モロッコ風インテリアでエキゾチックな非日常感を
モロッコ風と言っても、伝統的な民族色の強いカラフルなものもあれば、フレンチ要素が加わった洗練されたものもあります。ここでは、どちらかというとフレンチモロカンなスタイリッシュでナチュラルなインテリアづくりのコツをご紹介します。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
モロッコ風インテリアの特徴とは?
イスラム文化とフレンチ精神の融合
特に、フランス領時代の名残りは強く、最大都市のカサブランカではムーア様式と欧州のアールデコ様式が混合したモレスク建築が見られます。
伝統工芸品のキリムや革製品、タイルなどを用いた色・柄の多いスタイルが定番ですが、フレンチスタイルに影響を受けたと思われるホワイトやベージュを基調としたナチュラルなスタイルも、最近では人気があるようです。
モロッコ風インテリアにはどんなスタイルがある?
伝統的なモロカンスタイル
フレンチモロカンスタイル
モロッコ風お部屋づくりのコツ
大きな家具は日本の古家具を活用し、小物でイスラム感を出す方法もリーズナブルで良さそうですね。日本でも購入できるモロッコならではの雑貨がたくさんあるので、取り入れると良いナチュラルテイストのものを現地住まいの特徴とともにご紹介します。
モロッコの住まいに見る基本の特徴
アースカラー、ピンクやブルー系
モロッコには、都市名にカラーを付けた愛称で親しまれているエリアがあります。「マラケシュピンク(レッド)」「フェズブルー」「シャウエンブルー」のように、都市の建物全体がピンクやブルーにペイントされているのです。
こちらはマラケシュのピンク。ピンクと言ってもやはり土色を混ぜたような落ち着いた色合いですね。
"青の街"で有名なシャウエンや世界一迷子になると言われているフェズは寒色のブルー。青はイスラム教にとって神聖な色なのだそう。
これらのことからモロッコにはピンクやブルーのイメージが付き、インテリアもカラフルにするならばピンクやブルー系でまとめられることが多いです。
ダマスクス柄・トレリス柄のような幾何学模様
モロッコの柄と言えば幾何学模様。植物・花をモチーフにした「ダマスクス柄」、ラグによく見られる菱形をモチーフにした「ベニワレン柄」、格子という意味の「トレリス柄」が有名です。これらは、ファブリック雑貨や陶器、タイルなどに使われています。
モロッコの神秘的な雰囲気を一気に出すことができるので、モロカンインテリアには必須アイテムと言えるでしょう。
アイアン装飾
アイアン装飾とは、熱した鉄を叩き圧力を加える製造方法「鍛造」によって作られた装飾のこと。錬鉄という意味の「ロートアイアン」と呼ばれることも。デザインはバロック、アールデゴなど時代によって変化・発展してきました。
モロッコでも、ヨーロッパから伝わったと思われるアイアンワークが所々で見られます。窓格子、ドア装飾、フェンス、間仕切り装飾など様々なシーンに活用でき、インテリアに華やかなアクセントを添えてくれます。
ラスティックでどっしりした木製家具
モロカンインテリアに使われる大型家具は、素朴な木製で高さがないものが基本です。エッジの効いたものではなく丸みがあり、どっしり感のあるものがピッタリです。
これを取り入れればモロッコ風!おすすめアイテム・雑貨12選
モロッコ柄の「ラグ&クッション」
真っ先に取り入れたいのがモロッコ柄のファブリック。特にモロッコの手工芸品を代表するラグは、一枚床に敷くだけで大きく雰囲気が変わります。代表的なデザインは以下の4つ。
■ベニワレン / ベニオワレン(Beni Ouarain)
ベニワレンという村でベルベル民族によって作られる希少性の高いウールラグ。ダイヤ柄が特徴です。
■アジラル(Azilal)
伝統的な幾何学模様や動物柄などが織り込まれ、ベニワレンと比べるとカラフルなものが多い印象。
