたことは忘れて、あなたの気持ちは盛り上がりっぱなしです。