湖水地方とは?
山々と湖が点在する湖水地方の素晴らしい景観は、美しい田舎町が多いイギリス国内でも傑出しており、イングランド有数のリゾート地・保養地となっています。また、豊かな自然が残されている湖水地方のほとんどは、ナショナル・パーク(日本でいう国立公園)に指定されており、世界遺産にも登録されています。
湖水地方の素晴らしい景色が人々に与えた影響は大きく、日本でもおなじみの「ピーターラビット」の作者、ビアトリクス・ポターもこの地をこよなく愛しており、この地で半生を過ごしながらピーターラビットを描いていました。
湖水地方では、ピーターラビットのモデルとなった可愛らしいウサギの姿を見かけることもできます。
ウィンダミア
ウィンダミアは湖水地方南部の玄関口となる街です。ウィンダミアにはホテルやB&Bも多く、ロンドンからのアクセスは鉄道の他、時間はかかりますがバスで行くことも可能です。ウィンダミアを拠点に湖水地方南部の湖や村めぐりをしてみるのもおすすめです。
ウィンダミア湖
多くの野鳥が生息しているウィンダミア湖では、白鳥をはじめ、たくさんの水鳥の姿を見かけることができます。優雅に湖を泳ぐ白鳥たちの姿は、女王のような気品にあふれています。
オレスト・ヘッドの丘
ウィンダミアの街からはフットパス(散策路)があり、標高239メートルのオレスト・ヘッドの丘へ行くことができます。オレスト・ヘッドの丘からはイングランドで一番の大きさを誇るウィンダミア湖の全景を眺めることができます。
レイクサイド・ハバースウェイト鉄道
レイクサイド・ハバースウェイト鉄道では蒸気機関車が走っています。森と湖が魅せる美しい風景の中を、もくもくと煙を出しながらレトロな蒸気機関車が進んでゆく様子を眺めていると、数世紀前にタイムスリップしたかのような気分を覚えます。
ニア・ソーリー
ヒル・トップ
ヒル・トップは、ポターが住んでいた家です。緑の蔦に覆われた石造りのコテージは、ポターが実際にこの家に住んでいた頃と変わらない佇まいをしています。ヒル・トップを訪れて、ポターがどのようにして、不朽の名作「ピーターラビット」を生みだしたのか、想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
グラスミア
湖水地方の玄関口となっているウィンダミアの北西部に位置する静かな街、グラスミアは、イギリス文学に多大な功績を残した詩人、ウィリアム・ワーズワースがこよなく愛した地です。
グラスミア湖
グラスミア湖畔の落ち着いた静けさと、周囲の山々が織りなす素晴らしい景観は、訪れる者を魅了してやみません。
ダヴ・コテージ
グラスミアをこよなく愛したワーズワースは、ダヴ・コテージに居を構えていました。現在、ダウ・コテージはワーズワースの遺品が展示された博物館として開放されています。
ダヴ・コテージ周辺には、数世紀前に建てられた石造りの古い家が数多く残っています。石造りの古い家と周囲の雄大な大自然が織りなす景勝地、グラスミアは、ワーズワースが誕生した18世紀から数世紀を経た今も姿を変えることなく、静かに時の流れを見守り続けています。
ケズウィック
ケズウィックは湖水地方北部の観光拠点となる街です。カーライルや湖水地方の各街をつなぐ交通の要所として栄えるケズウィックの周辺には、ダーウェント湖やキャッスルリッグ・ストーンサークルなど、数々の景勝地があります。
キャッスルリッグ・ストーンサークル
キャッスルリッグ・ストーンサークルは、48個の卵形の石が円形に並ぶ、不思議な石群です。イングランド南部、ソールズベリー郊外のストーン・ヘンジよりも規模は小さいですが、この石群が作られたのは3000~4000前と想定されています。クレーンもトラックの無かった時代に、広大な大地に大きな石で環状列石を作った古の人々の偉業は、悠久の時を経た今も語り続けられています。
ダーウェント湖
ダーウェント湖はケズウィックの南に位置する湖です。煌めく碧い湖面を持つダーウェントは、イギリスで「湖の女王」と呼ばれています。静かな湖面、湖を取り囲む山、豊かな森が融和し、絵画のような景色が広がっています。
ダーウェント湖には、ビアトリクス・ポターが描いたピーターラビットのシリーズ、「りすのナトキン」という物語の舞台になっている小島、セント・ハーバート島があります。ダーウェント湖の西岸、ボウズ・エンドからは、「りすのナトキン」の挿絵と同じ景色を見ることがでるため、絵本と実際の景色を見比べてみるのもおすすめですよ。
バタミア湖
鏡のような湖面、生い茂るヒース(背の低い野草)、湖を取り囲む険しい山肌が織りなすバタミア湖の景色は、幻想的で神秘的な雰囲気が漂っています。
湖水地方北部でのトレッキング
湖水地方北部で、トレッキングを楽しみたい方は、バタミア湖からホニスター峠までバスで行き、ホニスター峠から、ウォスト湖まで歩いてみるのもおすすめです。
ホニスター峠
荒涼とした景色、むき出しの岩肌、険しい山道が続くホニスター峠は、湖水地方南部のウィンダミア周辺とは異なる魅力が漂っています。
ホニスター峠から、ウォスト湖へ向かう途中には、石造りのコテージ風の外観をした人気ユースホステル、ブラック・セイル・ユースホステルがあります。
ウォスト湖
ウォスト湖は、イギリスで最も深い水深79メートルの湖です。ホニスター峠からウォスト湖までの道のりは決して容易ではありませんが、ウォスト湖の美しさは、身体の疲れを忘れさせてくれるほどです。赤みを帯びた岩肌、美しい山容、波ひとつない静かな水面が織りなす神秘的な風景はいつまで眺めていても飽きることはありません。
イングランド北西部に位置する湖水地方は、その名の通り、数多くの湖が点在しています。高い山が少ないイギリスですが、湖水地方には標高1000メートル近い山々が連なっており、山と湖が調和した風光明媚な景色が広がっています。