■ボシャルウィット(Boucherouite)
古布や服をリサイクルして織った、色柄のバリエーションが自由なラグ。
■ハンディラ(Handira)
ホワイトベースで薄い生地が清潔感のあるラグ。元々花嫁が羽織る民族衣装だったため、動くときに音がしたり光を反射するように、金属製の小さな飾りがついているものが多く見られます。
太い糸で刺繍された模様が凹凸感のあるクッションカバー。ソファにいくつか並べたらあっという間にモロッコ風に。
ころんと感が愛らしい「プフ(プーフ)」
「プフ」とは、モロッコではお馴染みの円形や立方体のボリュームたっぷりなクッションのこと。椅子はもちろん、ソファのオットマンやサイドテーブルとしても大活躍。ころんとした存在感が疲れた心を癒してくれそう。
モロッコのプフはヤギ皮や羊皮が使われていますが、日本ではニットプフが密かにブーム。IKEA(イケア)や大手ECサイトでも販売されています。様々なテイストのお部屋に合いそうですよね。
素朴で粗野な「マルシェスツール」
モロッコのスーク(市場)や飲食店で見かけるマルシェスツール。表面の削り跡がそのままで剥き出しな脚の部分に、モロッコの味を感じます。
装飾の美しさににうっとりする「モロッコランプ」
モロッコのランプは、一般的には薄いアイアンに穴を開けて模様が描かれ、内側はガラスでできています。その美しい幾何学模様から漏れる灯りと影がつくり出す空間は、想像するだけでうっとりしてしまいますね。
トルコインテリアでもランプが使われますが、モザイク調でカラフルな点がちょっと違います。草や籐のシェードランプでもモロッコ風にできますよ◎
右側のようにシンプルなアイアンデザインのランプも。40の多面体からできた不思議な形とレリーフガラスが、幻想的な空間をつくってくれそうです。
アクセントにも実用にもなる「トレイテーブル」
1点で存在感のある「モロッコ風ミラー」
大きさやフレームのデザインで雰囲気がガラっと変わりますので、つくりたいお部屋に合わせて選びましょう。
こちらのミラーは、真鍮のフレームに彫られた装飾や切り取られた鏡の形がイスラム感を醸し出しています。これ1点でエキゾチック感たっぷりのお部屋になること間違いなしですね。
ルームシューズは「バブーシュ」
バブーシュとは、モロッコの伝統的な革製スリッパ。一般的には山羊・羊・牛・ラクダなどの革から作られ、スパンコールや刺繍が施されています。モロッコでは外履きですが、日本ではルームシューズとして売られているのを雑貨屋さんなどで見かけますよね。色もデザインもカラフルなものが多いので、履いて過ごしたら気分もポジティブに。
おすすめバブーシェを扱うショップは、記事内「通販で気軽に購入。モロッコ風インテリアのショップリスト」をご覧ください。
ナチュラル感を出す見せる収納「バスケット」
モロッコのバスケットと言えば民芸品の1つとして定番の「ベルベルバスケット」。「スマル」と呼ばれる水草を乾燥させたものをベースに毛糸を編みこんで作られ、元々はパンや穀物を保管しておく時などに使用されていました。しかし、そのほとんどが鮮やか過ぎたり独特な形をしているため、どうしても民族感が強く出過ぎてしまいます。
こちらのバスケットはその心配がないほどシンプル。シーグラスという天然水草を使いやわらかに仕上げられています。
奥の画像のように上半分をくるっと内側に折り畳むと、さっと取り出しやすい形に。どのスタイルにも合わせやすく2Wayで実用的でもあるなんて、1つあると重宝しそうですね。
華やかさをプラスする「モロッコタイル」デザイン
水回りにモロッコタイルでさらにモロッコ感がアップ。本物のタイルを貼るのは費用もかかりなかなか難しいという方は、タイルさながらのシールを貼る手もありますよ。
ツルツルとした表面と立体感が本物のよう。コラベル柄はいくつかの色が混ざっていますが派手過ぎずお洒落ですよね。
