胸が熱くなるような想いをしたのは…いつ?
普段は分厚い本を読む機会がない人も、この夏は、じっくりと長編小説を読んでみましょう。読み終わる頃には、感動で涙したり、すっきり爽やかな気持ちになったり。今まで知らなかった世界に触れられるかもしれません。心を動かされること間違いなしですよ。
大人におすすめしたい、心もホットになるような熱い『長編小説』
「4TEEN」石田衣良
ぼくが怖いのは、変わることだ。
東京湾に浮かぶ月島。僕らは今日も自転車で、風よりも速くこの街を駆け抜ける――。14歳の永遠、その一瞬を切り取った青春小説。直木賞受賞作。
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。
さまざまな社会問題が含まれているので、目を背けたくなる内容も。いろんな壁を乗り越えて必死に生きる彼らの様子に、胸が熱くなります。
「天地明察」冲方丁
江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。即ち、日本独自の太陰暦を作り上げること--日本文化を変えた大いなる計画を、個の成長物語としてみずみずしくも重厚に描く傑作時代小説!!
「フェルマーの最終定理」サイモン・シン
言葉にしようのない、美しい瞬間でした。
数学界最大の超難問はどうやって解かれたのか?3世紀にわたって苦闘した天才数学者たちの挫折と栄光、証明に至るまでを描く感動の人間ドラマ。
フェルマーの最終定理の証明という、数学史上最大ともいえる難題に取り組む人々の、3世紀にも渡るノンフィクションです。これまで数々の数学者が挑戦しては挫折したこの定理を証明していくラストまでの流れは鳥肌ものです。
一つの証明に、たくさんの人物が関わっています。その中には日本人も含まれていました。数学なんて難しくてわからないと敬遠していた人も、この本なら楽しめるはず。ボリュームたっぷりの本なので、ひと夏かけてじっくり読むのにぴったりですよ。
「真夏の方程式」東野圭吾
夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。
翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。
これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは-ーー。
子ども嫌いの天才物理学者・湯川教授が仕事で訪れた玻璃ヶ浦で、恭平という少年と出会います。そしてそこで変死体が見つかるという事件が起こります。その事件には、さまざまな秘密が隠されていました。
湯川教授と恭平の心の交流や、登場人物それぞれの思いに胸を打たれること間違いなし。まるで目の前に映像が浮かぶような、夏のきれいな海の描写も見事です。衝撃のラストに涙する人も多いのではないでしょうか。
「砂漠」伊坂幸太郎
入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決……。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれを成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。
社会という名の砂漠に出て行く前の、モラトリアム期間ともいえる大学生活。そんな大学時代を共に過ごす5人の男女の青春物語です。個性的な登場人物たちは、「こんな人、周りにいたな。」と、ちょっと懐かしい気持ちにさせてくれるかも。日常の中に起こるさまざまな出来事が、この物語のスパイスとなっています。
いろんなことが起こる大学生活。春、夏、秋、冬のそれぞれの季節を友人と共に過ごす様子が描かれていますが、まさかの展開に驚くはずです。ユーモアたっぷりのセリフも面白いですよ。
「聖なる怠け者の冒険」森見登美彦
「何もしない、動かない」ことをモットーとする社会人2年目の小和田君。
ある朝目覚めると小学校の校庭に縛られていて、隣には狸の仮面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる怪人がいる。
しかも、そのぽんぽこ仮面から「跡を継げ」と言われるのだが……
ここから小和田君の果てしなく長く、奇想天外な一日がはじまる。
「夏への扉」ロバート・A・ハインライン
ぼくが飼っている猫のピートは、冬になると“夏への扉”を探しはじめる。家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているからだ。そしてぼくもまた、ピートと同じように“夏への扉”を探していた。最愛の恋人と親友に裏切られ、仕事を失い、生命から二番目に大切な発明さえも奪われてしまったぼくの心が、真冬の空のように凍てついてしまったからだ。失意の日々を送っているぼくにも、ピートが信じる“夏への扉”は見つかるのだろうか。
恋人と友人に裏切られ、失意に暮れる主人公のダンは、冷凍睡眠を受けることになります。目覚めたのは30年後。世界の何もかもが変わっていました。裏切られた恨みを晴らすべく、ダンは猛勉強に励み、30年後の世界で奮闘します。
SFの定番ともいえるこの作品。タイムトラベルで主人公は自分の思いを成し遂げていきます。前向きな主人公に勇気付けられるとともに、最後までハラハラドキドキしながら読める作品です。
「とっぴんぱらりの風太郎」万城目 学
天下は豊臣から徳川へ―。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京(みやこ)でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは?
伊賀を追い出され、忍としての活躍の場を失ったままひっそりと生きる主人公。主人公の「風太郎」は、「プータロー」つまりニート忍者です。そんな主人公が、ひょんなことから再び忍としての使命を果たすべく奮闘します。
とても分厚い大長編ですが、スピード感があり最後まであっという間に読んでしまうかも。個性豊かな登場人物との友情にも感動させられます。少年漫画のような、ワクワクドキドキする展開は夏の読書にぴったりです。
小説で、熱い気持ちを胸に宿そう
ひと夏に一つの物語をじっくり読んで、熱い気持ちになってみませんか?ぜひ、暑い夏を読書で充実したものにしてみてください。
最近、胸が熱くなるような想いをしましたか?大人になると、毎日の生活で心を動かされる機会が少なくなります。平凡な毎日でつまらないなと感じている人におすすめなのが小説です。