盆地である奈良の気候は、冬は底冷えし、夏もまた暑さが厳しいことで知られています。でも、そんな暑い季節こそ美味しいのが冷たいおやつの定番、かき氷。奈良には今、質の良いふわふわの氷や、工夫を凝らしたシロップが自慢のかき氷屋さんがたくさん登場して、全国のかき氷ファンの皆様からも熱い視線を集めています。「なんで奈良でかき氷…?」そんな疑問にお答えしつつ、奈良の美味しいかき氷屋さんいろいろご紹介します。2017年02月22日更新
いよいよ近づいてきた夏の気配に、おなじみの奈良公園の鹿もウンザリのご様子。きっと彼らは知らないのです。夏の暑さを吹き飛ばすとっておきの美味しいかき氷が、実はすぐ近くにあることを…。
一口にかき氷と言っても、いざ食べ比べてみると、氷の質や削り方、最後まで飽きないシロップの工夫など、意外に奥が深いもの。奈良では今、素材や作り方にこだわりのある美味しいかき氷屋さんがたくさん登場しています。きめ細やかな氷は、器に山盛りのボリュームでもフワフワととろける食感で、頭がキーンと痛くなりくいのが特長です。でも、どうして奈良でこんなにかき氷が注目されているのでしょう?
奈良と氷の関係を知るには、氷室神社の存在は欠かせません。奈良時代、春日山のふもとに造られた氷室(氷の貯蔵庫)に氷の神様を祀ったのが始まりと言われるこの神社は〝氷の聖地〟とされ、毎年5月に行われる「献氷祭(けんぴょうさい)」では、全国の製氷・冷凍業者が商売繁盛を祈願することでも知られています。
氷室神社では、3年前から【ひむろしらゆき祭】というかき氷のお祭りも行われるようになりました。氷に感謝してかき氷を献上するこのお祭りには、県内はもちろん全国から有名店が集まります。境内で各店自慢のかき氷がいただけることもあって、2日間で1万人以上が来場するという盛況ぶり。2016年は5月に終了しましたが、今や初夏の奈良を彩る一大イベントとして定着しつつあります。
ひむろしらゆき祭の実行委員会は、毎年ガイドブックも発行しています。奈良の特色あるかき氷店が紹介されているので、これを片手にかき氷屋さん巡りをされる方も多いんですよ。氷室神社をはじめ掲載店舗等で無料配布されていますが、もし品切れの場合は公式サイトの方をご参照下さいね。
奈良では昔、素朴なおやつのことをホウセキと呼んで、大人も子どもも楽しんでいたそう。そんな地元の食文化に寄り添ったおやつを提供したいという「ほうせき箱」さんは、奈良のかき氷ブームを牽引している大人気店の筆頭です。夏場の行列は必至ですが、来店したら紙に名前を書いておくシステムなので、順番が来るまでのんびり奈良散策に出掛けましょう。
こちらは人気メニューのアッサムミルクエスプーマ。しっかりと濃い味の紅茶氷に雲のようなふんわりミルクのクリームが乗せられ、中にはカスタードが詰まっています。見た目からしてもう、女子の心を掴んで離しません。
ほうせき箱さんのかき氷といえば、代名詞はなんといってもたっぷりトッピングされたこちらのクリーム、エスプーマ。エスプーマとは、亜酸化窒素を使って食材をムースのような泡状に加工する調理法だそうで、ふわふわ滑らかな舌触りが氷と絶妙にマッチするのです。もちろん美味しそうなみぞれ系のメニューも用意されていて、そちらも大人気です。
ほうせき箱さんでは、手作りシロップの在庫切れや季節に合わせてメニューが不定期に入れ替わります。また、当日分の受付終了のお知らせや、営業時間の変動などもFacebookでこまめに告知されていますので、ぜひ事前にご確認下さいね。
こちらも奈良のかき氷を代表するお店の一つ、「おちゃのこ」さん。その名の通り、地元産の大和茶や台湾茶、擂茶(れいちゃ)、ハーブティーなど、お茶をメインにしたメニューが豊富な専門店で、物販もしています。夏場はかき氷が大人気で、特に土日は長々と行列を作ることも珍しくありません。
おちゃのこさんのかき氷は、きめ細かくてふわっふわな氷の食感が最高です。こちらは大人気のいちごみるく氷。よくあるシロップタイプではなく、奈良県産のブランドいちご「あすかルビー」をフリーズドライにしたパウダーがかかっています。ほんわりした氷の柔らかさに氷糖蜜と特濃ミルク、酸味の効いたいちごパウダーとの相性が抜群!
