味わい深く、落ち着いた雰囲気の「韓国伝統インテリア」の魅力
出典: 韓国の伝統的な家具には、アンティークのような趣を持った、美しい逸品が揃っていることをご存じでしょうか?
例えば、脚付きのティーテーブル「小盤(ソバン)」。また、箱のような恰好いいデザインの収納家具「パンダジ」など・・・。ところどころ、韓国ならではの伝統的な意匠が見受けられ、美しいアクセントに*
出典: こうした家具は日本の和室にもマッチしやすく、実は古くから日本の文人たちにも愛されてきたもの。いまもアンティークや骨董好きの間では人気が高いですよ*
出典: 今回は、韓国の伝統的なインテリアの魅力についてご紹介。
古道具好きさんはもちろん、韓国が大好きな方、和の空間にアクセントをつけたいと思っている人などにもおすすめです。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
※本記事は韓国の伝統的な家具の魅力をご紹介することを重視しています。記事中で取り上げている商品画像は、中古品(年代物・アンティーク)、新品(リプロダクト家具)の両方が混在しています。予めご了承ください。
*落ちつきと気品を備えた「李朝家具(りちょうかぐ)」の世界
李朝家具(りちょうかぐ)とは、正確には「李王家が君臨した朝鮮王朝時代の家具」のこと。この「李王家が君臨した朝鮮王朝」を短くし、「李朝」と呼ばれています。
李朝家具とは、李王家が君臨した李氏朝鮮時代(1392~1910年)に作られた調度類、または、この時代の家具のリプロダクトの事も意味します。
出典: 「清雅(せいが)」や「簡潔」を良しとしたこの時代の文人たち。家具にもこの思想を反映させ、清いデザイン美が光る李朝家具が作られることになりました。すっきりとしていますが、留め具など、ところどころに気品を感じる伝統的な意匠が施されていることも特徴的。
日本でも、民芸運動の父である柳宗悦、白洲次郎・正子夫妻など、多くの文化人が李朝家具を愛していたことでも有名です。
代表的な李朝家具①|李朝膳 *小盤(ソバン)とも呼ばれます
出典: 脚付きの小さなテーブル「小盤(ソバン)」。韓国の伝統的な一人用の食事テーブルであり、床暖房(オンドル)で食べ物が温まらないように、脚付きの膳が普及したそう。現代でも使用されており、木製ではなく、アルミ製など、日常使いしやすい素材の小盤もあります。
その小盤ですが、年代ものの、李朝家具における小盤は、「李朝膳(りちょうぜん)」と呼ばれて親しまれています。
小盤(ソバン)には虎足盤(ホジョクバン)、狗足盤(クジョクバン)など、脚の向きによって、違う名前がつけられていることも特徴的です。
出典: 長方形の天板がついた小盤(ソバン)です。四角いかたちの小さいテーブルは、お食事を食べるお膳として使うのはもちろん、ティーテーブルやディスプレイ台としても活躍してくれます。
全体的にシンプルな造りになっているので、和室、洋室問わず、アジアンテイストインテリアとして使えますよ。
出典: こちらの花の天板がついた小盤(ソバン)は、虎足盤(ホジョクバン)。脚部が虎の足のように、外側に向いていますよね。使い込まれて艶を増した木の質感がとても優雅です。
中央に一輪挿しを置けば、それだけでお部屋のアクセントにも。コンパクトなのに、存在感がありますね。
出典: 脚部に広い板を使ったタイプの海州盤とよばれる小盤(ソバン)。左右に卍の模様が透かし彫りにされ、軽やかさを出しています。広い板の安定感があって、とても実用的ですね。
左右の脚部に入れられた卍紋は、ヒンズー教や仏教でも吉兆の証としてよく使われていたモチーフなんですよ。
代表的な李朝家具②|李朝箪笥(パンダジ、ヤクジャンなど)
出典: 「李朝箪笥」は、用途や構造によってそれぞれ違った名前で呼ばれています。
