奥深いミニシアターの世界
ポレポレ東中野
写真家・映画監督の本橋成一がオーナーをつとめる東中野のミニシアター。中野区唯一の映画館で、ドキュメンタリー作品や新進気鋭の作家の映像作品など、アートや社会問題などの情報発信源となるような映画館を目指しているとのこと。スクリーンサイズに対して席数が少なめでゆったりとしています。幅広く作品を採用するため、ミニシアターにありがちな映画館の色というのは比較的薄い印象ですが、色の染まらず、面白いと思うものを提供してくれる映画館です。
早稲田松竹
名画座映画館。早稲田松竹も少なくなってしまったその名画座映画館のひとつ。2本立て上映で、過去の名作を楽しむことができます。名前の通り松竹系の映画館としてスタートしたこの映画館は土地柄、早稲田大学の学生にも親しまれ、2002年の休館時には早稲田松竹復活プロジェクトが発足するほど。現在もネームバリューや時代にとらわれない監督や俳優の特集も多く上映されています。
シネスイッチ銀座
シネスイッチ銀座は銀座に残るミニシアター。ヨーロッパ、アメリカ、日本にアジアと国境を越えて作品をセレクトしていますが、共通してあたたかみがあるいいストーリーの映画の上映が中心です。この映画館の名前を知る人も多いですが、その名前を広めた一躍有名なタイトルが「ニュー・シネマ・パラダイス」。見たことはなくてもタイトルを聞けば知っている人も多いのではないでしょうか。シネスイッチ銀座となったこの映画はミニシアターとしては異例のロングランを記録し、ミニシアターブームを巻き起こしました。映画への愛がつまった作品でミニシアターの存在がクローズアップされるなんて、不思議な映画のめぐり合わせを感じます。
新宿武蔵野館
新宿東口のがやついた飲食店が立ち並ぶゾーンの入り口にちょっとレトロな複合ビル、武蔵野館ビルがあります。新宿武蔵野館はこの三階にあります。1920年に座席数600席もある映画館としてオープンした老舗映画館です。その後関東大震災や戦争があり、その後、1994年にミニシアターとしてオープン。ミニシアターへとシフトしてからはアート系作品、B級映画など、幅広く個性的な作品を上映しています。
ユーロスペース
出典:www.flickr.com(@Dick Thomas Johnson)
ユーロスペース外観。
カンヌやベルリンの映画祭はよくニュースになりますが、ふと、日本でヨーロッパ映画はどこで見ればいいのか考えてしまう人はいませんか。渋谷にあるユーロスペースは、日本の大きな映画館では上映されることが少ない、アジアやヨーロッパの映画にスポットをあててくれる映画館です。1980年代にオープンしたミニシアターですが、移転や改装で現在は今風の建物になっています。
出典:www.flickr.com(@Dick Thomas Johnson)
コンクリートうちっぱなしのおしゃれな空間。
目黒シネマ
目黒にある地域密着型のミニシアター、目黒シネマ。外観とはうらはらに中へ入るとレトロな空間が広がります。ここは目黒でたったひとつの映画館で昭和30年から目黒ライオン座、目黒金龍座としてオープンしました。その後昭和50年に目黒シネマと変更。名前を変えながらも長い歴史を目黒と共に生きてきた映画館です。
上映プログラムは洋画、邦画問わず2本立て。ロビーはスタッフさんが改装した手作りの力作。また上映作品によっては作品に合わせたディスプレイをすることもあり、映画愛が伝わってきます。
上映プログラムは洋画、邦画問わず2本立て。ロビーはスタッフさんが改装した手作りの力作。また上映作品によっては作品に合わせたディスプレイをすることもあり、映画愛が伝わってきます。
出典:www.flickr.com(@Dick Thomas Johnson)
どこか懐かしさ漂うアットホームな雰囲気です。
飯田橋 ギンレイホール
飯田橋にあるギンレイホールは1974年にオープンした映画館。ロードショーが終わった映画をセレクトして2本立て上映を行うミニシアターです。自称「注文の多い映画館」で飲食禁止、終映30分前からの入場は禁止、入場後の出入りも禁止です。映画に集中して楽しみたい人が集まる場所ゆえに、協力して欲しいとのお願いです。
神保町シアター
小学館が運営しているミニシアターです。前衛的なビルの中に洞窟の割れ目のような入り口が見えます。主なプログラムは、小津安二郎監督や黒澤明監督のような、日本が誇る名監督の作品やかつての銀幕スターの映画。昭和の懐かしい邦画が小さなスクリーンで蘇ります。
ラピュタ阿佐ヶ谷
出典:www.flickr.com(@Satoshi Kobayashi)
ラピュタ阿佐ヶ谷外観。
まるでジブリのあの映画を思わせる名前と外観の映画館、ラピュタ阿佐ヶ谷。阿佐ヶ谷駅北口から徒歩2分程度の場所にあります。木と一体になったような建物は地下には小劇場、三階にはフレンチベースのレストラン「山猫軒」があり、二階がミニシアター、ラピュタ阿佐ヶ谷になっています。たった50席の小さな映画館は、古い邦画を中心に上映しています。古き良き時代の街の映画館の魂を継いでいるように感じる映画館です。
下北沢 トリウッド
小劇場が多くある下北沢にあるミニシアター、トリウッド。コンパクトな映画館で、ショートフィルムや映画館プロデュース作品を上映しています。上映作品の一般公募も行っており、自主映画制作をする人たちも親しんでいるミニシアターです。レンタルスペースもあるので、自称上映も可能。
ここでしか見られない作品を楽しむのはいかがでしょうか。
ここでしか見られない作品を楽しむのはいかがでしょうか。
特別な映画を何気ない日常に
出典:www.flickr.com(@Kenneth Lu)
お気に入りの映画館で過ごす特別な時間。
映画館離れが叫ばれるようになった昨今、映画館だけでなく、DVD、オンデマンドなど多くの映画を視聴する手段を人々は持つようになりました。
ミニシアターは、言わば映画のコンシェルジュ。自分で気になる作品をDVDで見るのもいいですが、まだ知らない作品や興味をもつであろう作品、そういった映画をそっと差し出してくれる場所です。気になるミニシアターがあれば一度足を運んでみてください。気が合う友人のように、次はどんな話がいい?とスクリーンと語り合う日も近いかもしれません。
ミニシアターを訪れたことはありますか?
中には普通の映画館と何が違うの?小さいだけ?と思っている方もいるんでしょうか。コアな映画ファンが多そうでちょっと敷居が高いと思っている人もいるかもしれません。
ミニシアターとは、実は大きな映画会社の系列から外れた独立タイプの映画館。200人程度までがキャパというところが多いのでミニと言われますが、実際はもうすこし大きいところも存在します。映画を見に来る人に、上質な上演作を見せてくれます。