イタリアは、ブーツの形にたとえられる南北に細長い国。地方によって気候も風土も異なり、特産物や料理もそれぞれ個性にあふれています。郷土料理を知れば、もっとイタリアの魅力が分かりそう。まるで旅するように、おうちでイタリアの郷土料理を作って楽しんでみませんか?
出典:www.flickr.com(@Naotake Murayama) 「北イタリア」はアルプスの山麓にあり、酪農が盛んです。寒いので、肉の煮込み料理や特産のバターなどを使った濃厚な料理が好まれます。また、穀倉エリアで小麦がよく獲れるので、保存の必要がなく、生パスタを伝統的によく食べます。
出典: ローマやフィレンツェなど観光地として人気の「中部イタリア」は、北と南の中間的な料理が多く、肉も魚も食べますが全体的に意外とシンプル。パスタ料理は種類が豊富で、カルボナーラもアラビアータもローマが発祥とか。また、都会的な味がある一方で、貧富の差が大きかった中部では臓物料理が庶民の味として親しまれ、トリッパなどいまに受け継がれています。
【南部】オリーブオイルとトマト、地中海の魚介をふんだんに!
「南イタリア」は太陽が降り注ぐ温暖な気候で、オリーブオイルとトマトを使う料理が多く、また海に近いことから新鮮な魚介料理がよく食べられます。パスタは、乾麺が主流。日本でイメージするイタリア料理は、南イタリアのものが多いかもしれませんね。
それでは、南北の代表的な州や都市ごとに、その特徴や郷土料理をご紹介していきましょう。
イタリアの北西部にあるピエモンテ州。ピエモンテとは“山の麓”という意味。白トリュフで有名。また、放牧が盛んなのでバター・チーズも特産物で、ゴルゴンゾーラでも知られています。肉や乳製品を多く食べ、魚はあまり食べないようです。
出典: バーニャカウダは、ピエモンテ州の代表的な郷土料理。アンチョビ&ガーリック風味のディップを小鍋に入れてキャンドルで温め、野菜につけながら食べるので、鍋料理という位置づけのようです。ソースが少なくなったら卵を入れて、スクランブルエッグにします。
出典: ブラザートとは、肉に焼き色を付けて長時間じっくりと煮込む料理のこと。山間にあり、寒さも厳しいピエモンテの人々を温める家庭料理です。
バター・チーズ・ラグーソースなどで食べるパスタ「タヤリン」
出典: タヤリンは、卵と小麦を使った手打ちパスタで、ピエモンテ特産のバターやチーズ、肉のラグーソースなどで食べます。このレシピでは、同じくピエモンテの特産である白トリュフを加えていますね。
出典: こちらは、牛もものかたまり肉を使ったラグーソースのレシピです。赤ワインによく合います。
イタリア北西部にあり、北側はスイスと国境を接します。地域ごとにバリエーションに富んだ郷土料理があるのが特徴。内陸部の州なので肉を食べることが多く、またお米が収穫できるのでリゾットなど米料理があるのも日本人にはなじみやすい土地。州都のミラノは、イタリア経済の中心といわれます。
ミラノ名物!仔牛すね肉の煮込み料理「オッソブッコ」
出典: 仔牛すね肉の煮込み料理「オッソブッコ」はミラノ発祥の名物料理。レモンの皮のすりおろしやパセリ・ニンニクなどを使った薬味で風味付けをするのが特徴で、ミラノ風リゾットを添えて食べます。日本では仔牛肉が手に入りにくいので、普通の牛肉のすね肉で大丈夫です。
出典: ミラノ風カツレツ「コトレッタ」は、仔牛肉にパン粉をつけ、バターとオリーブオイルで黄金色に揚げ焼きします。イタリア経済の中心であるミラノ。それゆえ、お金持ちと印象が結び付く黄金色のフードは“ミラノ風”と呼ばれるようです。仔牛肉がない場合は、牛もも肉を薄く叩いて使うと本場風になります。
出典: 野菜たっぷりのスープ・ミネストローネは、日本でも人気ですね。ロンバルディアが発祥だとか。現地では、ミネストローネにパスタを短く折って入れたり、お米を入れることもあるようです。田舎の家庭料理で、日本でいえばお味噌汁のような身近な存在のスープです。
イタリアの首都・ローマのあるラツィオ州は、イタリアの中部に位置します。ローマは遺跡も多く、その美しさから“永遠の都”ともいわれます。料理はとてもシンプル。肉も魚も食べますが、臓物料理が庶民の味としてあるのも特徴です。パスタの種類も豊富で、ローマでは木曜日にニョッキを食べる習慣があるとか。
出典: サルティンボッカとは“口に飛び込む”という意味。ローマの名物料理で、仔牛肉に生ハムとセージをのせ、楊枝でとめて焼きます。簡単に作れる気軽さと、口に放り込みたくなるおいしさをよく表したネーミングですね。こちらのレシピでは、豚肉を使っています。
出典: トリッパは、牛の第二胃袋(ハチノス)。これをトマトとミントで煮込んでペコリーノをたっぷりかけたものがローマ風トリッパです。庶民の味として定着しています。なお、ガラフォラート(ローマ風牛の赤ワイン煮込み)のスープを使うトラステヴェレ風トリッパもあり。
出典: アマトリチャーナ・ソースは、風光明媚な観光地として人気のラツィオ州アマトリーチェ発祥のパスタソース。グアンチャーレ(豚のほほ肉の塩漬け)、ペコリーノ(羊のチーズ)などを使ったソースで、トマトを使うものと使わないものがあります。グアンチャーレは、日本のスーパーでも手に入るパンチェッタでOK。
