名作発掘!日本のおもしろい文学賞
特定のジャンルに絞った賞や、ネット時代を象徴する賞など、おもしろい賞をまとめてみました。受賞作やノミネート作から、読まないと損をしそうな一冊を探してみてください。
①エキナカ書店大賞
旅や通勤の途中で読みたくなる作品がノミネート
開催は年に2回。毎回選出のテーマが決められていて、2月と8月に受賞作が発表されます。
第12回(2019年)受賞作『旅屋おかえり』
第13回(2019年)『スーツケースの半分は』
「旅に持っていきたいこの1冊~日本文学編~」として大賞を獲得した『スーツケースの半分は』(近藤史恵)。
スーツケースと共に旅する女性たちが描かれた短編集です。旅に持っていく一冊に、または心だけでも解放して現実から少し離れてみたい時にもおすすめ。
②Bunkamuraドゥマゴ文学賞
アバンギャルドな作品がおもしろい!
小説に限らず、評論・戯曲・詩なども選ばれ、既成概念に捉われない革新的で独創性にあふれた作品にスポットライトが当てられています。
第30回(2020年)受賞作『ホテル・アルカディア』
“ぶっとんだ”無二の作品を読みたい、というあなたにおすすめの一冊です。
不思議と読むものを吸引するストーリー展開と文体。選考委員の野矢茂樹氏は「こいつは私の手には負えない」と思ったそう。
③ネット小説大賞
小説家を目指す新人たちの傑作
第7回(2019年)受賞作『それでも僕らは、屋上で誰かを想っていた』
第7回の受賞作が、青春時代を過ごす高校生たちを描いた『それでも僕らは、屋上で誰かを想っていた』(櫻いいよ)でした。
書籍が発売されていますが、文庫版として改稿される前の小説を『小説になろう』サイト内で読むこともできます。
④Twitter文学賞
大賞を選ぶのは一般ユーザーたちのツイート
専門家のジャッジではなく一般ユーザーの投票が基準となっているので、口コミで評価されている作品がわかります。
第9回(2018年)受賞作『ベルリンは晴れているか』
第9回Twitter文学賞で1位に輝いた『ベルリンは晴れているか』(深緑野分)は、直木賞候補になったほか、本屋大賞や大藪春彦賞でも注目されました。
⑤本屋大賞
多方面に話題が派生する見逃せない賞
第17回(2020年)大賞『流浪の月』
第17回に大賞に選ばれたのは、繊細な人物描写に定評がある凪良ゆうさんの著作『流浪の月』。事実と真実とは何かを考えさせられる一冊です。
⑥『このミステリーがすごい!』大賞
これから書籍化されるのが楽しみ!
年によっては「賞をとれなくても作品にしたい」と編集部が目を付けた「隠し玉」が発表されることも。
このほか、ベストセラーとなった『チーム・バチスタの栄光』(海堂尊)や『果てしなき渇き』(深町秋生)も本屋大賞出身です。
第19回(2020年)大賞『元彼の遺言状』
2020年10月に発表された第19回の大賞作は新川帆立『元彼の遺言状』でした。2021年には書籍化される予定です。
おもしろい作品はおもしろい賞に選ばれている
大賞受賞作だけに限らずノミネート作もチェックしてみると、読みたい心をくすぐる作品に出合えるかもしれませんよ。
「出発・旅立ち」がテーマだった第12回に大賞を獲得したのが、原田マハさんの『旅屋おかえり』でした。
突然前途が途絶えた売れないアラサータレント丘えりかが、ひょんなことから始めた旅の代理業。彼女は事情により旅ができない人に代わって全国を旅し、人々を笑顔にしていきます。旅好き必読の物語です。