地方によって違うインド料理
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国土が広大なインドは、地域によって気候・風土が大きく異なり、また宗教の違いも影響し、食文化は多様です。インドを旅するように、いろいろな地域の料理を味わうのも楽しいかもしれませんね。
主食は小麦!肉料理も好まれる「北インド」
北インドの主食は小麦で、ナン・チャパティなどをよく食べます。カレーは、ヒンズー教徒が多いので牛・豚ではなく鶏や羊肉を使い、ガラムマサラ系のスパイス、ナッツやギー(バターオイル)を使用した濃厚な味。また、タンドリーチキンやチキンティッカなどタンドール窯で焼く肉料理も好まれます。日本のインド料理店も北インドの味が主流です。ただ、これはレストラン料理であり、家庭ではダルカレー(豆カレー)や野菜のスパイシーな蒸し煮「ザブジ」など菜食メニューも豊富。ちなみに、北インドでは、大皿に多種類のおかず(カレー)や主食がのった「ターリー」が一般的。
主食は米!野菜やココナッツなど菜食文化の「南インド」
南インドは、主食は米で種類も豊富。菜食主義者が多いので野菜や豆を多く使いますが、魚もよく食べます。乳製品の代わりにココナッツミルクを多く使い、油はマスタードオイルやごま油、またスパイスはマスタードシードやカレーリーフなどが中心。唐辛子のきいた辛い料理が好まれますが、油脂をあまり使わないのでカレーやおかずもあっさり味で、北インドとはかなり異なります(一部、肉を食べる地域もあります)。バナナの葉の上にごはんやおかずを盛り付けた「ミールス」はポピュラーな食事スタイルです。
魚が多い東インド「ベンガル料理」・豚肉も使う西インド「ゴア料理」
東インドは大きな河川が多く、魚料理が多いのが特徴。主食も米(インディカ米)で、日本に似ている地域ともいえそう。マスタードオイルを使った魚カレーが有名。米や魚などを中心にコース仕立ての順番で楽しむ「ベンガル料理」も知られています。
また、西インドのムンバイから元ポルトガル領ゴアにかけての海沿いも魚料理が豊富。ポルトガルの影響を受けた「ゴア料理」がインドでは珍しく豚肉も使う一方で、西インドの一部には厳格な菜食主義者が多い地域もあります。西インドの主食は米と小麦の両方です。
また、西インドのムンバイから元ポルトガル領ゴアにかけての海沿いも魚料理が豊富。ポルトガルの影響を受けた「ゴア料理」がインドでは珍しく豚肉も使う一方で、西インドの一部には厳格な菜食主義者が多い地域もあります。西インドの主食は米と小麦の両方です。
濃厚な味わいで肉料理も多い「北インド」の料理レシピ
バターチキンカレーとチャパティ
日本でも人気のバターチキンカレーは、北インドの濃厚な味のカレー。ガラムマサラ系のスパイスがきいています。また、チャパティは、アタ(全粒粉)を使った素朴な味わいのパン。無発酵で、ナンのようにタンドリー窯が要らないので、インドの家庭ではこちらがよく食べられます。
サクサク食感!層になった薄焼きパン「パラタ」
パラタは、チャパティと並んで家庭料理でも人気の主食。生地が層になっていて、サクサクした薄焼きパンです。
ほうれん草とチーズのカレー「サグパニール」
サグパニール(パラクパニール)は、インド北西部・パンジャブ州発祥のほうれん草とカッテージチーズのカレー。辛さは控えめです。ちなみにザグは菜の花や青菜、パラクはほうれん草、パニールはチーズの意味です。
タンドールチキンによく似た「チキンティッカ」
チキンティッカは、パンジャブ州の肉料理。タンドールチキンと同様にタンドール窯で焼きますが、タンドールチキンはおもに骨付きで、チキンティッカは骨なし肉を小さく切って調理します。
じゅわっと肉のうまみ!インドの串料理「シークカバブ」
シークカバブ(シークケバブ)は、つくねのようなインドの串料理。シークは串、カバブは肉料理全般の意味。トルコのシシケバブとは調理法が違い、インドではおもに羊やヤギのひき肉を使ってタンドール窯で焼きます。
伝統の肉料理「ローガン・ジョシュ」
16世紀、ムガル帝国によってアフガニスタンからインドのカシミール地方に伝えられた伝統料理。ローガンはバターオイル(ギー)や油、ジョシュは煮込むという意味だとか。現地では、羊やヤギ肉を使います。
インド料理の軽食「サモサ」
サモサは、じゃがいも・玉ねぎ・豆・羊のひき肉などをつぶしてスパイスで味付けしたものを、生地で三角に包んで揚げるインド料理の軽食のひとつ。チャツネを付けたり、スープに浸したリして食べます。
インドの人気家庭料理!野菜を蒸し煮した「ザブジ」
菜食主義の方が多いインドでは、野菜の蒸し煮「ザブジ」がよく食べられています。オクラやじゃがいもなどをはじめ、どんな野菜でもOK。家庭料理の定番です。
ヨーグルトサラダ「ライタ」をヘルシーな根菜で
※ライタは北インドのほか、南インドでも食べられています。
「ライタ」は、北インドやバングラディシュをはじめ、南インドでも親しまれているヨーグルトサラダ(南インドではパチャディと呼称)。爽やかな味がカレーとよく合います。
インド伝統のヨーグルトデザート「シュリカンド」
※シュリカンドは、北インドのほか、西インドでも食べられています。