丘陵地帯が連なる美しい自然などが観光客を魅了するトスカーナ州。街全体が世界遺産のフィレンツェが州都です。トスカーナの料理は、農家料理がベースになっており、シンプルで豪快。グリルしたお肉などがよく食べられ、豆料理が添えられるのが特徴で、素材のおいしさを楽しむ料理といえます。特産品は、プロシュート(生ハム)・サラミ・オリーブなど。
豪快なフィレンツェステーキ「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」
出典: フィレンツェのステーキは、骨付きTボーンで豪快そのもの。厚さは5㎝ほどあります。表面はカリッと香ばしく、中はふっくらジューシー。レアで楽しみます。シンプルゆえに、素材のうまみを存分に味わえます。
銀座一丁目 / イタリアン
- 住所
- 中央区銀座2-4-6 銀座velvia館 8F
- 営業時間
- 〔火~金〕11:30~15:00(L.O.14:00) 17:30~21:00(L.O.20:00)
〔土日祝〕11:30~15:00(L.O.14:00) 17:30~21:00(L.O.20:00)
- 定休日
- 月曜日
- 平均予算
- ¥10,000~¥14,999 /¥1,000~¥1,999
データ提供: レバーペーストなどをのせて楽しむ前菜「クロスティーニ」
出典: クロスティーニは“小さなトースト”の意味で、おしゃれなアンティパスト。オリーブオイル・チーズ・レバーペーストなど肉の加工品などをのせて食べます。ブルスケッタととても似ていますが、クロスティーニは小さくて薄いトスカーナパンを使うことと、ニンニクをパンにすりこまないことが特徴。アンチョビやケッパーも風味を添えます。
豆好きなトスカーナ!「ひよこ豆」のオリーブオイル和え
豆食いのトスカーナ人といわれるほど、この地では豆を料理によく使います。ひよこ豆は、トスカーナで好まれる豆のひとつ。いんげん豆やグリンピースなども使われます。さっぱりした豆の味わいが、メイン料理の味を引き立てます。シンプルな料理なので、良質なオリーブオイルを使うのがフィレンツェ流のようです。
ナポリを中心とするカンパニア州は、おいしいものの宝庫。イタリア料理のシンボル的な存在のナポリ風ピッツァをはじめ、海が近いことから、新鮮な魚介料理も楽しめます。特産は、レモンやトマト。レモンのお酒・リモンチェッロも有名です。
出典: 世界的に知られるナポリのピッツァは、もっちりした厚めの生地が特徴。水牛モッツァレラのマルゲリータと、トマト・ニンニク・ハーブのマリナーラが伝統的です。生地は手で伸ばし、窯で直焼き。縁はコルニチョーネ(額縁)といわれ、1~2㎝がいいとか。シンプルだからこそ、ごまかしのきかないピッツァです。
出典: 新鮮な魚介類をトマトやハーブなどとともに水煮するシンプルながらも贅沢な料理・アクアパッツァは、ナポリ料理。白身魚だけでなく、貝類やタコなども入れると、それぞれの出汁が溶け合って、絶妙なおいしさに。見た目も豪華な料理です。
出典: トマト・水牛のモッツァレラ・バジルを使った冷製の盛り合わせ。発祥は、ナポリ湾に浮かぶ、青の洞窟で有名なカプリ島。インサラータ・カプレーゼは“カプリ島のサラダ”という意味。カプレーゼは、日本でも人気ですね。モッツァレラチーズは、水牛でなくてもOKです。
イタリア半島の南西、地中海に浮かぶシチリア島。さまざまな民族に支配された歴史から、食文化も南イタリアにアフリカ・アラブなどがミックスされた独特な雰囲気が。料理の主役は、マグロ・イワシ・アサリなど地中海の豊富な魚介類と、温暖な気候が育む野菜と果物。特産は、ミネラル分いっぱいのトラバーニの塩やトマト・ピスタチオ・オリーブなど。
出典: シチリア名物のアンティパスト、カポナータ。軽く揚げたナスにトマト・ズッキーニ・パプリカなどの野菜やケッパーを加え、白ワインビネガーで煮込んだもので、ラタトゥイユに似ています。甘酸っぱさが爽やか。スペインから伝わったという説もあるとか。
地中海の味!「ベッカフィーコ風イワシのオーブン焼き」
出典: シチリア島で伝統的に食べられているイワシ料理。開いたイワシにオレンジやレモンの皮のすりおろしやレーズン、松の実などを包んで巻き込み、楊枝でとめてオーブンで焼きます。ベッカフィーコとは鳥の名前で、その太った姿に似ていることから名付けられました。
シチリアの太陽を感じるみずみずしい味!「オレンジのサラダ」
出典: 温暖な気候でみずみずしいフルーツが実るシチリアらしい料理。オリーブオイルをたっぷりかけ、フェンネルや玉ねぎなどを加えます。ハーブは、イタリアンパセルなどでもOK。
南北に長く、その地方ごとの郷土料理もバリエーションに富んだイタリア。なぜその土地でその料理が生まれたのか…そんな背景も考えながら作るのも楽しいですね。イタリアがもっと好きになりそう♪
「北イタリア」はアルプスの山麓にあり、酪農が盛んです。寒いので、肉の煮込み料理や特産のバターなどを使った濃厚な料理が好まれます。また、穀倉エリアで小麦がよく獲れるので、保存の必要がなく、生パスタを伝統的によく食べます。