箪笥として有名なのは、衣類や寝具、文具などをしまう「パンダジ」。正面の上半分が手前側に開くというユニークな構造になっています。ほかに、2層、3層になっている衣装箪笥である「ジャン」、女性用の衣類をしまうことが多い衣装箪笥である「ノン」などがあります。
もう一つ挙げたいのは、小さな引き出しがたくさんついた「薬箪笥」(「ヤクジャン」と呼ばれます)。細かなものをしまうことが多い現代の暮らしでも使いやすい構造になっています。
ここでは、「ヤクジャン」をご紹介します。
16個の小さい引き出しがついたヤクジャン。
実は細工箪笥になっていて、引き出しの大きさがそれぞれ違うんです。一段目は4つバラバラの引き出し、二段目は2つの引き出しがくっついて、大きな引き出しが2つになっており、三段目、四段目は4つの引き出しがくっついて、大きなひとつの引き出しになっています。
デザイン性はそのままに、使いやすさを向上させたユニークヤクジャンです。
李朝家具の飾り棚(李朝飾り棚)といえば、「タクジャ」。
「タクジャ」は、オープンラックになった飾り棚や本棚のことで、主に男性の居室で使われていました。すべての棚がオープンになっているものや、扉や引き出しがついているものなど、デザインはさまざまです。
カバの木を贅沢に使ったタクジャです。サイドには細い格子板を使い、凛とした表情をプラス。すべてがオープンラックになっているので、圧迫感がありませんね。
インテリア小物を飾るほか、本棚として使うのもおすすめ。日本や韓国の本はもちろん、洋書にもぴったり。タクジャがあれば、自分だけのお気に入りエリアが完成します。
*ナチュラルでモダンさも漂う。韓国のパッチワーク「ポジャギ」
出典: 韓国の伝統の布工芸として知られる、「ポジャギ」。
「ポジャギ」とは、日本の風呂敷のように、いろいろな用途に使える布のことです。パッチワークの手法で作られる「チョガッポ」のほか、刺繍入りのもの、刺し子風のものなど多くの種類があります。
出典: 「チョガッポ」のポジャギは、世界的に最も有名と言えるでしょう。透け感があって美しいですね。
出典: 因みにポジャギは、ものを包んだり覆ったりすることで、福を呼ぶともいわれていますよ*
自分にとって大事なものにはひたすら忠実に。髙下文美さんにとってのそれは、人とエコと、そして旅。大事にしてきたものがつながり、点が線になるように必然的とも思えるご縁で生まれたのが、LABORATORIO QUATTRO(ラボラトリオ クアトロ)の作品でした。トレードマークの笑顔を武器に海外へ軽やかに飛んでいっては、旅の思い出をひっそりとポジャギに縫い込める。そんな髙下さんの作品からは、「きっと世界は私たちが思っているより、ずっとやさしい」というメッセージが聞こえてくるような気がします。
ご参考として、こちらの記事も併せてご覧ください*
ポジャギを手作りされているラボラトリオ クアトロ、髙下文美さんへのインタビューです。
ポジャギを手作りしてみたい方は、こちらから。フェリシモ「クチュリエ」のWEBサイトにて、縫い方をわかりやすくご説明しています。
出典: ミョンジュという明紬で作られたポジャギです。やわらかな艶があり、とても上品。
包んだり、覆ったり、なんにでも使えるポジャギですが、窓辺にかけてカーテンのようにするのが特におすすめ。光と風をはらんで、ふわりと優しく空間を彩ります。
出典: モシという薄手の麻を使ったポジャギ。規則的な連続模様で縫い上げた一枚です。やわらかく、少しハリのある生地感で、飾り棚にかけたり、窓辺に飾ったりと活用法もいろいろ。
そっと手に触れると、上質なモシの素材に癒されます。
出典: 透けて見える幾何学模様が、布のステンドグラスともいわれるポジャギ。こんな風に長方形のかたちがずっと続いていく図柄もとても素敵ですね。小さな端切れをつないでいく作業には、長寿を願う意味も込められているそう。
