大人になった今 読むと心に深く響く本
宮沢賢治の名作
銀河鉄道の夜
よだかの星
宮沢賢治ファンから人気の高い名作「よだかの星」。いじめられていた鳥がまっすぐに空に向かって飛んでいくシーンは子どものころ読んでも強く心に響いたのでは。大人になって読むと改めてよだかの強さに触れて勇気がもらえるかも。こちらの組み木絵作家である中村 道雄さんのイラストの本はサイズが大きいけれどリビングのインテリアに飾っておきたくなるほど素敵です。
雪わたり
子どもときつねの繰り広げるほのぼのとした世界が魅力的な「雪わたり」。大人になって読み返すと、信頼という大切なものに改めて気づかされて、より感動が深まるかも。いもとようこさんのやさしくあたたかなイラストも雪わたりの世界観にピッタリで、読んだ後久しぶりに「かた雪かんこ、しみ雪しんこ」と口ずさんでしまいそう。
童話集
それぞれのお話を素敵な絵とともにじっくり読むのも良いけれど、名作の多い宮沢賢治さんの童話をまとめて読みたい方は、童話集がおすすめ。ラストがブラックな「注文の多い料理店」、教科書にものっていて読んだことがある方が多い「やまなし」や「セロ弾きのゴーシュ」など全10篇が楽しめるので、夜寝る前に1話ずつ読んでいくのも良いかも。
金子みすゞさんの詩集
こころ
上記で紹介した日本を代表する絵本作家のいもとようこさんのイラストが金子みすゞさんの詩とよくあう素敵な詩絵本。「つたえたい美しい日本の詩(こころ)」シリーズの第一集であるこちらの本は「こだまでしょうか」などの誰もが聞いたことのあるやさしいことばがつまった何度も読み返したくなる本です。
みすゞ詩画集 花
「人の知らない草の名を、わたしはいくつも知ってるの…」で始まる「草の名」から心にじんわり染みる「花のたましい」まで、花や植物に関する金子みすゞさんの詩集。押し花作家として人気の栗原佳子さんによる押し花を使ったイラストもとても素敵で、開いてリビングに飾っておきたくなります。
おひさん、あめさん
あたたかく伸びやかな挿絵のとおり、内容も子どもらしさあふれる15編の詩が詰まった童謡絵本。懐かしさにふれたいときに読んだり、または子どもでも読みやすく、絵もかわいらしいので、親子一緒に読むのもおすすめです。
わたしと小鳥とすずと
金子みすゞさんが残した512編から、まず最初に読んでほしい60編がピックアップされ、しかも旧仮名・旧漢字を改めて読みやすくしてあるので、子どもでも読みやすく、また大人にも、みすゞの入門書として大人気の詩集「わたしと小鳥とすずと」。1984年に発売され、27年目の2011年4月の版では100刷を迎えるロングセラーです。
子供時代に戻って…
だれも知らない小さな国
美しく不思議な世界でであうコロボックルと呼ばれる小人と小学三年生の ぼくの物語。昭和34年の発刊以来、多くの子どもを夢中にさせた児童文学は、大人になってから読み返してもワクワクがとまらないかも。全6巻あるので、途中までしか読んでいないという方は続きをぜひいかがでしょうか。
窓ぎわのトットちゃん
タレントの黒柳徹子さんによる自伝的物語は、1981年に講談社から出版されたベストセラー作品。35カ国以上で愛読され、単行本、文庫、絵本の累計はなんと800万部!子どものころに、こんな学校に行きたいなとあこがれた方も多いのでは。字も大きく絵も鮮やかになった新組版のこちらの本で再び、子どもの個性をそのまま受け止めてくれる学園のあたたかさに触れてみてはいかがでしょうか。
モモ
世界的ベストセラー小説の「モモ」。小学生のころ、読書感想文を書くために読んでその不思議な世界に引き込まれた方も多いのではないでしょうか。不思議な少女モモや仲間の子どもたちの気持ちで読んだ子ども時代から「時間どろぼう」の男たちに時間を奪われてしまっている大人の気持ちになって読み直すのも改めて時間というものの大切さについて考えさせられるかも。
夢中になった物語のその後は?
