巡りたくなる*建築・建物を「テーマ別」に注目してみませんか
使いやすい構造になっているかどうかという機能性はもちろんのこと、建物自体のデザイン性の高さでも私たちを魅了する「建築」。キナリノ読者の皆さんにも、そんな建築に魅せられて、建築めぐりが好きという方も多いのではないでしょうか。
今まで気づかなかった建築の素晴らしさに気づくことができるようになるかもしれません。
“制覇する旅”がしたくなる*「テーマ別」建築・建物の写真集
テーマ|美しすぎる「階段」めぐり
いい階段の写真集
「階段の魅力は、その素材・用途・つくられた年代など、そして見る角度によって、
実に多彩な表情を見せてくれること。
重厚な歴史的建築の階段に時を感じ、
建築家の斬新なアイデアに驚き、
階段をつくった職人の技術にぜひ触れてみてください」
階段をのぼるとき、おりるとき、上から見下ろすとき、下から見上げるときと同じ階段でも、景色が違って見えるのというのも面白いポイント。
こちらは目黒区総合庁舎の階段です。区の施設にもこんなに美しい階段があるんですね。
普段、自分が利用している区役所や市役所の階段はどんな風だったかなと思いだしてみるのも楽しいですよ。
テーマ|昭和の商店を彩る「看板建築」めぐり
東京のかわいい看板建築さんぽ
看板建築というのは、関東大震災のあとに建てられた洋風な面持ちの店舗兼住宅で、正面には看板を兼ねたような外壁を持っているのが特徴。銅板やタイル、モルタルといった装飾がつけられています。
昭和から続くお店に多い建築様式ですが、残念なことに老朽化などで取り壊されつつあり、残された建築を大切に愛でていく重要性を感じさせてくれます。
有名な建築家が作るというわけではなかった看板建築は、建て主や職人さんたちが自由な発想で作ったものばかり。
こちらの古賀書店・矢口書店の建物は、正面と側面でデザインが異なっているというユニークなものです。お店も営業しているので、実際に中に入ってみることもできます。建物の外から、中から、豊かな趣を味わってみるのも素敵ですね。
テーマ|職人技が詰まった「日本の木造駅舎」めぐり
旅鉄BOOKS 025 木造駅舎紀行200選
歴史や独特の趣きを感じる木造の駅舎。維持が難しいことから、徐々に数が減っていっています。2020年8月には山手線で唯一、木造駅舎であった原宿駅も惜しまれながら解体されることになりました。
こちらの写真集では、温もりを感じる駅舎全体だけではなく、その駅らしいポイントをクローズアップしてさまざまな角度から撮影した写真が集められています。
木造駅舎は開業の歴史も古いものが多く、たくさんの人に愛され、たくさんの人の人生のさまざまな瞬間を支えてきたものです。ページごとに駅の歴史や建築様式など、細かく記されています。
駅そのものを見にいく旅というのも案外面白いもの。写真集をめくるだけで、旅気分を味わえます。
テーマ|建築美で魅了する「レトロな喫茶店」めぐり
美しい建築の写真集 喫茶編
明治、大正の近代建築から60〜70年代にかけてのモダニズム建築の美しい喫茶店やホテルのラウンジを集めた一冊。
北海道から九州まで全国の美しい建築の喫茶店が掲載されています。いつか行ってみたい、この空間で過ごしてみたいと思わせるところばかり。
建物の外観と内観、そして、柱や窓、照明といった細部まで、それぞれのお店の見どころをじっくりと味わうことができます。
クラシカルなテイストの喫茶店やラウンジの説明を読んでいるだけでも、不思議と気分が落ち着いてきます。
きっと、著者の愛情こもった美しい写真を眺めているうちに、喫茶店ならではの時間がゆったりと過ぎていく感覚がじんわりと伝わってくるんですね。
テーマ|歴史・建築の知識も深まる「日本の赤レンガ建築」めぐり
日本の最も美しい赤レンガの名建築
文明開化から関東大震災までの50年ほどの間に集中して建てられたと言われる赤レンガの建物たち。
こちらの写真集では、震災や戦災を免れ、今もなおその美しい姿を残す全国の赤レンガの建物が掲載されています。
レンガ建築にまつわる基礎知識などをまとめた巻頭特集を見れば、赤レンガの見方がちょっぴり変わるかもしれません。
写真だけではなく、イラストなども配され、建物にこらされた工夫やその建物の歴史、見どころなどが分かりやすく記されています。
最後のページまで飽きることなく、存分に楽しむことができる一冊です。建物の住所や電話番号、アクセス情報なども一緒に掲載されており、旅のガイドとしてもおすすめ。
テーマ|清く美しい*「東京の教会」めぐり
東京の名教会さんぽ
震災をくぐりぬけた遺産的な建築から現代の巨匠による名建築まで、東京を中心に、埼玉、千葉、神奈川の美しい教会を紹介しているこちらの写真集。
エリア別にカテゴライズされているので、お散歩しながら教会めぐりしたいときにも便利です。
「教会のキホン」という巻頭特集では、信者さんでないと分かりづらいキリスト教の教派のながれや日本でのキリスト教伝道についても学ぶことができます。
教会建築の見どころにも触れられているので、教会初心者さんでも安心して教会めぐりを楽しめますね。もちろん、写真集を眺めているだけでも祈りの心が優しく伝わってきますよ。
テーマ|集合住宅の傑作「美しい団地」めぐり
世界一美しい団地図鑑
日本における集合住宅の傑作である団地。こちらの図鑑では、特に美しい18の団地にフォーカスし紹介しています。
1927年の"同潤会代官山アパート"から2003年の"東雲キャナルコートCODAN"まで外観はもちろん、間取り図や配置図、空撮写真などたくさんの資料で味わうことができます。
日本と世界の団地の歴史や住戸のタイプ、団地のそれぞれの部位の名称や時代の変遷など読んでいるだけでも面白い知識もたっぷり!
