70年代ってどんな時代?
まずは、70年代カルチャーを振り返ってみよう
自由と平和を求めて若者たちが立ち上がった時代
1970年代は、学生運動、ヒッピームーブメント、パンクなど、組織や体制のなかに縛られることを拒んだ若者たちが、自由と平和を求めて立ち上がった時代です。アートや音楽、ファッション、ライフスタイルなど、全てジャンルにわたって、多様な文化が生まれました。
アメリカで流行したヒッピーカルチャー
1960年代後半から70年代にかけて、アメリカで流行したヒッピームーブメント。自由と平和を求める精神をもとにライフスタイル全般に影響を与えました。これはビートルズのジョン・レノンと前衛芸術家のオノ・ヨーコさんの有名な平和パフォーマンスの写真です。
70年代のDIYムーブメントを牽引した雑誌「Whole Earth Catalogue(ホールアースカタログ)」
70年代は、ヒッピームーブメントと連動して、衣食住すべてを自分たちで作ってしまおうというDIYムーブメントが起こりました。この70年代を代表する雑誌が「ホールアースカタログ」です。全地球をカタログ化するという趣旨のもと、あらゆるジャンルの商品を紹介し実際に買えるようにした他、アーティストや科学者など時代の先駆けとなる人々の思想を紹介しました。
表紙の写真は今や誰もが目にする地球の写真ですが、当時地球の写真はまだ一般公開されていなかったため、編集長スチュアート・ブランド氏らの働きかけによって、NASAが初めて公開した当時としては貴重なものでした。この雑誌に影響を受けたアップルコンピュータの創始者スティーブ・ジョブズ氏は、「紙のグーグル」とたたえ、日本の雑誌にも大きな影響を与えました。
バックミンスター・フラーの「フラードーム」
スチュアート・ブランド氏が「ホールアースカタログ」を創刊したきっかけを作った人物が、建築家で思想家のバックミンスター・フラー氏。地球を「宇宙船地球号」と呼び、これからは地球規模ですべてのことを考えていくよう提唱しました。
画像は、三角形というシンプルな構造を組み合わせて円形のドーム状の広い家が建てられるという、フラー氏が提案した「フラードーム」です。
オーガニック食ブームの先駆けとなったレストラン「Chez Panisse(シェ・パニーズ)」の本
70年代に「シェ・パニーズ」という自然食レストランをオープンし、今や多くの人が実践している、その土地の旬のものを食べるという考え方や、生産者自らが販売するファーマーズ・マーケットの構想など、様々な食にまつわる活動の先駆けとなったのがアリス・ウォータースさんです。
日本でも大流行したフォークソング
70年代に日本でも大流行したフォークソング。この語源となった「folklore(フォークロア)」は“民俗”という意味。 もともとはアメリカの民謡のメロディーに歌詞を合わせて歌われていました。民族調のワンピースを身にまといギター片手に歌うこの女性は、アメリカのアーティストでナチュラルライフを提案するアリシア・ベイ=ローレルさん。
70年代 ファッションの特徴
ヒッピーファッション
70年代のファッションを語る上で欠かせないのが、ヒッピーたちのファッションです。サイケでボメミアンな要素も加わったヒッピーファッションは、色彩豊かな服が多く見られます。
今までの西欧至上主義に疑問を持ち、ネイティブアメリカン(インディアン)をはじめ、先住民族の文化から生き方を学ぼうとしたヒッピーたち。そんなヒッピーファッションは、鮮やかな色彩感覚や、装飾されたビーズやフリンジなどからインスピレーションを受けました。
イギリスのパンクムーブメントを牽引したファッションブランド「Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)」
70年代は、社会への反骨精神を音楽やファッションで表現したパンクムーブメントが盛んになった時代でもあります。イギリスのパンクムーブメントの火付け役となったのが、ファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッド。“パンクの女王”として社会活動とファッションを融合させました。70代後半となった今もなお、人権問題や環境問題に精力的に取り組み、新しいコレクションを発表しています。
わたしは常識を破りたいと思いながら服をデザインしているわ。着心地の良さって自分が心に描いたイメージ通りの服を着ることでしょ。自分がどう見られたいか、自分は何者でどんな人間なのか。自分の姿を想像するのよ。
映画から生まれた70年代のファッションアイコン
70年代のファッションを知るには映画がおすすめ。70年代のニューヨークが舞台となった、ウディ・アレン監督 の映画『アニー・ホール』で主役をつとめたダイアン・キートンは、70年代を代表するファッションアイコンの一人です。
70年代というとどんなイメージがありますか?ヒッピー、ボヘミアン、フォークロア...自由で開放的な文化が花開いた時代です。