空高く昇ったお日様が部屋に日差しをたっぷり注ぎ込む冬のある朝。
でも、何か物足りない…。そうだ、お花を飾るのを忘れてたんだった!
今年一年も季節の花を絶やさないように、暮らしたいな。
お花屋さんの帰りに花を持って街を歩くのも、好きだよ。
そんな素敵なあなたの、豊かな花のある暮らしの傍らに、今年もこの「花ごよみ」を是非どうぞ―― 。
「冬の貴婦人」は、バラのように美しい花を咲かせる。
そんな、緑も少ない冬場に私たちを楽しませてくれる花が今回ご紹介する「クリスマスローズ」。
とっくにお祝いして終わったのに、今さらクリスマス…!? と思われる方も少なくないかもしれませんね。ヨーロッパ原産のクリスマスローズは、「冬の貴婦人」と呼ばれ、12月~3月にかけて咲く代表的な冬の花。寒さに強く、時には雪を持ち上げて花を咲かせることもあるのだとか。春咲きのものも中にはありますが、クリスマスシーズンにバラのようにきれいな花を咲かせることからクリスマスローズと呼ばれるようになりました。
キリスト誕生のお祝いに駆けつけたマデロンという少女。
しかし、貧困のため贈り物が何もありません。悲しみに暮れる少女、その瞳からは涙が溢れ出します。しかし、その涙が流れ落ちた場所からは真っ白な美しいニゲルが咲き乱れ―― 。
そして少女は、その花をキリストに無事捧げられたというお話。
このような伝説からクリスマスローズは、イエス・キリスト降誕の象徴とされ、「私の不安をやわらげて」「慰め」などの優しい花言葉が生まれたきっかけともなったそうです。
日本有数のクリスマスローズ農園「童仙房 NURSERY&GARDEN」
大阪の都心部から少し離れた八尾市に、その農園と出荷場があります。美しく整備された立派なハウスには、クリスマスローズの鉢が見渡す限りずらり。国内では一般的に流通数も少なく、珍しい部類に入るクリスマスローズがこれだけ並んでいるのは圧巻の一言!
クリスマスローズはすぐにダメになってしまうと思われることもあるようですが、きちんとケアすれば長く楽しめる花。藤田さんが日本人の感性に合っていると信じ、生産を始めたクリスマスローズは、それから20年経つ今もなお、年々人気が上がる一方です。
国境を越えた探究心と、徹底した品質管理がなせる日本人の職人技。そこには、藤田さんだからこそ育てられたクリスマスローズがありました。
『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「クリスマスローズ」の愛で方
Q:水揚げのポイントってあるの?
平均的な切り花の長さに比べて少し丈が短いクリスマスローズは、飾りやすい長さを残すため、下準備で茎先を切る場合は出来るだけ短く、約1cm弱くらいを目安に切りましょう。きれいな水を張った容器の中でよく切れるハサミを使って行いましょう。
万が一、水下がりが生じた場合は「湯あげ」が有功です。茎先を切った後に40度のお湯に茎全体を浸け、そのまま水が冷めるまで置いておくと、シャキッと上がります。一般的な方法とは異なる、ぬるま湯につけて湯あげする方法はクリスマスローズ独自のもの。
Q:どんな活け方が合うの?教えて!
様々な活け方が楽しめるクリスマスローズ。まずは、ラフにざっくりと活けてみて。花瓶の高さと花瓶から出る花の長さは1:1が基本ですが、クリスマスローズは顔の美しさが際立つ2:1もおすすめ。花瓶の上にこんもりと花を盛り付けるイメージで。
お部屋の雰囲気に合わせながら器を変えて、いろんな飾り方を楽しめるのもクリスマスローズの魅力。水滴を思わせる丸くて透明な花瓶に活けると、なんだか心が静まるよう。アシンメトリーを意識して活けるのも素敵。
ピッチャーに活けると、キッチンやテーブルの上によく馴染みます。清潔感のある白い陶器やガラス素材がおすすめ。
お気に入りのマグカップに活けて、カフェ風にも。
他の花と合わせて、小さな花瓶に一輪挿したものをいくつかランダムに並べれば、まるでギャラリーのような美しい空間に。
実は…、押し花にしても素敵なお花なんですよ。
クリスマスローズの花びらの様に見える部分は花ではなく萼(がく)のため、水分が抜けても散りません。押し花にしてもしっかりと形が残りきれいに仕上がるので試してみる価値あり!美しい姿を永遠に閉じ込めて…。
アンティークな雰囲気で、お部屋をぐっとスタイリッシュに。
来月のお花は…
\ 今月の「#霽れと褻」発表! /
ハッシュタグを付けて投稿してくださった方の中から、こちらのコーナーに採用された方には、キナリノモールでも販売中の『霽れと褻ギフトチケット一ヶ月分』をプレゼントします♪
※対象画像は「ハレとケ定期便」で届いたお花や新聞、「霽れと褻DAY」で購入したお花、当日の店頭ディスプレイ写真となります。
こちらの連載が先月お休みだったため、今月は先月分もピックアップ!11月にお送りしたのは、オンシジウムシャーリーベイビーという蘭の仲間。部屋中に香るバニラの匂いが、心からリラックスさせてくれるようです。
12月には、クリスマスのディスプレイにもぴったりな国産サンキライをお届け。ニュアンスのある枝ぶりが、とってもいい雰囲気です。
霽れと褻(ハレとケ)
中目黒と蔵前に店舗を持つex. flower shopが新しく立ち上げたブランド。
毎月、旬のお花が届く「ハレとケ定期便」や大切な方へお花を贈るサービス「ギフトチケット」、SUEKI CERAMICSとのオリジナルの花瓶を販売する。
BOTANIC代表・田中彰さん。1983年、高知市出身。大学卒業後、素材メーカーに勤務。花と植物の魅力に惹かれ、転身。東京・南青山の花屋で修行を経て、株式会社BOTANICを設立。