来年こそ読書を!という気持ち。本を好きになれる本で、やる気を高めませんか
今回は、“本気で読書に目覚めたい”と思うあなたを応援!
第一ステップとして、はじめのやる気UPにおすすめの「読書術の本&ブックガイド」をご紹介します。
今回ご紹介の本は、本のプロによる、目から鱗の本を楽しむアドバイスが詰まっています。“読書の苦手意識”を克服する「読書術」にも出合えますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
本当の面白さに目覚める。「読書の手引きになる」おすすめ本4選
『ぜんぶ本の話』
芥川賞作家の池澤夏樹、その娘である池澤春菜が「読書のよろこび」を語りつくす対話集
『本を読めなくなった人のための読書論』
本はぜんぶ読まなくていい―。批評家の若松英輔が、心を豊かにする読書の方法を説く
読む、書く、考えるをテーマを掲げた活動を行っている批評家・随筆家の若松英輔(わかまつ えいすけ)氏が綴る、読書との向き合い方を教えてくれる1冊。
本は、速く、たくさん読めばいいというわけではない、読めないときは読まなくてもいい、という実にユニークな方向性で、読者を読書に導いてくれます。
ただ、新しい知識を増やすためではなく、心に響く言葉と出会うための読書、経験となる読書が大切という著者の言葉に、今までとは全く違うアプローチで読書に親しみたいと感じるはず。
1章ごとに、それぞれの章での教えが10~12のポイントとしてまとめられています。分かりやすく、ゆっくりと実践していけるよう書かれていることが体感できますよ。
『本の読み方 スロー・リーディングの実践』
本は速読が格好いいと思っている方へ。小説家・平野啓一郎が実践している、スローな読書術を公開
『マチネの終わりに』が映画化されたことも記憶に新しい、芥川賞作家の平野啓一郎(ひらの けいいちろう)さんが、速読とは対照的な、ゆっくり読書を愉しむ「スロー・リーディング」へとやさしく導いてくれる1冊。以前は速読に憧れていた著者だからこその言葉が響きます。
スローリーディングの基礎編、テクニック編、実践編と3ステップで読書のコツを伝授。実践編では、夏目漱石『こころ』、森鷗外『高瀬舟』、カフカ『橋』など実際の本を取り上げ、本への知的なアプローチの仕方、読み解き方などを教えてくれます。
ただ知識を得るだけの読書から、楽しむ読書、身に着く読書へと変えていくことができますよ。
『「読む」って、どんなこと?』(教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)
作家・高橋源一郎が教える、大人になった今だからこそ心に響く「文章の読み方」
ポストモダン文学を代表する作家・高橋 源一郎(たかはし げんいちろう)さん。大学教授として若い世代を前に教壇に立ったこともあり、小説の書き方をわかりやすく説いた「一億三千万人のための 小説教室」なども好評価レビューが多い高橋さんですが、こちらの本では「文章の読み方」をわかりやすい視点でレクチャーします。
本書は、あえて「大人向け」。子供の頃は学校があることで“文章を読む”ことが日常にあったものの、大人になると“文章を読む”ことに向き合う機会がない――。そのような状況の大人たちに向けて、あらためて「読むことのきほん」の学び直す授業を開講。自分の言葉で思考するポイントなどを、まさしく“先生”の視点で
本との出合いを楽しむ。「書評・ブックガイド」おすすめ8選
『新版 熱い読書 冷たい読書』
小説家・辻原 登の書評集。古典、小説、ミステリーなどの多彩な本を、独自の視点で紐解く
芥川作家辻原 登(つじはら のぼる)氏による幅広い分野の書評集です。湯川豊『イワナの夏』から始まり、小泉八雲『お貞の話』、岩川隆『冊t人全書』、山下勝利『帰っていいのよ、今夜も』、武谷牧子『テムズのあぶく』など、古典、小説、ミステリー、句集、学術書とジャンルが非常に広く、読んでみたいと思える本が見つかる1冊。
作品のダイジェスト情報ではなく、著者の経験などを交え、読み手を惹きつける文章で綴る書評が魅力的です。1作品につき、3ページほどで綴られているため、読みやすく、少しずつ読み進めることもできますよ。
『鎌田實の人生図書館 あなたを変える本と映画と絵本たち400』
本から生きるヒントを得て救われてきた体験を持つ著者が贈る、400冊以上の読書案内
諏訪中央病院名誉院長でもある鎌田 實(かまた みのる,)さんが人生を広げる400の本と映画と絵本たちを紹介する1冊。「読書は人生の羅針盤の役割を果たしてくれた」という鎌田さんの語り口はユニークで私たちをぐいぐい惹きつけます。
「ほっとけない作家」ベスト7、「骨太の作家たち」ベスト10、「カマタの好きな絵本」ベスト10など1冊ずつ熱い想いを綴ったり、テーマごとに何冊かずつ本を紹介したり。コロナ禍の中で読みたい本のラインナップもありますよ。
『世界を変えた10冊の本』
国際情勢の理解も深まる。「アンネの日記」「沈黙の春」など世界を変えた本を、池上彰が解説
時事問題の分かりやすい解説でお馴染みの池上 彰さんが厳選した、世界に影響を与えた10冊を紹介。『聖書』、アンネ・フランク『アンネの日記』、『コーラン』、カール・マルクス『資本論』、チャールズ・ダーウィン『種の起源』、レイチェル・カーソン『沈黙の春』など誰もが知る名著にフォーカスし、歴史的な位置づけを徹底的に解説してくれます。
章ごとの話のまとまりがよく、池上さんらしい分かりやすさが光ります。一度、きちんと読んでおくと、現代につながる世界観を広げることができますよ。
『本の音』
小説家・堀江敏幸の書評集。愛と孤独、言葉、存在の意味について― 静かに想いを巡らす84冊
フランス文学者・小生塚の堀江敏幸(ほりえ としゆき)さんが丁寧な言葉で紡ぐ書評集です。「愛と孤独について」、「言葉について」、「家族について」など7つのカテゴリに84冊の本が分類され、紹介されています。リービ英雄『国民のうた』、J・ルオー『名誉の戦場』、玄月『蔭の棲みか』、宇佐美英治『辻まことの思い出』、川上弘美『神様』などほかの書評集ではあまり取り上げられないような本がたっぷり!
