本・映画を通して。想いのつまった手作りの庭を訪れよう
「庭」と一口に言っても、思い描く好きな庭は、人それぞれ異なることでしょう。国によっても、庭の様相は違いますよね。
でも、庭の姿は数あれど、豊かな自然に敬意を払い、大切に庭を手入れしていくという想いは、どこの国でも共通なのかもしれません。
想いのつまった<庭>に出会える本・映画
ハーブのある暮らしを愉しむ、ベニシアさんの庭へ。
ベニシアの庭づくり ハーブと暮らす12か月
1月~12月と月ごとに、ハーブにまつわるエッセイや庭仕事、ハーブの育て方、ハーブを使った料理などがベニシアさんのイラストとともに記されています。
大型の本ですが、なんと贅沢にもフルカラー。ベニシアさんの庭は、それぞれの場所にテーマがあり、本書ではどんな思いでそれらを作り上げていったかが丁寧に描かれています。ハーブに囲まれて過ごす暮らしの素晴らしさに触れることができますよ。
スローライフの母と称される絵本作家、ターシャ・テューダーの庭へ。
ターシャ・テューダー 静かな水の物語(Amazon Prime Video)
アメリカ、バーモント州にある美しい場所“コーギコテージ”。アメリカを代表する絵本作家、ターシャ・テューダーの家の広大な庭です。4人の子どもを女手ひとつで育てあげ、その後は自然に寄り添う一人暮らしを楽しむターシャの暮らしぶりは、たくさんの人を魅了しています。“コーギコテージ”の由来でもある、コーギー犬が大好き。
このドキュメンタリー映画では、美しい音楽とともに、ターシャが山奥の地につくりあげた“コーギコテージ”での暮らしが鮮やかに映し出されます。ターシャのしっかりとした肉声に、不思議と心を奮い立たせるものを感じることも。自分の「心が求めるもの」とはなんなのか、今一度、考えたくなる映画です。
Amazonのほか、HULUやU-NEXTなどの配信サービスでも見ることができますよ。
ターシャの庭
なんと30万坪にも及ぶ広大な敷地につくられたターシャの庭。緑とさまざまな色あいの花たちが美しく、育てられています。花の写真の素晴らしさはもちろんのこと、その花たちの中に佇むターシャの穏やかな表情を眺めていると、心もほっこりと温かくなるんです。
カヌーに乗ってスイレンの花を見にいくターシャの見開きの写真。「自分の好きなこと」に夢中になれるターシャに力をもらえます。庭づくりだけではなく、ターシャの生き方そのものに惹かれてしまいそう。何度でも見返したくなる名本です。
いつの日か、小さくても、「自分だけの庭」を持ちたいという憧れが胸の中に湧いてくる1冊。
ひとりで荒れ地を開墾して生まれ変わらせた、佐々木利子さんの庭へ。
「秋田のターシャ」と呼ばれて
秋田県、鳥海山のふもとにある色とりどりの花が咲き乱れるイングリッシュガーデン。佐々木利子さんは、独学で学んだ創作料理を出すカフェを営みながら、四季折々の美しさを見せる庭を手入れされています。
この本では佐々木さんの庭において、1月~12月、それぞれの月に行う庭仕事やそのころに咲く花などを紹介しています。
ご家族を亡くされる辛い経験を乗り越え、竹藪を開墾し、庭を楽しめるカフェをオープンさせた佐々木さん。その強さは、まるでターシャ・テューダーのようですよね。でも、その頃「秋田のターシャ」とよばれるようになっても、ターシャがなんのことか、ご存知なかったそう。その後、ターシャの生き方を知って、より強く、信念を持って進めるようになられたとのこと。
電車もバスも通らない山奥に佇む、佐々木さんのカフェに行きたい!と願わずにはいられなくなりますよ。ちなみに前出のベニシアさんも佐々木さんのカフェを訪れているそうです。
唯一無二の世界を創りあげた映画監督、デレク・ジャーマンの庭へ。
Derek Jarman's Garden
昭和期の作庭家、重森三玲が追求した美学に触れる。
重森三玲 庭を見る心得
東福寺・方丈庭園を作庭したことでも有名な、作庭家・庭園史研究者、重森三玲(1896-1975)が「庭」の在り方、「庭」を作ること、「庭」を見ることなどさまざまな観点から、「庭」についての想いを一冊にまとめた本です。
重森三玲は、3年かけて全国をまわり、日本のさまざまな庭園を実測調査。それらを調査記録として26巻の「日本庭園史図鑑」として発表したことでも有名です。たくさんの庭を実際に見て、つくってきた著者だからこそ感じられたものが、はっきりと文章としてあらわされています。
「永遠のモダン」とはどういうものなのか。今を超えて、さらに先を見据える目を持った著者の庭に強く惹かれますよ。写真はなく、すべて文で綴られている本ですが、文字が大きいので、すらすら読めます。
<菜園>に親しむ暮らしぶりを楽しめる本
菜園生活を楽しむ、つばた夫妻の庭と菜園へ。
あしたも、こはるびより。: 83歳と86歳の菜園生活。はる。なつ。あき。ふゆ。
デンマーク出身のガーデニスト、イェンスさんの庭と菜園へ。
イェンスの庭時間 北欧流“手づくり”のある暮らし
来日して15年以上。鎌倉に住む、デンマーク出身のイェンス・イェンセンさんが、ご自身の庭づくりを中心に、友人たちの庭、DIYのアイデアや草木のコーディネートなどさまざまな「庭」に関することを紹介した本。
デンマーク大使館勤務を経て、現在は日本にデンマーク文化を伝えるライターとして活躍中のイェンスさん。日本人の奥様と二人の小さな息子さんと一緒に、日本でデンマーク流の暮らしを楽しんでいるんです。
イェンスさんは北欧流の手仕事で、さまざまなモノをつくっていきます。庭のプランターづくりや、大鉢を埋めて池にするアイデアなど、自分の庭にも応用できそうなヒントがたくさん!ページをめくるごとに、自分の庭だったらこうしたい、という想像がふくらみます。
どうやって庭で過ごせばいいのか分からない人は「庭時間の楽しみ方」の章をぜひ読んでみて。肩ひじ張らずに、リラックスして家族と楽しむ方法が満載です。
イェンスの畑のある週末
デンマーク式の家庭菜園コロニーヘーヴを小田原市江之浦につくったイェンスさん。自分たちで、荒れた農地を耕し、畑として整え、小さな小屋をイチからつくり、虫たちのアタックにも負けず野菜をつくる。すこしずつ、自分たちの理想へと進んでいく軌跡が1冊にまとめられています。
土台からピザ用の石窯をつくったり、みかん農家の人たちが残したみかん箱を解体し、板を一枚ずつ内壁として打ち付けていったりと、こだわりもたっぷり。イェンスさんがつくるシンプルな野菜料理も必見!
イェンスさんが自由な発想でつくりあげた江之浦のコロニーヘーヴ、エノコロの魅力が詰まった1冊です。
自然を感じながら、庭とともに豊かに暮らす
四季のある日本だからこそ、植物たちの些細な変化を気遣いつつ、庭を手入れしていくことはとても楽しいものです。この機会に、あなただけの理想の庭を思い描いてみてはいかがでしょう。
結婚して来日し、京都・大原に美しい庭を築いたベニシアさん。NHKでもベニシアさんの暮らしぶりに焦点をあてた番組が放送されていたので、ご存知の方も多いかもしれません。
「ベニシアの庭づくり」は写真家であるご主人の梶山正さんの愛情あふれる写真がたっぷり見られる1冊です。