特別な日も、そうでない日常も。豊かな「花のある暮らし」を
それから、大事なお花を守るようにお花屋さんが編集した新聞の贈り物も。
旬のお花と共に、そのお花にまつわる興味深いストーリーを編集した新聞を届けてくれる『霽れと褻(ハレとケ)』。日常にも非日常にも、四季の移ろいを感じさせる花のある暮らしを――と、信頼のおける生産者さんから直接、私たちの元に素敵なお花を贈ってくれます。
花を愛でるには、まず知ることから。一つのお花から紡ぎだされるストーリーを、お花を活けるように味わってみませんか?この新連載で、お花のことをもっと好きになって季節をより感じる豊かな「花のある暮らし」が送れますように。
今月のお花━━ “ツル性植物の女王”と呼ばれる「クレマチス」
でも、クレマチスと聞いて、どれくらいの方がそのお花のイメージができるでしょうか。これまで耳にしたことはあっても、どんな植物なのか想像できない、むしろ植物名であることすらも知らなかった!という方も多いのでは…?
ガーデニングのお花であるイメージが強いクレマチスは西洋の花と思われがちですが、意外にも日本での歴史は古く桃山時代から栽培が行なわれ、茶の席で生ける茶花として好まれていたそうですよ。また、大輪花の誕生には日本の「カザグルマ」という原種が大きな役目を果たしたのだそう。
江戸時代後期にはベル咲きのクレマチスが自生していたそうで、現在でもこの下に垂れ下がったぷっくりとかわいいベル咲きの種が人気。そのどことなく控えめな花姿に、日本人の奥ゆかしさを見出したのかもしれませんね。日本にルーツがあり、古くから親しまれてきたクレマチス。最近では、都内のお花屋さんでも手に入る機会が増えてきました。でも、まだまだ分からないことが多いのが正直なところ。次は、その愛で方についてご紹介します。
お花屋さんに教わる飾り方<下準備~活け方・お手入れ方法まで>
用意するもの
簡単そうで、一番大切な「下準備」
①ツル性植物であるクレマチスは、周りのものに絡まりながら成長していく特徴があるので、複数のツル(茎)が絡まりあっている場合は、丁寧に一本一本解いてあげましょう。
②一本の太い茎から自由に枝分かれしたツル。活けたときに、水に浸かってしまうような細かなものは先に切り落としておきましょう。葉が水に浸かったままになっていると、そこからバクテリアが繁殖しお花が痛んでしまう原因になるそう。
③ツルや葉、蕾までかわいいクレマチスは、捨てるところがありません!切り落としたツル(茎)も、小瓶に活けてお楽しみくださいね。
「活け方」のポイントとは?
花瓶の長さとお花の長さを調節したら早速、水の入った花瓶へ活けましょう。流れるように自由に伸びたツルがクレマチスの魅力なので、自分の思い通りにきっちり整えようとせずに、ラフにふんわりと、より自然体で活けてあげることがポイント。一本一本、花姿が違うのでそれぞれ長さを変えて活けてあげると美しく仕上がりますよ。
※花瓶と花瓶の口から出ているお花の比率は1:1がベスト。実際に活けてから、イメージに合わせて調整できるように少し長めにカットしておくのもポイントです。
お部屋になじむ「飾り方」
置き場所は、直射日光が当たらないなるべく涼しいところが良いそう。リビングはもちろん、玄関先や、寝室にも。一つ一つのお花は控えめながら、その自由奔放に伸びるツルと葉が合わさるとそのどことなく儚げで私たちの感性に訴えかける魅力に取り付かれてしまうはず。
じめじめとした梅雨時期のお部屋にも、涼しげなお花が一輪あることで心身ともにリラックスでき豊かな一時が過ごせるような気がします。
知っておきたい、正しい「メンテナンス方法」
①水換えは、回数が減ってしまうと水中でバクテリアが繁殖し、お花が痛んでしまう原因になるのでできれば毎日新鮮な水に交換しましょう。このとき、花瓶もきれいに洗って清潔にしておくとより長くお花を楽しめます。
②お水を交換したら、また活ける前にクレマチスのツルの先を1cmほど切り落とします。こちらも出来れば毎日行なってあげましょう。
③また、脇から伸びた蕾から花が咲くこともあるので他のお花が散ってしまってもその部分だけカットして、飾ってあげてくださいね。
「応用編」クレマチスを押し花に
お花を十分楽しんだら、右に左にクネクネと伸びたツルも一緒に押し花にしてみましょう。
図鑑や辞書などの重さのある本を開き、そこに新聞紙などの水分を吸ってくれる紙を敷いた上にクレマチスを並べて、本を閉じて1~2週間。クレマチスの美しさを永遠に閉じ込めて。
“切り花”のクレマチスに価値を見出したパイオニア「渋谷花卉園芸」
ですが元々、茶花として江戸時代から親しまれてきたクレマチス。ガーデニング用ではなく、“一本の花”として日本人の中にこの花を受け入れるだけの感性があったのかもしれない――と、澁谷さんは語ります。
クレマチスの花言葉と来月のお花は…
次回は、日本一の「あじさい」を知る
霽れと褻(ハレとケ)
中目黒と蔵前に店舗を持つex. flower shopが新しく立ち上げたブランド。
毎月、旬のお花が届く「ハレとケ定期便」や大切な方へお花を贈るサービス「ギフトチケット」、SUEKI CERAMICSとのオリジナルの花瓶を販売する。
・花鋏
家庭用の一般的なハサミでもOK。切れ味の良いものを使いましょう。
・お好みの花瓶
全体の3分の2程度まで水を入れておきます。
ツルの長いクレマチスの場合、背丈のある花瓶を使うと飾りやすく◎です。
・小瓶(切り落としたツルを活ける用)