あしながおじさん
世界名作劇場のアニメ番組で「私のあしながおじさん」を見たのでストーリーは知っているという方ももう一度本で読んでみると違った発見があり、楽しめるかもしれません。孤児院育ちのジュディと名を名乗らないけど奨学金を出して彼女を大学に通わせてくれる紳士との手紙のやりとりや、ラストのハッピーエンドなど今読んでもあたたかく幸せな気持ちになれるはず。
続あしながおじさん
あしながおじさんは読んだことがあっても続編が出ていたことを知らずに読んだことがないという方はあしながおじさんと一緒に一気読みして、どっぷりと感動の世界に浸ってはいかがでしょうか。ジュディの育った孤児院の運営を任されたサリー・マクブライドが、ジュディや恋人の政治家たちにユーモアあふれるを手紙に書いて送りながら、少しずつ院長の仕事に喜びを見出していく素敵なお話です。
不思議の国のアリス
冒頭からその不思議な世界観に引き込まれてしまう名作。でも昔読んだときは読みにくくて、と苦労した人はこちらの美しい日本語で新訳された本がおすすめ。しかも詩の韻を重視して訳出されているので、子どもに読んであげても喜ばれそう。
鏡の国のアリス
同じくわかりやすい新訳の「鏡の国のアリス」。不思議の国のアリスの続編にあたるこちらでは、トランプの国だった前作から、今度はチェスの国になりなんとアリスが女王に!しかも訳者あとがきには、物語が生まれたいきさつや、作品の詳しい解説や裏話も読むことができ、さらに作品に対する興味も深まります。
若草物語 4部作
この話を読んでたくさんの姉妹に憧れたという人も多い名作「若草物語」。十九世紀半ばのアメリカの片田舎を舞台に美しくやさしい長女メグ、著者であるオルコット自身がモデルという空想好きな次女ジョー、内気でやさしいけれど病弱な三女ベス、愛らしく人懐っこい四女エイミーの、貧しいけれど仲良く幸せに暮らす四姉妹がそれぞれ大人の女性に成長してゆく素敵な物語です。
続若草物語
長女メグの結婚、そして出産。ジョーはニューヨークに作家の修行に行ったり、一家の長として姉妹の面倒を見ながら小説を書き、エイミーも大人の女性へと成長し結婚など、姉妹それぞれが真実の愛や人生を見つけていく物語。とても悲しい部分もありますが、続編を読んでいない方は大人になった今、それぞれの成長の様子を自分に重ねながら読んでみてはいかがでしょうか。
第三若草物語
次女のジョーが亡き伯母からゆずりうけたプラムフィールドの家。様々な境遇の子供を預かる学園となり、それぞれ個性的な子どもたちの様子を描いた「第三若草物語」。個性的な子どもたちが繰り広げる物語やそれぞれの成長を楽しめます。
第四若草物語
プラムフィールドで成長した子供たちがそれぞれ巣立ち、ジョーは物語を再び書きはじめ、小説家として成功しながら、メグやエイミーと一緒に、マーチ家の母のひとりとなり、子供たちの成長を見守ってゆく…そんな、四姉妹から始まったマーチ家の物語が迎える終幕。昔、夢中になった物語、途中までしか読んだことがない方は四作まとめて読むと、より感動を味わえそう。
読み比べたい「星の王子さま」
世界中で訳され、70年以上にわたって読みつがれてきた永遠のベストセラー「星の王子さま」。これだけ人気があると、日本でも数多くの出版社から様々な方の翻訳で出版されています。大人になった今、昔読んでいた出版社と別の本を購入してみると、言葉の使い方が違っていて楽しめるかも。またはいろいろな翻訳を読み比べて、お気に入りの文章を見つけるのも楽しそう。
岩波文庫:内藤 濯
星の王子さまは実は2005年までは日本では岩波書店が作品の翻訳権を所有していたので、子どものころに読んだ内容そのままを読みたい方は岩波書店の本がおすすめ。歴史的名訳と言われている内藤 濯さんの翻訳は、子どものころでは難解でわからなかった部分も大人になると違った味わいがあり、懐かしさに浸りながらも新たな感動があるかも。
岩波書店 オリジナル版
ストーリーもさることながら、絵が好きという方が多い星の王子さま。とくにラストのシンプルながら深い余韻を味わえるイラストに涙した方も多いはず。こちらは、岩波書店から作者の生誕100年を記念し,作者が生前目にした唯一の版といわれている英語版に基づいて,さし絵の色調を初版本に合せて再現したというオリジナル版なんです。星の王子さまのイラストが好きな方や、星の王子さまの世界観が好きな方へのプレゼントにもおすすめです。
角川文庫:管 啓次郎
管 啓次郎訳の角川文庫の本。表紙のビビットな感じのように、翻訳も王子さまが自分のことを「おれ」と呼んだり、他と少し雰囲気が違うところが魅力的。大人になって昔読んでいた本と違う翻訳で読んでみたい方は、また新たな雰囲気を楽しめそう。
皓星社:ドリアン助川
2016年に出版され、とてもわかりやすいと好評のドリアン助川訳の本。子どものころ、わかりにくくて、大人になって読み返してもわかりにくいという方や、はじめて手にする方はこちらを読んでみるのも良いかも。さらにあとがきには、ドリアンさんのリヨン滞在の思い出話や「星の王子さまとサン=テグジュペリ像」などの撮りおろしの写真も掲載されていてこちらも興味深い内容となっています。
宮沢賢治さんの作品といったらこれ!という方も多い、読んだことがなくても誰もがタイトルは知っている名作「銀河鉄道の夜」。悲しくも美しい友情物語は大人になった今読み返すと心に潤いを与えてもらえそう。大人気の作品なので数多く出版されていますが、こちらは大人の書棚に置いて絵になる大型の絵本。
アーティストの清川 あさみさんの、ビーズやクリスタル、布なので織りなす透明感のある作品が楽しめる大型絵本は、銀河鉄道の夜の不思議な世界観にピッタリで、何度も読み返したくなります。子どものころ、ジョバンニとカムパネルラは最後どうなったの?と、ラストの意味がわからず親に尋ねた方は、大人になった今、最初から読み返してみるとどこまでも美しい描写とともに深い感動を味わえるかも。