シュリカンドは、カルダモンの香りとサフランが特徴的なインドのヨーグルトデザート。西インドのグジャラート州などでは結婚式をはじめとするお祝いの席に欠かせない一品だそうです。
スパイシーなミルクティー「マサラチャイ」
マサラチャイは、茶葉に香辛料を加えたミルクティー。おもに北インドはマサラチャイで、南インドは泡立てられたインディアンコーヒーを好むとか。飲むときは、小さなカップで砂糖をたっぷり入れて楽しむことが多いようです。
菜食主義者が多い「南インド」のおいしいレシピ
ココナッツが香る♪南インドの野菜の炒め物「ポリヤル」
ポリヤルは、南インドの野菜の炒め物。ザブジと似ていますが、マスタードシードやココナッツを使うのが、南インドらしいところです。
野菜をくたっとするまで蒸し炒めする「トーレン」
マスタードシードやココナッツが使われ、上でご紹介したポリヤルにとても似ているトーレン。炒め物のポリヤルに比べると、トーレンはさらにくたっとするまで蒸すように火を通すのが違いのようです。南インドケララ州の料理です。
ノンオイルでヘルシー!スパイシーなインド風の豆サラダ
菜食主義者が多いインドは、ひよこ豆などを使ったサラダをよく食べます。インドのサラダは、ノンオイルのシンプルなもので「チャートマサラ(チャットマサラ)」というマンゴーパウダー入りのスパイスを使うそうです。
スープ?カレー?豆と野菜たっぷりの「サンバル」
南インドの代表料理のひとつ、サンバル。豆と野菜のカレーといわれますが、スープに近い感じで日本のお味噌汁のような存在。定食には必ず付いてくるとか。
南インドのスパイシースープ「ラッサム」
ラッサムはサンバルによく似ていますが、サンバルが豆入りでとろりとしているのに対して、ラッサムは豆が入っていない野菜のスープなのでさらさらしています。トマトやタマリンド(果物)、胡椒などを使った酸っぱくて辛い味。南インドの定食「ミールス」によく付いてきます。
カレーのおともに!インドのお漬物「アチャール」
カレーの付け合わせでよく出てくる「アチャール」。いわば、インドのお漬物(ピクルス)です。保存食(非常食)として作られ始めたという歴史があり、その後ネパールにも広がったようです。
野菜も食べ応え満点!南インドの天ぷら「バジ(バッジ)」
南インドの「バジ(バッジ)」は、北インドでは「パコラ」として食べられています。
南インドでと北インドで呼び方に差があるものの、広く親しまれている天ぷら(フリッター)のような揚げ物。ひよこ豆の粉(ベスン粉)を水で溶いてスパイスを加えた衣を、野菜にまとわせて揚げます。
南インドらしいスパイシーな「フィッシュフライ」
南インドでは、野菜や豆だけでなく、沿岸部などでは魚もよく食べられています。フィッシュフライとはいっても、スパイシー焼きのような感じ。南インドの主食のご飯によく合うおかずです。
世界三大炊き込みご飯のひとつ「ビリヤニ」
ビリヤニは、米が主食の南インドの代表的な料理。グレービー(カレー)と半茹でにした米を交互に重ねて蒸し上げる作り方が主流のようです。パエリアと松茸ご飯とともに、世界三大炊き込みご飯のひとつといわれています。
南インドのお食事クレープ「ドーサ」
ドーサは、米と豆を使った生地を使ったクレープのような料理。じゃがいもなどをスパイシーに炒め煮したものを包めばマサラドーサ。朝食にもよく出てきます。
「東インド」&「西インド」料理のアレンジレシピ
東インド・ベンガル地方の名物「魚のカレー」
東インドは、マスタードオイルなどを使った魚カレーが名物です。魚はぶつ切りの大きいままで使うのが一般的。東インドの主食のお米を合わせるのがおすすめです。
スパイスが独特!東インド・ベンガル風味の野菜炒め
東インドのベンガル地方では「パンチホロン」というミックススパイスを使います。野菜・豆・魚料理に合う、ホールスパイスだけを使ったもので、野菜炒めにもよく使われます。
ベンガル風のキャベツのサラダ
パンチホロンは、野菜料理・魚料理全般に使えます。パンチホロンの香りのサラダもベンガルらしい味です。
インドでは珍しい豚肉を使ったゴア料理!ポーク・ヴィンダルー
ポーク・ヴィンダルーは、ポルトガル人が西インドのゴア地方にもたらした料理。ポルトガルでは豚肉をワインビネガーなどに漬け込んで煮込みますが、ゴアのものはさらにスパイシーにアレンジされた、辛くて酸っぱいカレー料理です。
ちょっと酸っぱいゴア風の「魚のカレー」
ゴアは、海に面しているのでサメ・マグロ、イワシなど魚や、カニ・エビなどの甲殻類を多く食べます。もちろん、カレーにも魚介類をふんだんに使用。味付けには、ポーク・ヴィンダルーと同様に、ポルトガルの影響で酢やタマリンドなど酸味のあるものを使っているのが特徴です。
その土地ごとに魅力的な「インド料理」で旅気分♪
地域によってさまざまな味が楽しめるインド料理。カレーはもちろん、スパイシーな肉料理・野菜料理・米料理などもおうちで作ってみませんか?基本的なスパイスをそろえれば、いろんなインド料理に活用できそうですよ。
バターチキンカレーは、鶏肉をヨーグルトやガラムマサラ系のスパイスに漬け込みます。そして、本来はタンドリー窯で焼いてカレーソースに入れますが、トースターやフライパンで焼いてもOK。少しの手間で本格的なバターチキンカレーが完成します。