「親切」とはなんだろう?まずは意味を知ろう
1 相手の身になって、その人のために何かをすること。思いやりをもって人のためにつくすこと。また、そのさま。「人の―にあずかる」「―を無にする」「―な応対」
「親切」の語源・由来は?
なぜ漢字だと「親を切る」と書くの?成り立ち&エピソードについて
実は『親切』の“親”は、“親しい、身近に接する”という意味です。『親切』の“切”は、“心から”、“ひたすら強く”といった意味があります。“切に願う”といったように使いますよネ。そんなところから『親切』という漢字には、“より親しい”という思いが込められています。
“思い入れが深くて切実である”という意味では、古くは『深切』という漢字が使われていたそうです。
親切の【類義語・同義語】と【反対語・対義語】もチェック
類語
懇切(こんせつ)
関連語
情け深い(なさけぶかい) 心尽くし(こころづくし) 手厚い(てあつい) 懇篤(こんとく)
反対に、親切の対義語は「冷淡、薄情、意地悪、邪険」などです。
弱い立場にある人や困った目にあっている人の気持ちを思いやらず、関心が全くない、あるいはつらく当たるという意味です。
「親切」は英語でこう言う
それでは、「親切」って英語では何と表現するのでしょう?
「kind」:もっとも代表的で、性格を表すときによく使われます。
「nice」:「(人や事柄が)良い」という意味での「優しい」
「tender」:思いやりがある
「gentle」:穏やかな
などがよく使われます。
親切を表すいくつかの単語の中から、ニュアンスの違いによって使い分けられたらいいですね。
「親切な人」や「親切にしてくれてありがとう」はなんて言う?
簡単な言い方から、ビジネスでも使えるかしこまった言い方まで。「親切にありがとう」という感謝の意を伝える言い方は幾通りかあります。相手に合わせて使い分けましょう。
英語フレーズ・例文もチェック
親切な人
Thank you for all your kindness.
親切にしてくれてありがとう。
That was very considerate of you, thank you so much.
ご親切にありがとうございます。
I appreciate your kindness.
あなたの親切に感謝いたします。
言葉でいうのは簡単でも、「親切」って難しい。
親切のとらえ方は人によってさまざま
「親切」はされてもしても、嬉しいものですね。ですが、「何かをしてもらった、尽くしてもらった」という感覚は人によって違います。自分としてはほんの少しのこと、と思うようなことにとても感謝されたり、尽くしたと思っていても伝わっていなかったりと、受け取り方は人により様々です。
それらを踏まえた上で「親切」とは、どんなことを指すのでしょうか。けれど、人によって親切のとらえ方はそれぞれ違うので、人の数だけ「親切の形」ができてしまいますよね。
名言から学ぶ「親切の定義」
そこで、照準を「自分」に置いてみましょう。人のために何かをしたり思いやりをもって人のために尽くすためには、自分にある程度の余裕がなくてはできませんよね。心と時間、さらには体力的にも余裕がある時にできること、というのがまず大前提です。
人間はね、自分が困らない程度内で、
なるべく人に親切がしてみたいものだ。
- 夏目漱石 -
夏目漱石によるこんな名言も残されているように、自分が困るような親切はできないし続きませんよね。まずは自分の状態に目を向け、正しく把握することが親切への第一歩と言えるでしょう。
名言に学ぶ「親切の裏側」
「親切」の難しいところは、自分は「親切」と思っていても相手がどう受け取っているかわからない、というところにあります。嬉しい、ありがたいと思ってくれているのかもしれませんし、その逆かもしれなくて、紙一重なのです。
親切と言う名のおせっかい
そっとしておくおもいやり
- 相田みつを -
「相田みつを」によるこんな名言もあります。親切とおせっかいとは、紙一重である場合が多く、ありがた迷惑である可能性も捨てきれませんよね。
さらに、「親切」をすると、「あの時助けてあげたのに…」のように、「親切にしてあげた」という思いが自分の中に生まれがちなのも問題です。
そんな思いばかりが前面に出てしまうと、関係を良好にするためにした「親切」がかえって逆効果になりかねません。では、どうすれば本当の「親切」と言えるのでしょうか。
「親切」との上手な付き合い方
人に与えた「親切」は忘れること
「親切」を引きずって、いつまでも「あの時あんなに助けてあげたよね…」といった雰囲気が伝わってしまうと、相手との関係は良くなるどころか悪くなってしまうことも。本当に「親切」の気持ちでやったことが打算のように受け取られかねません。
どんなに尽くした「親切」だったとしても、見返りを求めず忘れるように心がけましょう。それはとても難しいことです。一度や二度ではない、という場合はなおさら難しいでしょう。
でも、相手がどんな受け取り方をしているかわからないのです。自己満足ではあるけれど、「今日は良いことをしたな」と自分で納得する。そのあとは忘れるように努めましょう。
人から受けた「親切」は忘れない事
多くの人と関わりながら生きていく毎日。自分がした親切は忘れることはとても難しいですが、大切なことです。さらにもうひとつ、とても大切なことがあります。
それは、「受けた恩は忘れない」ということ。どんなことでも誰かにしてもらったことはしっかりと覚えておきましょう。
自分がした「親切」は忘れて人から受けた恩は覚えておく…
これこそが親切の鏡です。
良い人間関係を築くために心がけたいこと
人間は、自分のした事は覚えているのに、してもらったことは忘れてしまう…そんな生き物だと思いませんか?「恩を仇で返す」という言葉があるくらい、受けた恩を忘れることはよくある事なのです。
よくある事だからこそ、自分が受けた恩をしっかり覚えておくことは、相手との関係を良好に保つ上でとても大切です。逆に自分のした「親切」について相手が覚えていてくれたなら、それはとてもとても嬉しいことですよね。
親切上手になって、丁寧でやさしい毎日を過ごそう
いつ「親切」をしてもらっていつ「親切」をしたかなんて、事細かに覚えていられません。でも、いつだって自分がする側にもされる側にもなりうるのです。だこらこそみんなが、自分がした「親切」については忘れるように努め、反対に受けた恩に対しては忘れずに、気持ち良く過ごせたなら…とても素敵なことですよね。
「親」という漢字は「おや」とも読みますが、「したしい」とも読みますね。“親を切る”と書いて「親切」ではピンときませんが、「切」には、“心から、ひたすら強く”という意味もありますよね。実は「親切」には“より親しく”という願いが込められているのだそう。漢字の成り立ちとは面白いものですね。