堀江さんの品のある言葉遣いに、本への愛情を感じる1冊。新しい本との出合いにときめきます。
『井上ひさしの読書眼鏡』
4年に及んだ新聞連載がもとになっている、劇作家・小説家の井上ひさしの書評集
「父と暮(くら)せば」など代表作多数。小説家、劇作家の井上ひさしさんが読売新聞に連載していた書評コラムを書籍化した1冊。
『研究社シェイクスピア辞典』、中村哲『医者 井戸を掘る』、倉橋綾子『憲兵だった父の遺したもの』など。月1回の新聞連載の4年分の書評のほか、義姉である米原万里さんの全著作の書評、藤沢周平さんについてのエッセイが載っています。
著者の日常や想いを交えたエピソードも多く、非常に読みやすく、本についての興味が湧いてきますよ。
『「紙の本」はかく語りき 』
希代の本読みと評される筑波大院教授・古田 博司が選ぶ。光の当たらない隠れた名作に注目
PR誌「ちくま」に連載された36回分の「珍本通読」をまとめた1冊。幅広いジャンルの本を著者のエピソードを交え、紹介していきます。普通の書評集のように、1冊ずつの本について触れられているのではなく、あるテーマに基づいて、次から次へと関連するさまざまな本へと話しが展開。本の引用も多く、その魅力にも触れることができます。
「美人伝の時代」、「表式部と裏式部」、「読んでわからない本」、「パノラマ狂とキッチュ狂」、「時の逆転」などテーマもユニークなものばかり。取り上げられているテーマについても深く考えてみたくなりますね。
『戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉』
競争戦略の第一人者・楠木 建が選ぶ21冊を紹介。ビジネス戦略に役立てる読書術も。
競争戦略とイノベーションが専門の大学教授、楠木建(くすのき けん)氏による書評集。戦略や経営の本質を捉えるような本が22冊、厳選して取り上げられています。それぞれの本に対する熱い想い、著者の知的興奮などが伝わるエッセイのような書評集です。1冊の本について、10ページから20ページほど紙面を使い、さまざまな切り口で著者の胸の内を伝えてくれるのです。
石井妙子『おそめ』、広木隆『ストラテジストにさよならを』、柳井正『一勝九敗』、藤本隆宏『生産システムの進化論』、若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ』など取り上げる書籍も多彩。巻末のロング・インタビュー「僕の読書スタイル」では、著者の人となり、そして読書についての想いなどが綴られています。
リズミカルな文体で読みやすく、厚めの本ですがあっという間に読み進められますよ。
『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト2011-2020』
全てネタバレなしなのにワクワクできる!翻訳ミステリー専門の書評集
「翻訳ミステリー大賞シンジケート」という翻訳ミステリーについての情報を発信しているサイト発の書評集。こちらのサイトの名物コーナーである「書評七福神の今月の一冊【新刊書評】」10年分、521冊の書評をまとめた本です。
毎月、それぞれの書評家が一か月の間で読んだ一番面白かった、紹介したいと思った本を挙げるので、重複も多数あります。同じ本を取り上げても、紹介の切り口が異なり、読んでいて面白いんですよ。
訳者索引という索引があるところもかなりユニーク。翻訳ミステリーを愛する人ならではの視点ですよね。翻訳ミステリーが大好きな方はもちろん、ミステリー初心者さんにもおすすめの1冊です。
おしまいに
そんなときは、今回、ご紹介したような、新たな本との出会いを広げる本がおすすめ!こうした本を読むと、今まで関心のなかった分野の本にも目が行くようになります。
『ぜんぶ本の話』は、芥川賞作家の父・池澤夏樹さんと声優、エッセイストの娘・池澤春菜さんの本にまつわる対話集です。ふたりの読書環境や、おすすめの本、それぞれの本の読みどころなど、ふたりの本についての熱い想いが伝わってくる本なんですよ。
E・ケストナー『エーミールと探偵たち』、サンテグジュペリ『星の王子さま』、W・ギブスン『ニューロマンサー』、松本清張『点と線』、J・ル・カレ『スマイリーと仲間たち』、福永武彦『死の島』など取り上げる本も児童文学からSFまでと多彩。池澤夏樹さんの父母である作家・福永武彦さんや詩人・原條あき子さんについても触れています。
対話のかたちで話し言葉で進められるため、すいすい読み進められますよ。読書の喜びを味わいたいと思っている方には特におすすめの1冊です。