団地で暮らしたことがある人でも、改めて団地建築の素晴らしさに触れることができる一冊になっています。
テーマ|時代の変遷にも触れられる「日本の図書館建築」めぐり
日本の最も美しい図書館
明治・昭和の歴史的な建物を大切にしているレトロな図書館から、美しい構造を考え抜いて作られた最新の図書館まで全国の41の図書館を取り上げた一冊です。
本を読むためだけに訪れるには惜しい図書館ばかり。小学校をリノベーションして作られた漫画の聖地や、円形ドームから放射状に広がる花びらのようなかたちの図書館、アーチ曲線が連続するアーティスティックな図書館など個性豊かな図書館に、ページをめくるたびに心が躍ります。
こちらの近未来的な図書館は成蹊大学の図書館。中空に浮かぶ施設は、「プラネット」と呼ばれるグループ用の閲覧室になっています。
飲食が可能な交流エリアから進んでいくにつれ、静かに集中できる空間へと移行するようにデザインされているそう。人の動きや思考を考えた素晴らしいデザインですね。
テーマ|クラシカルな気分を楽しめる「レトロ建築」めぐり
東京レトロ建築さんぽ
戦前に作られたレトロで美しい建築を50ほど取り上げたこちらの写真集。光の加減がレトロな風合いにぴったりで、どの写真も趣があります。
建物は上野・本郷エリア、銀座・丸の内エリアといったようにエリア別に紹介され、ポイントを押さえた解説も丁寧で分かりやすいものに仕上がっています。
レトロ建築を語るうえで忘れてはならないフランク・ロイド・ライトやジョサイア・コンドルなど有名な建築家についてのコラムもあり、知識を深めることもできます。
ただ訪れるだけでは見落としてしまうような柱や照明などの装飾も、こちらの本を眺めていると細かな造りが施されいることをあらためて気づかされます。行ったことのある場所でも、この本を読むと、もう一度、行きたくなってしまうこと間違いなしですよ。
神戸・大阪・京都レトロ建築さんぽ
神戸、大阪、京都にある戦前の名建築を紹介したこちらの一冊。穏やかな色調の写真は、どれも優しい雰囲気で気持ちがほっこりと落ち着きます。
建物の外観、階段やタイル張りの床といった細部の写真のバランスもよく、いつか行ってみたいと思わせる写真ばかりです。
建物によっては、「社屋のため非公開」や「一部内観は非公開」といったものもあり、写真でしか知ることができない空間に想いを馳せることもできます。
建築好きな方はもちろんのこと、カメラ好き、旅行好きな方にもおすすめの一冊です。
【番外編】建築写真ではないが、こんなテーマで巡るのも面白そう
テーマ|味わいたっぷり「ボロ宿」めぐり
日本ボロ宿紀行
レトロ感いっぱいの歴史的お宿から駅前旅館まで、さまざまな「ボロ宿」を旅した旅行記です。豪華な高級ホテルの旅とはひと味違った人情味あふれる昔ながらの旅を通して、「ボロ宿」の魅力が伝わってくる一冊。
引き込まれるような文章力で面白く、こういう旅もいいかもしれないと新しい視点を持つことができますよ。
テーマ|昔懐かしい「ドライブイン」めぐり
ドライブイン探訪
北海道から沖縄まで道路沿いにひっそりと佇む、全国22のドライブインを紹介しているこちらの本。それぞれの歴史、エピソードが、筆者の取材に基づいて丁寧に記されています。ひとつのドライブインに3回は行って、話を聞いてきたそう。
ひとりひとりのお客さんと真摯に向き合うドライブインの店主たちの姿に心打たれます。郷愁を誘う読み応えのある一冊です。
こちらは関西と東京を中心に、美しい階段ばかりを集めた一冊です。階段はその構造の素晴らしさだけではなく、手すりや踏板、回数表示、照明といったそれぞれのパーツの表情を愛でることができるもの。
こうしたパーツについての解説もあり、ただ眺めるだけとはまた違った感動を得られます。