“魅力的で、たくましい”人間に。大人の願いを「本」に込めて…
子どもたちにとって魅力的なコンテンツが溢れる現代ですが、やはり触れてほしいのは「活字」の世界。
ページを繰るたびに出会う発見や感動…まっすぐな好奇心とスポンジのような吸収力に満ちた子ども時代だからこそ、そんな「活字」ならではの楽しさにどんどん浸かってほしいですよね。
手の届く距離感だった子供が見る世界が、これらの本を読むことで、きっと広がるはずです。
心身共にたくましさを身につけて、生きる力へと繋がる良書をピックアップしました。
子どもの《生きる力》をはぐくむ本 10選
1.「自分で作れる」「食べてもらえる」喜びを
ひとりでできる 子どもキッチン / 上田淳子(著)
火や包丁を扱う姿が危なっかしくて、ついつい大人が手も口も出しがちですが、この本のこだわりは、子ども自身ができるだけ1人で安全に作れる方法。
食材の種類や切る作業があるものをできるだけ減らし、目玉焼きは冷たいフライパンに油と卵を入れてから火にかける…など、「大人が教える」時にもなるほどと思えるアイデアがいっぱい!
定番のハンバーグやカレー、野菜炒めなど、日々の食事の立派な主菜になるレシピはもちろん、小さい子からチャレンジできる「のせるだけ、混ぜるだけ」のレシピもたくさん。
大人から見ると「これって料理???」と思っても、実はそこには「自分でできた!」「おいしくできた!!」という、未来につながる喜びがたくさん詰まっていますよ!
2.すすんで片づけるからこそ気づく、「キレイ」の気持ち良さ
すみっコぐらしのおかたづけ / 水谷妙子(監修)
日常生活におけるママの大きな悩みの一つ、「お片付け」。
子供たちに対しても、仕組みや声掛けを日々工夫してみたものの…結局「片づけなさ~い!!!!」と大声を張り上げてしまうということも多いのではないでしょうか?
そんな時には、本の力を借りて、少し遠巻きに見守るというのもいい方法かも。
今大人気のキャラクター「すみっコぐらし」が登場しながら、かわいくお片付けのHowToを手取り足取り紹介してくれるこちらの本。
導入は、「あなたはどのタイプ?」というチャート診断からスタート。これがまるで占いのように面白く感じるようで、すみっコ世代の子供たちの心を導入からロックオン!
その結果を踏まえながら、勉強机やランドセルラックなど、身近なスペースのお片付けの順序やコツを教えてくれます。
3.正しく知れば、自分を好きになる。大事にできる。
赤ちゃんはどこからくるの? / のじまなみ(著)
「性教育は大事」というのはわかっていても、いざとなるとやはり及び腰になりがちなのが正直なところ。そんな大人側の悩みをサポートしつつ、子供にわかりやすく「命」や「体」について説明してくれる一冊がこちらです。
「3歳から教えるべき」という帯にびっくりしますが、本をきっかけに実際に子供と会話してみると、確かにまっすぐな好奇心で純粋な質問を次々ぶつけてくれます。
聞かれたことに淡々ときちんと答えると、子供たちは素直にすんなり受け止め、「命ってすごい!」「人間て面白い!!!」と目を輝かせてくれる様子に、大人が新鮮な驚きを感じるほど…!
とはいえ、実際に性に関する話を始めるのは唐突すぎる…と感じるなら、オススメしたいのが子供の本棚に並べておくこと。「好きな時に読んで、質問があったらいつでも聞いてね」と一声かけておくと、きかっけがつかみやすくなります。
筆者の家庭では、長女の小学校入学を機に、防犯の観点から「自分の体の大切にすべき部分」「他の人は触る権利がない体の部位」という切り口からスタートしました。あとは、子供が自分のペースで読み進めながら会話しつつ理解を深めていっています。
4.子どもだって、ストレスはたまる。
学校では教えてくれない大切なこと18 からだと心 / 旺文社(編集)
最近は、子供もメンタル起因による不調の訴えが増えているのだとか。
でも、子供自身はその捉えどころのないモヤモヤがどこから来ているのか?体の不調の原因が何なのか?に気づけないことも多いと言います。
マンガをメインにしながら、体の仕組みや内科的な病気、そしてメンタルヘルスについてわかりやすく説明してくれるこちらの一冊。
アレルギーや熱中症、ストレスを感じたときの対処法についてもたくさんヒントを示してくれていて、実用的な処方箋になるという点も心強いですね。
5.考えてみよう。命と時間について―。
明日をつくる十歳のきみへ─一〇三歳のわたしから / 日野原重明(著)
2017年に105歳で逝去した、元聖路加国際病院名誉院長・日野原重明先生による、子供たちへのメッセージ。