お茶の専門店ならではのメニューといえば、こちらの擂茶氷でしょうか。擂茶とは、「20数種類もの厳選した雑穀や豆、緑茶等を乾燥し、粉末にしたもの」だそう。ほのかな甘みと香ばしさ、豊かなお茶の風味が味わえます。ほうじ茶にミルクをあわせたほうじ茶ラテ氷も、甘いのにお茶のさっぱり感が爽やかで、ペロリと食べきってしまう美味しさですよ。
「KARAKU」さんは、近鉄奈良駅とJR奈良駅の中間あたり、比較的住宅街に近い場所にあるパティスリーです。地産地消の素材にこだわったケーキ屋さんで、鹿のロゴマークも可愛いですよね。各種スイーツも豊富なのですが、夏期限定で登場するパティシエさんならではのかき氷は、まるで洋菓子のような華やかさで注目を集めています。
こちらは、苺・ラズベリーなど赤い果実で作った甘酸っぱいソースに、生クリームを絞ったフリュイ・ルージュ。ひとくち食べれば、ベリーの風味が口一杯に広がります。
こちらはコロンビア産のチョコレートソースに、パッションフルーツとマンゴーの南国ジュレがかかっているショコラ・エキゾチックです。KARAKUさんのかき氷はどれも濃厚で、満足感たっぷり。かき氷というより、贅沢氷スイーツとでも呼びたくなるようなおしゃれさですね。
春日山遊歩道の入り口近くに佇む窯元、春日野窯内に併設されている「カフェ・ハルヒノ」は、地元の陶芸作家の方がご店主。こちらの窯で焼かれた器でランチやお茶を楽しむことができる古民家カフェです。自然に囲まれた場所にあるので、表の通りにはよく鹿もお散歩に来るようですよ。
お店の中は、窓に広がる深い緑を眺めながら、ゆるゆると穏やかな時間を過ごすことができるスペースです。展示コーナーにはたくさんの器が並んでいて、どれも素朴で優しい風合いがとっても素敵。申し込めば、器づくりや絵付けなどの陶芸体験にも気軽にチャレンジできます。
季節感や奈良の風土を愛するこのお店ならではの、丁寧なお仕事ぶりが光るハルヒノごはんもおすすめなのですが、夏期にはやっぱりかき氷!果肉感も贅沢なこちらの苺ベリーみるくは、奈良県産の苺「古都華(ことか)」を使用した手作りの苺シロップだそうです。ほかにも、上品な甘さが嬉しい和三盆練乳小豆があります。
近鉄奈良駅から、もちいどのセンター街を南へ10分ほど歩いていくと、いかにも老舗の風情漂う「寧楽菓子司 中西与三郎」さんの暖簾が見えてきます。店頭には色とりどりの生菓子が並んでおり、その奥が喫茶スペースの六坊庵です。
喫茶室は畳の上に椅子とテーブルという設えで、正座が苦手な方でも楽にくつろげます。屏風や掛け軸など、品の良い調度品がちりばめられた室内からは緑豊かなお庭を眺めることができ、ゆったりしたひとときを楽しめますよ。
こちらのお店でいただけるのは、宇治、和三、苺、梅などのかき氷です。宇治と和三には、みぞれのほかに金時などのバリエーションもあり、どれも自家製シロップと柔らかな氷が好評。トッピングに、わらび餅や奈良町だんごなどを追加することもできます。創業百余年という老舗和菓子店ならではの風情も味わえ、お腹も心も満たされる優雅なおやつです。
元興寺のほど近く、なんとも雰囲気のある佇まいの和菓子屋、「樫舎」さん。タクシーの運転手さんや近所の老舗のご店主など、美味しいものを知り尽くしている方々から「素材も腕も間違いのない本物の和菓子」と太鼓判を押されているお店です。
昔懐かしい日本家屋の風情があふれる店内。こちらの階段箪笥を上がった2階がお茶や和菓子をいただくことができるスペースで、屋根裏を思わせる素敵な空間です。予約すれば、1階のカウンター席にて目の前で和菓子を作っていただけるコースもあるとか。滅多に味わえない贅沢な趣向なのにお代もお手頃で、和菓子を心から楽しんで欲しいというご店主のこだわりが伝わります。
そんな樫舎さんのかき氷は「樫舎の氷」と「樫舎の氷 わらび餅入り」の2つのみで、数量限定。しかしこのかき氷、素材へのこだわりがタダ事ではありません。氷は数日間かけて作った純水氷、餡は丹波大納言の自家製つぶあん、寒天は国産の天草のみを信州の寒風で乾燥させた極上寒天。またわらび餅は、国産の本わらび粉のみを使っているとのこと。すみずみまで本物にこだわった、究極の和のかき氷です。