モロッコ関連の本を参考にする
YUKA『モロッコ 邸宅リヤドで暮らすように旅をする』(書肆侃侃房 2017年)
宮本 薫『彩りの街をめぐる旅 モロッコへ 最新版』(イカロス出版 2019年)
15年間マラケシュに在住していた著者が、モロッコで訪れてほしい魅力的な街や村の情報をまとめたもの。単なるガイドブックであるだけでなく、それぞれの街の特徴やモロッコ文化・歴史も学べます。
インテリア本ではないですが、輸入卸売会社を営むほどのセンスを駆使してセレクトされた、現地の雑貨店や宿泊所のインテリアからきっとヒントが見つかりますよ。
通販で気軽に購入。モロッコ風インテリアのショップリスト
Orné de Feuilles(オルネ ド フォイユ)
dear Morocco(ディア モロッコ)
Fatima Morocco(ファティマ モロッコ)
バブーシュ専門店 unm(ウンム)
モロッコ風インテリアのコーディネート実例
ベージュを基調としたナチュラルなモロカンスタイル
ワンルーム
モロッカンがちらりと覗くスタイリッシュなBOHOスタイル
1K
インスタグラマー「Rei Ya !*」さん アンティーク感漂うフレンチモロカンスタイル
リビング
ベニワレン柄のラグを筆頭にクッションやバスケットがモロカンな雰囲気を出しています。家具はどっしりとしたものではなく上品さのある木製家具なので、全体的にはアンティーク風。小物などの細部まで配慮された素敵な空間ですね。
キッチン
モザイクタイルや棚のアイアン装飾がモロッコを思わせつつも、シンプルにまとまったキッチン。シンプルなモロッコデザインなら、他スタイルとミックスすることで、どこかノスタルジックな非日常を感じさせてくれます。
寝室
コラベル柄マスキングテープが低彩度ピンクの壁にバランス良く貼られ、ホワイトのタペストリーも含めエレガントに仕上がっています。カラーやモロッコ風の度合い次第でこんなに雰囲気が変わるんですね。ベッドリネンはヨーロッパ風ですが違和感を感じさせません。
モロカンとヨーロピアンを上手くミックスさせたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ショップオーナー「旅する手仕事RAMARAMA」さん カラーを上品に取り入れたBOHOスタイル
玄関
小さめラグで空間の広さを出したナチュラルな玄関。ラグはトルコ産の手織ヴィンテージトライバルラグとのこと。落ち着いた色味がライトカラーな床材や家具に馴染み、イスラミックな形のミラーとも呼応しています。
民族調の強い柄ですが、色味や大きさ、周りの家具次第では上品にまとめることができますね。
リビング&ダイニング
柄の違うラグがたくさん使われていますが、全て赤系なので統一感がありますし、木製家具とともにどこかカントリー風でもある温もり溢れるお部屋です。オレンジ系ブラウンのプフもアクセントになっていますね。
寝室
ベニワレン柄のラグ、クッション、トレイテーブル、ミラー、タペストリーとモロッコ風のポイントがたっぷり詰まった寝室。エキゾチック感が十分にありつつも落ち着いていて、ゆったり寛ぎたくなる寝室です。
モロッコ風インテリアで異国を旅するように暮らそう
アンティークやナチュラルスタイルのお部屋にモロッコ柄を1点取り入れるだけでも、いつもと違った雰囲気にすることができます。異国を旅するような非日常を、お部屋のインテリアで楽しんでみてくださいね。
モロッコの建物は一般的に土壁で、それに合わせてか、カラフルでも彩度の低い配色が基本です。主にアラブのイメージである暖色系や地中海を彷彿とさせるブルー系でまとめる方が多い様子。
多色使いも伝統的なモロカンスタイルでは多く見られますが、全体のトーンを揃える必要があります。上品にまとめたいシンプル好きさんには、ベージュなどのアースカラーで統一するのがおすすめ◎