植物たちの繊細な魅力を伝えるアトリエ、“errer”(エレー)
植物や貝など、自然の収集物を使ってさまざまな作品を制作する“errer”(エレー)は、香川県高松市にある小さなお店です。
アトリエを兼ねた店舗は最寄りの端岡駅からもさらに離れた郊外に静かに佇んでいますが、扉を開けて店内に一歩入ると、空間そのものがすでに作品のよう。植物標本や手作りのオブジェ、ドライフラワー、アンティークな雰囲気のインテリア雑貨などが絶妙なセンスで並んでいます。
できるだけ加工しすぎず、植物本来の姿や味わいをいかせるよう工夫されたerrerの作品たち。
自然の造形美を堪能できる独特の世界を作り上げ、多くのファンを持つその魅力についてじっくり見ていきましょう。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
errerの作品が静かに語りかけること
素材は四季の山で集めた自然のかけら
標本やオブジェに使用されている素材の大部分は、オーナーさんが自ら近くの山で集めているものだそうです。四季それぞれの自然をゆっくり味わいながら植物採集する時間を、とても大切にされています。
そんな散策の中で集められた植物たちは、改めてじっくり眺めてみると、その精緻で多彩な造形にしみじみと驚かされます。山の片隅で芽吹き、やがて盛りを過ぎて枯れ落ちていく植物の一生。そんな当たり前の自然の営みがふと尊く思えるような、どこか奥深い姿です。
『珍しいものではなく、身近に今ある自然を知り、インテリアとして楽しむことを提案したいと思っています。また、お客様にもそれを一緒に楽しんでいただけたら』と仰るオーナーさん。その手に掛かると、枯れて鉄錆色になった植物たちにも不思議なほど生き生きとした表情が生まれます。
収集後の植物に手間と時間をかけ、丁寧に分類して出来上がる標本は、なんともいえない美しさ。普段なにげなく通り過ぎていた野山の中には、こんなに可愛くて健気な姿の植物たちが人知れず生きているのだなあと気付かされます。
こちらは標本瓶に入った秋明菊(シュウメイギク)の種子。よく知られているたんぽぽの他にも、種子に綿毛をつける植物はいろいろあります。光が当たるととっても綺麗だそうですよ。
こうした瓶のラベルや標本など、多くの作品には植物の学名や説明を記した流麗なフランス語や英語が添えられていますが、これもオーナーさんの手書きによるもの。植物たちへの真摯な想いとあたたかい愛情が伝わってきますね。
植物の豊かな表情が味わい深い作品たち
標本箱
木製の枠にガラス板が入った大きな標本箱は、枯れた草花や木の実、きのこや鳥の羽などが美しく並ぶ、errerならではの世界観がぎゅっと凝縮した贅沢な作品。ひとつひとつの佇まいを楽しみながら、いつまでも眺めていたくなります。
お部屋にちょっと飾るなら、小さめサイズの紙箱標本も素敵ですね。ありのままの自然をほんの少し生活空間にお招きしたような、シンプルなのに存在感のあるインテリアです。
壁掛け標本
こちらは壁に飾る一枚ものの標本で、数種類の植物が組み合わされています。植物たちの立体的な造形がつくる影も面白く、その表情を間近に味わうことができます。
小さな紙の標本
こちらは少し透け感のある薬包紙を加工した紙に、一点ずつ植物が標本されたもの。選りすぐりの数点を飾ってもいいし、こうしてたくさん並べてもとても可愛いです。
10枚セットと20枚セットの2種類があり、その中からどれを飾るか組み合わせを考えるのも楽しそう。紙袋入りなので、プレゼントにもおすすめです。
植物カレンダー
errerでは、小さな植物標本と組み合わせたカレンダーも毎年制作されていて、高い人気を集めています。一枚ずつ袋に入れられたものがセットで手元にやってくるのですが、購入した方からは「もったいなくてなかなか袋から出せない!」というお声も出るほどです。
ハーバリウム
インテリアとして最近人気が高まっているハーバリウム。そもそもハーバリウム(herbarium)とは、まさに植物学における標本のことをさす言葉です。豪華でカラフルな花を閉じ込めたものも良いですが、野山の小さな草花がオイルに揺れているこんなハーバリウムは、なんだかホッと心を和ませてくれる気がします。
指先でつまめる、こんなミニサイズのものも。『小さきものは、みなうつくし』なんて言葉もありますが、この小瓶の中におさまる可愛らしさと、それでいて見れば見るほど緻密な自然の造形美、たまりません。
手作りオブジェ
こちらは植物の繊維とドライフラワーなどを編み込んだ、花冠の壁飾りです。ほかにも、鳥の巣風のものや吊りオブジェなど、ジュートやベビーファイバーを使ったナチュラルな風合いの飾りをいろいろ制作されています。
こちらはシルクオーガンジーの生地に植物やビーズが縫い付けられている、愛らしい小さな付け襟。そのまま飾っても、額に入れて掛けておいてもとても絵になります。
同じくシルクオーガンジー製の小さなキャミソールに、植物を美しくあしらった繊細なオブジェです。アンティーク風のハンガーと組み合わせて飾れば、お部屋のインテリアのキーアイテムになりそうですね。
お部屋に“errer”の作品を飾りませんか?
外国の古い植物図鑑の1ページを思わせる壁掛け標本は、やはりアンティークやボタニカルなインテリアとの組み合わせが好相性です。無造作に並べてあるように見えて、そこにはもう静かで洗練された空間が出来上がっています。
こちらは瓶入り標本と、鳥かごや鳥の巣のオブジェ、ドライフラワーなどを並べて。ヨーロッパ風の素敵な木製テーブルが良く似合っています。
ほとんどの標本箱には裏面にフックがついていて、棚やテーブルに置いておくだけでなく、壁にも掛けられるようになっています。こうしていくつか並べて飾ってもお洒落です。
お部屋に涼しげな彩りが欲しい季節になったら、透け感のあるキャミソールのオブジェがぴったり。籠バッグやストローハットのナチュラルな雰囲気とも馴染み、とても可愛いです。
展示会やワークショップなどのイベントもあります
実店舗では時折ワークショップが開催され、実際に植物を使ったインテリア作りを体験することもできます。また、各地方都市で展示会が開かれることもありますので、お店まではなかなか足を運べないという方は、そちらでerrerの作品を堪能してみるのはいかがでしょうか?
自然がくれる小さな宝物を集めて
“errer”とは、フランス語で“彷徨う、放浪する”という意味だそうです。自然の中で彷徨いながら集められた小さな宝物は、作り手の愛情で優しく丁寧に磨かれて、errerの素敵な作品へと生まれ変わっているんですね。
そんなerrerのオブジェは、それぞれの植物が持つ個性をいかして制作されているため、ほとんどが一点ものです。一目惚れした作品があっても、在庫は早々になくなることが多いので、気になる方はぜひ公式サイトやinstagramでショップの情報をこまめにチェックしてみて下さいね。
木箱に並んだ小さな植物の標本や、ラベル付けされた押し花、シャーレに入った綿毛付きの種子。一見すると古い理科室の棚に大事にしまわれていた植物サンプルのようですが、これらはすべてオリジナルで手作りされたインテリアオブジェです。