きっかけは、食べてくれた人たちの“笑顔”
モダンながらクラシカルで懐かしい雰囲気の店内。「昔ながらのものを大事にしつつ、そこに新たな息吹をもたらし融合させる」という理念は、商品や内装、パッケージデザインなど全てに共通している。
「いろんなお菓子を作って親しい人たちに食べてもらった中で、キャラメルの反応が一番良かったんです。たわいもないことかもしれませんが、食べた人たちがみんな“笑顔”になってくれたことがただ純粋に嬉しくて。その時に「僕が人を幸せにできるのは、これかもしれない」と、自分の目指しているものがはっきりと分かりました」
自身の求めているものが明確に見えた瞬間、それは同時に、ただキャラメルを作るのではなく【キャラメルを通じて、想いを届け、笑顔を広げ、元気をつなげる】という、NUMBER SUGARのコンセプトが決まった瞬間でもあった。
店名の由来ともなっている、フレーバーごとにナンバリングされたキャラメルたち。1個(108円)からでも購入が可能。
プレーンでスタイリッシュなパッケージデザインは、女性だけでなく男性が持っても違和感がないようにとの心配りから。
ささやかにでも“幸せ”を感じてもらえれば嬉しい
微妙な匙加減で仕上がりが大きく変わってしまうキャラメル。納得のいくものを作り上げるためには、レシピだけではなく技術や熱意も重要。(画像提供:NUMBER SUGAR)
店頭に並べる商品も、自分たちが自信を持って出せるものだけを厳選しているというこだわりよう。商品作りのすべての工程を手作業で行い、ひとつひとつを丁寧に手間隙かけて作っているため、大変なことも多い。しかし、食べた人が美味しいと喜んでくれる姿が、キャラメルを作り続ける何よりの原動力になっているという。
手間隙かけて作られたキャラメルは、柔らかで優しい食感ながら歯につかず、スッキリと上品な味わい。
そう、少し照れくさそうにほほえみながら話す前原さん。キャラメルひとつが人々にもたらす幸福は、とてもささやかなものかもしれない。けれど、食べた人がほんの少しでも「幸せ」と感じてくれたなら、それが彼にとっての何よりの喜びなのだ。
シンプルで手作り感のあるデザインには、「手に取った時に心が温まるように」との想いが込められている。
ボックスにスタンプされたバラの花は、全てスタッフの手押しによるもの。一つひとつかすれ具合が違うのも味がある。
飾らずシンプルに、誰もが素直に美味しいと思えるものを
キャラメルのラインナップは、No’1から順にバニラ、ソルト、シナモン&ティー、チョコレート、ラズベリー、オレンジピール、アーモンド、ジンジャーの全8種類。
素材がそのまま中に練りこまれたキャラメルは、素材本来の味や食感、香りも楽しめると好評だ。(画像提供:NUMBER SUGAR)
「オレンジのキャラメルを作ろうと考えた時に、どうやって香料を使わずに豊かな風味をだそうかと悩みました。そこから、“素材そのものを練りこもう”と思いついたんです。結果的に、香りが豊かで食感も良いキャラメルを作ることができました。中に練りこんでいる食材も、細かく刻んでじっくり煮詰めたり、24時間以上寝かせるなど、素材自体から手作業で手間をかけて作っているので、ぜひ風味を楽しんでもらいたいですね」
店内に設けたられた大きなガラス窓からは、清潔感のある厨房がよく見渡せる。
「どんな人がどんなところで作っているのかを知ってもらうことで、より安心して食べてもらいたいんです。それに、お客様に見られているという意識が励みになって、作っている僕らの気持ちも引き締まります」
美味しさだけではなく安心も届けたい。そんな気持ちは、商品だけでなくお店造りにも活かされているのだ。
商品作りから包装までをすべてお店で。一つひとつの工程を手作業で心をこめて行っている。
キャラメルで笑顔をつなげていきたい
夏にピッタリの限定ドリンク「CARAMEL SMOOTHIE」と「NUMBER SUGAR COFFEE」も発売中。ほのかな苦味と甘さの絶妙なバランスは、キャラメル専門店ならでは。
そう少年のように目を輝かせる前原さんの頭には、既に次なるステップの青写真が思い描かれているようだ。しかし、それを実現するのはもう少し先のことなのだとか。
「自分たちが面白いと感じられてお客様にも喜んでもらえることは、積極的にやっていきたいと思っています。でもまずは、“今の自分たちに出来ること”を大事にして頑張りたい。この場所に足を運んでくださるお客様を大切にして、僕らの作るキャラメルで少しでも笑顔をつなげていけたら幸せです」
前原圭輔さん。「格好つけるのが苦手で」と照れくさそうに話す笑顔に、謙虚で真面目な人柄が滲み出ていた。
白い壁に木製のドア、鮮やかな青いひさしが映えるその外観は、さながらヨーロッパの街角のような佇まい。