近鉄富雄駅より徒歩で約10分、住宅街の中でひときわ目を引くこちらの建物は、表屋造りの巨大な町家建築、旧鴻池邸です。文化財と言ってもいいほどの歴史的建造物で、中は江戸時代の豪商の住まいにふさわしい贅沢な造り。財政難を理由に撤去されかけていたところを、三宅製餡株式会社の二代目社長が引き取り、現在地に移されたそうです。和菓子屋・カフェとして生まれ変わったこちらのお店では、和の雰囲気にたっぷり浸りながら美味しい甘味をいただけます。
喫茶室はお座敷の窓いっぱいに、涼しげな竹林が広がります。素材にこだわったぜんざいやあんみつ、抹茶やきなこのパフェなど、お品書きはどれも一度はいただいてみたいものばかり。上質なお茶や和菓子の数々にファンがたくさんいらっしゃいます。
夏期には、みやけさんのかき氷を目当てに訪れるお客様で連日賑わっています。こちらは高級抹茶を贅沢に使用した一番人気の宇治金時。ほかにも、限定農家さんのいちごを使ったいちごミルクやマンゴー氷もあり、こちらは数に限りがあるため、どうしても食べたいという方は開店と同時に飛び込むのだとか。ここにしかない贅沢な雰囲気とともに、じっくり味わいたいかき氷です。
奈良の名物、柿の葉ずしの老舗である「平宗」さんは、法隆寺の参道沿いに法隆寺店を構えていらっしゃいます。名前だけなら誰もが知っている法隆寺は、実際に訪れてみると、静寂に満ちて広々と美しい境内に感銘を受ける方が多い名刹です。ゆっくりと散策を楽しんで、歩き疲れたらこちらのお店で一服してみてはいかがでしょうか。
法隆寺店さんで提供されているその名も「柿氷」は、文字通り柿を使ったシロップで話題を集めています。奈良県産の富有柿を糖蜜に漬けて粗目につぶしたシロップは、果肉感も残る濃厚なジャムのよう。強い甘みととろみがあって、柿そのものの美味しさが凝縮されていると評判です。
こちらは驚きのアスパラみるくかき氷。まさにアスパラの風味なのに、甘いミルクとの相性の良さに驚かれる方が多いようです。寒い季節にも、バーナーで炙った栗のペーストが乗った焼モンブラン氷や、カボチャやサツマイモのあたたかいペーストを乗せて食べる変わりかき氷など、工夫を凝らしたメニューが登場しています。
こちらの「cafe ことだま」さんの風情ある建物は、元は「松星」という名前の酒蔵だったそうです。飛鳥駅からは約3キロと少し距離がありますので、奈良交通バスを使うか、お車での来店が良さそう。自然あふれる明日香の散策帰りに、ちょっと立ち寄るのにもぴったりのお店です。
元酒蔵の古民家を改装したというだけあって、店内もシックで落ち着いた雰囲気。席もゆったりとしていて、心身ともにくつろげる空間です。地元の野菜を使って丁寧に仕上げられたランチも人気のお店なので、ランチを目指して行かれる方は予約しておくのがオススメですよ。お店の一角では、ハンドメイド作品なども販売されています。
こちらのかき氷は明日香村産のフルーツとアイスクリーム、お餅、練乳、きなこ、粒あんなど色とりどりのトッピングが楽しいパッピンス。しっかり混ぜ合わせて、氷とトッピングを馴染ませるのが美味しく食べるコツだそうです。レトロな調度品に囲まれて心和むひとときに、こんな贅沢なかき氷はいかがですか?
地元ならではの食材を使ったり、歴史あるお店の雰囲気も楽しみながらいただけるかき氷の数々、いかがでしたか?ご紹介しきれなかったお店もまだまだたくさんあります。この夏はぜひかき氷の街・奈良でお気に入りのお店を見つけてみて下さいね。
アプリ限定!12星座占い、天気予報と気温に合わせたコーデをお楽しみいただけます
お買いものもキナリノアプリで◎
キナリノアプリ
「これが好き」、「これが心地よい」と感じてもらえるお買いもの体験と情報を。自分らしい暮らしがかなう、お買いものメディア
いよいよ近づいてきた夏の気配に、おなじみの奈良公園の鹿もウンザリのご様子。きっと彼らは知らないのです。夏の暑さを吹き飛ばすとっておきの美味しいかき氷が、実はすぐ近くにあることを…。