ポジャギを眺めていると、なんだか、ゆったり、まったりとした気分に浸れますね。
出典: 韓国の伝統工芸、メドゥプ(組紐)を使って作る「ノリゲ」。チマチョゴリを彩る服飾品のひとつで、華やかなデザインの房飾りのこと。宮中や上流階級の人たちは宝石を使ったノリゲを身に着けていましたが、庶民は手刺繍を入れたノリゲを使うことが多かったそう。
出典: 現代の暮らしで「ノリゲ」は、チマチョゴリにつけるほか、インテリアアイテムとしても活用されています。韓国旅行のお土産として購入したことがある人もいるかもしれませんね。
出典: パステルカラーの組紐で作られたノリゲ。クッカ(菊の花)がモチーフになっています。
窓辺にかけたポジャギの上に、アクセントとして垂らせば、韓国の風を感じられそうです。
出典: 翡翠とシルクを使った上質なノリゲです。組紐の飾り結びと長めの房が絶妙で、韓国らしい美しさを作り上げています。
飾り棚の取っ手にかければ、和風の棚が韓国風に早変わり。シックな色あいに心が落ち着きます。
~番外編~ 韓国伝統の美しいカトラリー「スッカラ」「チョッカラ」
インテリアではありませんが、韓国伝統の魅力に気軽に親しめるアイテムとして、「スッカラ」「チョッカラ」をオススメしたいと思います。
韓国での食事に欠かせない柄の長いスプーン「スッカラ」と、箸「チョッカラ」。
出典: 「スッカラ」のスプーンの窪みの部分は浅く、すくったり、混ぜたりしやすい形状になっています。汁物の多い韓国料理ならではですよね。
丸みを帯びた可愛らしいフォルムで、置くだけでもサマになります。普段のカトラリーに代えて使って見ると、いつもの食事もちょっぴり変化して見えますよ。
出典: 鈍い光を放つアンティークのスッカラは、ひとつひとつ表情が違っていてとても素敵。匙の部分の窪みが浅いと、かえってスムーズに食べ物を口の中に運べるんですよ。
インテリアとして、まとめて飾っておくのもおすすです。
出典: 真鍮のスッカラとチョッカラです。真鍮のカトラリーは熱いものをより熱く、冷たいものをより冷たく感じさせる効果もあり、日々のごはんをより美味しくしてくれるんです。
おそろいのスッカラとチョッカラはとても品よく、場を上手にまとめてくれます。和食器に真鍮のカトラリーを合わせると、華やかに見えますよ。
出典: 韓国人デザイナーと伝統工芸名匠のコラボした優美なデザインのスッカラ&チョッカラ。
真鍮製なので、丈夫で長く使っていくことができます。鈍く光る様子は、“LA LUNE”(フランス語で「月」)という名がぴったり!贈り物にもおすすめのひと品です。
▽ 韓国のキルティングシーツ「イブル」も伝統が息づいています。よろしければこちらの記事も、あわせてチェックしてみてくださいね。
韓国インテリアではお馴染みの薄いお布団(キルティングマット)の「イブル」。赤ちゃん用マットとしてママたちの間で人気のアイテムですが、洗濯機で丸洗いできることもあって、使い道はそれだけにとどまりません。お家のラグやブランケット、ソファカバーにも使えたりと万能で、お家にひとつあるとなにかと活躍しますよ。そこで今回は「イブル」の魅力をご紹介。ぜひお家にひとつ、お迎えしてみてはいかがでしょうか。
出典: 李朝家具やポジャギなど、韓国の伝統的なインテリアアイテムは、和の空間とも馴染みやすく、お部屋の素敵なアクセントになってくれます。
いろいろ探してみると、お値段もお手頃な李朝膳やポジャギ、ノリゲを発見できるかも*掘り出し物を見つけるのも楽しいですよ。
わたしたちの暮らしにも取り入れやすい、韓国伝統のインテリア。気になったものをお部屋にお迎えして、空間の素敵なアクセントにしてみてはいかがでしょう。
画像/李朝家具 ソバン