あなたをもっと素敵にする「豊かな表現力」
私たちは多くの場合、自分の中にある気持ちや意思を周囲にわかって欲しいと思っていますし、相手の考え方もできるだけ間違わずに理解したいと思っています。そのために欠かせないのが、さまざまな社会的コミュニケーションを可能にする『表現力』。では、表現力とは具体的にはどういうもので、どうすればもっと磨くことができるのでしょう?
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
表現力ってどういうもの?
自分の思考や感情を他者に伝える力
表現力とは、自分の中の考え方や感情などの内面を、周囲にわかりやすく伝える能力をさします。巧みな話術や魅力的な表情として発揮されることもあれば、絵や音楽などの創作物として現れることもあり、表現の方法は人によってさまざまですが、どれも他者を共感させ、自分を理解してもらうための強力なツールとなり得る力です。
しかし、だからと言って『表現力が高いこと』は、必ずしも『万人に受け入れられやすいこと』とイコールではありません。例えば、もし自分とは全く異なる意見や感性を見せられて不快に感じたとしても、それは相手の自己表現能力が高かったからこそ、と言うこともできます。そして、考えの異なる人々が自分の意見をきちんと伝え合えるということは、その違いを擦り合わせ、理解し合うための助けにもなるということなのです。
表現することが苦手な理由は…
人見知りで言葉選びが得意でないと、自己表現することにも消極的になりがちです。また、自分の意見に自信がなく、発言して他の人に批判されたくないと思う気持ちが強い人も、人前で自分を表現することは少し苦手かもしれませんね。
日本では討論を苦手とする人が多い理由のひとつとして、『自分の意見を否定されること』と『自分自身を否定されること』を混同しやすい点がよく指摘されます。しかし、ひとつの事柄で相手との意見がたまたま合わないからといって、人間関係のすべてが台無しになってしまうわけではありません。チームで仕事をしたり、友人との信頼を深めようとする時こそ、お互いの中にあるわだかまりを丁寧に伝え、たくさん話し合って解決していく過程が大切になります。
表現力が豊かな人ってどんな人?
喜怒哀楽をためらいなく表情に出せる
嬉しいことや悲しいことがあった時、気持ちがパッと顔に出るタイプの人は、喜怒哀楽を最もわかりやすく伝える表現力の持ち主だと言えます。感情の触れ幅がやや大きい傾向もありますが、人目を気にせず内面を見せる素直さは相手の警戒感を解き、お互いに本音を言いやすい安心感を与えます。
語彙が豊富で、言葉を操る能力に長けている
言いたいことは同じでも、より柔らかい印象を相手に与えたい時や、説得力を持たせたい時など、状況に合わせて言い回しを変えられるのは、言語による表現が巧みな人ならではの能力です。言葉のストックをたくさん持っていて、その組み合わせ方もよく知っているので、意思表示する時に効果的な表現方法を柔軟に選ぶことができるのです。
必要な情報を整理し、わかりやすく発信することができる
一見ややこしそうな情報を効率良く整理し、多くの人が受け入れやすいよう言葉を噛み砕いたり、話の組み立て方を工夫したりするスキルも、情報処理分野でのひとつ表現力と言えます。この能力に優れている人は、根拠に基づいて自分の意見を発信できるため、論理的に周囲を納得させるのが得意です。
感受性に優れ、自己の内面を表現するスキルがある
『表現力』を最も具現化しているのが、絵画や音楽、文学といった芸術の分野です。作家の内面を通して表現される普遍的な喜怒哀楽の感情や心の葛藤、自然の美しさなどは、作品を見たり聴いたりする人々の共感を呼び、心を動かす大きな力を持っています。
気持ちを他者に伝えたいという熱意がある
自分の言葉を届けたい!という強い気持ちを持って話す人は、表情や声音、身振りなどにその熱意が現れます。嬉しいことや驚いたことを一生懸命説明する子どもが生き生きしているように、心から何かを訴えかける時に生まれる表現力には、人々の目を惹き、つい耳を傾けたくなる魅力が自然に備わっているのかもしれませんね。
表現力を養う5つのヒント
読書の幅を広げ、より多くの言葉に触れよう
自分の内面をより的確に表現するには、ふさわしい言葉を選択し、柔軟に使いこなすスキルが重要になります。本や新聞は、まさに言葉の宝庫。積極的に読み続けると、表現力を鍛えるためのいろいろなメリットがあります。
ボキャブラリーが増える
文章を書く時に何度も同じ言い回しを使ってしまうという人は、言葉の引き出しにストックが足りていない可能性があります。語彙力を高めるには、とにかくより多くの単語や慣用句に触れるのが一番。本を読むことで言葉の知識が増えると、自己表現の幅もぐっと広がります。
人の心理やいろいろな物の考え方が学べる
本の中には、さまざまな人間ドラマが描かれています。ノンフィクションはもちろん、創作された物語だって侮る勿れ。
登場する人々の心理や行動、困難を解決していく過程などが読み手の感性を刺激しますし、時には自分が実生活で抱えている問題に対しても「じゃあこういう考え方をしてみたらどう?」というヒントをくれるかもしれません。
