本をプレゼントするとき、どんなものがいいの?
PART1:「いつもありがとう」の気持ちを込めたい時の本
美しい言葉のひとつひとつに、心打たれる
かわいいイラストと文章で、旅行気分をプレゼント♪
■『旅とデザート、ときどきおやつ』平澤まりこ(河出書房新社)
国内外のいろいろな場所を訪れ、気になったことをイラストと文章で書き留めることが趣味の著者。今回は、北欧、チェコ、フランス、トルコ、台湾、ハワイといった16の国で見つけたおやつやデザートに焦点を当て、エッセイとして一冊にまとめています。写真はあるものをありのまま見せてくれますが、イラストは描く人が感じた印象や気持ちまで教えてくれ、また違った楽しさがあるもの。誰かにデザートでも食べながらのんびりしてほしい時、旅行気分のひとときを楽しんでもらいたい時、贈ってみてはいかがでしょうか。
見ているだけで、おだやかな気持ちにしてくれる花図鑑
■『ちいさな花言葉・花図鑑』宇田川佳子(自由国民社)
本書は、花びらの質感まで感じられる美麗な写真で、197種類の花を紹介してくれる花図鑑。花の情報と合わせて、花言葉やその由来、花にまつわるエピソードまで網羅しています。よく知っている花の思いがけない裏話や、存在すら知らなかった美しい花に出会えるのが魅力。花を贈るときのマナーや、星座に対応する花など情報も満載で、ながめているだけで穏やかな気持ちにしてくれます。花が好きな方にもそうでない方にも、贈り物としておすすめできる1冊です。
PART2:身近な人に、秘めた想いを伝えたい時の本
人の魂を優しくひもとくファンタジー
■『銀の犬』光原百合(角川春樹事務所)
舞台は、妖精が息づくケルトの世界。人と妖精が生きるこの世界には、亡くなった者の魂や悪鬼もまたさ迷い、人々に影響を与えています。主人公のオシアンは、声を持たない「祓いの楽人」。相棒の少年ブランと一緒に旅をしながら、竪琴の音色でこの世に居場所をなくした魂をひもとき、救っていきます。ファンタジーの世界にいながら、人の心に深く入り込み、その謎を明かすミステリーのような物語です。
あたたかい焼きたてパンのような物語
■『うさぎパン』瀧羽麻子(幻冬舎)
3歳の時、母の聡子に先立たれた優子。高校生になった今は、父と、父と再婚した継母のミドリさんと暮らしています。ミドリさんは、何かあれば「聡子さんに申し訳がたたない」と言いながら育ててくれたいいお母さん。優子とも仲のいい関係を築いていました。ある時優子は、離婚した両親を持つ同級生の男の子・富田くんと仲良くなり、パン屋巡りをすることになるのですが…。大きな出来事は起こりませんが、過ぎ去っていく日々を通して、お互いへの気持ちや家族への思いが深まっていく様子が描かれる、青春と家族の物語です。
切なくもじんわり心に響く、ハートフルコメディ
■『椿山課長の七日間』浅田次郎(朝日新聞社)
大手百貨店で婦人服課長を勤める椿山和昭は、妻と息子の三人暮らし。忙しい毎日を過ごしていたある日、突然あの世の入り口に立っていることに気づきます。実は過労死で倒れ、死者となってしまったのです。生前どんな人生を送ってきたかで内容が変わるという、死後の講習を受けることになった椿山。ところが記憶にない疑いをかけられてしまい、再審査のため姿を変えて現世に戻ることに。切なさもありますが、コメディタッチで読後はじんわりあたたかい気持ちにしてくれる物語です。
PART3:出会い、旅立ち、別れ…人生の節目に渡したい本
木の描き方を通して、新しい視点をもたらしてくれる
■『木をかこう』ブルーノ・ムナーリ 著、須賀敦子 訳(至光社)
ハーバード大学のデザインと視覚コミュニケーションの授業で教鞭をとっていたイタリア人作家、ブルーノ・ムナーリ。子どもから大学生に至るまでの、美術教育の研究に熱心に取り組んでいた人物です。本書は、そんな作家による木の描き方についての本。たかが木の描き方では?と思うかもしれませんが、木がどうやって成長し、どんな幹や葉を伸ばしているのか、それをどのように観察し、表現するのか…など、さまざまな観点がひそんでいます。子どもと一緒に読めば観察力が養われ、大人が読んでも新しい視点をもたらしてくれるかもしれない1冊です。
絵だけで紡がれる、言葉のない絵本
■『アライバル』ショーン・タン 著、小林美幸 訳(河出書房新社)
言葉や物語といった明確なメッセージ性を持たせたくない時には、文字が一切書き込まれていない絵本はいかがでしょうか。ショーン・タンは、世界各地の賞を受賞してきた”大人の絵本”で知られるオーストラリア人作家。本書はその代表作のひとつで、いいことも悪いことも待ち受ける新天地へ、ある移民がやってくる様子を描いています。文字がなく、全編セピアまたはモノクロで統一され、サイレント映画のように進む物語。だからこそ想像力がかきたてられ、言葉にはできない気持ちや感情がわき起こります。
幸せの存在の「かたち」をなぞる物語
■『花のベッドでひるねして』よしもとばなな(毎日新聞社)
舞台は、豊かな自然に囲まれた田舎の小さな村。主人公の幹は、赤ちゃんの時浜辺のワカメにくるまって眠っていたところを、大平家に拾われました。以来、おじいちゃん、パパ、ママ、章夫おじさんと、大好きな家族の一員となって、「私はこの世に来てよかったんだ」と思えるほど幸せに暮らしていた幹。ところがパパとママが交通事故に遭ったときから不思議なことが起こりはじめて…。幸せに感じているからこそ失うことが恐ろしく、それを感じられることもまた幸せなこと。夢の中にいるような、あたたかくふわふわとした文章を通して、そんなことを痛感させられる物語です。
