今、読んでも楽しめる。懐かしの絵本15選
ぐりとぐら
11ぴきのねこ
馬場のぼるさんの代表作である「11ぴきのねこ」シリーズの第1作目。いつもお腹を減らしているけど、見つけた獲物はちゃんと分け合って食べている、とらねこ大将と10匹のねこたち。彼らが旅に出て、力を合わせて、怪物みたいに大きな魚を捕まえる物語は、大人になってから読み返すと、協力し合うことの大切さをより実感できそう。
おおきなかぶ
ロシアの民話の一つであり、日本でも1966年に誕生したロングセラーの絵本「おおきなかぶ」。発売から50年以上経った今でも、「うんとこしょ どっこいしょ」の有名なかけ声をかけながら、親子で読んだりおはなし会で読まれたりしています。
おじいさんが育てた大きなかぶを、おばあさんや孫、さらに動物達まで呼んで一緒に引き抜こうとするストーリーはおおまかな流れやかけ声は覚えていても、登場人物や細部を忘れている方も多いのでは。もう一度読み返しても、思わず手に力が入ってしまいそうな魅力的なストーリーです。
はらぺこあおむし
アメリカで1969年に誕生し日本では1976年に出版されたエリック・カール氏の代表作「はらぺこあおむし」。日曜日の朝に生まれた腹ぺこのあおむしは、月曜日にリンゴを一つ、火曜日には梨を二つ、水曜日にすももを三つ食べ…と、曜日と数字も学べることや、穴の開いたしかけがあることでも人気の絵本です。
とびだす! はらぺこあおむし
大人になってから読み返すとその奥の深さと楽しさを再発見できそうな「はらぺこあおむし」の絵本ですが、嬉しいことに2019年に「とびだす! はらぺこあおむし (POP‐UP BOOK) 」が発売されました。ページを開くと、色とりどりの果物が立ち上がったり、蝶がはばたいたり、はらぺこあおむしの懐かしい成長物語を、時代を越えて立体的な動きとともに楽しめる本は、リビングに置いておけば、お客様が懐かしいと手に取って、昔と違う仕掛けに驚きそう。
てぶくろ
1965年に発売された、世界傑作絵本シリーズの中でも人気のウクライナ民話の、不思議で楽しい絵本「てぶくろ」は、おじいさんが雪の森の中に手袋を片方落としてしまうことからはじまります。
手袋にネズミが住みこみ、さらにカエルやウサギなど、次々と大きな動物が入り、手袋がどんどん大きくなっていく様子にワクワクドキドキした方も多いのでは。色んな動物がやって来ることは覚えていてもラストは…?という方はぜひもう一度、読み返してみてはいかがでしょうか。特に寒い冬におすすめです。
三びきのやぎのがらがらどん
上記の「てぶくろ」と同じく世界傑作絵本シリーズの、ノルウェーの昔話の「三びきのやぎのがらがらどん」。名前はどれも同じ「がらがらどん」の三びきのやぎのお話ですが、ここには怖い化け物の「トロル」が出て来て、橋を渡るやぎたちを食べてしまおうとします。
そんな恐ろしい怪物の姿の方が記憶に残っているという方も多いのでは。しかし、やぎたちはトロルが待ち構えている橋を小さいやぎから一匹ずつ順に渡っていくのですが…トロルの恐ろしさしか覚えていないという方は、ぜひやぎたちがどのようにして困難を乗り越えたのか、もう一度読み返してみてはいかがでしょうか。
ゆきのひの たんじょうび
淡くやさしいタッチの水彩画で大人気の画家・絵本作家の岩﨑ちひろ(いわさきちひろ)さんの「ゆきのひの たんじょうび」。子どもならではのちょっとした失敗、でも本人にとっては大きな失敗に落ち込む主人公。大人になって読み返すと、また違った目で主人公の女の子の気持ちを理解できそう。やさしいイラストに似合う心があったかくなるストーリーは子どもだけでなく、大人の友人への誕生日プレゼントにも喜ばれるかも。
泣いた赤おに
初版はなんと1935年刊行の「ひろすけひらかな童話」に所収された浜田廣介作の児童文学「泣いた赤おに 」。未だに多くの出版社から出版されており、こちらは2016年につちだのぶこさんのイラストであすなろ書房から出版された絵本。
人間たち仲良くしたいと願っている心やさしい赤おに。しかし、村人たちは赤おにを警戒して、彼の家に近づこうとしません。そんな状況を見た彼の仲間の青おには…教科書にも採用されているほどの不朽の名作のうえ、印象的なラストシーンなので、多くの人が最後まで覚えているのでは。
しかし、子どもの頃読んだときの読後感と、学生、社会人として多くの友人達との出会いや別れを体験してきた大人になってからでは、ラストシーンの深さが違ってみえるはず。かけがえのない大切な人たちを思い返しながらもう一度あの感動的なラストシーンを味わってみてはいかがでしょうか。
雪わたり
大人になってさらにその良さがわかる宮沢賢治さんの作品の数々。少し難しい作品もある中で「雪わたり」は子どもでも分かりやすく楽しい話として人気があり、多くの出版社から出ています。こちらは2005年に いもと ようこさんのイラストで金の星社から出版された絵本。 あたたかみいっぱいのイラストと「かた雪かんこ、しみ雪しんこ」の懐かしいフレーズとともによみがえる、やさしいストーリー。ほのぼのとした中にある、人を信じることのすばらしさは、大人になって読み返してもさわやかな読後感に浸れそう。
スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし
