なぜ人は「怒る」のだろう?
怒りの原因としてもっとも大きいものは「欲求不満」です。
例えば、「◯◯したかったのにできなかった」or「◯◯して欲しかったのにしてくれなかった」、「もっと休みたいのに十分に休息がとれずイライラする・・・」など。前者の2つは精神的欲求が満たされておらず、後者は肉体的欲求が満たされていません。
「怒り」の原因を考えてみよう
イライラする、腹が立つとき。本当の原因はなんだろう?と考えてみましょう。
例えば、職場で思ったとおりに仕事をしてくれない人に腹が立つとしましょう。あなたは、なぜ腹が立っているのでしょうか?
あなたは、「仕事とはこうであるべきだ」とか「こうすれば周りの人に迷惑をかけない」とか「もっと良い成果を上げるにはこうすべきだ」というようなしっかりとした考えを持っているはずです。
それに対し、ちゃんと仕事をしてくれないとあなたが思うその人は、あなたの考え方にそぐわない行動をしているために腹が立つのです。つまり、あなたはその人に対し、自分と同じ考え方を持ってほしいという欲求を抱いており、その欲求が満たされないから腹が立ってしまうのです。
ここでの論点は、正しいか正しくないかではありません。「なぜ腹が立つのか」という部分です。無意識に人は、他者に対し様々な要望や欲求を抱いてしまいます。人が怒りを抱いてしまう原因は、欲求が満たされないから腹が立つ、ということがほとんどです。
全く知らない人よりも、自分の恋人や配偶者や子どもや親、職場や学校の仲間といった身近な人に対して、より怒りを抱きやすいと思いませんか。これらの関係は、相手に対し「こうしてほしい」という欲求を抱きやすく、結果イライラや怒りを生み出してしまうという状況が起こりやすいからです。
怒りへの対処法
では、怒りをコントロールするためにはどうしたら良いでしょう?
「欲求を抱かない」というのがひとつの答えですが、それはなかなか難しいですよね。
腹が立つことを紙に書き出してみる
おすすめなのは、今怒りを感じることすべて紙に書き出してみることです。書くことで、自分が何に怒りを感じているかが明確になります。
また書いた文字を眺めることで、自身の怒りを俯瞰でき、だんだんと客観的に捉えられるようになってきます。客観的に自分の怒りを見つめることで、自分の感情に距離を置き、少しずつ冷静になれるはず。
人の心は思いのほか複雑です。怒りの原因を突き詰めてみれば、怒りの本当の原因は実は全然違うところにあった、ということも。その怒りの発端はどこにあるのか?ということを知ることができれば、心を鎮めることができるでしょう。
突き詰めてみれば、人は人。自分じゃない。
小さな子どもがすぐ怒るのは、自分と他者の境界が曖昧だからです。他者は自分と同じだと思っているから、すぐに怒ってしまいます。
たとえ親子であったも、夫婦であっても、人は人。自分とは違う人間であり、自分とは違う考え方や生き方をしています。そのことをどんな時も忘れなければ、むやみやたらに怒る必要性はなくなってきます。
人は人、自分は自分。いい意味でこだわりを手放すことで、衝動的な怒りから開放されるはずです。
イライラするのは、疲れているから
なんだかイライラしてしまうのは、あなたが疲れているせいかもしれません。
身体に良いものを食べて、しっかり休息をとりましょう。
怒ること、怒らないこと、どちらもあなたが選択している
最後に、怒らないためには、冷静な思考力を身につけることも必要になってきます。自分自身の感情をシビアに見つめ、人と自分が違う存在であるということを自覚し続ける自制心・自立心を持つことが大切です。
相手に怒ってしまうのは、相手に対して甘えているから。人と生きていくうえで、甘えることは悪いことではないと思います。甘え合うことから生まれる関係もあるでしょう。
どうしても一人では乗り越えられない時が、人には存在します。そんな時は、周囲の助けが必要です。
また人は人だからといって、すべてを許すことが正しいとはいえません。自分や自分の大切なものを守るために、怒らねばならない時もあるはずです。
そのようなときでも、あなたが怒ることも、怒らないことも、すべてがあなた自身の選択の結果です。どんなときでも怒りに支配されずに、自分の意志で怒りや感情を注意深く選びとることが大事なのです。
おわりに
感情をコントロールするのは、とても難しいことです。私たちは、生涯を通じて自分の感情と付き合い続けなくてはなりません。
しかし、怒りを含めた喜怒哀楽という感情こそ、人間を人間たらしめている証。日々、あなたは自分の感情を選択して生きているのです。瞬間瞬間、湧き上がり続ける自分の感情とどう付き合って生きていくか。それを味わうこともまた人生の愉しみといえるかもしれません。
人が怒るには、様々な理由があります。