PART4:本好きの方にも喜ばれる本
知ることに貪欲な方に贈りたい
■『世界を変えた本』マイケル・コリンズ他 著、樺山紘一 監、藤村奈緒美 訳(エクスナレッジ)
本が好きな方なら一度は聞いたことがあるけれど、実際にはどんな内容で、どんな歴史的意味を持つのかまでは知らない、という本もたくさんあるはず。そこで贈り物としておすすめしたいのが本書です。こちらで紹介されているのは、『死者の書』、『兵法』、『源氏物語』、『君主論』、『種の起源』、『アンネの日記』など。教科書で学ぶような歴史的名著が80冊以上収録されています。本によっては装丁やデザインについても掘り下げており、ひとつの"遺産"としての本をひもといてくれます。
本好きの夢!棲みつきたくなる理想の本屋
■『世界の夢の本屋さん』 清水玲奈・大原ケイ 著、エクスナレッジ 編(エクスナレッジ)
本が好きな方にとって、本屋さんは訪れるだけで心が踊る幸せの場所。買うあてがなくても、ぶらぶらしているだけで楽しめるもの。その上本屋さんそのものまで素敵な内装やつくりをしていたら、棲みつきたくなってしまうほどです。本書は、そんな方に喜んでもらえる「世界の本屋さん」を集めた1冊。建築やインテリア、特徴的な本の品揃え、名物オーナーなど、どれも面白い魅力を持つ本屋さんばかり。一度は行ってみたい!と、本が好きな方にもワクワクしてもらえる本です。
日本語にない、言葉の意味とニュアンスを知る
■『翻訳できない世界のことば』エラ・フランシス・サンダース 著、前田まゆみ 訳(創元社)
本が好きな方の中には、日本語の細かなニュアンスの違いや、今はほとんど使われなくなった慣用句などに興味がある方も多いのではないでしょうか。そんな方にぜひ贈ってほしいのがこちら。タイトルにある通り、簡単には翻訳できない世界各国の言葉を集めた1冊です。日本語から「木漏れ日」などが取り上げられている通り、こうした言葉は文化・生活・考え方などに深く結びついたもの。「この言葉は日本語だけのものだったんだ!」「日本語では言い表せなかったけれど、まさしくこの言葉がぴったり!」……といった新たな発見をもたらしてくれる面白さが味わえます。
PART5:本も活字も苦手…という方に楽しんでもらえる本
別世界に迷い込ませてくれる!架空の植物たち
■『ボンバストゥス博士の世にも不思議な植物図鑑』イバン バレネチェア 著、宇野和美 訳(西村書店)
本書は、19世紀の植物学者、ボンバストゥス・ドゥルシメール博士が記した植物図鑑です。しかしページを開いて読み進めていくと、アルファベット順に現れるのはあり得ない植物ばかり。午前零時までに収穫しなければ馬車になってくれない「馬車カボチャ」に、自分を見てかわいがるための鏡がついた「鏡スイセン」…一体これは本当にある植物なの?それとも?と、美しくもかわいらしい絵で描き出される奇想天外な幻想植物たちに、想像がはかどる1冊です。不思議なもの、奇妙なもの、面白いものが好きな方へ贈ってみてはいかがでしょうか。
どんな人にも喜ばれる日本の風景
■日本一の写真集 ―歴史に彩られた建築物・自然美の風景』アフロ 著(パイインターナショナル)
美しい景色に心を癒してほしい方や、旅好きな方にぜひ贈ってほしい写真集です。本書では、ギネスブックや各都道府県等のデータから導き出したさまざまな「日本一」の場所を、美しい写真とともに紹介しています。例えば日本最大の芝桜の群落、日本最高の強酸性の湖、日本最大のカルスト台地…数値的なことだけでなく、その写真の背景にどんな歴史や自然のしくみがあるのかも解説されるため、ページをめくるだけで日本一周気分が味わえます。
ものづくりが好きな方に!クラフト本
■『HELLO SANDWICH かわいく暮らす、ものづくりのアイデア帖』HELLO SANDWICH(ビー・エヌ・エヌ新社)
手先が器用な方や、かわいいものが好きな方には、自分で気軽に始められるクラフトの本を贈ってみてはいかがでしょうか。本書はオーストラリアのクラフトアーティスト・HELLO SANDWICHによる、ものづくりのアイディアが詰め込まれた1冊。文房具やカードケースを手作りする方法や、自分だけのオリジナルアクセサリーをつくる方法、写真や日記のかわいい残し方…など、ながめているだけでワクワクさせてくれるレシピが満載。ものづくりをもっと楽しんでもらえるかもしれない本です。
■『雪のひとひら』ポール ギャリコ 著、矢川澄子 訳(新潮社)
「スノーグース」をはじめ、数々の作品が映画化されてきたアメリカの人気作家・ポール ギャリコ。本書は、彼による"雪のひとひら"を主人公とした物語です。文字通り"雪のひとひら"が誕生し、夫である雨のしずくに出会い、子供を授かるという一生を描いているのですが、それはまるで人間の女性の一生のよう。辛いときも幸せなときも、根底には愛が感じられ、読みはじめから読み終わりまで優しい余韻にひたらせてくれます。物語はもちろん、翻訳や挿し絵も素晴らしく、言葉の一つ一つが心に染み渡っていくように感じられ、女性に贈りたくなる1冊です。