有休消化率が高い「ドイツ人」を例に、“休日の本質”を見つめよう
「休み下手」といわれる日本人。その背景には・・・
ドイツ人は「休日は休む」のが常識。その上、労働の成果も折り紙付き。
そこで参考にしたいのが、「有給休暇の取得率が高く」、「労働時間が短い」、それなのに「労働生産性が高い」という、ドイツ人のライフスタイル。
“憧れの三拍子”揃う彼らのライフスタイルを覗くと――、「休日を大切にする意志が強い」うえ、平日の仕事においても「早く帰宅したい」という意識が高い!プライベートを重視する国民性なのが特徴的です。
実は国としても休暇を推奨しており、労働者の権利として付与される有給休暇は、なんと年に約40日。
そのような環境下のもと、正直でシンプルな生活を愛して暮らすドイツ人。
今回は、ドイツ滞在経験のある筆者の経験のもと、彼らが「何を重視してオフを過ごしているのか」を紐解き、週末(≒休日)を楽しむヒントを得てみたいと思います。
ドイツ流、心安らぐオフを叶える〔5つのヒント〕
〔1〕物欲や流行にとらわれず、ゆっくり、マイペースに。
散歩や、サイクリング…。自然と積極的に触れ合い、安らぎを得る
実はドイツ、国で「閉店法」というものを設けていて、日曜はお店というお店が全てクローズしてしまいます(観光地などは例外もありますが)。
そんな、何もすることがない日曜日。ドイツ人の姿はどこに…?というと、家の周りを歩いていたり、公園を散歩していたり。意外と、近所でゆっくり過ごしている人の姿をよく目にします。
公園というと、日本では子供を遊ばせる場所で、大人だけで行くことは少ないのではないでしょうか。しかしドイツでは、大人だけでも公園へ行きます。公園では、簡単なピクニックをしたり、本を一冊持って寝転がって読書を楽しんだりする方が多いです。
また、自転車専用レーンが整備されているところが多いのも、ドイツの特徴。それゆえサイクリングで、週末を楽しむ人も多いです。日本ではあまり見ない、変わった自転車を楽しむ姿も見受けられます。
日本では、なにかと“お金をかけよう”としがちではないでしょうか。身の回りにある「自然」を、散歩やサイクリングで満喫して、安らぎを得る。そんな過ごし方も素敵なものです。自然エネルギーに力を入れたりと、自然の良さを大切にするドイツならではですね。
家でダラダラ過ごしがちな方は、おいしい空気を感じに、ちょっと近所の自然と触れ合ってみませんか?
マルクト(マルシェ)で、新鮮食材に出会う
週末になると、あちこちで「マルクト(MARKT)」が開かれます。これは朝市のことで、フランスで言うところの「マルシェ」にあたります。野菜やソーセージなど…美味しいものが目白押し♪これに行くのを、一日のはじまりの楽しみにしているドイツ人も多いです。
午前中に採れたての新鮮野菜を買って、朝食やランチでいただく…。丁寧な暮らしのお手本ですね。
日本でも、近年、週末にマルシェを開催しているところが増えてきています。また、スーパーでも、朝市をやっていたりしますよね。大地の恵みを感じる食事で一日の始まりを迎えて、ゆっくり過ごせば、心豊かなオフになりそうです。
〔2〕プライベート空間(=家)の心地よさにこだわりを。
外の自然を愛するドイツ人ですが、家でのプライベートタイムも大切にしています。
そんなドイツの家を覗くと、驚かされるのは、どこもインテリアにこだわりを持っていて、素敵に整えられていること。照明やグリーンなどもセンスよく配置し、居心地のよいプライベート空間を叶えています。
シンプルライフを好み、掃除上手なことも、ドイツ人の特徴。窓はいつもピカピカにして、家の前を通りゆく人々の目を楽しませるため、窓際に花が飾られていることも多いです。
部屋がおしゃれで、すっきりと片付けられた空間なら、ダラダラして過ごすことがもったいなく感じるのでは?