印象的な言葉遣いに出会える
たとえば夕暮れの美しさを描写しようとする時、文章のプロである作家は、読み手の中にもその景色が再現されるよう、選び抜いた言葉を駆使して情景を綴っていきます。本の中でそうした上質な表現にたくさん触れれば、使ってみたい言い回しや心に残る印象的な言葉にもきっと出会えるはずです。
情報を整理し、わかりやすく構成する力が養える
専門書や教養のための書籍は、知りたいことさえちゃんと書いてあればOKと思われがちです。しかし、多くの情報を整理し、誰もが自然に理解を深められるよう筋道を立てて全体の構成を考えるのは、実はかなり高度な表現力。仕事で自分のアイデアなどをわかりやすく説明したい時も、こうしたテクニックが役立ってくれます。
表現力が豊かな人を観察してみよう
身近に表現力の豊かな人物がいたら、普段の振る舞いにどんな特徴があるのかそっと観察し、参考にしてみるのも一つの方法です。魅力的だなと思う人と実際に話したり、そばで一緒の時間を過ごしていると、その人の考え方が表情や言葉選びなどにどう活かされているのか知ることもできます。
気になる言葉や表現はメモでストックしよう
ふと目に止まった気になる言葉や好きなフレーズは、ちょっとしたメモに残してストックしてみましょう。たまにそのメモを見返すことで、自分がどんな言葉に興味を持ったのか傾向がわかって面白いですよ。また、日常会話やメールの中で実際にお気に入りの言葉を使えると、ちょこっとメモを増やすのも楽しくなってきます。
ブログや日記など、自分の内面を表現する機会を増やそう
あらゆる知識や情報は、インプットだけでなくアウトプットすることで初めて自分の中に根付いていきます。日記・ブログ等を使って自分の内面を綴り、こまめにアウトプットする機会を持つのは、表現力を磨くためのとても良いトレーニング法です。また、自分の考えを改めて文字に起こすことで、客観的に心の中を整理するのにも役立ちます。
類義語辞典を活用しよう
類義語辞典は、同じ意味を表す言葉を別の言い方で表現したい時にとても重宝します。「笑う」という言葉ひとつ取っても、「微笑む」「相好を崩す」「頬をゆるめる」など、表現方法は驚くほどさまざま。ひとつの文面の中に同じ単語や文体が繰り返し登場してちょっと格好悪いな、と思った時は、類義語を使って上手に言い換えると表現の幅が広がり、スマートな印象になります。
意識をちょっとだけ変えてみませんか?
人前に出ることを怖がらない
自己表現が苦手な人は、多くの場合、周囲の評価を気にし過ぎる傾向があります。その恐怖心を克服する最も確実な方法は、とにかく場数を踏むこと。自分の発言に対して周囲から返って来る反応に、とにかく慣れることです。一見荒治療のようですが、やがて自分の意見が採用されたり、賛同して喜んでくれたりする人の声が聞けたら、何よりの自信に繋がることは間違いありません。
タイプの違う人とも交流を持ち、様々な考え方を知る
自分とは違うタイプの人と積極的にコミュニケーションを取ってみると、これまで知らなかった新しい価値観や考え方に気付くことができます。慣れないうちは接し方に戸惑うこともあるかもしれませんが、だからこそ「どうしたらわかりあえるかな?」とお互い考え、方法を探っていく中で、自然と表現力も磨かれていきます。
周りの反対意見にも耳を傾ける
自分の考えを外に向かって発信すると、時には肯定ばかりでなく否定的な反応も返ってきます。批判されれば辛い思いもしますが、第三者の指摘は自分では気付けなかった部分を教えてくれることもあります。自分の考え方をもう一段ブラッシュアップするために、周りの反対意見も一旦受け入れ、再考の助けにしてみましょう。
「これを誰かに説明するなら?」とイメージしてみる
日常の中でふと綺麗な景色や面白い出来事を見つけたら、「これをどんなふうに友達に話そうかな?」と具体的に想像してみて下さい。相手がより興味を持ちそうな話し方を頭の中であれこれシミュレーションする時間は、自分も楽しく、表現力を磨く良いトレーニングにもなります。
一度書いた文章は必ず再チェックする
自分では気を付けて書いたつもりの文章も、第三者が読むと誤字脱字があったり、表現がチグハグでわかりにくいことがあります。特に仕事の関係者に送る文書は、どんなに忙しくても必ず読み返してチェックしましょう。よほどの事がない限り、仕事相手はわざわざ間違いの指摘などしてくれません。文面で本来伝えたかった内容よりも、こちらの未熟な仕事ぶりの方が先方の印象に残ってしまうようでは本末転倒です。
表現力を磨いて、自分らしさを発信しよう
自分の中の思いや考えを的確に伝える力は、対人関係のストレスを減らし、自信を持って行動するための助けになってくれます。また、うまく言葉にできない感情を絵や音楽の創作に投影することで、心の中を改めて見つめ直すことができるかもしれません。いろいろな表現力を少しずつ磨き、ぜひあなたらしさを自由に発信してみて下さい。
くるくると変わる豊かな表情や、説得力のある巧みな話術、わかりやすくて美しい文章力。誰もが羨むそんな魅力を備えた人たちは、自分自身の感情や考えを周囲に伝える効果的な方法をよく知っている人たちでもあります。