「命について」、「命=時間を誰のためにどう使うのか」など…命、時間、夢について、人生の先輩の立場からたくさんの退場と共に子どもたちに語りかけてくれます。
子供のために…と購入した親自身が「気づきや教えを得た」と感謝する声も多い一冊です。
6.あなたにも、みんなにも、「ええところ」はあるんだよ。
ええところ / くすのきしげのり(作)、ふるしょうようこ(絵)
成長と共に、「自分」に向いていた興味は「他人」へと広がり、さらに「自分と他人の違い」にも気づくようになります。そして行き着くのが、「自分のいいところって何だろう?」という漠然とした疑問や不安。
元小学校教諭によるこの絵本は、そんな気持ちに寄り添いながら、気づきや温かい優しさを伴った読後感を与えてくれる一冊です。
生きる上で支えになる「自己肯定感」を、お説教臭くなく時に心を癒しながら伝えてくれるストーリーは、安心して眠りにつきたいベッドでの読み聞かせにもピッタリですよ。
7.一人で悩まなくて大丈夫。きみを守る法律の本
こども六法 / 山崎総一郎(著)
悲しくも、集団生活で切っても切り離せない「いじめ」問題。
一般的には道徳的アプローチから「いじめはいけない」と教育するのが一般的な中、「法教育を通じたいじめ問題解決」をテーマに研究活動を進めた著者がまとめたのが、この「こども六法」です。
いじめや虐待を受けていても、助けの求め方がわからないどころか、ともすると被害を受ける自分を責めてしまうことさえあるけれど、法律を知ることで周囲に悩みを伝えて解決へのきっかけになる―。
加害者側への脅しとして法律をかざすのではなく、悩める当事者が法律を知ることで強くなれる、というのは真っ当でありながら新しいアプローチではないでしょうか。
日本国憲法、刑法、民法、少年法など、“六法”というタイトルの通り、内容は本格的。しかし、とりわけ子どもの悩みに直結しやすそうな部分は、イラストと解説を交えて説明されています。
細かいことがわからない年齢でも、課題意識や発見につながる構成になっていますよ。
8.「もしも」のとき、自分を守れる自分になるために。
はれるんのぼうさい教室 / 堀江譲(文・絵)
地震や豪雨など、大きな自然災害を無視できない環境である日本。もしもの時に、大人と一緒とは限らないと考えると、自分の身を自分で守る力を磨いておきたいものです。
「はれるんのぼうさい教室」は、自然災害の他、天気の状態が危ない時に取るべき行動について、小学校低学年から理解できる形でわかりやすく解説されています。
防災を大人任せにせず、親子で、そして子供自身で―命を守り、身を守るための“知識”と“目”を磨ける一冊です。
9.「衣」「食」「住」を学んで、目指すは生活の名人!
生活図鑑―『生きる力』を楽しくみがく / おちとよこ(著)、平野恵理子(絵)
自分のお世話を自分でできること―それが「生きていくための力」。この本には、服の畳み方や体の洗い方、シミ抜き方法や料理の基本など、「自立」して生きていくための生活周りのイロハが事細かに記されています。
これから自立・自活していく未来が待つ子供たちはもちろん、家事音痴の男性や初めての一人暮らしを迎えた人にも役に立つ、まさに「日常生活の虎の巻」。
なんと、家事のベテランである主婦でさえ、発見があるという声もあるほどですよ!
10.冒険を楽しめば、生きる力が磨かれる。
冒険図鑑―野外で生活するために / さとうち 藍 (著), 松岡 達英 (絵)
「冒険図鑑」という名前を聞くと、ヘビーな屋外環境でいかにサバイブするか…というイメージが浮かぶのではないでしょうか。
もちろんそういった側面もありつつ、そこまで極端なシーンでなくても日々役立つ薬草、応急手当、料理の基本、観天望気などが盛りだくさん!
まさに「たくましく生きる」人間になるための参考書ともいえるかもしれません。
アウトドアが趣味なご家庭なら、キャンプですぐに役立つ「食べる、寝る」の入門書にも。あるいは、この本片手に外遊びをするだけで、いつもの見慣れた風景もワクワクに満ち溢れた冒険の舞台になりそうです。
派手さはないけれど、何世代も読み継ぐことができる、質実剛健な一冊。ぜひ手元に置いておくことをオススメします*
おしまいに
読書によって得た内容が、直接わかりやすい形で自分の生活や力としてフィードバックされることで、子どもにとっての自信と成長につながるはず。
もし自分でご飯が作れたら、おなかが空いたとき、自分の手ですぐに準備ができる。疲れた家族を喜ばせることだってできるし、コンビニにだって行かなくていい―。
そんな思いで「健康的に生きるための料理入門書」として作られたのが、「子どもキッチン」です。