絵本作家レオ・レオニ氏作「スイミー」。日本では1963年に谷川俊太郎さんが訳して出版されました。小さな魚のスイミーが仲間と協力して、大きな魚と戦い、仲間を助けるお話。そのストーリーの面白さだけでなく、赤い魚の兄弟の中で一匹だけ黒いスイミーが戦いの際、どのように活躍するのか、絵本としても見どころが多い作品は、大人になって読み返してもじゅうぶん楽しめます。
手ぶくろを買いに
こちらも教科書に採用されているので、知っている方も多い、児童文学作家の新美 南吉さんの人気作品「手ぶくろを買いに」。南吉さんの死の直後の1943年に刊行された童話集に収載されて以来、多くの出版社が絵本として手がけており、こちらは2018年に、どい かや さんのイラストであすなろ書房から出版された絵本。
はじめての雪に興奮して遊び回ったこぎつね。その冷え切った手をにぎったお母さんぎつねが、こぎつねに手袋を買ってあげようと思いつきます。しかし、人間が怖いお母さんぎつねは、こぎつねの片手を人間の子供の手に変え、こぎつねに、町のお店の戸を少しだけ開けて、人間の方の手を出しながら「手袋をください」と言うように教えます。
間違えてきつねの手を出したらひどい目に合うと言われていたこぎつねですが、ついきつねの方の手を出して「手袋をください」と言ってしまいます。果たしてその結果は…きつねのほうの手をこぎつねが出したとき、どうなるかドキドキしながら見ていたという方、結果を覚えていても、もう一度読み返すと今度はお母さんきつねの視点から物語を追うことができるのでは。冬の寒い町が舞台ですが、そのあたたかいストーリーと言葉の優しいリズムは今でも読むとほっこり心あたたまります。
100万回生きたねこ
1977年に講談社より出版された佐野 洋子さん作「100万回生きたねこ」。100万回も死に、100万回も生きたねこは、100万人の様々な人たちに可愛がられました。しかしあるとき、のらねこになり、一匹の美しいねこに魅せられ、はじめて愛することを知ります。そして愛する者を失った悲しみを知ったねこは…。子どもも読みやすいストーリーですが、どちらかというと大人になってから読んだ方がよりストーリーの深さを味わえそう。
しろいうさぎとくろいうさぎ
日本では1965年に出版された、アメリカの絵本作家ガース・ウイリアムズ氏の「しろいうさぎとくろいうさぎ」。可愛らしいイラストと、2匹のうさぎが織りなす愛にあふれたストーリーは、発売以来50年以上たった今でも多くの人に愛されています。
毎日楽しく広い森で遊んでいるしろいうさぎとくろいうさぎ。でもある日、くろいうさぎが座り込んで、とても悲しそうな顔をしていました。心配したしろいうさぎが、どうしたのかと、くろいうさぎにたずねると…愛いっぱいのストーリーは大人向けかもと思わせるほど、幸せな気分に浸れる絵本。実際に結婚する友人への贈り物にも喜ばれるかも。
ぐるんぱのようちえん
1966年に福音館書店より発売された「ぐるんぱのようちえん」。堀内 誠一さんの可愛らしいイラストは、50年以上経った今でも素敵。イラストだけでなく、西内 ミナミさんのストーリーも実に魅力的。ひとりぼっちのぞうのぐるんぱは、ビスケット屋さんや靴屋さん、ピアノ工場など、色々な場所で一生懸命働くのにクビになってばかり。
そんなとき出会った、子どもがたくさんいる女性から、ぐるんぱは子どもたちの世話を頼まれます。そのとき、ぐるんぱが子どもたちのために作った、とっても大きな素敵なものは…
幸せな気分になれるやさしいストーリーも魅力的なこちらの絵本。子どものころ、ぐるんぱがあちこちで失敗しながらも一生懸命がんばる姿を応援しながら読んでいた方も、大人になって読み返すと、就職活動や転職をした頃と重ねてさらに力が入ってぐるんぱを応援したくなるかも。頑張る大きいぞうの姿に大人になってからもはげまされる素敵な絵本です。
青い鳥
ノーベル賞作家のモーリス・メーテルリンク作の1908年発表の童話劇「青い鳥」。世界中で親しまれている有名な作品は日本でも多くの出版社が文庫や絵本として出版していますが、こちらは2007年に金の星社から、いもと ようこさんのイラストで出版された絵本。
しあわせの青い鳥をさがして、あちこちの国をたずねるチルチルとミチル。果たして青い鳥がいた場所は…ラストに子どもの頃「えー?」と、なった方も大人になって読み返すと、なるほどと納得し、ふだんの生活や家族、友人をさらにあたたかい目でみることができるかもしれない、そんな永遠の名作です。
1963年に発表されて以来、未だに日本だけでなく世界中で愛され続けている絵本。中川李枝子さんと山脇百合子さんによる、ふたごの野ネズミを主人公とした「ぐり」と「ぐら」シリーズは、出版から50年を超えた今では、発行部数500万部に達する人気ぶりです。
こちらはその記念すべき第一作。お料理と食べることが大好きな、ぐりとぐら。森にでかけて見つけた大きなたまごから、大きなカステラを作ります。そのカステラが焼けるいいにおいにつられ、森に住んでいる様々な動物たちが集まってきます。
細かいストーリーは覚えてなくても、焼きあがったカステラを、森の動物みんなで食べているシーンは記憶にあるという方も多いのでは。協力しあってカステラを作って、そしてみんなでわけあって食べる。そんなあたたかい光景は大人になった今読むと、やさしい気持ちで満たされそう。