家族との時間や、人を自宅でもてなすことを大切にするドイツ人ならではの心がけであり、家でも質の高い時間を過ごすヒントになりそうです。
〔3〕誰かと会うときは、自宅で食事を一緒に。
人との食事を企画する際、日本人は“気づかい”の習慣もあって、おしゃれな空間や、振舞うご飯の美味しさも重視。それゆえ口コミを気にして素敵なお店探しをしたりしますよね。
ドイツ人はというと、誰かをもてなすなら、あまり自分を飾ることなく、自宅で食事会を企画することが多いです。友人や会社の同僚を歓迎して、美味しいお酒と共に会話に花を咲かす、ゆったりとした大人の時間を過ごします。
おもてなし料理も、飾らないのがドイツ流。負担が少ないよう、持ち寄りや、バーベキューで楽しむことも多いですよ。会話が弾んで、負担も軽減♪プライベートな空間なので肩の力を抜いて、コミュニケーションを深める機会になりそうですね。
また、新鮮な空気とともに、食事を楽しむことも。天気のよい日は、家のベランダや庭を食事会の会場にします。
〔4〕国民的行事は、大切なもの。とことん楽しもう。
ある休日の1日を、“とっておきのイベント”のために、終日空けておく。結構難しいかもしれませんが、そう割り切ってオフを楽しむ日も、また格別。気持ちよく心がリフレッシュできることでしょう。
ドイツ人にとって、“とっておきのイベント”といえば…。
そう、世界最大規模を誇る、毎年恒例のビールの祭典「オクトーバーフェスト」です。国民的行事になっており、飲んで歌って踊る!ドイツで9~10月にかけて開催されています。国をあげてイベントを楽しもうとする文化が根付いているのは、素敵なことですよね。
友人や家族と楽しむのはもちろんですが、実は、会社の同僚や仕事のお客さんと行く、付き合いの場でもあります。ちょっと羽目を外して、本音トークで交流するのも、時には大切なのかもしれませんね。
「オクトーバーフェスト」に限らず、クリスマスやカーニバルなど、ドイツ人は伝統的な行事はとても大切にしています。日本も国民的な季節行事が多いので、これを機会に、誰かと交流する場をつくってみてもよいかもしれませんね。
〔5〕一度きりの人生。長期休暇を得たら・・・旅行する!
夏が近づくと、ドイツの街の至る所で「ウアラウプ…」という単語が聞こえてきます。「ウアラウプ(Urlaub))」とはドイツ語で、バカンスのこと。ドイツ人はこの長期休暇を心待ちにしています。3週間ぐらい夏休みをとる人も珍しくありません。
ドイツをはじめ、ヨーロッパでは、長期休暇を叶える「有給休暇」はすっかり市民権を得たものになっています。ドイツ人においては、ビーチで日焼けを楽しんだり、ハイキングをしてリフレッシュしたり…。旅行に出て、自然を満喫する方が一般的です。
長期休暇ならではの「旅行」は、人生観が変わるほど、あなたに大切な気づきを与えてくれるもの。
長期休暇といえば「有給休暇」であり、日本では現実的に申し出にくいものかもしれませんが、ときには、ちょっと勇気を振り絞って相談してみるのも大切です。ずっと昔から行きたかったところを訪れて、リフレッシュすれば、仕事も新たな気持ちで頑張れると思いますよ。
休日を大切に過ごしませんか
いかがでしたでしょうか。オン・オフをしっかり切り替えて、休日は、休日ならではの楽しみを追求する。そのようにして、仕事の能力も高いドイツ人の姿を知ると、週末を充実させようとあくせくしがちな方も、肩の力を抜いて過ごせるのではないでしょうか。
普段忙しく働く人にとって、唯一息抜きできる「休日」。たいていは週末の土日にあたり、週の後半になると「とっても心待ち♪」という方も多いと思います。
その「休日」、ちゃんとリフレッシュできていますか?
つい、仕事のことを考えてしまったり、仕事に関わる作業をしたり。責任感が強いあまり、「オン・オフ」の気持ちの切り替えが上手くできず、せっかくの「休日」、気が休まる時間が持てないということも…。