心にささる1冊
誰かに贈りたくなる物語8選
ねこはしる/工藤直子(童話屋)
詩的な表現が多く、子どもにも分かりやすい言葉で紡がれています。野原の住人たちは皆生き生きとして、鮮やかな情景が目に浮かびます。この本を読んだあと散歩に出かけると、そこら中から生き物の声が聞こえるようになりますよ。
西の魔女が死んだ/梨木香歩(新潮文庫)
【あらすじ】亡くなった祖母の家に向かう道中、まいは祖母と暮らしたひと月あまりを思い出します。祖母は自分は魔女だと言い、まいに魔女になるための手ほどきを教えてくれました。それは、“何でも自分で決める”ということでした。
嫌な出来事が続いて、色々上手くいかない……そんな、自己肯定感が低くなってしまった時に読んで欲しい物語。西の魔女はいつでも味方です。どんなあなたでも受け入れ、愛してくれるに違いありません。
飛ぶ教室/エーリヒ・ケストナー(岩波少年文庫)
【あらすじ】クリスマス前の寄宿学校では、生徒たちが創作劇『飛ぶ教室』の稽古をしていました。ところが敵対している学校の生徒に同級生が拉致されてしまいます!救出に向かう生徒たちですが、一体どんなクリスマスを迎えるのでしょうか……?
この作品は単なる友情物語ではありません。生徒たちはそれぞれ悩みがありますし、問題も抱えています。いつかの自分とも思えてくる、愛おしい5人の生徒たちに頑張れ!とエールを贈りたくなるでしょう。
十二番目の天使/オグ・マンディーノ(求龍堂)
【あらすじ】ジョンは愛する家族を事故で亡くし、自殺しようとしていました。止めに入った幼馴染に、少年野球のコーチをしないかと誘われます。身体の小さな少年ティモシーとの出会いをきっかけに、人生の輝きを見つけ出す物語です。
“諦めないこと”の大切さを、シンプルでストレートな内容で心の奥に呼びかけます。自分のものさしで物事を見る重要さに気付き、今までの価値観が大きく変わるかもしれません。
星の王子さま/サン・テグジュペリ(新潮文庫)
【あらすじ】乗っていた飛行機が故障し、サハラ砂漠の真ん中に不時着してしまった僕は、遠い小さな星から訪れた小さな王子さまと出会います。宇宙を旅してきた王子さまの話を聞く内に、“本当に大切なもの”の真実に気が付く物語です。
小さな王子さまの視点で、この世界の心理が語られます。この本を読むと、ただでさえ目に見えない大切なことを取りこぼさないよう、丁寧に生きようと思えるのです。
モモ/ミヒャエル・エンデ(岩波少年文庫)
【あらすじ】モモは不思議な力を持っており、街の人にとってかけがえのない存在です。ある日、街に灰色の男たちが現れ、町の人々から時間が奪われてしまいました。大切な時間を取り戻すため、モモは灰色の男たちに立ち向かいます。
この物語を読むと、『時間』に対する考え方が変わります。あなたは、豊かな時間の使い方ができていますか?ひょっとしたら気付かぬ内に灰色の男たちに、時間を盗まれてしまっているかもしれません。
さざなみのよる/木皿泉(河出書房新社)
【あらすじ】小国ナスミは癌を患い、43歳で亡くなりました。ナスミと関わった人たちは、その存在に囚われ、励まされ、ナスミの志とともに生き続けます。ナスミの死を中心に、様々な人物の生き方を描いた物語です。
ナスミと夫の日出男は、人を“50音”で例える遊びが好きでした。親しい者同士にしかわからない、共通のサイン。この物語には“どう生きるか”のサインがたくさん詰まっています。読んだ人の心の中でもナスミは生き続けるでしょう。
蜜蜂と遠雷/恩田陸(幻冬舎文庫)
【あらすじ】ピアノコンクールを舞台に、一次予選から本戦へと物語は進んでいきます。全く異なる環境の4人のピアニストそれぞれの想い、抱える葛藤、友情や愛情などが繊細に描かれています。
文字だからこそできる音の表現があり、音楽に詳しくなくても感情が揺さぶられます。知らない曲でもメロディーが聞こえてくるようで、心地良く物語の世界に浸れるでしょう。
【あらすじ】のろまな黒猫ランは、ある日小さな池に住む魚と出会います。親友になった2人が辿り着く、“誰でもいつかは通り抜けねばならないこと”の答えとは……?野原の住人たちが織りなす、命の軌跡の物語です。